筑波大に敗戦。課題と収穫を得る

男子バスケットボール

 関東大学新人戦(新人戦)の初戦から中1日、早大は絶対王者・筑波大と対戦した。相手は層も厚く、数的不利かつ厳しい戦いになることが予想されていた。新人チームが発足してから1ヶ月間、選手たちは筑波大戦に照準を合わせて練習に取り組んできた。それが功を奏したか、随所で光るプレーも見られたものの、やはり地力の差では及ばず。57-82で敗北を喫しトーナメントから姿を消すこととなった。

  試合開始から筑波大を倒すための気迫は十分だった。まずはC小室悠太郎(社2=石川・北陸学院)がサイズの大きい相手のセンターに対しディフェンスで奮闘する。「もう僕が守るしかなかった」(小室)と、意地の守りでゴール下において簡単なシュートを打つことを許さない。先制点は1年生コンビのF津田誠人(スポ1=京都・洛南)とC宮本一樹(スポ1=神奈川・桐光学園)のツーメン速攻で早大が奪い、幸先の良いスタートを切る。第1Q(クオーター)は筑波大に一歩も引けを取らない内容で終え、4点差で第2Qを迎える。しかし、ここで筑波大の反撃が始まる。インサイドでの猛攻が続き、短時間で点差を広げられてしまう。失点が増えるも、宮本、小室らセンター陣がインサイドのディフェンスで奮闘し12点差で後半を迎える。

小室は攻守において大健闘

  なんとか流れを引き寄せたい後半。早大の最初の得点はG柳川幹也(スポ2=京都・洛南)のスリーポイントシュート。そのまま勢いに乗りたいところだったが、後が続かず。リスタートが速い筑波大のハイペースな攻撃に、徐々に点差は離れていく。本来はスリーポイントなど、アウトサイドからのシュートが多い早大の攻撃システムだが、この日は外からのシュートが鳴りを潜め、スリーポイントの精度の低さという課題が浮き彫りとなった。後半は終始、相手のペースでゲームが展開され、あえなく敗戦。最終スコアは57-82であった。

出場時間の長かった池田

 きょうの勝敗を分けたのは、1本1本のシュートの精度の差。そしてもう一つの課題は、攻め方のパターンの少なさではないだろうか。初戦でも課題として挙げられた単調な攻撃が散見された早大に比べて、筑波大はきちんと組み立てられたセットオフェンスによって1回の攻撃でしっかりと得点を奪ってきた。地力の差を見せつけられたかたちとなったが、全く歯が立たなかったわけではない。「前半の通りしっかりディフェンスリバウンドをしっかり取ってオフェンスを上手く組み立てていけば、もうちょっと善戦できた」(宮本)というように、戦い方によっては、もう少し互角のゲームを繰り広げられていたのではないだろうか。そして得たものは課題だけではない。「きょうの試合で自信を持つことができた」とG池田琳苑(人2=長崎西)が試合後に語ったように、公式戦に出場する機会の少ない選手たちが、フルタイムで試合に出場しのびのびとプレーできたことは、新人戦ならではの大いなる収穫といえるだろう。これが上級生を含めたチーム全体の成長につながることは間違いない。早大はまだ発展の途上にあるチームである。きょうの敗戦を通過点として、さらなる高みを目指してほしい。まずは来る7月の早慶戦を春夏シーズンの集大成、そして秋シーズンへの弾みとなる勝利で飾ることに期待したい。

(記事 小林理沙子、写真 村上萌々子、林大貴)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません。

第58回関東大学新人戦
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

10 16 15 16 57
筑波大 14 24 23 21 82
◇早大スターティングメンバー◇
C#7 宮本一樹(スポ1=神奈川・桐光学園)
F#8 津田誠人(スポ1=京都・洛南)
G#14 柳川幹也(スポ2=京都・洛南)
C#38 三島大河(文2=神奈川・桐光学園)
F#41 小室悠太郎(社2=石川・北陸学院)
コメント

G池田琳苑(人2=長崎西)

――昨日はどのような練習をして、きょうの筑波大戦に臨みましたか

筑波に対しては、昨日は筑波の試合のビデオを見たりして、自分たちが相手のオフェンスとかディフェンスにどのようにアジャストすればいいのかっていう練習をしました。あとはシューティングとかです。

――チームとしてどのような意気込みで臨まれましたか

新人チームが始まってから1ヶ月間の目標が筑波に勝つことで、きょうは絶対に勝ってやるという気持ちで一人一人が頑張ったと思います。

――試合内容を振り返っていかがですか

結果は負けてしまったんですけど、要所要所でもっとコンタクトとか自分たちがやれることをやればもっと良い試合になって、勝つこともできたんじゃないかと思いますけど、きょうの負けが近かったら早慶戦なんですけど、早慶戦に向けてつながることができると思うので、新人チームの勢いを、上級生につなげていってもらって頑張りたいと思います。

――きょうの敗因は具体的には何だと考えますか

敗因はトランジションで監督がもともと最初からトランジションは絶対に注意しておかないといけないと言われていたのに、入りの部分でトランジションでやられる場面が多くてそこの徹底ができなかったことがやっぱり敗因かなと。1ヶ月間、練習試合とかも何度もやってきたんですけど、ところどころで監督が言ってくれたことを徹底することができなかった部分があってそれで負けてしまうこともあったので、そこが敗因ですかね。

――チームとして収穫もあったと思うのですが、いかがですか

収穫は勝負どころというか、離されたときにどれだけ一人一人が声を出して我慢強く耐えることができるか。自分たちの持ち味であるディフェンスから速攻という流れにどれだけ持っていくか、というところがこの1ヶ月間で成長できたところだと思うので、それはワセダらしいゲーム展開につながったと思うので、それを1、2年生みんなが共有できたというところが、成長できたところだと思います。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

自分自身は昨年1年間、Bチームでやってきてあまり自信が無かったんですけど、きょうの試合で自信を持つことができたかな、と。自分のステップアップにつながる試合になったかなと思います。

――早慶戦に向けてお願いします

早慶戦は、今はBチームにいるので、Aチームに絡んで早慶戦も試合に出られるようにチームに貢献していきたいと思います。

C小室悠太郎(社2=石川・北陸学院)

――初戦の勝利からきょうへ向けてどのようなことを意識して練習に取り組んできましたか

あんまり試合に出ていない子が多くて、1年生とかも多くて。やっぱり(試合に出ていた人たちとの)ギャップがあるわけじゃないですか。そこで難しい部分もあったし、上手くいかないことも多くて、僕が点を取るように言われていて、僕自身あんまり点を取る選手じゃないんですけど、その部分での戸惑いとかもあって。初戦は勝ったんですけど、気持ちのいい勝ちではなくて、それでも筑波大を倒すためにやってきたので、絶対勝とうと言って、みんなで、人数も少ないのでやっていました。ただ、圧倒的な力の差というのを第3Pだったりで感じて、僕らの代から人数が少ないんですけど、僕らの代で絶対に筑波大を倒したいというふうに思っています。

――先ほどの試合に出ている人と出ていない人とのギャップというのは主に連携の部分でしょうか

連携だったり、初日もオフェンスがなかなか攻め切れなかったり、ターンオーバーしちゃったり、ディフェンスが守れなかったり、というのが僕も含めてみんなあって。ただきょうの筑波大戦の第1Pとかはハードにディフェンスができていたし、できるときはできるので、それを40分間続ける練習をもっともっとハードに、意識高く飛んで走って体を使って守るというのをやっていきます。

――体が大きいセンターの選手がいる筑波大に対するインサイドの対策等はありましたか

いや、もう僕が守るだけだったので。第1Pは守れたんですけど、あっち(筑波大)は2人で回していてこっちは1人で。元気な状態で出てこられるとやっぱりまだ対応できていない部分が多くて、井上くん(宗一郎、筑波大1年)とかすごい上手なフックとかあって、中まで押し込まれないようにっていうのを僕がやらないと誰もできないので。そこは頑張って体作って体力付けてやっていくしかないと思うので、できた部分もあるんですけど、できなかった部分もあるので反省ですね。

――きょうの試合全体を振り返っていかがですか

自分たちの代としては4年生になったときの立ち位置というか、位じゃないですけど、どれくらいできるのかっていうのがわかったと思うので。筑波は本当に上手で、体も強くてよく飛んでよく走ってよくシュートを決めて。やっぱり盗めるところは盗みたいし、僕らが勝ってる部分があるかどうかはわからないんですけど、あっち(筑波大)のハッスルよりももっとハッスルしないと勝てないというのは絶対にわかっているので、小さいなりに、日本人しかいないなりにワセダらしいバスケをして絶対勝ってやりたいと思います。

――きょうのご自身の出来としてはいかがでしたか

悪いですね。シュートがやっぱり課題で、新人戦のチームが発足して初めての練習試合とかは入ったんですけど、そこからは右肩下がりで。前回の試合も今日の試合も全然入らなくて、やっぱり練習から試合をイメージすることがいかに大事かっていうことがわかりました。

――第1Pなどは好プレーも見られましたが、ご自身で収穫などはありますか

ゴール下というか、ローポストのオフェンスの攻め方のバリエーションを増やすことと、3ポイントシュートの精度ですね。ディフェンスは僕らの代になると体が大きいのが僕と宮本(一樹、スポ1=神奈川・桐光学園)しかいなくて津田は多分3番手起用で使われるので、ずっと(自分が)出ることになると思うんですけど、なので40分続けて相手の5番、2メートルの選手を止め続けることができれば絶対にチームの勝利に貢献できると思うので、その部分を伸ばしていきたいです。

――早慶戦へ向けての意気込みをお願いします

やっぱり3年生は上手な方が多くて、ここで学んだことを早慶戦に生かせることであったり、新人戦はやっぱり上級生が相手してくれるじゃないですか。そういうことにも感謝して、そのことで伸びた部分も絶対にあるので、しっかり早慶戦で発揮して、きょねん勝っているので、2連勝して春夏シーズンを終えられればなと思います。

G三島大河(文2=神奈川・桐光学園)

――きょうの筑波大戦に対する意気込みはありましたか

筑波大相手にワセダはここ7年ぐらいリーグ戦で勝てていない相手だったっていうのもあって、僕は普段4年生のチームではそんなに出してもらえる選手ではなかったので、ここでやらなきゃ男じゃないと思って、本当に意気込んで入りました。

――きょうのチームとしての出来はいかがでしたか

新人戦の期間、ずっとこのチームでやってきた期間を通して、自分たちがうまくいかないときにいかに我慢するかということをずっと課題としてやってきたんですけど、そういう部分で我慢できるようになってきたな、というところで筑波大という相手は、こっちが我慢しても我慢しても上回ってくるという感じで、最後まで同じ課題にぶつかって。この課題は、きょうで新人戦は終わるんですけど、僕たちが上級生になっていっても変わらないと思うので。そういう意味では出来としてはあまり良くなかったと思うんですけど、そこを課題に取り組んでいきたいなと思います。

――きょうの具体的な敗因はどこにあると思いますか

いまのずっと課題としてきた我慢というところで。筑波大は勝ち方を知っているというか、こっちが連続で得点して流れが傾きかけたときもすぐに修正してくるので、こっちが後手後手に回ってしまったことが敗因かなと思います。

――第2Qでは得点ラッシュがありましたが、タイムアウトではどのような指示が出ていましたか

タイムアウトではやっぱりディフェンスから。多分こっちが点数を重ねた場面でも向こうの得点が止まって、こっちが確か18点から9点までいったと思うんですけど、そこは向こうの点数を止めたっていうのが大きいと思います。タイムアウトでもディフェンスにフォーカスしてということを言われていたので、そういう指示でした。

――ご自身のプレーの出来はいかがでしたか

僕は点数で貢献するというよりも、数字に表れない部分で、声であったりとか、気持ちの部分であったり、チームを鼓舞する部分が自分の役割だと思って入っていて。前半は結構心が折れそうな場面でもうまく得点できたりだとか、ディフェンスでもアグレッシブにいくことができたのでよかったと思います。ただ、我慢するというときに自分がファールでコートに立っていなくて、そこがすごい後悔というか、課題として残っています。

――第1Qでは互角に戦えていましたが、その部分で収穫などはありますか

入りは小室(悠太郎、社2=石川・北陸学院)を中心にインサイドで十分戦えていて、僕らの代のこの新人チームはインサイドが強みなので、そこでしっかり戦えたというのはすごい収穫だと思います。

――次は早慶戦となりますが、きょう出た課題や収穫を踏まえ、どのように取り組んでいきますか

今までずっとサポートする立場でいたんですけど、この新人戦で僕たちが初めてサポートしてもらう立場になって、サポートの大きさっていうのを実感して。早慶戦っていうのは4年生の集大成の試合だと思うので、下級生としてサポートという部分で勝利に貢献できるように、しっかり支えていきたいと思います。

C宮本一樹(スポ1=神奈川・桐光学園)

――昨日はどのような練習をして、きょうの試合に臨みましたか

1ヶ月前から組み合わせが出ていてやっぱりヤマ場は筑波だったので、この1ヶ月でチームで走って勝っていこうっていうのを昨日の練習で再確認して、相手のプレーだったりどこで攻めてくるのかだったり、深く話し合って昨日ゲームプランを練っていたんですけども、前半は予想通りというか相手の方がちょっと上回っていたけど、全然僅差だったので上手く立ち回れていたんですけど、3ピリでやっぱり地力の差というか、あまり走られた印象はないんですけどもこう1回のオフェンスで、うちが単発ですぐシュートを打っちゃった時に筑波はしっかり1本セットで打ちたいところに上手くボールを回してそこで攻めてきたり、そういう差でだんだん点差が開いていったので。どこで流れがあっちに行って点差が開いたっていう感じじゃなくて。でも前半の通りしっかりディフェンスリバウンドをしっかり取ってオフェンスを上手く組み立てていけば、もうちょっと善戦できたかな、と思うのでちょっとそこは悔しいです。/p>

――第1Qなど戦えていた部分もあったと思うのですが、収穫はありますか

1年の津田がきょうは筑波に読まれていたのか、ドライブでいっていたんですけど2人寄ったりして津田も上手くボールをさばけなくて、そこで何回かターンオーバーになっちゃって走られた部分があったんですけども、そういう時に交代した2年生の三島さんだったり池田さんだったりが上手く機能してそこでまた攻めれていたのでそこは新人戦ならではの収穫だったのかな、と思います。あとは、うちが外からのシュートが多いシステムなのでやっぱり外からのシュートが入らないと厳しいものがあるんですけどなんとかリバウンドでつないで戦っていけた部分もあったので今後もリバウンドを課題にしてやっていきたいと思います。

――インサイド面など、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

きょうは僕のところはあまりミスマッチではなかったので、上手くドライブして寄ってきたところにボールをさばいていたんですけども、生憎シュートが入らなくて僕自身もあまりシュートを打つ回数はなかったんですけども、その少ないシュートも入らなくて。僕とマッチアップしていた山口颯人くん(日体大2年)が昨日オフェンスリバウンドを12個取っていて、スリーも(成功率が)今シーズン50%を超えているらしくて「お前がそこを守れないと話にならないぞ」と昨日言われていたので、そこはまずまず前半守れていたから、そこは僕としては収穫だったので、良かったと思います。

――やはり課題としてはシュートの精度ということですか

そうですね。

――最後に早慶戦に向けてお願いします

早慶戦に向けて、この新人戦で1、2年生はあまり出られない選手とかも出れていて、先輩たちは早慶戦に向けて練習している中で、僕たちは新人戦に向けてやらせてもらっていて。でもここからは1、2年生は新人戦で経験したことを生かして今まで試合に出られなかった人たちもどんどん試合に絡んでいけるような練習を作っていって、練習をより深く詰めていって個人としては早慶戦は1年生ながらも遠慮することなく、フレッシュマンとして勢いのあるプレーでやっていきたいと思います。