最後まで粘るも、慶大に2年連続の敗北

男子バスケットボール

 今回で73回目を迎えた早慶定期戦(早慶戦)。通算成績は早大が37勝、慶大が35勝とほぼ互角の戦いをしてきた両校は、まさに因縁のライバルだ。国立代々木第二体育館が満員となり、大熱狂の中で迎えたこの試合。前半から両チーム一歩も譲らない好ゲームが展開された。開始から早大、慶大ともに高確率でスリーポイントシュートを沈めていく。しかし第3クオーター(Q)、早大の外のシュートがリングに嫌われ始めると、相手に一気に点差を引き離され、10点差以上のリードを許す苦しい展開に。第4Q、必死に追い上げ2点差まで詰め寄るものの、後一歩慶大の背中を捉え切ることができず、最後は突き放され72―83で無念の敗戦。2年連続で因縁のライバルに苦杯を舐める結果となった。

 いつもの試合とは違う異様なまでの盛り上がりの中、選手たちには緊張の色が見られた。そんな雰囲気を打ち破ったのは主将の一撃だった。G池田慶次郎主将(社4=東京・京北)のスリーポイントシュートが決まり、先制点をものにする。池田主将の先制点を皮切りに、第1Qだけで6本のスリーポイントシュートが決めるなど、いいリズムで試合を進めた。第1Q終了間際にはG國枝健太(社4=東京・早大学院)が放った超ロングシュートがリングに吸い込まれるも、これはわずかに間に合わず、このシュートはまぼろしに。続く第2Q、慶大のスリーポイントシュートがさく裂し始める。難しい態勢からもシュートを沈められてしまい点差が縮まっていった。早大もG木澤義揶(人4=京都・洛南)が技ありのリバースレイアップなどで得点を重ねていくが、両者譲らない緊迫したゲーム展開が続く。前半最後には木澤がルーズボールに飛び込みつないだボールを、池田主将がねじ込みブザービーター。40―38と辛うじて2点をリードして前半を終えた。

チームをけん引し続けた池田主将

 「オフェンスリバウンドを取られて、そこから相手のシュートチャンスを多く作ってしまった」(F山本純平、スポ4=福岡第一)。後半、オフェンスリバウンドのセカンドチャンスから失点を許し、次第に慶大に引き離されていく。前半よく決まっていたシュートもリングに嫌われ始め約5分間無得点が続くなど、第3Qで一時最大11点のビハインドを背負う展開に。最終第4Q意地を見せたい早大は、この試合がケガからの復帰戦となった山本のスリーポイントシュートや、G石原卓(社2=東京・京北)の得点などで2点差まで迫る。ここで一気に逆転に持ち込みたかったが、相手の速いトランジションからのスリーポイントシュートなどで再び突き放された。山本のシュートや、ファウルゲームを仕掛け必死に追い上げるものの及ばす、72―83で試合終了。後一歩が遠かった。

2年連続での敗戦に悔しさをあらわにする選手たち

 2年連続の早慶戦敗北。試合終了後、選手たちの目には涙が浮かんだ。「外のシュートに頼り過ぎていた」(池田主将)と振り返るように、今季早大の大きな武器である外角のシュート。そのシュートが決まらない時間帯にどうするか。前期を通じて挙げられていた課題が浮き彫りになる結果となった。「ペイント内の得点が課題」(山本)。シュートは水物なだけに、ペイント内で安定した得点をどれだけ奪えるかが今後へのカギになりそうだ。目標はあくまでも関東大学1部昇格。秋に開幕する関東大学リーグ戦に向けて、さらに成長し続けたい。

(記事 東哲也、写真 角田望、黒田菜々子)

第73回早慶定期戦 6月6日(vs慶大)
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

25 15 14 18 72
慶大 22 16 23 22 83
◇早大スターティングメンバー◇
G#34 池田慶次郎主将(社4=東京・京北)
G#7 石原卓(社2=東京・京北)
SF#8 新川敬大(スポ2=東京・京北)
F#16 山本純平(スポ4=福岡第一)
C#38 宮脇隼人(スポ3=京都・洛南)
コメント

G池田慶次郎主将(社4=東京・京北)

――きょうの試合を振り返って

チームとしてすごく気持ちの入っていた試合で、前半とかも流れ良く戦えていたんですけど、最後の詰めの甘さっていうか自分たちの詰めの甘さ、準備の甘さという部分で最後は離されてしまったかなという印象です。

――会場が満員の中での試合でしたが、雰囲気はどんなものでしたか

すごく気持ちよかったし、集まったお客さんには感謝していますし、その分責任というのも感じながら、他の試合では感じられないような感じられない気持ちで早慶戦に臨みました。

――きょうはどのようなテーマで臨まれましたか

4年生中心にチームをまとめてきて、メンタル的には4年生が引っ張り、戦術的にはやってきたことを一個一個丁寧に、派手なプレーとかではなくて今までやってきたことを徹底しようとしていました。

――前半はシュートがよく決まり互角でしたが、前半のオフェンスを振り返ってみていかがですか

外のシュートが入っていたので、外から気持ちよく打てていて、その分前半リードで終われましたし、それが要因として挙げられるんですけど、外のシュートに頼り過ぎていたかなっていう部分はありました。

――勝負を分けたのは後半だったと思いますが、勝負を分けたポイントはどんなところでしょうか

前半で外のシュートに頼っていたっていうのを後半にも引きずっていて、シュートが入らなくなった時に上手く切り替えできなかったというのがポイントですね。

――ディフェンスではトランジションからのスリーポイントを許す場面も多かったですが

慶大のトランジションが速かったという部分は大きいですけど、そこもゲームの中で修正ができなかったというのが僕たちの甘いところだったと思うので、早慶戦はもうないですけど、今後のリーグ戦とかにもこういう経験を生かしていきたいなと思います。

――前期の戦いを総括していかがですか

スタッフが変わってチームというのもA、Bチームを無くして新体制の中で、徐々に徐々に階段を一歩ずつ登っている感じというのはチームとして感じられているので、前期はあんまり結果というのは出ていないんですけど、結果がダメだったからダメということではなくて、いい変化というのを自分たちで感じながら、最終的には自分たちの目標である1部昇格とインカレ優勝というのに向けて頑張っていきたいなと思います。

――この夏はどんなトレーニングを積んでいきたいですか

チームの中で体が強い人と弱い人がいると思うので、その差を無くすことでさらに自分たちの体の強さというのを全体的にレベルアップしていくのと、前期は外のシュートがオフェンスの中心になっていたので、そのシュートが入らなかった時に速攻を出せるようなチームになりたいと思っているので、走り込みであったり、外角のシュートの精度を上げていきたいです。

――秋のリーグ戦に向けて意気込みをお願いします

きょねんは本当に悔しい思いをしたので、それはチームとして全員がわかっていると思うので、きょうのこの悔しさというのも含めていろんな悔しさというのをバネに今後練習を積んで、必ず1部昇格したいなと思います。

G木澤義椰副将(人4=京都・洛南)

――早慶戦でしたが、どのようなお気持ちで臨まれましたか

僕たちは最後の早慶戦だったので、試合に出ている人も出ていない人も、応援する人もチーム一丸となって全員で声出して勝ちにいこうという話しをしていて。また4年生が下級生を引っ張っていくから着いてきてほしいといっていて懸ける思いはありましたが、結果的に悔しい負け方になってしまったのですが受け入れるしかないです。僕たちの本当の目標は全勝優勝して1部昇格することなので、この負けをどう生かすかというのは本当に大事だと思います。

――第2ピリオドの苦しい場面での出場でした

流れが向こうの方にあったので、その流れを持っていこうという風に自分は考えていて、ルーズボールであったりリバウンドを頑張ろうと思っていたのですが、そこは取れていた部分もあったので、非常に良い流れで前半はうまく終われたと思います。

――チームで話し合ったことは

まずは相手のエースである大元(孝文、慶大)に打たせないこと、リバウンドもシュートの確率が良くなかったので、そこが大事になっていたのでその話をしました。

――ご自身のプレーを振り返って

前半は自分がルーズボールを突っ込んだりして流れを変えられたとは思うのですが、後半で向こうに合わせてしまったというか、積極的にゴールにアタックできていなかったのかなと思っていますし、まだまだ個人としてあの場面でどういうオフェンスを選択するかというところが自分には考えが足りなくて。メンタルも弱くて、後半は自分の仕事である流れを変えられるプレーができなかったと思います。

――早慶戦の雰囲気はいかがでしたか

トーナメント(関東大学選手権)の決勝よりも人が入っていたので、緊張感もあったのですが非常に楽しくできましたし、この経験ができるのは早慶戦しかないと思うので、結果は負けてしまったですがこの大声援の中でやれたという経験は次に生かせると思うので、そこは良かったと思います。

――秋に向けて強化していきたい部分は

僕たちに足りなかったのはシュートの決定力だと思っていて、ケイオーは大元がしっかり決めてくる中で、逆に僕たちは終盤にシュートが入りませんでした。その終盤でのシュートの決定力をどれだけ上げれるかが非常に大事だと思うのでそこを意識してやるのと、我慢するところで我慢し切れないというのも課題で、粘りのあるディフェンス、プレッシャーをかけていくということを心掛けていく必要があると思うので、そういうところを意識してもっと練習していかないといけないと思います。

G國枝健太(社4=東京・早大学院)

――4年目の早慶戦でしたが、どのような思いで試合に臨みましたか

学生最後の早慶戦でもあったので、本当に思い入れが強い早慶戦で、どうしても何が何でも勝ちたい試合でした。

――國枝選手はどのようなプレーを意識しましたか

4年生として、気持ちのこもった泥臭いプレーというのがチームに勝利を導くプレーだと思っていたのでそういうところをとにかく頑張ろうと意識してました。

――実際に試合に入ってみて会場の雰囲気は特別なものがありましたか

Aチームの本戦に出るのはことしが初めてだったので、すごく緊張感のある雰囲気だなと感じました。そういうところからも絶対勝たなきゃ、とか目の前の相手をやっつけてやろうという思いで臨みました。

――前半は特に接戦が続いていましたが振り返っていかがですか

前半は相手に流れを持っていかれそうになっても粘って粘ってという意識をできていたのですが、後半はそれ以上に相手の勢いが強くて持っていかれたかな、というのはあります。

――少し触れていましたが、終盤にかけて点差を離されてしまったのはそういうところでしょうか

まだ点差と時間を考えれば勝つ可能性は全然あったところを少し焦ってしまったというか、本来チームでやるべきことっていうのが最後になって崩れてしまったことが反省点かなと思います。

――前期の公式戦はこれで終わりですが、後期に向けてレベルアップしたい点というのは

この前期を通して、フィジカル面というのが足りないと思います。この身長でインサイドを張るためにはもっとフィジカルも必要ですし、体力も必要だと思うのでそういうところを鍛えていきたいなと思います。

――4年生として残りのシーズンをどのようなものにしたいですか

そうですね。チームの目標である1部昇格とインカレ(全日本学生選手権)優勝を達成するためにチーム一丸となって4年生が率先して引っ張っていけるように頑張っていきたいです。

F山本純平(スポ4=福岡第一)

――早慶戦への意気込みは

最後の年だったので下級生に何か残してあげられるような試合にしようと思っていました。

――試合を振り返っていかがでしたか

まだケガ明けであまり動けるかどうか分からない状況だったのですが、やはり4年生として意地を出せるように頑張りました。

――前半からお互い譲らない試合展開が続きましたが、そういったなかでチームではどのようなことを意識してプレーされていましたか

ディフェンスから速攻を出すということを徹底しようということを話していたのですが、あまりそこが出なくて苦しい試合展開になってしまいました。

――ハーフタイムではチームでどのようなことを話し合われていましたか

相手の大元くんのスリーポイントシュートがかなり入っていたのでしっかり抑えようということと、リバウンドを少し多く取られていたのでしっかりボックスアウトしてリバウンドを取ろうということを話しました。

――結果として後半は点差を開けられてしまいましたがその原因は

オフェンスリバウンドを取られて、そこから相手のシュートチャンスを多く作ってしまったということが相手のスリーポイントシュートを乗せてしまうことになったと思うのでそこだと思います。

――そこでスリーポイントシュートを決められてしまった要因は

相手の4、5番の大きい選手に拾われてしまい、そこからディフェンスを立て直す暇もなくスリーポイントシュートを打たれてしまったのでそこだと思います。

――ご自身としてはケガからの復帰戦となりましたがコンディションの方はいかがでしたか

1週間前くらいから練習に参加して、あまり練習でうまくできない感じが続いて少し焦りがあったのですが、うまく話せないです(笑)

――秋リーグに向けてどういった点を調整していかれたいですか

きょうの早慶戦でリバウンドとスリーポイントシュートを打たれることとペイント内の得点が課題として挙げられたのでそこをしっかり強化していきたいと思います。

SF澁田貴大(スポ3=東京・京北)

――今日の試合のプランはありましたか

特にはないですね。練習でできたことを出すということしかやっていないです。

――試合を振り返ってみていかがですか

前半はこちらにも勢いがあったというところで五分五分の戦いだったと思うのですが、後半になってシュートが落ち始めたりリバウンドが取られたりという細かい所で負けてしまったかなと思います。

――シュートの入らない苦しい時間帯がありましたが

シュートが入らないのは仕方の無いことなので、それは気にせず打っていこうと思ったんですが、逆にディフェンス面で我慢ができずジリジリ点差を離されていったかなと思います。

――慶大の成功率の高いスリーポイントシュートは痛手になりましたか

そうですね、すごい入っていて…。慶応はスリーポイントをポンポン打ってきて、確率も高いので注意しなければだったんですけれども、チェックが甘かったかなと思います。

――早慶戦に対する思い入れはありましたか

一昨年は勝ったのですが自分は1秒もでていなくて、去年はスタートで出させてもらい、長いプレイタイムをもらったんですが負けてしまって悔しい思いをしました。今年は絶対に勝ってやろうと皆で話していたんですけど、まあこういう結果になってしまってダメダメだったかなと思います。

――今日の結果を受けて、課題となったことはありますか

チームとしてはやはりディフェンス力が足りなかったというのがありますし、オフェンスリバウンドにも絡めていなかったかなと思います。個人的にも前半は良かったんですけど後半シュートが全然入らなくなってしまって、もっと後半に強くなれる選手になりたいなと思いました。

――次戦の意気込みをお願いします

来週から新人戦が始まるんですけども、3、4年生は関係ないので、次はリーグ戦になると思います。長いようで短い期間しか残されていないと思うので、しっかり準備していきたいなと思います。

C宮脇隼人(スポ3=京都・洛南)

――どのようなお気持ちで早慶戦を臨みましたか

ケイオーだけには負けたくないと思いました。絶対に負けてはいけない試合だと思って臨みました。

――前半は競っていた試合展開でしたがいかがですか

前半は外のシュートが結構いっぱい入っていたのですが、後半それがなくなって中のシュートもファストブレイクも出なかったので離されて、追いついたのですが追い越せなかったのかなと思います。

――勝敗の分け目となった部分はどこだとお考えですか

追いついたときに焦ってしまって、単発になった相手のシュートが入ってしまって最後の方は離されてしまったのかなと思います。

――ご自身のプレーについていかがですか

(リバウンドに)飛び込むようにはしていたのですが相手に取られた場面が多かったのかなと思います。

――前期を振り返っていかがですか

今までやってきたのはディフェンスのディナイとリバウンドで、完璧ではないのですが少しずつはできてきていると思うので継続していきたいです。でもまだ外回りの得点ばかりでセカンドロールからダイブとかで自分のゴール下での得点がないので、入らないときとか惜しくなってくると思うのでそこを練習して自分でも得点をとれるように練習して秋のリーグ戦に向けて頑張っていきたいです。

――秋に向けて意気込みをお願いします

何が何でも1部昇格です。時間があるようにみえてあまりないので、ここからの時間を大切にしてもっといいチームを作っていきたいと思います。

G石原卓(社2=東京・京北)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

出だしは結構良くて、後半相手のスリーポイントが決まりだして点差が離れてしまったときに、みんな個人個人で攻めてしまってシュートが全然入らなかったので、そこが敗因かなと思います。

――今回の早慶戦はどのような思いで臨みましたか

僕自身きょねんはプレータイムがゼロだったので、この素晴らしい会場と素晴らしい環境の中で僕だけじゃないと思うんですけど、すごい気合いを入れて臨みました。

――会場の雰囲気もいつもとは違いましたが

最初は応援団や観客の多さに圧倒されて、少し浮き足立ってたというか自分のプレーができなかったんですけど、自分は結構色んな人に応援されるというのが嫌いじゃないので、徐々に慣れていって自分のプレーができたかなと思います。

――シュートが入らない時間帯はどのようなことを意識してオフェンスに臨みましたか

ガードというポジションをやらせてもらっているので、学年とか関係せずに先輩や後輩をリードしていかなきゃいけないんですけど、そこでやっぱりキャプテンの池田さんに頼ってしまった点があって、池田さんもやっぱりエースとして自分がという気持ちがあったと思うので、試合が止まったときにみんなを集めたりしてもっと積極的に声掛けをすれば良かったかなというのが自分の反省点です。

――ディフェンスやリバウンドについては

途中相手の黒木さん(黒木亮、慶大)やトカチョフ(トカチョフ・サワ、慶大)が入ってきたときに、相手がスリーポイントシュートを打ってきたときにしっかりボックスアウトできずにその二人にオフェンスリバウンドを何回も取られてしまって、セカンドチャンスやサードチャンスを相手に与えてしまったので、もっとしっかりボックスアウトを意識して全員が落ちてくるボールに対して集中すれば、結果も変わってきたのかなと思います。きょうの試合はリバウンドがひとつカギを握っていたと思うので。

――相手のディフェンスについては

結構前から当たってきたり、スクリーンをかけてわりとハードに当たってくるので、そこで逃げずに自分たちもアタックして全員がゴールに向かえる姿勢を作るのがことしの課題なんですけど、きょうはそこで外に出してしまってスリーポイントを打つ回数が増えてしまいました。そのシュートが入らなくて、どんどん流れが悪くなったのかなと思います。

――最後に新人戦に向けて意気込みをお願いします

そうですね。早慶戦で負けたのは本当に悔しいんですけど、次に試合があるのでそこはしっかり切り替えて、僕はキャプテンではないんですけど、ガードとして2年生としてしっかりチームを引っ張っていきたいです。最近はトーナメント
でも良い結果が出せなかったので、まずは新人戦で僕らが良い結果を残せたらいいなと思っています。