【野球】一球入魂で臨め 六大学100年の大トリ、いざ早慶戦/慶大戦展望

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 100年目の東京六大学野球も、残すカードはたった1つとなった。伝統の一戦が、すぐ目の前に迫っている。東京六大学野球連盟の発足は応援団や一般生徒の対立激化に伴い中止されていた早慶戦が復活した1925年秋季リーグ戦にさかのぼる。東京六大学とは、早慶戦抜きにはありえない連盟であり、早慶戦の歴史を無視してその歴史を語ることは出来ない。それほどまでに重要な一戦であり、だからこそ、両校にとって絶対に負けられない一戦である。

エースの最終登板 魂の投球を

 早大の第一先発は、伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)をおいて他にいない。今季は自己ワーストの防御率3.95を記録するなど、絶不調に陥っている大エースだが、最後の早慶戦に向けては、「一球入魂で投げ抜きたい」と、意気込みは十分。早大の「11」は、エースの象徴。再び「11」の価値を高めた伊藤樹の最終登板を見逃すな。

伊藤樹

 第二先発では、髙橋煌稀(スポ2=宮城・仙台育英)の起用が濃厚だ。伊藤樹の後を追うように仙台育英高から早大に入学した大器は、今季ついに本格化。防御率はリーグ3位の2.35と、抜群の安定感を発揮している。今季奪った三振25に対して、四球はわずかに5。支配的な投球を続ける若武者が、慶大打線を封殺する。

 ブルペンで注目は、やはり田和廉(教4=東京・早実)だろう。4年間の対慶大通算成績は、防御率0.00。圧倒的なボールの威力を誇る剛腕が控える9回に早大リードで試合が突入すれば、大勢が決したと言っても過言ではない。他にも、今季負傷から復帰を果たし、3回と2/3を投げて7奪三振を記録している香西一希(スポ3=福岡・九州国際大付)にも注目だ。

田和

 対する慶大は、今季も外丸東眞(4年)と渡辺和大(3年)が投手陣の中心。今季、共に防御率4点台に沈む両投手だが、過去の早慶戦では、何度も早大の前に立ちはだかってきた。外丸は23年春季リーグ戦早慶3回戦で9回完封劇を完成させており、渡辺和も昨秋早慶1回戦で9回を投げて被安打4の圧巻の投球を披露。さらに、翌日2回戦でも9回に登板し、慶大の早慶戦2連勝の立役者となった。調子をつかめば手が付けられない投球を見せる両投手だけに、早大打線としては序盤に叩きたいところだろう。

打線は記録に残る活躍を見せられるか

 序盤攻略のキーマンとなるのは、尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)。ここまで通算98安打を積み重ねてきた稀代のバットマンだが、今季はここまで打率2割1分1厘の大不振。宿敵打破に向けて、尾瀬の復調は欠かせない。早大では上本博紀氏(平21スポ卒)以来となる通算100安打を達成するとともに、チームを勝利へと導く活躍を期待したい。

尾瀬

 また、今季は石郷岡大成(社4=東京・早実)の打棒が活発。リーグトップとなる打率4割6分7厘を記録し、早法2回戦ではリーグ戦初本塁打も飛び出した。石郷岡は卒業後、一般企業に就職予定。人生最後のダイヤモンドを、思う存分駆け回る。今季好調の吉田瑞樹副将(スポ4=埼玉・浦和学院)は、早慶戦では4番起用の可能性も。守備でも巧みなリードで投手陣を引っ張る活躍に期待大だ。

 対する慶大打線で注目は、4番に座る常松広太郎(4年)。パワフルな打撃に今季は確実性も加わり、打率はキャリアハイの3割3分3厘を記録している。本塁打は1にとどまっているものの、甘く入れば一撃でスタンドに運ぶだけのパワーを有しており、油断は許されない。また、今季は打率リーグ最下位に沈む今津慶介(3年)も慶立3回戦で本塁打を放つなど復調の兆しを見せている。1度打ち出すと止まらない打線だけに、早大投手陣には先頭打者を丁寧に打ち取っていくことが求められる。

 六大学100年の大トリを飾る早慶戦。伝統的な9人での野球も、このカードで見納めだ。来春以降、六大学は新しい時代に突入する。1903年に初めて行われた早慶戦では、慶大が11―9で早大に勝利。それ以来両校が積み重ねてきた勝ち星は、早大245勝、慶大202勝である。この1世紀、早大の先人たちは、血のにじむ思いで慶大相手に勝利を積み重ね、初の早慶戦で慶大に敗れた恥辱をそそいできた。100年の節目となる早慶戦で、慶大に敗れることなどあってはならない。完膚なきまでに慶大を圧倒し、100年の覇者が早稲田であることを知らしめよう。

(記事 林田怜空)

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