拓大に敗北を喫し、ベスト8に一歩届かず

男子バスケットボール

 本格的な大学バスケのシーズンの訪れを告げる大会、関東大学選手権(トーナメント)。ここまで順当に勝ち上がってきた早大は、ベスト8の座を懸けて拓大との一戦に挑んだ。けがにより主力選手を欠きながら、臨んだ4月の京王電鉄杯での拓大戦は引き分け。この日は前回の対戦よりもベストなメンバーで試合に臨み、決して負けられない試合だった。ところが、序盤こそ早大の流れでゲームが進むが、勝利はそう簡単につかめるものではなかった。「第2クオーター(Q)、第3Qに相手のやりたいことをやらせてしまったので、そこで簡単に流れを持っていかれたのが敗因」(G土家大輝、スポ1=福岡大大濠)。68―89と点差を離され敗北を喫し、ベスト8の目標はここで絶たれることとなった。

  第1Q、「自分の感触としてはいい感じだった」とこの日の自身のプレーを振り返ったF宮本一樹(スポ2=神奈川・桐光学園)がスリーポイントや、ドライブインで得点を重ねる。拓大の強力なシューター陣に対し、「(スリーポイントを)簡単に打たせずにドライブをどんどんさせよう」(土家)という対策を立てていた早大。これが功を奏したか、第2Q序盤まではリードを奪ったまま早大ペースで試合が進んでいく.拓大のスリーポイントがネットを揺らし始め、雲行きが怪しくなった中盤、早大がすぐさまタイムアウトを要求。その後は一進一退の攻防が続く。好調の宮本のスリーなどで加点し36-36と同点で試合を折り返す。

チームトップの24得点を奪った宮本

 試合が大きく動いたのは、第3Q。拓大のエース荒川の3連続得点で流れが完全に拓大へ。さらには、F杉野の執拗なオフェンスリバウンドの飛び込みでセカンドチャンスを作られ、スリーポイントやゴール下のショットを着実に決めてくる拓大に点差を離される。ここまでも随所でいいプレーを見せてきた土家が、スリーやカットインで応戦するも単発に終わる。相手に傾いた流れを取り戻すことができないまま第3Qが終了。12点差を追い掛ける第4Q、「トランジションでのマークマンの捕まえが遅かった」(宮本)というように、拓大の速いトランジションに翻弄(ほんろう)され、イージーにシュートを打たせてしまう。インサイドでも、ディフェンスリバウンドをなかなか奪うことができず、拓大にさらなる攻撃のチャンスを献上。一矢報いることができないまま、試合終了のブザーが鳴り響いた。

ルーキーながら落ち着いたプレーでチームを引っ張った土家

  68-89と予想だにしなかった点差をつけられ敗北を喫した早大。「全体を通して、相手の方が気持ちが上回っていた」(宮本)とボールへの執着心、勝利への執念で拓大に劣ってしまい、それが結果的にリバウンドや守りのミスにつながってしまった。ベスト8に届かず無念の敗北とはいえ、まだシーズンは始まったばかりだ。「負けてしまったものは切り替えて秋に向けてやっていこうと思う」(宮本)。ここを通過点として、まずは6月の関東大学新人戦、早慶戦、そして秋の関東大学リーグ戦に向けて、鍛錬を積む。

(記事 小林理沙子、写真 馬塲貴子、町田華子)

第68回関東大学選手権
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

19 17 17 15 68
拓大 13 23 29 24 89
G#14 柳川幹也(スポ3=京都・洛南)
C#41 小室悠太郎(社3=石川・北陸学院)
F#7 宮本一樹(スポ2=神奈川・桐光学園)
G#1 神田誠仁(社1=浜松開誠館)
G # 12 土家大輝(スポ1=福岡大大濠)
◇主なスコアリーダー◇
得点  宮本一樹:24得点
リバウンド  宮本一樹:8リバウンド
アシスト  土家大輝:3アシスト
コメント

F宮本一樹(スポ2=神奈川・桐光学園)

――ベスト8に届かなかった率直なお気持ちを教えてください

全体を通して、相手の方が気持ちが上回っていてオフェンスリバウンドを取られてしまってシュート確率自体はほぼ同じだったんですけど、シュートの本数が向こうの方が10本、15本多くてそれが点数の差かなと思います。なので、もっと気持ちを出してリバウンドを取っていればこっちのシュートも増えてあんなに点が開くことはなかったかなと思います。

――京王電鉄杯で引き分けた拓大に対して何か対策はありましたか

京王電鉄杯は他のチームはいろいろ試しながらやっていたりするんですけど、拓大はメンバーも一緒でしたし、攻め方もほとんど同じだったので、選手の特徴だったりどこで攻めてくるとかは分かっていたので、特にそこまでスカウティングすることはなかったんですけど、やっぱりそれ以上のところでやられてしまったので、京王電鉄杯の時よりダメージが大きいです。

――試合内容を振り返って

前半はディフェンスリバウンドをしっかり取って走ってファウルが鳴って、それで点を取れていたので、それで同点で折り返したんですけど、3ピリの入りで相手が立て続けにシュートが入ったところで自分たちで立て直すことができなくて、相手のシュートがのってきてしまって、ずるずる3ピリ、4ピリといってしまったので、そこが敗因かなと思います。

――拓大はリバウンドに積極的に飛び込んできました

相手はシューターが3人くらいいてそのなかで、点数を取っていくにはオフェンスリバウンドを取ってまた外に返して、スリーをどんどん打っていくということが、決める本数以上に打つ本数を増やしていけば点数につながってくるという相手の考えだと思うので、そこで拓大がリバウンドにいっていたと思います。

――勝敗を分けた部分はやはりリバウンドということでしょうか

リバウンドもそうなんですけど、3ピリにこちらが点数を取れなかった時に、ミスから走られてしまって、トランジションでのマークマンの捕まえが遅かったとかで相手にスリーポイントを打たれてしまって、ミスをして戻らなかったりだとか、簡単なシュートを連続で決められてしまって、そこが敗因だったと思います。

――ご自身のプレーを振り返って

前半はスリーを3本決めて、ドライブもあって自分のなかでもいい感じだったんですけど、3ピリで自分がスリーが当たっていたので、パスを出させないように(相手が)来た時に、ガードがボールを回せなくなってしまって、1対1が消えてしまったのでそこでもっと欲求したりだとか。ボールをもらう動きにいけなかったのが、この日の課題ではあります。でも、自分の感触としてはいい感じだったので、この先につなげていきたいです。

――今後に向けて

春は毎年そうなんですけど、通過点ということでここでの結果が全てではなくて、秋に向かってどんどん上り調子で上げていけば、昨年は100パーセントいい結果ではなかったんですけど、大東大を倒したりして。秋に本調子で迎えられるようにやっていけば、僕はいいと思っているので、この先新人戦、早慶戦、リーグ戦(関東大学リーグ戦)に向けて負けてしまったものは切り替えて秋に向けてやっていこうと思います。

G土家大輝(スポ1=福岡大大濠)

――ベスト8を逃す結果となりましたが、今の率直なお気持ちは

きょう勝てばベスト8だったので、一歩届かなかったのはすごく悔しいです。

――拓大は京王電鉄杯で引き分けた相手でしたが、どのような対策を練りましたか

僕はその試合に出ていなかったんですけど、拓大さんはすごくスリーポイントが得意な選手が多くて、まずそこを簡単に打たせずにドライブをどんどんさせようっていう対策だったんですけど、第1ピリオドはそのプランを遂行できていたんですけど、第2クオーターから第3クオーターにかけて相手のやりたいことをやらせてしまったので、そこで簡単に流れを持っていかれたのが敗因だと思います。

――第1クオーターでできていたことが第2クオーター以降できなかった要因は何だと考えますか

まずトランジションのマッチアップが遅かったのと、リバウンドのボックスアウトの部分を誰かが怠って、ボールを取られてセカンドショットをやられたっていうケースがすごく多かったので、そこをもう1回練習から徹底していきたいと思います。

――試合全体を振り返っていかがですか

ドライブからエキストラパスでノーマークのシュートを打てていたのでオフェンスに関しては良かったんですけど、ディフェンスはやっぱりリバウンドのところとボールマンの1対1のディフェンスとスリーポイントシューターに対してのコンテストの部分をもうちょっと詰めないと、身長がない分戦っていけないなと実感しました。

――先ほども少し話がありましたが、勝敗を分けた部分はどこだったと思いますか

相手にスリーポイントを簡単に打たせてしまったこととリバウンドですね。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

2クオーター目の開始2分くらいで自分がツーファウルしてしまってベンチに下がってしまったので、そこはガードとして一番反省するべき点だと思います。後半は3クオーター目の点が止まってきたときに、僕がボールを持ちすぎて先輩方にストレスを溜めさせてしまったところが個人としてはもう1回見直していかないといけないなと思いました。

――後半拓大に比べて戻りが遅かったのは疲れがあったのですか

いや、日頃の練習をもう1回見直して、チームの中で裏切れないっていう環境を作っていかないと、誰かがダメになった時にそこからどんどんやられるっていうことが多くあると思うので、1回やられたらもう2回目はやられないっていうことを徹底するというか、裏切りなしで相手のオフェンスを1回で止めるっていう環境を作っていかないと勝っていけないと思うので練習からそこを克服していきたいと思います。

――今後に向けての意気込みをお願いします

次は僕たちは新人戦があるし、チームとしては早慶戦があって負けられないので
そこに向けて今回出た反省を克服して早慶戦で勝てるように頑張りたいと思います。