27日に開催される早慶バスケットボール定期戦(早慶戦)。今年で第79回となる早慶戦は、早大バスケ部にとって伝統ある一戦だが、今年はイレギュラーなかたちでの開催となる。新型コロナウイルスの影響で関東大学選手権が2度にわたって延期されたことで、新体制として臨む初めての公式戦となったのだ。今年は無観客での開催となり、動画配信も行われる。早慶戦への思いを「早稲田らしさを伝えられるフィールド」、「今までよりも多くの人たちに見ていただける」と前向きに語る4年生たち。早慶戦での早稲田らしいバスケットの体現に注目したい。4年生が今年の強みと語る「機動力」のあるバスケット。そのスタイルで勝利へ導く男子バスケットボール部の選手たちを紹介する。
練習で動きを確認する選手たち
最上級生としてチームを引っ張る4年生は、紆余曲折(うよきょくせつ)の4年間を経てチーム1の団結力を築きあげてきた。その団結力を武器に、チームを勝利に導く、屋台骨のような存在である。早大が誇る3人の4年生を紹介しよう。今シーズン主将を務めるのはNO・8津田誠人(スポ4=京都・洛南)。驚異的な身体能力と長い手足を活かして中からも外からも得点を取ることができる。また1年次から試合に出場して積み重ねた豊富な経験値で、早大オフェンスの中心的な役割を担う。膝の故障から復帰しつつある津田、主将として臨むラストイヤーに注目だ。
副将を務めるNO・7宮本一樹(スポ4=神奈川・桐光学園)は4年生最長身の196cmを誇るフォワード。強靭(きょうじん)なフィジカルを活かしたポストプレーと、しなやかなアウトサイドシュートでオールラウンドに得点を重ねる。けがで苦汁をなめた悔しさをバネに、最上級生として活躍する姿が楽しみな選手だ。
最後に紹介するのはクイックネスと正確なパスでチームを牽引(けんいん)するポイントガードのNO・18萩原圭(先理4=東京・早実)。ディフェンス面でもそのクイックネスとコンタクトの強さを活かして相手にプレッシャーをかけ続けることができる。責任感が強く、目の前のことに真摯に取り組む姿勢は部員からも尊敬を集める存在だ。
萩原
けがの影響により4年生が試合に出場することができない中、それに代わってコート内でのリーダーシップを発揮するのは3年生である。4年生が「すごく頼りになる、チームが誇っていいような存在」と語る4人を紹介したい。司令塔を務めるのはポイントガードのNO・12土家大輝(スポ3=福岡大大濠)。高いバスケットIQを持ち、ゲームコントロール力と抜群の得点能力を兼ね備えているのが最大の強み。誰もが魅了される華麗なドリブルからの1対1は目が離せない。
土家とともに3年生のツーガードを務めるのはNO・1神田誠仁(社3=静岡・浜松開誠館)。緩急あるドライブで相手を翻弄するだけでなく、果敢なルーズボールやハードなディフェンス、試合中の声かけでチームを盛りあげる。ハードワークでチームを鼓舞する神田のプレーに注目したい。
土家
スリーポイントが武器のNO・25宮川丈クレイトン(商3=愛知・千種)。彼の積極的なディフェンスと素早いモーションからのキャッチアンドシュートはチームの流れを変えるきっかけとなる。限られたプレータイムでも存在感を見せる宮川のプレーを見逃すな。
周りのインサイドプレイヤーと比べ、高さはないが、鍛えぬかれた強靭なフィジカルを武器にインサイドを守るNO・91ホセイン剛(教3=東京・早実)。大きな声と体で、ベンチからもチームを活気づける。コート内外でのホセインの闘志は目に焼きつけておきたい。
ホセイン
高いポテンシャルに満ちあふれ、コート内では上級生にも負けない存在感を発揮する2年生。それぞれの個性を思うままに表現する3人の2年生は勝利のカギを握るだろう。はじめに紹介するのは、オフの期間にプロリーグを経験して大きな成長を遂げているNO・13星川堅信(スポ2=京都・洛南)。巧みなハンドリングと高い打点から放たれる高精度のジャンパーはチームでも随一の存在だ。下級生としてコート上で奮闘する姿に期待したい。
昨年からスターティングファイブとして活躍するNO・15兪龍海(スポ2=神奈川・桐光学園)も今年プロリーグを経験してきた。197cmの長身と抜群の身体能力を活かしたゴール下のリバウンドで勝利に大きく貢献する。日々成長を見せ、チームの大黒柱として活躍するだろう。
NO・24細溪宙大(教2=東京・早実)はインサイドでのハードワークが持ち味だ。インサイドプレイヤーとして、ぶつかり合いをいとわない姿からは躍進の兆しが見える。またサイズのハンデを活かしたアウトサイドからのプレーでミスマッチが狙えるのも細溪の魅力だ。
兪
今年の早大は、例年に比べ多くの1年生を迎えた。これからの早大バスケ部を背負っていく彼らを紹介する。ドリブルからの1対1が強みのNO・10福永陸眞(教1=東京・早実)。最近では、練習の成果からアウトサイドシュートの精度も上がりはじめ、点を取れるガードとしての成長に期待が高まる選手だ。
シュート力を武器にするNO・14小野功稀(社1=新潟・開志国際)は積極的なオフェンスが魅力的。与えられた役割を着実に遂行して、シューターとしてチームを牽引してほしい。
福永
バスケット歴は浅いが、192cmの恵まれた体格を持つNO・17高羽優介(法1=東京・早大学院)。賢さと高い吸収力を武器に、日に日に存在感を増してきている選手だ。
NO・22飯島慶記(人1=茨城・下妻一)はクイックなスリーポイントシュートや多彩なドライブで、幅広い攻撃スタイルを見せるポイントガード。常に攻め気な姿勢に注目したい。
大幅な体重増加に成功した、チーム最長身199cmのNO・32松山雄亮(スポ1=京都・洛南)。けがからの復帰後の、パワーアップした松山のプレーが期待される。
他大学のスターティングメンバーにも引けを取らないスピードが最大の武器であるNO・33大柳慶悟(教1=東京・早実)。アンダーサイズを物ともせず、果敢に攻める姿勢で早大のオフェンスを勢いづける。
高校時代に代表経験があるNO・77石坂悠月(スポ1=東京・国学院久我山)は自らの役割を果たすために努力を惜しまない選手。恵まれた身長とその真面目な性格で、秘めたるポテンシャルを存分に発揮してほしい。
各学年、それぞれの特色ある選手たちが揃う今年の男子バスケットボール部。4年生との対談の中で、強みとしているのは「機動力」だけでなく、「大学のフィールドでの経験が他のチームよりも多いところ」とも語っていた。新型コロナウイルスの影響を受けながらも、今年のチームにしか作り出せないバスケットで「W奪還」を目指す。彼らの今後の活躍から目が離せない。
練習中は声を掛け合う姿が多く見られた
(記事 落合俊)