東大とのカードを何とか2連勝で制し、勝ち点獲得に成功した早大。次なる相手は立大。春のリーグ戦で早大が唯一勝ち点を落とした相手だ。立大も法大から勝ち点を獲得して勢いをつけており、3回戦までもつれる可能性が高い。激戦が予想されるが、早大は粘り強く戦い、秋こそ勝ち点を奪取したい。
立大は小林が3試合2本塁打と好調
立大の強さはやはり打線にある。春は早大に次ぐリーグ2位のチーム打率で、長打力とつながりを併せ持つ。その中でも最も警戒すべきはリードオフマンの山形球道(4年)だ。春は打率4割4分4厘、5本塁打、17打点で三冠王を受賞し、現在六大学野球でも屈指のバッターといえるだろう。法大戦ではヒット1本にとどまり、持ち前の打棒を十分に発揮する場面は少なかった。だが油断は禁物で一発や勝負どころの一打に注意が必要だ。
小林隼翔(2年)は法大戦を終えて打率は5割、3回戦では決勝打となる本塁打を打ち、立大打線の中で今最も勢いのある打者だ。丸山一喜(3年)は春の早立3回戦で宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)から逆転サヨナラホームランを放ち、早大にとっては忘れられない一発を記録している。
他にも鈴木唯斗(4年)や村本勇海(2年)など春に3割台を残した実力者が並んでいる。立大打線は一発のある打者がそろうだけに、ランナーをためた状態での長打は致命傷となる。投手陣には、先頭打者をしっかり抑え、無駄な四球を与えない丁寧な投球が求められる。
早大は宮城、髙橋煌の第2先発争い続く
そんな立大打線に対する早大の第1先発はエース・伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)が予想される。東大1回戦では立ち上がりに2失点したものの、尻上がりに調子を上げ、8回4安打3失点と先発としての役割を十分に果たした。経験を重ねたエースの試合運びには落ち着きが見えてきた印象だ。

第2先発は髙橋煌稀(スポ2=宮城・仙台育英)と宮城が争う形か。髙橋煌はリーグ戦初先発となった東大1回戦で、5回無四死球6奪三振と好投した。一方宮城は、春の立大2回戦でわずか5安打と完封勝利を挙げ、この試合を機に春の第二先発としてその座を確かなものにした。その相性は証明済みである。どちらが登板するのか、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦柏工大柏)の采配に要注目だ。
リリーフ陣は田和廉(教4=東京・早実)や安田虎汰郎(スポ2=東京・日大三)ら経験豊富な投手が中心だ。田和は東大戦での連投でも結果を残し、安田は東大2回戦で8回に救援し三者凡退に抑えるなど安定感がある。

エース・小畠の登板はあるか
対する立大の投手陣のエースは小畠一心。春に安定した投球を見せた右腕には早大打線も苦しんだ。しかしその小畠は法大戦でコンディション不良のため登板せず。代わりに1回戦と3回戦を任されたのは竹中勇登(4年)だ。竹中は3回戦で何度もピンチを迎えながらも8回無失点と粘り強さを示した。
救援では斎藤蓉(3年)や吉野蓮(4年)が勝ちパターンとして予想される。終盤の継投で試合を締める力は侮れない。小畠の復帰の可否が、立大の投手編成に与える影響は大きく、先発陣の厚みが戻れば継投の選択肢も増えるだろう。
前田健、吉田瑞の早大副将コンビに注目
早大打線は前田建伸副将(商4=大阪桐蔭)に注目だ。夏のオープン戦で好調の波に乗り、そのまま臨んだ東大戦でも6打数5安打1本塁打と鮮烈な活躍を見せた。さらに吉田瑞樹副将(スポ4=埼玉・浦和学院)も東大2回戦で2点本塁打を放つなど、扇の要は打撃も好調だ。ここぞの場面での一打に期待したい。

また、春はチーム合計30盗塁を記録した早大の機動力も大きな武器だ。東大戦でもすでに4つの盗塁を記録している。立大戦でも足の速い尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)、渋谷泰生(スポ4=静岡)、石郷岡大成(社4=東京・早実)らを中心に試合の流れを早大に作りたい。序盤から積極的に仕掛けることで相手にプレッシャーを与えられるはずだ。
春の雪辱を果たすには、投打のかみ合った試合運びが不可欠だ。立大との戦いを制し、秋のリーグ戦を勢いづける一歩としたい。春の王者としての誇りを胸に、秋の勢いを確実にするための立大戦が始まる。
(記事 松田琳香)