勝利目前で、中大にまさかの逆転負け

男子バスケットボール

 最後の1秒まで勝負は分からない、その言葉を象徴するような敗戦となってしまった。試合終了まで残り5秒、スコアは70―68と早大が2点リード。だれもが早大の勝利を確信しかけた。しかし無情にも、相手のエースが放ったスリーポイントシュートは試合終了の笛と同時にネットに吸い込まれる。ブザービーターでの逆転勝利で歓喜の渦に包まれた中大ベンチと対照的に、早大の選手たちはまさかの敗戦にガックリと肩を落とした。

 主力選手2人をケガで欠き、スタメンの顔ぶれも大きく変わったこの日、立ち上がりは不安定なものとなる。中大に淡々と点を奪われ、一矢報いることができないまま時間が過ぎていく。第1クオーター(Q)は平面の戦いを制することができないまま、10点ビハインドで終える。第2Q、G柳川幹也(スポ2=京都・洛南)のスリー、C富田頼(スポ4=京都・洛南)のバックシュートで反撃に出た。勢いのまま、同点に追いつきたいところであったが、ファウルがかさみ中大に何度もフリースローのチャンスを与えてしまう。第2Qの中大の得点はほぼフリースローでの得点となり、ファウルの多さはこの日の試合の反省材料となった。前半終了間際にG森定隼吾(商4=岡山・倉敷青陵)がスリーポイントを沈め、1点差まで詰め寄る。しかし中大のブザービーターを食らい、41-44で試合を折り返す。

出番が増え、攻守で存在感を見せる柳川

  迎えた後半、まずはF桑田裕平(商3=京都・洛南)のスリーポイントで同点に追いつくと、C宮本一樹(スポ1=神奈川・桐光学園)もそれに続き逆転に成功する。5分間中大の得点を許さず、流れは早大に傾きかけた。しかしここで大きなリードを奪うことはできず、追いつ追いつかれの接戦となる。命運を分ける最終4Qも、こう着状態は続き、両チームが何度も逆転を繰り返した。残り1分、またしても中大にフリースローを与えてしまい同点となる。残された攻撃のチャンスで何としてでも逆転打を放ちたい両者だったが、スコアは変わらないまま時計の針は刻まれていく。残り5秒、桑田がフリースローを獲得。2本とも着実に沈め2点のリードを奪い、喜び合う早大サイド。中大がフロントコートでのスローインとなり、ここを守り切れば劇的勝利が決まるという瞬間だった。相手PGのカットインに、何としてでも得点を許すわけにいかない早大は3人が駆け寄る。しかしそこで、右サイドの選手をスリーポイントラインより外側でフリーにしてしまう。残り1秒でボールが渡り、放たれた球はブザーと共にゴールネットへ。「40分間の積み重ねがああいう結果になってしまった」(G長谷川暢副将、スポ4=秋田・能代工)と衝撃的なブザービーターで、あっけなく敗北が決まった。

主将の代わりにチームをけん引する長谷川暢

 ベンチメンバーが攻守共に奮闘し、収穫もあったこの日の一戦。しかし勝利が目前だっただけに、この1敗は早大に非常に重くのしかかる。自分たちよりも下の順位に位置する中大に黒星を喫し、上位進出は厳しいものとなった。入れ替え戦の危機からも逃れるために、ここからは1つでも上の順位を目指すことが重要となる。次戦の相手は現在首位を走る東海大。関東大学リーグ戦1周目の対戦では「前半からやられてしまって、追いつくことができないゲーム展開だった」(長谷川暢)という苦い記憶が残る。苦しいチーム状況だが、今こそ全員で一丸となり王者に食らいついていきたい。

(記事、写真 小林理沙子)

第94回関東大学リーグ戦 10月20日(vs中大)
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

15 25 17 13 70
中大 25 19 11 16 71
◇早大スターティングメンバー◇
C#7 宮本一樹(スポ1=神奈川・桐光学園)
G#13 長谷川暢(スポ4=秋田・能代工)
G#15 森定隼吾(商4=岡山・倉敷青陵))
C#26 富田頼(スポ4=京都・洛南)
F#39 桑田裕平(商3=京都・洛南)
◇主なスコアリーダー◇
得点  長谷川暢、小室悠太郎:13得点
リバウンド  富田頼:12リバウンド
アシスト  森定隼吾:4アシスト
関東大学リーグ戦1部順位表(10月20日時点)
順位 校名 勝率 得点 失点
東海大 14 0.824 1331 1183
大東大 13 0.813 1187 1004
青学大 11 0.688 1173 1102
専大 11 0.647 1320 1242
筑波大 0.563 1234 1166
白鷗大 0.563 1236 1265
早大 0.471 1190 1183
日大 0.438 1160 1215
中大 11 0.313 1124 1202
10 明大 12 0.294 1240 1334
11 神奈川大 13 0.235 1162 1253
12 拓大 14 0.176 1313 1521
コメント

G長谷川暢副将(スポ4=秋田・能代工)

――今の率直な気持ちをお聞かせください

ケガ人も少し出てきて、その中でも少ないメンバーでやっていかなきゃいけない状況だったんですけど、自分としてはすごく勝ちたい気持ちがありました。ハマケン(F濱田健太主将=社4=福岡第一)がいない状況の中で、自分がリーダーシップを取らなきゃいけなかったんですけど、1ピリで3回ファウルをしてしまって、なかなかコートに立つことができず。でもその時に、柳川(幹也、スポ2=京都・洛南)や香川(泰斗、人3=大分舞鶴)が必死に点数を取りにいったりディフェンスをやってくれたおかげで、前半はイーブンで終わることができたのが、収穫といえば収穫です。でも、最後にあの1本で勝負が決まっちゃったと思うので、そこは一人一人の意識でもありますけど、40分間の積み重ねがああいう結果になってしまったと思うので、これはまた勉強として次につなげられればいいかなと思います。

――審判の笛が厳しく、ファウルがかさんでしまいました

審判は対等に吹いてくれているので、それに自分たちがうまくアジャストしていかないといけないな、というのは誰しもがファウルを3つしていて、それで相手のフリースローにつながってしまった印象があってので、そこはもっと早めに対応できてそのくらい激しくプレッシャーにいかないと自分たちのバスケットができない要因であるとも思うので、そこはまあ審判どうこういうよりも、自分たちが正しい守り方をしていかなければいけないなと思います。

――苦しいチーム状況ではありますが、きょうの敗因はどこでしょうか

みんな気持ちが入っていて、すごく良いプレーがあったと思うんですけど、その中でも、チームルールの徹底という点では、試合にたくさん出ている人たちはやっぱり疲労があって集中力に欠ける部分もあったと思うので、今までローテーションがあった分、そういう所がなかなか厳しかったかなと思います。人数少ないのも言い訳にはできなくて、いるメンバーで戦っていかなければいけないので、そこは切り替えてリーグ戦はまだあと5試合あるので、ここは踏ん張りどころだと思います。

――次戦の東海大戦への意気込みをお願いします

東海は今2位で、自分たちも思い切りのいいプレーをして、できる限りいいプレーをあたいです。前回は前半からやられてしまって、追いつくことができないゲーム展開だったので、今回はずっと食らいついていって自分たちの良いリズムを出せるように、人数は少ないですけどみんなで力を合わせて頑張ることができているので、僕を中心に声を掛けて、ゲームの中で良いプレーができればいいかなと思います。