勝敗が予測できない大接戦 惜しくも敗れる

男子バスケットボール

 今年で77回目を迎えた早慶定期戦(早慶戦)。今回の一戦は、早稲田大学戸山キャンパスに昨年12月に完成したばかりの早稲田アリーナで行われた。試合は第1Q(クオーター)から互いに一歩も譲らない展開。第2Qで早大が一時流れに乗るも、第3Qで逆転される。第4Qは慶大に必死に食らいつくかたちとなったが、再び逆転することはできずに試合は終了。63-71で惜しくも敗れ、早慶戦3連勝を逃した。悔しい結果になったが、常に点差が10点以内の好ゲームに早稲田アリーナは大いに盛り上がった。

 試合は第1Qから緊迫した展開になった。第1Q前半、C宮本一樹(スポ2=神奈川・桐光学園)がスリーポイントシュート1本を含む3本のシュートを立て続けに決め、流れを早大に引き寄せる。しかし後半は慶大がG山﨑純主将(4年)の連続得点などで逆襲。14-15の1点ビハインドで第1Qを終えた。第2Q序盤、慶大の水谷祐葵(1年)が2本のスリーポイントシュートを沈め、早大は思わずタイムアウト。しかし再開後は、G土家大輝(スポ1=福岡大大濠)の積極的で力強いドライブなどで得点を重ねる。さらに、G柳川幹也(スポ3=京都・洛南)が5分間でスリーポイントシュートを3本決めるという驚異のシュート力を見せ慶大を逆転。第2Q終盤は、柳川のアシストでF津田誠人(スポ2=京都・洛南)が確実に得点し、見事に息の合ったプレーを見せた。点差を5点に広げ、35-30で前半が終了。タイムアウト後の早大の切り替えが素晴らしく、流れをわが物にしたかに見えた第2Qだった。

最後の早慶戦で主将としてチームをけん引した桑田

 一転して第3Qは苦しい展開となる。序盤、F桑田裕平主将(商4=京都・洛南)がスリーポイントシュートを決めたものの、それを境に約5分間、早大側は得点のない時間が続く。シュートまでは持ち込めても、なかなか決めきることができない。一方で慶大のエース山﨑の巧みな1対1、ステップインによる連続得点はここでも止まらなかった。試合後、宮本と柳川は慶大の山﨑、G高田淳貴(4年)を止めることが鍵だったが止められなかったと語っている。さらに、C小室悠太郎(社3=石川・北陸学院)がファールを4つ重ね、交代せざるを得ない状況となってしまう。41対49と点差が8点まで開き、残り2分37秒で早大がタイムアウト。苦しい状況の中、タイムアウト後はなんとか点差を5点に縮めて49-54で第3Qが終了。第4Qでの逆転が期待された。第4Q、慶大に得点されては早大が得点し返し、なんとか点差を広げられずに耐える。小室のスリーポイントシュート、土家のフリースローが決まり、残り3分52秒、柳川がスリーポイントシュートを決めて点差が3点にまで詰まった。緊迫した試合展開に会場の興奮は最高潮に達する。しかし、その後、再び慶大にスリーポイントシュートを決め返されると、点差を戻すことができず、63-71でブザーが鳴った。

柳川は冷静なプレーでチームに何度も流れを引き寄せた

 強い思いで臨んだものの、関東大学リーグ1部に属する早大が2部の慶大に敗れてしまった今回の試合。接戦の末に敗れ、試合後、桑田、G香川泰斗(人4=大分舞鶴)は、敗因は気持ちの面で慶大に劣っていたことだと口をそろえた。悔しさをあらわにした一方で桑田は、「結果だけ見るとなかなかうまくいってないと思うんですけど、それ以上に成長した部分もたくさんあると思います。春はきょうで終わりでまたリーグ戦(関東大学リーグ戦)やインカレ(全日本大学選手権)の準備が始まるので、きょうを新たな出発点とできればいいな思います」と春シーズンを振り返り、今後に向け思いを新たにした。この敗戦を糧にし、秋季は4学年の息の合ったプレーで強豪を打ち破る姿を見たいものだ。

(記事 佐藤さくら、写真 小林慎治、阿部かれん、菊池廉)

試合後握手を交わす両チームの選手たち

第77回早慶定期戦
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

14 21 14 14 63
慶大 15 15 24 17 71
C#7 宮本一輝(スポ2=神奈川・桐光学園)
G#12 土家大輝(スポ1=福岡大大濠)
G#14 柳川幹也(スポ3=京都・洛南)
F#39 桑田裕平(商4=京都・洛南)
C#41 小室悠太郎(社3=石川・北陸学院)
コメント

F桑田裕平主将(商4=京都・洛南)

――早慶戦を終えて今の率直な気持ちを教えてください

やっぱり悔しいの一言に尽きると思います。慶応が輪になって応援歌を歌っている姿を目の当たりにした時に、何も言えないような気持ちでいっぱいになって、悔しいです。

――試合内容を振り返っていかがですか

自分たちのやるべきことを徹底してやろうということで入って、多少変更とかもあっても、各々ができていた部分もあったんですけど、慶応の勝ちたい気持ちが早稲田のプレーに比べて、より表れていたと感じています。

――勝敗を分けた部分は気持ちの面ということでしょうか

そうですね。リバウンドやルーズボール一つにしても、早稲田より慶応の方が強かったですし、最後まで飛び込もうという姿勢が出ていたのでその差なのかなと思います。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

ガードとしてゲームをコントロールする立場ではないので、自分に求められるプレーをするだけだったんですけど、その点は試合の入りからしっかりできたと思います。試合の終盤で自分のミスが続いたことに関しては、反省しなければならないと思っています。

――早慶戦で春のシーズンは一区切りとなりました。春シーズンを振り返っていかがですか

結果だけ見るとなかなかうまくいってないと思うんですけど、それ以上に成長した部分もたくさんあると思います。春はきょうで終わりでまたリーグ戦(関東大学リーグ戦)やインカレ(全日本大学選手権)の準備が始まるので、きょうを新たな出発点とできればいいなと思います。

――秋に向けてどのような点を強化していきたいですか

チームとして目標に対して何をやらなければいけないかであったり、徹底というところもそうですし、何のために自分たちがバスケットをやっているのかというのをもう一度考え直して、自分たちの目標に向かってまた挑戦していきたいなと思っています。

G香川泰斗(人4=大分・大分舞鶴)

――最後の早慶戦となりましたが、どのような意気込みで試合に臨まれましたか

そうですね、早慶戦は本当にうまさとかじゃなくて気持ちの勝負だと思ったので、とにかく、周りからの応援とかすごい声が大きくて中(での選手の声が)聞こえないと思うんですけど、中でみんなで気持ち一丸になって戦おうっていう風に思いました。そんな意気込みでした。

――試合全体を振り返って、いかがでしたか

そうですね、リバウンドのところとか、ボールがルーズになったときに、相手のほうが気持ちが強かったなっていうところが正直あって、試合終盤になってそれも生きてきたので、気持で負けた試合だなっていう風には感じました。

――自分自身のプレーを振り返っていかがでしたか

自分では気持ちを高めて臨んだつもりだったんですけど、やっぱり相手にリバウンド取られてしまったりとかすごいあって、まだまだ試合に臨む気持ちっていうのを高められる部分は、アップとか練習ではあったのかなって思っていて、そこがすごい課題だなって思いました。

――今後の意気込みをお願いします

リーグ戦、インカレって続いていくと思うんですけど、今年はすごく1部のレベルが高い中で、どうやって生き残っていくかっていうところで、1、2、3年生がすごい試合に出て頑張ってくれているので、そこに対して4年生がどれだけチーム運営をできるかっていうところがすごい大切になってくると思うんで、そういうところを今後がんばっていきたいと思います。

G柳川幹也(スポ3=京都・洛南)

――きょうはどのような意気込みで臨みましたか

早慶戦ということで、普段経験できないような大舞台なので、絶対負けるわけにはいかないし、何が何でも勝つという気持ちで臨みました。

――慶大に対してどのような対策がありましたか

慶大は個人技主体で、2人エースがいてジャンプシュートも入るという話をしていて、それを警戒しようという話だったんですけど、僕たちがコートの中で遂行できずに結局その2人にやられてしまったので、そこは責任というか、やらなければいけなかった点だなと思います。

――ご自身のプレーはいかがでしたか

やっぱりまだまだプレーでチームを引っ張らなければいけないというのもありますし、もっと流れを作るプレーをしなければいけない部分もありますし、まだまだ何もできていないと思うので、もう切り替えてリーグ戦に向けてしっかり自分のやるべきことというのを磨かなければいけないなと思いました。

――2クオーター目などで持ち前のスリーポイントを何本も沈めていましたが

どうにかしなければいけないという思いもありましたし、僕自身入ったのは良かったとは思うんですけど、結局勝てていないので、そこは褒められる内容ではなかったかなと感じていますね。

――途中で早大がリードする場面もありましたが、負けてしまった要因は

早慶戦は気持ちでしかないというのをずっと言われていて、結局出ている5人やベンチ、応援席含めて慶大の方が勝ちたいという思いが強かった分がこの点差に出ているのかなと思います。やっぱり勝ちたかったですね。

――早慶戦が春シーズンの締めくくりとなりますが、春シーズンを振り返っていかがでしたか

最初の方に比べて成長できた部分もありますし、逆に課題というのが顕著に表れていると思うので、早慶戦負けたことが今の自分たちの現状だし、実力だと思うので、言い方はあれですけど慶大は2部でそこに負けたというのは、このままリーグに行っても1部では戦っていけないということだと思うので、しっかり課題だとか自分たちが強くなるためにやらなければいけないことを練習中からコートで表現できたらいいかなと思います。

――課題と出ましたが、今後修正していく課題は何でしょうか

ディフェンスリバウンドがまずひとつ明確になっているのと、あとシュート力ですかね。バスケットはシュートが入らないといくらディフェンスを頑張っても、点を取れないと勝てないので、そこは僕も含めてもっと決めないといけない部分だと思いますし、チーム全体でシュートの確率を上げていかないといけないのかなと思います。

C 宮本一樹(スポ2=神奈川・桐光学園)

――早慶戦にどのような意気込みで臨まれましたか

4年生の大会というのもあって最後に4年生全員をコートに立たせてあげたくてその状況を作るために最初から飛ばしていこうという意気込みでプレーしていました。

――相手チームのキーマンとその選手の対策はどのように行いましたか

慶応はやっぱり、あの4番(山崎純選手)と5番(高田淳貴選手)がすべる割合が6割7割超えててあの二人でほぼほぼ点を取ってる感じなので一人マークマンつけてスリーポイントシュートを完全に消しといてドライブしたら横がヘルプして他にシュートを打たせるという作戦ではいたんですけど、1on1のところで鋭く抜かれすぎてヘルプも全然いけなくてステップインで撃たれてしまったので、そこは反省です。

――先制点を取ったり、第4Q終盤で得点に絡んだりと存在感を示したと思いますがご自身のプレーを振り返っていかがでしたか

前半、特に第1Qは自分が気を張って得点取ろうとしてたんでそういう面では僕はよかったなと思います。試合通して見てみると第3Qで点が止まってしまってそこで得点できなかったのが最後チームのスコアが60点、70点にとどまってしまった理由かなと思ってて、みんな堅実にプレーしていたんですけど特に調子がいい選手がいなくてそれで点が伸びなかったなと思います。

――春のトーナメント以降を振り返っていかがでしたか

トーナメントで拓大に負けてからは、しっかり切り替えて次の大会は早慶戦だったので僕らが仕切るよりもはやく4年生が仕切ってくれてやっぱり早慶戦に向かう気持ちは4年生は強かったんですけど、練習で四年生がすごい声かけてくれたにもかかわらずそれに応えることができなかったっていうのが悔しいです。

――秋、冬のシーズンに向けて意気込みをお願いします

早慶戦はリーグとかと違って、早稲田と慶応にしか分からない特別な試合なのでこの負けは一生残るものだと思うんですけどヘッドコーチとかは早慶戦は通過点だと言っていたので切り替えて秋のリーグ戦に向けてこの負けを無駄にしないようにやっていきたいです。