【野球】「2戦24得点」の強力打線と激突 賜杯奪還へ早くも山場/法大戦展望

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 東大相手に2勝1敗で勝ち点を獲得した早大。初戦を完封勝利で飾ったものの、2、3戦目ではリードを奪われる苦しい展開が続き、チャンスの場面での決定力に欠けた攻撃陣には課題が残った。対する法大は、立大相手に2連勝。2戦合計で24得点と圧倒的な攻撃力を見せつけた。課題であった投手陣も粘りを見せ、ゲームを通して1度もリードを奪われることはなかった。攻守に明暗分かれた2チームの対戦となるリーグ戦第3週のマッチアップ。早大にとって、賜杯奪還に向けた一つの山場となる。

堅守の中村 一発にも警戒

 法大の野手陣は押しも押されもせぬタレント軍団だ。昨季リーグ戦で4本塁打を放つ衝撃的なデビューをした怪童・井上和輝(2年)を筆頭に、リーグ記録に迫るシーズン27安打を放った主将・藤森康淳(4年)や1年時に首位打者を獲得した熊谷陸(3年)などそうそうたる面々が打線にずらりと並ぶが、私はキーマンとして中村騎士(3年)を挙げたい。中村はレギュラー二塁手として堅実な守備や犠打で貢献する選手だが、実は長打もある怖いバッターだ。打率こそ高くはないが、しっかりと強い打球を放てるのが特徴。また、これまでの通算成績を見ると三振は多いものの選球眼は悪くなく、打率に対して出塁率が1割ほど高い。下位打線に潜むこの強打者には油断が命取りだ。

昨季は法大の強力打線に捕まった宮城

投手陣は新戦力が台頭

 投手陣を課題とする法大は、昨年の主力投手が卒業し、経験ある投手が少ない中で臨む今季となった。その中で、エース候補として目されているのは山床志郎(4年)。昨季は開幕投手を務め、その後も様々な場面で登板した。ししかし対左打者に対してはまずまず抑え込んでいるものの、右打者への被打率が極端に悪い。右打者の活躍が山床攻略のカギとなるだろう。

 他にも、リーグ戦での登板経験がある小森勇凛(3年)や助川太志(4年)らの起用も考えられる。開幕戦では助川が先発し、立大相手に試合をつくった。対早大の防御率は16点台と苦しんでいるが、早大新チーム相手にどのようなピッチングをしてくるか注目だ。

 また新戦力の投手にも注目だ。2戦目でリーグ戦初登板初先発を果たした菅井颯(3年)は、4回無失点を記録するなど今勢いのある左腕。また、チームでの評判著しく先日神宮デビューを飾った櫻田朔(2年)など、その他ブレイク候補も多く控えている。

継投策に対する小宮山監督の代打起用も注目だ

早大は“精密機械”を中心に充実の先発陣

 1番手は開幕戦、リーグ戦初先発で六大学リーグ13年ぶりの“準”完全試合を成し遂げた香西一希主将(スポ4=福岡・九州国際大付)が有力か。昨季は怪我の影響で思うような投球ができなかったが、主将として臨んだ今季は最高のスタートを切った。香西主将の武器はなんといってもコントロール。球速こそ130㌔台が中盤だが、コースに投げ分けられた直球と変化球とのコンビネーションで相手に的を絞らせない。通算での防御率、被打率、四球率など数々の指標で素晴らしい数字が並ぶ好投手だ。また技巧派というイメージが先行されるが、奪三振能力も香西主将の大きな武器だ。これまで登板したリーグ戦の全シーズンでは投げたイニング数以上の三振を奪っている。数々の打者を手玉に取ってきた芸術的な投球術に注目だ。

東大1回戦で被安打1の無四球完封勝利を達成した香西

 2番手には宮城誇南(スポ4=埼玉・浦和学院)や髙橋煌稀(スポ3=宮城・仙台育英)が候補として挙げられる。宮城は昨季の不振はあったものの、昨季大学日本代表に3年生ながら選出された、実績十分のピッチャーだ。本人も「自分の中でターニングポイントになった」と語る、昨季黒星を喫した法大3回戦の雪辱を果たしたい。

 髙橋煌はデビューから好成績を残した昨季、制球力と質の高い直球や変化球でゴロと三振の山を築き、大器の片鱗を見せた。K-BB%(奪三振率と与四球率の差)では20%を超え、これはエース級の数値だ。今季は開幕2戦目でリリーフ登板し、4回を無失点に抑えた。コンディションは万全ではなかったものの、それでも最速151キロを記録した快速球は圧巻だ。早大の未来を背負う右腕が、今年も神宮を大いに沸かせてくれるはずだ。

3年生コンビ好調の打線

 東大3連戦でひときわ大きな存在感を見せたのが髙橋海翔(スポ3=山梨学院)だった。昨年は神宮デビューを飾るも、高いレベルへの適応に苦しみリーグ戦ではノーヒットに終わっていた。しかし今季、開幕戦で放ったリーグ戦初ヒットはなんとホームラン。柔と剛を兼ね備えたバッティングは、元気のない打線にとって頼もしい存在だ。一塁手へのコンバートを経ての今季は本格的なブレイクを目指す。

得点圏で打順が回ることが多い髙橋海は打線のキーマンだ

 また開幕戦といえば、尾形樹人(スポ3=宮城・仙台育英)の活躍に触れないわけにはいかないだろう。印出太一(令7スポ卒=現三菱重工East)、吉田瑞樹(令8スポ卒=現明治安田)と早大の正捕手は強打の選手が続いており、尾形にはディフェンス面だけではなくオフェンス面での活躍も期待されている。『優勝するチームには名捕手あり』という言葉もあるとおり、今後のリーグ戦においてもその存在はより大きなものになるだろう。

 ルーキーたちの活躍にも目が離せない。小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)から「秘密兵器」として指名され、いきなりバックスクリーンへの本塁打を放った次世代捕手の川尻結大(スポ1=宮城・仙台育英)と、黄金ルーキー・阿部葉太(スポ1=神奈川・横浜)などにも注目だ。阿部は肉離れで出遅れたものの開幕からスタメンで出場。現在はプレッシャーもかかる中、その打棒は鳴りを潜めている。だがその潜在能力は誰もが認めるところであり、期待もそれだけに大きい。阿部には1番センターという、小宮山監督の起用に応えるような活躍をしてもらいたい。

東大3回戦で3打数3安打の活躍を見せた川尻

 法大は主将の松下歩叶(現ヤクルト)が抜けたものの、多くの主力打者は今年も打線に名を連ね、打線は昨年と同等かそれ以上の陣容を揃えている。昨年、4年生中心のチームで戦いながら法大に敗れた早大は、現状維持では法大を上回ることはできないからこそ、新戦力の台頭が必要だ。幸い、昨週の東大戦では髙橋海や尾形そして川尻といった選手が躍動した。順風満帆とは言えずとも、東大3連戦をしっかりと勝ち切った香西主将新体制。「どん底」からの大逆襲劇はまだ始まったばかりだ。

(記事、竹田朋矢)