6位で1年間の戦いに幕を閉じる

男子バスケットボール

 全日本大学選手権(インカレ)も最終日を迎え、早大は今年度のチームで最後の試合に臨んだ。前日の順位決定戦を勝ち抜き、この日は青学大と5位をかけて対戦。前半までは互角に戦い29-33で前半を折り返すが、この少しの点差を縮めることができず後半で差を広げられると59-75で敗北を喫した。しかし「全力を出し切ったことに後悔はない」とF濱田健太(社4=福岡第一)が試合後語ったように、選手たちの表情に後悔はなく、笑顔で集大成を締めくくった。

 第1クオーター(Q)、スリーポイントを警戒された濱田がミドルからの攻撃で得点すると、F桑田裕平(商3=京都・洛南)がディフェンスリバウンドやカットインで気合を見せる。早大の強みであるディフェンスで青学大の勢いを抑えたいところだが、うまくゴール下に入れられ早大が追う展開となってしまう。それでもG森定隼吾(商4=岡山・倉敷青陵)のアシストやスリーポイント、C富田頼(スポ4=京都・洛南)のゴール下のプレーでなんとか食らいつく。残り13秒でタイムアウトを取り1本決めたいところだったが、青学大のディフェンスに阻まれ29-33で前半を終えた。

安定したディフェンスで1年間チームを支えた森定

  第3Q序盤で青学の立て続けの得点を許すと一気に2桁まで点差を広げられてしまう。G長谷川暢副将(スポ4=秋田・能代工)の強気なオフェンスや濱田のスリーポイント、森定のドライブなど4年生を中心に反撃を図るが、あと少しのところで青学大が逃げられてしまう。第4Qでも4年生のゴールやC小室悠太郎(社2=石川・北陸学院)のスリーポイントなどで点差を縮めようとするが、青学大が上回りその差はさらに拡大。ラストイヤーとなる濱田、長谷川暢、森定、富田、F中谷誠人(商4=東京・早実)がコートに立ち、最後まで戦い抜く姿勢を見せたが59-75でこの試合は黒星となり、早大は6位の成績を収めた。

主将としてチームを引っ張ってきた濱田

  目標としていた日本一には届かなかったものの、試合後の選手からは「自分たちの力を出し切った」という言葉が何度も出た。春の関東大学選手権はまさかの2回戦敗退、秋の関東大学リーグ戦は目標としていたベスト4には届かず8位と、早大の今シーズンの道のりは決して平坦なものではなかった。それでも「日本一」というただ一つの目標に向かって挑んだインカレ。2回戦で前回王者・大東大を撃破する大金星を挙げ、多くの人に感動を与えた。そして、この大舞台で一番輝いたのはこれまでの集大成として臨んだ4年生たちだった。強い気持ちと安定したプレーでチームをけん引する4年生の姿は、下級生たちの胸にしっかりと刻まれたはずだ。「僕たちが築いてきた伝統をずっと継続してほしい」という4年生の思いを受け継いで、早大バスケットボール部の歩みは続く。

(記事 阿部かれん、写真 吉田寛人)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

★長谷川暢がMIP賞を獲得!

MIP賞を獲得した長谷川暢

 個人賞として、長谷川暢が最も印象に残った選手に贈られるMIP賞を獲得した。1回戦の京産大戦では、「自分が絶対に決める」という強い気持ちで劇的なブザービートを沈める。続く2回戦でも強気のカットインや、パッションあふれるプレーでチームを鼓舞した。4年間の集大成となった7日間を「すごく楽しかった」と振り返った長谷川暢。大舞台で躍動する姿は、きっと多くの観客の心を捉えただろう。「(後輩たちに)大きい背中を見せたい」という思いで臨んだ今大会。その言葉通り、とてつもなく大きな背中でチームを引っ張り続けた。

第70回全日本大学選手権 12月16日(vs青学大)
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

12 17 16 14 59
日大 16 17 22 20 75
◇早大スターティングメンバー◇
F#27 濱田健太(社4=福岡第一)
G#13 長谷川暢(スポ4=秋田・能代工)
C#26 富田頼(スポ4=京都・洛南)
C#41 小室悠太郎(社2=石川・北陸学院)
F#39 桑田裕平(商3=京都・洛南)
◇主なスコアリーダー◇
得点  濱田健太、森定隼吾:13得点
リバウンド  富田頼:5リバウンド
アシスト  長谷川暢:3アシスト
コメント

F濱田健太(社4=福岡第一)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

最後、勝って終わろうという話をして、結局勝てなかったんですけど、でもみんながサボって流れが悪くて負けたというよりは全部出し切ってそれでも敵わなかったという試合だったので、チームとして後退するような試合ではなかったと思います。僕たちはそれを反省して次に生かすことは直接はできないですけど、後輩たちは何かしら思う所を持ってもらって、新しいシーズンでそれを改善してくれたらなと思います。

――ご自身のプレーはいかがでしたか

最後ということで、スリーは警戒され続けてきたのでそれを逆手に取って中もガンガン攻めていこうと思っていましたし、チームとして青学の強いフィジカルに逃げずに向かっていくという強い姿勢を最初のポストプレーで見せられたので、それでチームがうまく流れに乗っていけたことは良かったと思います。

――インカレの最終順位、6位をどう受け止めていますか

やっぱり肯定はできなくて、優勝を目指してやってきていてそれ以外見ていなかったので、優勝以外は満足してはいけないなと思っています。でも全力を出しても届かなかったという点では、全力を出せたことに後悔はないですし、これを後輩たちがどう受け止めて次に生かしてくれるか楽しみです。

――4年間一緒にやってきた4年生への思いを教えてください

ベンチに入れなかった中野(諭、人4=長崎西)と曽我(亮太、商4=滋賀・光泉)と菅(祐史、スポ4=京都・洛南)と山内(大樹、教育4=東京・京北)、そして途中から脳震盪でプレーすることができなかった岡野(佑紀、スポ4=愛知・千種)は、自分がプレーヤーとしてチームに貢献するという道が絶たれてしまって難しい心情だったと思います。試合に出ている人たちが注目されがちですけど、彼らが頑張っているからこそ僕らは頑張らなきゃいけないという気持ちになりましたし、そういう意味では縁の下の力持ちとして複雑な思いはいろいろあったと思うんですけど、その思いに折り合いをつけて頑張ってくれていたことは本当に支えになっていましたし、最高の仲間だと思っています。試合に最後まで出続けた隼吾と暢と頼は、彼らも4年生のために頑張ろうという思いだったと思いますし、最後は誰がキャプテンか分からないくらいチームに、下級生に声を掛けて全員で引っ張ってきたと僕は思っているので感謝しかないと言いますか、こにらも同じくこの3人が同期で良かったなと思っています。

――後輩への思いは何かありますか

最初は自分のことで手一杯なところもありましたし、余裕が無かったんだと思いますけど、後半になるにつれて自分の学年がどうであろうがチームに発信する姿も徐々に増えてきました。特にこのインカレは試合に出る出ないに関わらず絶対に悔しい想いとかもあったと思うんですけど、チームのためにという考えでどんなことでさえ一生懸命やってくれたからこそ、この結果が生まれたと思っているので。4年生が良かった、とかじゃなくてこのチームが頑張ってつかんだ、それでも届かなかった優勝と6位だったと思います。そへは肌でひしひしと感じてくれたと思うので、これをどう生かしていくかは彼ら次第だと思いますけど僕たち4年生は変わらず応援しているので、今後頑張ってほしいと思います。

――ワセダのバスケ部は濱田選手にとってどのような場所でしたか

大学生活は遊ぶこともできるし、いろいろな選択肢があった中でバスケットボール部に所属して4年間頑張るという選択肢を選びましたけど、終わってみて良かったなと思いますし、毎日バスケットボールのことだけを考えて強い敵に立ち向かっていた日々というのは大切な時間だったなと思います。夢の中にいるような、本当に恵まれているなという風に過ごしていたので僕にとってかけがえのない場所ですし、僕を成長させてくれた場所ですし、僕という人間を作ってくれた場所だと思っています。早稲田大学バスケットボール部にはすごく感謝しています。

G長谷川暢(スポ4=秋田・能代工)

――このチームで戦う最後の試合が終わり、率直に今の気持ちを教えてください

4年間を通してインカレで日本一になるためにずっと練習をしてきた中でこれまではなかなかイメージが湧かなかったのですが、この1年間はリーグ戦、インカレといい試合をしてくる中でチームの目標が明確になってきた部分がありましたし、その目標に近づくことができて率直に嬉しい気持ちです。

――インカレではチームの完成形を表現できました

プレーをしながらワセダが強くなってきているなというのを肌で感じることができました。後輩たちもパワーあふれるプレーをしてくれましたし、何より4年生が自信を持ってプレーしていましたし、自分が苦しい時に声をかけてくれたりしてくれました。その結果チームとしてまとまることができて大東大戦のような大きな試合に勝つことができて、自信にもなりましたしとても力強いチームになったと思います。

――背中で引っ張るというご自身の目標については

その目標は達成できたと思いますがもっともっとできたこともあったのかなと思います。後輩たちが僕たちの背中を見て感じたことは各々あると思いますが、自分たちがいい影響を与えられていたら嬉しいですね。

――最後の大舞台を楽しむことはできましたか

すごく楽しかったです。初戦の京産大との試合ではなかなか調子が上がらなかったのですが、最後シュートを決めることができましたし、最後までやりきろうと話していたキャプテンについていって、後輩たちも自分たちの言葉を素直に聞き入れてくれて、本当に楽しかったですね。

――この1年間チームを共に引っ張ってきた同期に伝えたいことはありますか

本当に感謝しかないです。この1年間自分はわがままにやらせてもらったんですけど、同期はついてきてくれて、その中でキャプテンを中心にやり続けてきたことが結果に結びついて自信になりましたし、4年生4人で頑張り続けてこれて良かったです、最高でした。

――ヘッドコーチをはじめとしたスタッフ陣に向けては

今年はわがままな代だったと思うのですが、吉岡さんは我慢強く指導してくださって日本一へ向けたレベルの練習をしてくださったと思います。サイズがない自分たちでも勝てることを証明できるような戦術や戦略をずっと考えて下さっていたので結果を残すことができて良かったです。トレーナーを含めその他のスタッフのみなさんにも感謝の気持ちでいっぱいです。

――早大バスケットボール部での4年間は決して平坦なものではなかったと思います

この4年間試合に出られなかった時期もありましたし、自分の思うような結果にならなかったことも多かったです。それでも自分たちの代でこうして結果を残すことができて、来年また1部で戦う舞台も後輩に残せたことは良かったと思いますね。色々試行錯誤することも多くて自分で考える力もついてプラスにもなったと思っていて、ワセダに来て本当に良かったです。

――この4年間で学んだことを今後どのように生かしていきたいですか

この4年間はとても濃い4年間になりましたね。自分たちが入ったばかりの頃の先輩はすごく大人だったなと思っていて、4年間かけてその姿に少しは近づけたかなと思います。プレーの部分だけでなく、日頃の生活やバスケットボールに対する姿勢などは先輩たちがストイックに築き上げてくださったもので、それを自分たちが受け継ぐことができたかなと思います。後輩たちにも歴史としてしっかり刻んでほしいと思います。

C富田頼(スポ4=京都・洛南)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

前半は結構イーブンに戦えていたと思うんですけど、後半リバウンドやルーズの部分で自分たちが一発で取りきれなかったところで、相手にいい流れを作られてそのまま行かれたというのが一番の要因かなと思います。

――ご自身のプレーはいかがでしたか

きょうちょっと自分の目立ったミスが何個かあったので、そこさえなければもう少しうまくいったのかなという部分と、後半になってから全然点を取ることもなかったですし、前半と同じような働きを後半でもできればもっとよかったのかなと思います。

――インカレ全体を振り返っていかがでしたか

リーグよりも確実にレベルの高い試合を展開することができたと思っていて、大東大にも勝ちましたし、そういった部分で一番成長した姿を見せることができた大会だったのかなと思います。

――6位という結果についてはどのように捉えていますか

自分が4年間大学に所属した中で一番いい成績だったので、それはよかったんですけど、日大に負けたというところでもっと上にも行けた悔しさもありますし、最後まで試合をできたという嬉しさもあるので、全体としては出し尽くすことができたのでよかったかなと思いますけども、この悔しさを後輩たちが晴らしてくれることを願っています。

――4年間一緒に戦ってきた同期の皆さんに一言お願いします

とりあえず今までありがとうという言葉に尽きると思うので、本当に感謝の言葉しかないですね。

――後輩の皆さんに向けて一言お願いします

来年さらにまた厳しい戦いになると思いますけども、チーム一丸となってワセダらしく頑張って行ってくれればいいなと思います。

――富田さんにとって早大バスケ部はどのような場所でしたか

一番自分を成長させてくれた場所だと思います。

G森定隼吾(商4=岡山・倉敷青陵)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

最後の試合なので悔いのないように出し惜しみのないようにチーム全員でやっていこうと入ったので、結果は負けてしまったので悔しい思いはしたんですけど、出し惜しみのないゲームだったのかなと思います。

――ご自身のプレーはいかがでしたか

前半少しターンオーバーが出てしまって、チームに少し迷惑をかけたんですけど、相手がハードにやってくる中で、ガードの僕とか暢(長谷川、スポ4=秋田・能代工)とかが強くやらないといいパスも出ないという風に思ったので、しっかり後半から切り替えて強いプレーができていいパスをできたところは良かったのかなと思います。

――インカレ全体を振り返っていかがでしたか

厳しい組み合わせで周りが大東大に負けて終わりだとか京産大も危ないのではないかという評価の中で、1回戦を勝ちきれて、2回戦も格上相手に粘れて勝てたというところは自分たちとしても評価したいと思いますし、日大に負けてそこでしっかり切り替えて白鴎大に勝てたというところはインカレの中でも自分たちが成長できましたし、1年を通して強くなれたと感じることができた大会だったので、いいラストを飾ることができたかなと思います。

――4年間一緒に戦ってきた同期の皆さんに向けて一言お願いします

1年を通すと苦しい1年だったなというのが最初に出てくるんですけど、トーナメントもうまく行かなくて、チーム内でゴタゴタも少しあってうまく行かない1年だったなという風に思うんですけど、ベンチに入れなかった4年生も含め、スタッフに回ってくれた岡野(佑紀、スポ4=愛知・千種)もそうですけど、4年生全員で乗り切れた1年だったので素直に感謝をしたいなと思います。

――後輩の皆さんに向けて一言お願いします

試合に出ていたメンバーが大きく変わってチームスタイルも顔ぶれもガラッと変わると思うので、そこに少し不安もあると思うんですけど、ワセダがどういうチームかをしっかり考えて、例年と一緒で能力のある人間はいないと思うので、しっかりチーム力で自分たちよりもっと上を目指してほしいなと思います。

――早大のバスケ部はどのような場所でしたか

楽しい場所だったなというふうに思っていて、4年間を通して苦しい思いでの方が多くあったんですけど、卒業されて行った先輩であったり同期であったり今の後輩だったりが作ってくれたワセダという暖かい空間があったから悔しくても苦しくても戻ってきてバスケットをやろうと思うことができたので、周りの人たちが作ってくれた暖かい場所だったのかなと思います。

F中谷誠人(商4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

昨年の順位を上回るという目標をきのう立てて、それは無事達成したんですが、やっぱり最後の試合ということで先週末に練習試合で戦った青学大と対戦して、その時は40点差で完膚なきまでに負けたんですけど、最後ということで勝って終わろうということだけを目標にしていました。出だしから今までのインカレと同様にワセダのバスケットボールができていたんですけど、やっぱり青学大の力強いプレーや強固さにやられてしまって徐々に点差をつけられて、最後の試合ではチームとして勝ち切ることはできなかったんですけど、ワセダのスタイルは出し切れたと思います。このインカレを通して戦い抜けたことがすごく良かったと思います。

――インカレの6位という結果をどう受け止めていますか

実際のところ、大東大を倒して日本一という目標をずっと立てていたので大東を倒してこのまま日本一まで行きたかったというのが素直な感想です。それ以下であれば大差がないという言い方はすごく変なんですけど、日本一に届かなかったということはただただ素直に悔しいとです。

――3年間一緒にやってきた同期への思いを教えてください

他の学年にはないあったかさというか優しさがあって、思いやりが本当にあるやつらなので、団結した時の力は他の学年にもないものがあるのかなと思っていて、先に引退するのは不安なところもあります。キャプテンが誰かは確定していないですけど、誰になってもしっかりみんなで助け合って、他の学年にはない一体感のある4年生になって、それが他の学年に普及して自分たちのチームを愛せるようなチームを作っていってほしいと思います。

――後輩へのメッセージはありますか

今の1年生と2年生は、試合でも主力で出ているメンバーもいますし、他のメンバーも純粋で努力家な選手が多いので、今の3年生が4年生になった時にそれにもう一歩欲を出して勝利に対してひたむきに取り組んでいけば、もっともっといい成果を出して伸びていけると思います。個人的には宮本(一樹、スポ1=神奈川・桐光学園)や津田(誠人、スポ1=京都・洛南)や小室(悠太郎、社2=石川・北陸学院)には期待しているので、今年の結果を上回るということを目標にかは分からないですけど、がむしゃらに頑張って僕たちが築いてきた伝統をずっと継続してほしいなと思います。

――ワセダのバスケ部というのは中谷選手にとって、どのような場所でしたか

すごくバスケットボールに対して純粋に、ひたむきに取り組んでいるのかなと思っています。どこりよも熱量のあるチームだったかなと思います。というのも、練習の中で波は大きいんですけど目標が固まった時の結束力というのは本当にインカレ通しても、どのチームにも負けないチーム力があったと思うので、それがワセダのあるべき姿なのかなと思います。来年も個々は良い選手がいると思うので、しっかり結束力を出して来年こそ頑張ってほしいなと思います。