優勝決定戦に進むには2連勝が絶対となった早大。昨秋は完全優勝手前で慶大に2連敗を喫した苦い記憶が残る。慶大は12試合を消化し、チーム打率2割6分4厘、防御率3.78と攻守において早大に劣る数字だが、早慶戦での彼らの底力は計り知れないことは誰しもが知るところだ。意地のぶつかり合いへ、万全の準備で備える。
早い段階での先発攻略がカギ。慶大リリーフは大半が右投手か
1回戦の先発として予想されるのは外丸東眞主将(4年)。昨秋は本来とはかけ離れた姿であったが、立大1回戦では9回1失点の好投を見せるなど、やはり巧みな投球術は健在。リーグ戦通算18勝の右腕が早大打線の前に立ちはだかる。
2回戦の先発は昨秋の早慶1回戦で9回1失点完投勝利の渡辺和大(3年)が予想される。東大1回戦では完封を記録するなど、150㌔に迫る直球とスライダーを武器に昨秋同様の活躍を見せていたが、リーグ戦終盤は失速。防御率は4.94と振るわない。しかし、25日のオープン戦では3回をパーフェクトに抑える好投を見せたこともあり、本来の調子を取り戻したとなると攻略に手を焼きそうだ。
リリーフ陣の注目は水野敬太(2年)。今季リーグ戦デビューを果たすと、5試合に登板し防御率1.50という成績を残し、荒井駿也(4年)、広池浩成(3年)を欠くブルペンを支える投手に。同じく今季リーグ戦デビューの田上遼平(3年)、入江祥太(1年)は少ない登板機会の中で素材の良さを見せつけた。最高学年となった小川琳太郎(4年)、木暮瞬哉(4年)の両投手はここまで実力を発揮できていないが、重要な場面での起用が予想される。他にも沖村要(3年)や竹内丈(3年)などの経験十分な投手もカギを握るだろう。
打ち出すと止まらない打線に要警戒
本塁打数リーグトップタイの14本を誇る慶大打線。先頭を打つ今津慶介(3年)は打率3割後半、本塁打3本とブレイク。主に外野を守るが、早慶戦では二塁を守る可能性も。その今津と1、2番コンビを務める小原大和(3年)は打率3割7分5厘の好成績を残している。
さらに、この強力な2人の後ろに構えているのが超重量級クリーンアップである。神宮に帰還した外野手・常松広太郎(4年)は規格外のパワーを武器に本塁打3本を記録。副将の今泉将(4年)は打率2割台前半と振るわないものの、本塁打2本、7打点とチームに貢献。そして力強いスイングが魅力の中塚遥翔(2年)は明大2回戦延長12回に適時三塁打を放つなど要所での活躍が光る。
下位打線では初本塁打を放った林純司(2年)に注目。昨年から出場を続ける2年生内野手は打率3割5分1厘と覚醒している。また、投手陣を引っ張る渡辺憩(2年)を筆頭に、福井直睦(2年)、八木陽(2年)、丸田湊斗(2年)ら『塾高甲子園組』は球場の雰囲気を変える力を持っている。その他にも森村輝(4年)、吉野太陽(3年)、横地広太(3年)、吉田雄亮(3年)など実力ある選手が控える慶大。堀井哲也監督がどのような采配をしていくのか、目が離せない。
連勝に両先発の好投は絶対条件
明大2回戦でノーヒットノーランを達成した伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)が1回戦の先発として予想される。立大3回戦での3回7失点など、不調かと思われていた右腕がここに来て状態を上げて来た。外丸と同じくリーグ戦通算18勝の伊藤樹。昨秋の慶大1回戦は7回5失点敗戦投手という内容だっただけにリベンジを誓う。

2回戦の先発として予想されるのは宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)。立大2回戦で初完封勝利の左腕はリーグ2位の防御率2.25を記録。昨年から球速アップに成功した直球と変化球を織り混ぜた緩急を武器に可能な限り長いイニングを投げ、早慶戦初勝利を狙う。
救援陣にまだ不安が残る早大だが、大舞台の経験が豊富な投手が揃う。田和廉(教4=東京・早実)、安田虎汰郎(スポ2=東京・日大三)の実力は折り紙つき。サウスポーを欠くブルペン事情だが、池淳史(文2=東京・早実)、佐宗翼(スポ1=石川・星稜)の両左腕の登板があるかどうか。

豊富な対戦経験生かし攻略へ
早大打線は1番・尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)から流れを作り、得点を狙う。2番には外野手の石郷岡大成(社4=東京・早実)が入ることが多いが、戦列を離れている内野手・渋谷泰生(スポ4=静岡)が復帰なるか。出場5試合で打率4割超え、6打点の渋谷が復帰すれば打線により一層厚みが増す。

小澤周平主将(スポ4=群馬・健大高崎)、寺尾拳聖(人3=長野・佐久長聖)、前田健伸副将(商4=大阪桐蔭)の3人からなるクリーンアップは慶大打線に劣らずの破壊力である。小澤主将は今季攻守にわたってチームをけん引する活躍を見せている。寺尾は明大2回戦ではサヨナラ打を放つなど、早大の4番打者として期待に応えつづけている。一方で、今季不調に悩んだ前田健副将であったが、明大3回戦では復調の兆しとなる猛打賞。大舞台で暴れる準備はできている。
リーグ戦初本塁打を含む2本の本塁打を放っている田村康介(商4=東京・早大学院)や、明大3回戦で決勝点の本塁打を放った吉田瑞樹(スポ4=埼玉・浦和学院)など実力ある打者がそろう早大打線。早い段階で相手先発をマウンドから降ろし、試合の流れを手繰り寄せたい。

早慶戦での2連勝で優勝決定戦が待っている早大。目の前の一戦一戦を全力で戦うと必ず結果はついてくるだろう。まず宿敵相手に2連勝へ。満員の明治神宮野球場に『早稲田の栄光』は必ず響く。
(記事 土橋俊介)