東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)は第4週を迎える。ここまでの2カードでは東大と法大を下し、勝ち点2を獲得している早大。連続週での開催となる3カード目は、強力打線を誇る立大が相手だ。昨年は春、秋いずれも3回戦までもつれたこの戦い。今年もさらなる激戦が予想されるが、粘り強い戦いで3つ目の勝ち点を獲得したい。
固まりつつある立大の先発陣
立大の脅威となるのはやはりエースの小畠一心(4年)だろう。慶大との1回戦では9回と2/3を投げて1失点の熱投。続く登板も好投を続け、3試合の先発で防御率1.31を誇る。しかし他のエース格に比べると、被安打と与四死球はやや多い印象。チャンスでの一打が小畠攻略の肝となるだろう。
2回戦の先発は田中優飛(2年)が有力だ。今季初先発となった法大2回戦では6回を投げ、被安打1で無失点の完璧なピッチング。ここまで小畠に次ぐ先発2枚目に課題を抱えていたが、田中が第二先発に定着すると立大にとって大きなプラス要素となる。
一方、救援陣はここまで苦戦が続いている。ブルペンの柱として期待された吉野蓮(4年)や、慶大2回戦の先発を務めた竹中勇登(4年)、昨春の早大戦で好投を見せた大越怜(4年)はいずれも防御率が10点を超える低調ぶり。これからの戦いに向けては中継ぎの立て直しが急務であり、早大からすれば終盤にチャンスがあると言えるだろう。
打率3割超の強力打線で打ち崩せるか
対する早大はここまで打線が好調であり、チーム打率はリーグトップの3割2分0厘をマーク。中でも4番の寺尾拳聖(人3=長野・佐久長聖)はここまで打率5割を超える打棒を誇り、法大3回戦では待望のリーグ戦本塁打を放った。早大の新たな4番がその称号に恥じない活躍をここまで見せている。
不調が続いていた小澤周平主将(スポ4=群馬・健大高崎)も法大戦から「魚雷バット」を使用すると、今季初本塁打を放つなど3戦5安打と復調傾向。打率4割台の渋谷泰生(スポ4=静岡)や不動のリードオフマン・尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)と共に、破壊力抜群の上位打線を構成する。

また、早大は投手陣の打撃が好調だ。投手はここまでの全打席合計で9打数5安打を記録しており、出塁率は脅威の6割6分7厘。中でも宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)は、リーグ戦4打席全てで出塁中だ。東京六大学野球連盟では来年から指名打者制が導入され、投手の打席は絶滅危惧種となるだろう。強力上位打線につなぐ「恐怖の9番打者」の残り少ない活躍を目に焼き付けてほしい。
早大リリーフ陣は安定感を取り戻したい
早大の1回戦の先発はもちろん伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)だろう。昨年の立大戦では登板した全4試合でチームを勝利に導いた。今年も圧巻の投球を見せてる右腕は、ここまでは3試合の先発で3勝を挙げ、防御率は1.42を記録している。前回登板の法大3回戦は四球の多い苦しいピッチングであったが、要所でのギアチェンジはまさにエースのたたずまい。早大の絶対的エースが今年も立大打線の前に立ちふさがる。

2戦目の先発は宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)と田和廉(教4=東京・早実)が争う状況。法大2回戦で先発した宮城は6回2失点で試合を作ったものの、2回を除いて毎回ランナーを出す苦しいピッチングが続いた。対する田和は法大戦でリリーフ登板。しかし2回戦では9回にダメ押しの本塁打を浴びており、本来の支配的投球は影を潜めている。強力な投手陣を有するだけに、第二先発をこのカードから安定させたいところだ。
救援陣は先発候補の田和とともに、越井颯一郎(スポ3=千葉・木更津総合)、香西一希(スポ3=福岡・九州国際大付)が勝利の方程式を結成している。法大2回戦は総じて乱調となったが、本来の力は一級品。ここまで2試合に登板して無失点の安田虎汰郎(スポ2=東京・日大三)を加えたブルペン陣が、終盤の立大打線をどこまで抑え込めるかが勝利のカギとなるだろう。

強力打者そろう立大
六大学屈指の強力打線を誇る立大打線だが、最も警戒すべきはリードオフマンの山形球道(4年)だ。ここまでの試合では打率5割ちょうど、2本塁打を記録する絶好調。このカードは初回先頭打者から試合の山場を迎えることになりそうだ。他にも丸山一喜(3年)、村本勇海(2年)、小林隼翔(2年)の3名が打率を3割台に乗せており、警戒すべき打者がそろっている。昨秋伊藤樹から2本塁打を放った桑垣秀野(4年)と、出塁率4割を記録した鈴木唯斗(4年)こそ不調が続いているが、今季までの実績は十分。復調のきっかけを与えないピッチングで、4番の西川侑志(4年)や山形の前にランナーを出さない展開にしたい。
リーグ戦の折り返しとなる立大戦。ここまで絶好調とは言えないチーム状態が続いているだけに、ここは連勝での勝ち点が欲しいところだ。「連勝して明大戦を迎えられたら最高」(伊藤樹)。頂上決戦を前に、ここでつまづくわけにはいかない。
(記事 石澤直幸)