伝統の一戦に敗れ、29年ぶり4連覇はならず

男子バスケットボール

 早慶の両校の意地とプライドを懸けた一戦である早慶定期戦。歴史あるこの試合がことしも開催された。ことしは例年の代々木第二体育館ではなく、慶大日吉キャンパスで行われたため、早大にとって完全アウェイな状況下での試合であった。そんなアウェイの雰囲気を打破し、早大は29年ぶりの早慶戦4連覇へ挑んだ。試合は前半から伝統の一戦にふさわしい白熱した展開となる。しかし30-31と1点ビハインド迎えた後半開始早々、慶大の連続得点で12点差まで点差を広げられてしまい、会場は慶大の歓声一色に。早大も追い上げを見せるものの、後一歩のところで追い付くことができない。最後はファウルゲームを仕掛けるが、慶大が落ち着いてフリースローを決め、試合終了。71-84で敗れ、4年ぶりに慶大に苦杯を味わう結果となった。

 慶大のシュートが決まる度に会場に大きな声援が響き渡る。そんな完全アウェイの雰囲気で行われたこの試合であったが、第1クォーター(Q)序盤、主導権を握ったのは早大だった。G池田慶次郎(社3=東京・京北)のパスからF山本純平(スポ3=福岡第一)のレイアップシュートなど池田を起点としたオフェンスでリードを奪う。しかし、慶大も連続スリーポイントシュートなどで反撃し譲らない。第1Qを15-15と同点で終えると、第2Qも試合は一進一退の展開が続く。ディフェンスリバウンドを安定して確保し、慶大にセカンドチャンスを許さない。C宮脇隼人(スポ2=京都・洛南)のインサイドの得点などで加点していくが、慶大も好調の外角のシュートで応戦する。30-31と1点ビハインドで迎えた残り5秒。逆転して前半を折り返したい早大であったが、ターンオーバーを喫し得点することができない。結局1点ビハインドのまま前半を終えることとなった。

インサイドで躍動した宮脇

 後半矢先のことだった。最初の慶大のオフェンスで失点し、さらには連続ターンオーバーと最悪の立ち上がりでスタートすると、この隙を慶大は見逃さなかった。あっという間に10点差をつけられてしまうと、慶大は、早大の起点となる池田を徹底マーク。池田も果敢に攻めようとするものの、慶大の激しいディフェンスの前に苦戦する。攻め手を欠いた早大は単発のシュートを余儀無くされ、次第にリズムを失っていく。SF澁田貴大(スポ2=東京・京北)のスリーポイントシュートなどで意地を見せ慶大に食らいつくが、それでも流れを取り戻すことができない。第4Qも流れは慶大だった。前半安定していたディフェンスリバウンドも徐々に精彩を欠き、後半は慶大にオフェンスリバウンドを許してしまう。セカンドチャンスから失点し、なかなか点差を詰めることができない。澁田が再びスリーポイントシュートを決めて点差を詰めるが、後一歩のところで慶大の背中を捉えられない。逆にオフェンスリバウンドからスリーポイントシュートを許し、一時は5点差まで詰め寄るものの、残り2分を切って10点差まで戻されてしまう。早大はここからファウルゲームを仕掛け、F新川敬太(スポ1=東京・京北)の連続スリーポイントシュートで得点するも、慶大は落ち着いてフリースローを決めていき試合終了。最後まで慶大の背中を捉えることができず、71ー84で敗戦。29年ぶりの4連覇を逃した。

この日活躍した澁田

 試合後、会場全体に『若き血』が響き渡り、慶大の選手が歓喜に沸く。それを呆然と眺める早大の選手たちの姿がそこにはあった。早慶戦4年ぶりの敗北。今シーズンここまで好調だっただけに悔やまれる一戦となった。今季課題としてきたリバウンドがこの試合でも浮き彫りに。春シーズンの最終戦となった早慶戦。これまでの課題が明確化された試合でもあった。チームの目標である1部昇格と全日本選手権制覇に向けて春に出た課題を改善していかなければならない。いざ勝負の秋へ――。試練の夏が訪れる。

(記事 東哲也、写真 宮西祐香子、渡部歩美)

第72回早慶定期戦6月7日(vs慶大)
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

15 15 15 26 71
慶大 15 16 25 18 84
◇早大スターティングメンバー◇
G#34 池田慶次郎(社3=東京・京北)
G#11 河合祥樹(スポ2=京都・洛南)
SF#36 澁田貴大(スポ2=東京・京北)
F#16 山本純平(スポ3=福岡第一)
C#38 宮脇隼人(スポ2=京都・洛南)
コメント

SF澁田貴大(スポ2=東京・京北)

――早慶戦を終えていかがでしたか

僕としても早慶戦という思い入れはありましたけど、4年生にとっては最後の早慶戦なので、点差を広げて4年生を出してあげたいという気持ちがありましたが、こういう結果になってしまいとても悔しいです。

――前半は競っていて、後半出だしで離されてしまいました

前半が終わった時にミーティングで競ってはいるけど、ワセダのペースではなくケイオーのペースだったということで、後半はワセダのペースに引きずり込もうという話があったのですが、逆にミスから速攻だったりでケイオーにペースを握られてしまったと思います。

――走ることの意識も強かったと思いますが

毎試合思っていますが、ディフェンスリバウンドが取りきれなかったのでファストブレイクも出なかったと思います。

――残り1分を切って5点差まで追い上げましたが、勝ちきれなかった原因は何ですか

追い上げムードだったときに、スリーポイントをワンチャンスで打つという感じでしたが、それを決めきれなかったのと、オフェンスリバウンドが取れなかったことが、追いつけそうで追いつけなかったところかなと思います。

――負けはしましたが、ご自身のプレーは冴えていたと思いますが、振り返っていかがですか

きょうは試合前からシュートタッチがいいという感じがあったので、積極的に狙おうかなと思っていましたが、負けたら意味ないですよね。

――チームとしてこれから改善していくべきことはありますか

ことしになってからずっと課題になっているリバウンドという面で、この試合でもだめな部分が出てしまいました。新人戦がありますが新人戦まであまり時間もないので、秋のリーグ戦までに直せればなと思います。

――新人戦の練習はこれからですか

これからすると思いますが、今のチームよりさらに小さくなるので、よりリバウンドを意識していかなくてはと思っています。

――新人戦に向けての意気込みをお願いします

きょねん悔しい思いをしているので、ことしはメンバー的にもいけるところまでいけると思っているので、ベスト4までは絶対いきたいと思います。

F山本純平(スポ3=福岡第一)

――早慶定期戦ということで特別な気持ちはありましたか

絶対負けられないという気持ちがありました。

――対戦相手である慶大の印象をお聞かせください

自分たちより身長が高くて、リバウンドと、そこから速攻が出るチームだと思いました。

――前半は接戦でしたが、振り返って

オフェンスリバウンドをあまり拾われなかったので、セカンドチャンスを与えないというところで競れていました。しかし、ハーフを過ぎてからリバウンドを拾われてセカンドチャンスを決められることが多かったです。

――この試合で見えたチームの課題は

リバウンドと、きょうは池田(慶次郎、社3=東京=京北)に対するディフェンスが強く、あまり得点ができませんでした。そのため、周りの得点力も上げる必要があると思います。

――これからどのようなところを強化していきたいですか

ケガをしないようにフィジカル面を鍛えていこうと思います。