第3回には、昨季躍動した印出太一(スポ2=愛知・中京大中京)、山縣秀(商2=東京・早大学院)、吉納翼(スポ2=愛知・東邦)の2年生トリオが登場。今後の早大をけん引するであろう3選手だが、来季から上級生となるにあたりそれぞれ新たな意識が芽生えたようだ。本対談では野球に限らず、野球を始めた経緯やキャラの濃い部員のことまで幅広くお話を伺った。
※この取材は12月10日に行われたものです。
他己紹介をしてください!
――最初に、お互いの他己紹介をお願いします
吉納 印出太一です。平成14年5月15日生まれ、愛知県・中京大中京出身で、実家の最寄り駅は……〇〇です。
印出 めっちゃ知っとるやん、こわ(笑)。
吉納 彼は昨季ベストナインを取って、六大学野球界に名をとどろかせた男です。体を見ても分かる通り背も高いですし、非常にご飯を毎回多く食べています。それから出るパワーある打撃など、今後彼が六大学ナンバーワン捕手になることは間違い無いと思っています。
印出 山縣は見ての通りチームの中でも守備職人というか、リーグ戦でもいろんな守備機会で活躍していた面が多々あったと思います。守備でレギュラーの座を取ったといっても過言ではないですし、早稲田の忍者的存在です。あとはよく笑っている印象が、いや笑っているというかヘラヘラしているイメージが…。
山縣 (笑)。
印出 私生活に関しては、まだ(山縣が)寮に入ってきて数日なので詳しくは分かりませんが…。食堂で見ている感じ、食事の量は足りていないなと感じますね(笑)。
山縣 吉納はこの秋打率2位で、すごくバッティングに力がある選手だと思います。でもそれだけじゃなくて、守備でも相手の進塁を防ぐようなうらやましいほどの強肩を持っています。あとは、食堂でよく辛子明太子とかいくらとかそういう魚卵系を食べているので、魚卵が好きなのかなと思いますね。
――そうなのでしょうか
吉納 はい!(即答)
一同 (笑)。
――新チームの森田朝陽主将(社3=富山・高岡商)と熊田任洋副将(スポ3=愛知・東邦)は、それぞれどのような方でしょうか
吉納 森田さんから言うと、比較的プレーのことではなくて練習に対する姿勢であったり、早稲田の野球部の一員としてあるべき行動を取ったりという面でチームをつくり上げていく感じの方です。自分は同じ外野手で一緒の練習が多いんですけど、一球一球に対して真剣に取り組んでいて、そういう姿勢は自分もすごく刺激をもらって、「負けていられないな」という気持ちにさせてくれます。熊田さんは副キャプテンでもあり、ゲームキャプテンという役割にも就いたんですけど、1年生からショートのレギュラーとしてここまで3年間やってきて、一つ上の代で一番試合を経験していると思います。すごく勉強になるところがありますし、自分としては次で7年目の付き合いになる高校の先輩でもあるので、非常に頼りにさせてもらっています。
――来年で7年目の付き合いということですが、高校時代から熊田選手のイメージは変わりませんか
吉納 意外に趣味がいろいろ合うなというのは、大学に入ってから知りました。自分も熊田さんも、K-POPを聴いたり韓国ドラマをNetflixで見たりしているので、その話をよくしてますね。
印出 森田さんは引っ張る力があるというか、熱さみたいものが伝わってきますし、リーグ戦でも森田さんの声はスタンドにも聞こえていたと思います。そういうチームに対する愛というか熱いハートを持っていて、キャプテンとしての責任感がある方です。尊敬できる先輩なので何とか勝たせたいですし、そのために頑張りたいというのは後輩もみんな感じていると思います。熊田さんはゲームリーダーとして、技術の面や練習内容に積極的に関与されていますが、背中というかプレーで引っ張っていく方だと思います。2人でいいバランスが取れているなと思いますね。
山縣 森田さんは、とにかく周りを巻き込む力があるように思います。練習後も一人でティー打撃など自主練をすごくしていて、練習でも試合でも一球一球をすごく大事にしているなと感じます。熊田さんは厳しいところもあるんですけど、自分が質問したことに対してすぐに答えてくれますし、そういうところで熊田さんなりの優しさを感じますね。
――次に野球を始めた年齢ときっかけを教えてください
吉納 野球を始めたのは3歳のときです。父親が野球をしていたこともあってテレビで野球を付けていたときに、自分がそのタイミングですごくテレビの前に行っていたから、「野球が好きなんだ」と思われたというのは聞いたことがあります。なので、生まれた時から野球の血が流れていたんじゃないかなと思いますね。
印出 僕は小学2年生のときで、7歳とか8歳くらいです。父親がサッカー経験者だったので昔はサッカーをやっていたんですけど、「つまんないから辞める」って言って辞めました。自分にとってサッカーは、みんながやっていたから始めたみたいなところがあって、そんなにサッカー熱はなかったと思います。あるときに「だるいな」となって辞めたんですが、元々スポーツは好きだったので次に何をやろうかを考えていた時に、体が大きかったこともあってか友達から「野球やろうよ」と誘われたんですよね。半分勧誘みたいな感じで始めたんですが、そこからどハマりして熱心に野球をやるようになり、ここまで来ちゃったみたいな感じです(笑)。
山縣 自分が野球を始めたのは、4歳の1月です。姉の友達が入っていたリトルに誘われたのがきっかけなんですけど、母親がすごく野球をやらせたかったらしくて、「行ってみたら?」って言われて行ったら、「帰りたくない!」ってなったみたいで(笑)。そこで野球にハマって、ずっと続けている感じです。でも小3の時に、周りがみんなサッカーなのに自分だけ野球をやっていて、そのときに「サッカーとどっちもやりたいな」という欲がありました。そして親にそれを伝えたときに、「どちらか一つを選ぶならどちらか」という話になったんですけど、「それなら野球だな」って思って、そのまま野球を続けました。
――みなさんは、ポジションは昔から変わっていないでしょうか
吉納 最初は多分キャッチャーをやっていて、自分は同じく野球をしていた2個上のお兄ちゃんがいるんですが、その代ではファーストとか、とにかく全部やらされてましたね。
印出 僕はちょいちょい、いろんなところをかじったことはあるんですけど、基本的には小さい頃からずっとキャッチャーやっていました。小学生って、キャッチャーをやってピッチャーをやってとかいろんなポジションを守ることが多いですし、高校の頃もファーストやサードを守りましたが、基本的にはずっとキャッチャーですね。
山縣 小学生のときはずっとピッチャーをやっていて、ピッチャーを降りる時にショートをやっていました。中学校に入ってからショートになって、それ以降ショートをやっています。
――現在、「やっぱりピッチャーが良かったな」と思うことはありませんか
山縣 ないですね、全然思わないです(笑)。
――ここからは秋季リーグ戦の話に移ります。チームとしては2位という成績でしたが、振り返ってみてどう捉えていますか
吉納 2位というのは、とにかく悔しいシーズンでしたね。
印出 春5位という結果を踏まえ、下克上をする気持ちで夏のキャンプで試行錯誤した末に2位まで上がったという捉え方もできれば、2年連続秋季リーグ2位で勝ち切れないチームとも捉えられると思います。わずかな勝率の差ですがこの差は大きいですし、やはり六大学(東京六大学リーグ戦)の試合で勝つのは簡単なことではないなと思いました。蛭間さん(蛭間拓哉、スポ4=埼玉・浦和学院)や中川さん(中川卓也、スポ4=大阪桐蔭)をはじめ、卒業する4年生には申し訳ない気持ちがありますが、下級生がたくさん試合に出させてもらって経験を積むことができたので、この2位という結果が報われるようにこの冬頑張りたいです。
山縣 自分は彼ら(印出、吉納)とは違って春に全然試合に出ておらず、個人的にもチームの成績的にもとても悔しかったです。夏に頑張って秋季リーグを迎えたのですが、あと一歩届かなかったということで、1勝の重さをすごく感じました。昨年の秋も、慶応に1点勝っていれば優勝できたところを勝ちきれなかったので、1点、1球の重みをすごく感じたシーズンでした。
――今年の秋季リーグ戦で、一番印象に残っている試合はどの試合ですか
吉納 早慶戦の1戦目、松木さん(松木大芽、スポ4=石川・金沢泉丘)が最後決めてくれた試合(1点ビハインドで迎えた9回二死満塁から、松木がサヨナラ2点適時打)です。松木さんは今年で野球人生が終わる中で、あの場面でアウトだったかヒットだったかで2試合目の結果も変わったと思います。2位という結果にはなりましたが、あれだけスタンドの人もベンチの人もみんなが喜んでいたという感動は、忘れられないですね。
印出 早慶戦の2戦目です。自分たちが4年生とできる最後の試合と分かっていて、何とか4年生をいいかたちで卒業させてあげたい気持ちと、去年慶応の胴上げを目の前で見させられたので、絶対に阻止してやるという気持ちをチーム全員が持って臨んだ試合でした。初回から打線がつながって勝てましたが、野球を終える4年生を見ていて感じるものは多くありました。「もっとやらなければならない」と思った試合でしたし、試合後に4年生と話して、「優勝させてあげられなかった」という思いがありました。打ち合いの試合でしたが感覚的にはあっという間に終わったなという感じで、「早慶戦っていいな」と思いました。とにかく最上級生の強い思いを感じたので、もっと強くならないといけないとなった試合でしたね。
山縣 早慶戦の1戦目です。最初に先制した後に追いつかれて、逆転されてもまた最後に逆転して勝った試合でしたが、逆転されたときに誰一人として諦めていなくて、「この試合取るぞ」という雰囲気がずっとあったと感じます。「絶対に勝てる」と思って試合に臨んで、逆転されても「まだ勝てる」と思っていた試合は個人的に初めてだったので、見えない力みたいなものを感じた、印象に残る試合でしたね。
――試合の日のルーティンがあれば教えてください
吉納 試合の日はコーヒーを飲みます。そして、バスの移動では隣が松木さんなので、緊張している松木さんをいじったりしながらしゃべった後、西武新宿駅を過ぎたあたりから、ゾーンに入るために好きな音楽を聴いてテンション上げています。
――何の音楽を聴かれていますか
吉納 BIGBANGの『FANTASTIC BABY』とかを聴いていて、サビの部分では一人で盛り上がっていますね(笑)。
印出 自分は、試合の移動中に必ずカルピスを飲んでいます。あとは球場に着いて外でアップしているときは、必ずTWICEの曲を聴いています。
山縣 僕は尾瀬(尾瀬雄大、スポ1=東京・帝京)が決めた飲み物を飲んでいます。バスの移動中は片耳イヤホンをしていて、荻窪を過ぎたあたりから少し寝て、目が覚めたら集中するようにしています。
――勝率の高かった飲み物はありますか
山縣 カルピスとカフェラテの勝率が高かったですね。
印出 やっぱカルピスなんや。
――そもそも、印出選手はどうしてカルピスなのでしょうか
印出 2位だった去年の秋に、いろんな飲み物を飲んだ中でカルピスがすごく勝てたんですよ(笑)。そのときに、当時3年生の松木さんと自分がバスの座席が隣で一緒にいたんですけど、二人でバスの座席どっちに座るかとかいろんなジンクスみたいなものにこだわっていて。その中でも「カルピス結構勝てるな」と自分は思っていたので、カルピスで統一しています。
――大学に入学してから約2年が経ちましたが、その間に「特にここが伸びたな」と感じる点はありますか
吉納 筋力が伸びたかなと思います。高校の頃もウエイトはやってはいましたが、大学に入ってから先輩も同期もすごく考えながらウエイトをしているのを見て、自分もYouTubeなどで調べて、ウエイトに対する考え方が変わりました。体について考えるようになったことで、体重も高校卒業時の82キロから86キロくらい、4キロくらい増えましたね。
印出 打撃が変わったと思います。大学に入ってピッチャーのレベルが上がり、1年生のときに変化球のキレや真っすぐの強さを間近で感じて、大学野球で打つことの難しさを知りました。そこから打つために何が必要なのか、自分の打撃を分析していろいろと試行錯誤した結果、今年のリーグ戦通算打率(3割2分5厘)に表れているように打撃がコンパクトになり、無駄がなくなったかなと思います。
山縣 守備の正確性が変わったかなと思います。高校の時も大会であまりエラーはありませんでしたが、ゲッツーが取れる場面で1つしかアウトを取れないなど、見えないミスが結構ありました。大学に入ってから、そういうミスが少なくなったかなと思います。
「守備の面では自信をもてた」(山縣)
昨秋の立大1回戦、延長10回に勝ち越し打を放った山縣。来季は打撃面でのさらなる活躍に期待だ
――ここからは個人の質問に移りたいと思います。まず山縣選手にお聞きしますが、個人的に秋季リーグ戦を振り返り、点数をつけるなら100点満点中何点でしょうか
山縣 70点くらいだと思います。守備の面では結構自信を持てましたが、バントを3回ミスしたり、下位打線の自分にチャンスで打席が回り、打てれば点が入るところでチャンスをつぶしてしまったりした場面がありました。バッティングの面では個人的に納得できていないので、そういうところをしっかり上げていきたいです。
――ライバルとして意識する選手はいますか
山縣 敢晴(中村敢晴、スポ2=福岡・筑陽学園)ですかね。敢晴はスポーツ推薦で入学してきてずっとAチームにいますし、敢晴と一緒に切磋琢磨(せっさたくま)していければと思います。
――高校時代は主将が薗部将大選手(教2=東京・早大学院)で副主将が山縣選手であり、その後薗部選手が山縣選手を早大野球部に誘ったとお聞きしました。薗部選手はどのような方なのでしょうか
山縣 薗部は、自分がいいと思ったことを周りに勧めてくれる人です。僕を野球部に誘ってくれたのも、薗部自身が入ってプラスになると思ったからこそで、そこに意志の強さみたいなものを感じますね。
――「守備職人」「守備キャラ」と言われることがありますが、守備に自信がついてきたのはいつ頃ですか
山縣 高校入学くらいです。中学のシニアを夏に引退して、その後高校入学までに学生コーチの方に付きっきりで守備を教えてもらって、そこで守備が良くなりました。高校に入学して1試合目の練習試合でファインプレーをしてそこでベンチに入れるようになって、守備に自信を持つようになりましたね。
「もっとやらなきゃいけない」(印出)
昨秋の法大2回戦で安打を放った印出。六大学をナンバーワン捕手へと上り詰めることができるか
――続いて印出選手にお聞きします。昨季を振り返って、点数をつけるなら100点満点中何点でしょうか
印出 攻守ともに60点くらいだと思っています。昨季打率は(2割9分7厘で)3割にギリギリ届きませんでしたが、3割は一つ自分の中でこだわっている数字ですし、これからもこだわりたいと思います。一方で昨季ずっとテーマにしていた長打は結構出たので、そこを評価しての60点かなという感じです。守備に関しては春に比べて後逸は無くなったので、その点夏にやってきた成果は出たと思います。キャッチャーはチームを勝たせることが一番の仕事だと考えていて、春季(5位に終わった)にほぼ全く勝てなかったチームから昨季8勝できるまでのチームにはなれたので、その点バッテリーで試合をつくれたという部分で60点、でも取りきれなかった1勝のウエイトは重いので、そこは40%減点かなというところですね。
――愛媛県での侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿に参加されていたと思います。終えた感想を教えてください
印出 やっぱりレベルが高い選手が集まっている合宿なので、今後ドラフトにかかっていくような投手のボール、打者のバッティングを間近で感じて、刺激というか「もっともっとやらなきゃいけないな」という危機感を持ちました。いろんな人とお話をさせていただいて、野球観や打席で考えていることなどを聞けたので、そこはすごく勉強になったと思います。
――ハイレベルな環境に身を置いてみて、「通用するかもしれない」と感じたところ、逆に「ここは伸ばさないといけない」と感じたところはありましたか
印出 キャッチャーは大体代表に3人くらい選出されるんですけど、打撃の部分は磨いていけば勝負できるというか、「そこは負けてないぞ」というアピールはできたかなと思います。守備では全体として大きな差はないと考えていますが、その分やはりスローイングをもっとやらないと、そこで大きな減点になってしまうと感じました。送球の部分に重点的に取り組むことを、この冬テーマにしていこうと思っています。
――続いては、同じ愛知県出身ということで吉納選手も交えてお聞きします。初めてお互いを認識されたのはいつのことでしょうか
吉納 僕は中1の春くらいですね。自分はボーイズリーグに所属していたんですが、なんか元々印出が入っていたチームが、シニアからボーイズリーグのチームになったみたいなことを聞いたんですよね。はっきりは覚えてないんですけど、そのときに有名な人というか、とにかく「でかいやつがおる」みたいな話があって。そのときに「印出」と聞いて、それが太一でした。そのときは知っていただけで、初めて試合をしたのは中2くらいだったかなと思います。
印出 僕は中1でチームが変わったときに、ボーイズとは全然関わらないというか試合自体もあまりしないので、チームの中で「ボーイズにはどんな選手がいるの?」みたいな話になりました。元々は知らなかったんですけど、(吉納が)所属していたチームが強くて、準決勝とかでよく当たっていたんですよね。「こことここが強いらしい」みたいな話に吉納のチーム名が挙がっていましたし、中2の春か秋に実際に試合をしたんですけど、そのときに「化け物がおるらしい」みたいな、「めっちゃホームラン打つやつおるよ」みたいな話があって、それが吉納でしたね。
――初めて会話をしたのは高校時代でしょうか
吉納 いや、多分自分のグラウンドで試合をしたときに、試合前にチーム同士であいさつするみたいなのがあったんですよね。別に何を話したとかは覚えてないですけど(笑)。そのあいさつの時はしゃべらなかったんですけど、自分のグラウンドで練習試合をした時に、試合で印出がピッチャーをやったんですよ。それは結構、鮮明に覚えています。試合には負けたんですけど、割と大差で負けていた時に印出が投げたところで結構点が取れて。その試合の最後にちょっとしゃべった記憶はあります。中学2年生くらいだったと思いますね。
――当時抱いていた印象と今を比べて、「こんな人だったんだ」とイメージが変わった部分はありますか
印出 僕は、吉納が当時結構やんちゃなチームだったので、ヤンキーだと思ってて(笑)。体も中学生にしては大きかったし、結構オラオラしているイメージがあって、「ヤンキーみたいだなあ」と思ってました。でも、高校時代に中京(中京大中京)と東邦で試合をやる中で、「意外とそうでもないかな」と思うようになって。高校の愛知県選抜で初めて同じチームになってしっかりしゃべったんですけど、「全然だな」と思いました。とりあえず最初の勝手な印象は、ヤンキーというか「怖いやつだな…」と思ってましたね(笑)。今は野球に対してすごく真面目で、バッティングとか自分の持ち味を色々考えながらやっている印象です。
――やんちゃなチームだったのでしょうか
吉納 僕じゃないですけどね(笑)!?
一同 (笑)。
吉納 僕じゃなくて、ちょっと上の代がやんちゃでしたね。太一に関して言えば、とりあえず「でかいな」「中学生の体じゃないな」というのが第一印象です。中学、高校とキャプテンをやっていて、現在の学年のミーティングとかを見ていても「キャプテンシーがあるなあ」と感じます。あとは大学の授業が結構一緒なんですけど、自分が人見知りな一方で太一は誰とでもすぐ仲良くなれるので、「うらやましいな」と思うところもあります。自分が最初抱いていた「真面目でフレンドリーな人」という印象は、今でもいい意味であまり変わってないなと思いますね。
「昨季は豪快さが消えていた」(吉納)
昨秋の明大2回戦で打席に立つ吉納。持ち前の豪快さを取り戻し、目標の三冠王に近づくことができるか
――では最後に、吉納選手にお聞きします。個人として秋季リーグ戦を振り返り、点数をつけるなら100点満点中何点でしょうか
吉納 打撃は67点くらいですね。
印出 刻むねえ…(笑)。
吉納 昨季はホームランが0本、かつ単打ばかりで、自分の持ち味である長打があまり出ませんでした。振り返ると、きれいに打とうとしすぎた結果、いい意味での豪快さが消えていたかなと思います。最後に首位打者を取りきれなかったですし、バントミスを3つしたので、そこでちょっと3点引いておきました。守備に関しては、外野で飛んできたボールを捕るくらいしかしていないので点数はつけられませんが、もう少しインパクトを残せるように頑張りたいと思います。
――昨季はリーグ2位の高打率を残しましたが、好調の要因は何だと思いますか
吉納 春季リーグ戦では、リーグ期間中に怪我で離脱して結果が残せず、夏の間に「何かを変えなければならない」と考えていました。そのときに六大学には球が速いピッチャーが多いこともあり、タイミングの取り方が遅れていたと気がつきました。そこに対応できるように夏に取り組んだことで、昨季タイミングが合ってボールにコンタクトできるようになったと思います。
――目指すバッター像があれば教えてください
吉納 コンスタントに長打が打てるバッターになりたくて、そこに4、5本ホームランが付いてくればベストではあります。自分は元々ホームランが打てるバッターだと認識していて、昨季単打が多かった点については、悪くはなくとも自分らしくないと感じているので、その点はこの冬の課題だと思います。
――リーグ戦での守備を見ていて、「打球が飛ぶ方向にいるな」という印象を受けます。ポジショニングに関して何か意識していることはありますか
吉納 高校の頃にポジショニングをすごく重視していて、(東邦高校2年生時に)優勝した選抜(選抜高等学校野球大会)でも、ポジショニングで勝った試合が結構ありました。そのときから継続してバッターのスイングの癖などを見て、ファールを打った感じで「どういう打球が来るかな」というイメージをしています。大学ではデータ班が打球方向をまとめているので、試合前日や当日にそれを見ていますし、あとは他大の選手もそれなりに試合に出ている選手が多いので、「こういうバッターだな」と感覚的になんとなく分かる部分もあります。ポジショニングについては、結構重視しているかなと思いますね。
――尊敬している、または参考にしているプロ野球選手はいますか
吉納 オリックス(ボストン・レッドソックスに移籍)の吉田正尚選手です。自分がYouTubeなどで動画を見るならまず最初に吉田選手を見ますし、身体が小さいのにパワーがあってボールを飛ばせるのにはいろんな理由があると思うので、動画を見ながら勉強しています。
――大学や学年を問わず、ライバルとして意識する選手はいますか
吉納 青山学院大学の佐々木泰(2年)です。高校3年生のときに自分たちはコロナで夏の大会がなくて、引退試合のようなかたちで県岐阜商と東邦で試合をしました。その試合後に、互いに進学と分かっていたので「お互い4年後プロに行けるように頑張ろう」という熱い話をしたんですよ。常に気にかけている選手ですが、同時に負けたくないという気持ちがあるので、ライバル意識を持っていますね。
――続いて、再びお一人ずつにお聞きします。オフの日はどのように過ごされていますか
吉納 アラームをかけずに寝て、時間があればサウナに行っています。あとは靴が好きなので携帯で見たり実際に見に行ったりするのと、あとは甘いものも結構好きなので、休みの日だけコンビニに行って食べていますね。
印出 自分も気が済むまで寝て、オフの日はほとんど午前中に予定は入れていないです。外出するときは大体昼過ぎに出かけるんですが、同級生の石岡(泰樹、スポ2=早稲田佐賀)と一緒にいることが多いので、石岡と気になる映画があったら見に行ったり、インスタとかで気になったお店があれば行ったりしています。
山縣 自分はオフの月曜日に2限の授業があるのでその授業に出て、お昼を友達と食べています。午後は古着が好きなので古着屋に行ったり、整骨院に行ったりしていますね。
キャラが濃い部員は……?
――続いて、野球部の中で特に「変わっているなあ」「キャラ濃いなあ」と感じる方を一人挙げ、その理由を教えてください
吉納・印出・山縣 …………………(熟考)。
――これは候補者がいないことからの悩みでしょうか、それともいすぎることからの悩みでしょうか
吉納 いすぎるのもありますね。
印出 ジャンルっす、ジャンル(笑)。
山縣 じゃあ、僕からいきます。1年の尾瀬で、練習を基本あんまり真面目にやらないというか(笑)。試合とかでも「ホームラン狙ってくるわ!」みたいな感じで野球を楽しんでいて、いいキャラしてるなと思いますね。
――尾瀬選手の他には、そのようなことをおっしゃる方はいないのでしょうか
山縣 尾瀬以外にはあんまりいないですね。尾瀬は結構ガツガツいくキャラというか、すごいなと思います。
印出 ナメてます。
山縣 そうですね、ナメてます(笑)。
吉納 自分は同期の影田圭拓くん(スポ2=東京・明星学園)だと思います。別に何かやばいとこがあるっていうわけではないですけど、彼には独自の世界観があるというか、寝る前に10分瞑想(めいそう)してから寝るとか…。なんだろ。分かる?あいつの世界観みたいな…。
印出・山縣 わかるわかる(笑)。
吉納 うまく説明できないんですけど、なんか全体的に、「え、何やってんだろ?」って感じです(笑)。野球にしても上手くなるためのいい意味での世界観を持っていて、不思議なところで「こんなことするんだ」みたいなことをしてます。寝る前の瞑想(めいそう)とかは自分では考えられないですし、あと午後に授業がある時には午前中に練習するんですけど、近くの定食屋でお昼を食べる時にずっと焼肉定食ばっかり食べてるんですよ。それを指摘しても「いや、全然飽きない」って言うところとか、とにかくいろんなものに興味がないんだと思います。流行りの曲とかを流しても「なにこの歌?」みたいな感じですし、自分が興味のある曲ばかりを聴いていて、そういう人と違うところがキャラ濃いなあと思いますね。
印出 じゃあ僕は、同期でマネジャーの中原由信(政経2=東京・早実)で。
吉納 迷った(笑)。
印出 中原は政治経済学部なので、めちゃくちゃ頭いいんですよ。いいんですけど、ミーティングで話し合ったり、たまに学年の中で「もう少ししっかりやった方がいいんじゃない?」っていう話をしたりするときに、中原にロックオンされたら終わりっていう(笑)。
一同 (笑)。
印出 もう論破王というか、ひろゆきみたいな感じなので。
吉納 実際、ひろゆきのモノマネも上手いしね。
印出 めちゃくちゃ上手いですね。理詰めされるというか、ぐうの音もでないくらい論破されるので、中原は本当にキャラ強いし…。
吉納 特技がね、すごいよね。マージャンとかもうずっと、ずっとやってます。ご飯食べながらも携帯でやってますし、マジックとかギターとかボイパ(ボイスパーカッション)とか、歌も上手いし、あいつに「何かやって」って言ったら多分なんでもできますね。
――みなさんは実際に論破を体験されたことはあるのでしょうか
印出・山縣 自分はされたことないですね。
吉納 自分は結構、部屋で一緒にスマブラ(大乱闘スマッシュブラザーズ)をやるんですけど、論破っていうか殺されてます、いつも。
一同 (笑)。
印出 頭が切れるので、言葉のあおりスキルなんかも高くて、いいキャラしてるなと思います。ああいう感じで論破とかするから、「普段からちゃんとしてるんだろうな…」と思いきや、私生活は結構ぐだぐだで。
吉納 そうです、そうです。部屋は汚いんすよ。
印出 部屋は汚いし、朝もお母さんに起こしてもらってたとかいう話を聞きました。今は寮にいますけど、一人じゃ起きられないみたいな感じです。
吉納 確かに、そういうとこキャラ濃いな…。
印出 何にもできないとこもあるので、それもまた面白いですね。適当なところは適当なんですけど、ロックオンされたら終わりです(笑)。
――寮のお話がありましたが、山縣選手が入寮されたのはいつ頃のことでしょうか
山縣 早慶戦が終わって11月にオフがあったんですけど、その後の練習開始の前日くらいに入りました。
――寮生活はいかがですか
山縣 思ったよりかは普通に過ごせています。実家だと家の手伝いをさせられるので、それが無くなった点ではどちらかというと楽ですね。
――みなさんは、寮で朝どなたかに起こしてもらうなどはないのでしょうか
印出・山縣 自分は割と朝起きれるタイプなので、自分で起きていく感じですね。
吉納 自分はこれ結構特技で、大体6時15分起床だったら11分と13分にアラームをかけるんですけど、そういう時に大体10分には起きられます。ちょっと朝強いんですよね。その分、寝言とか寝相とかがひどすぎるんですけど…。
印出 やばいね…(笑)。
吉納 新潟キャンプで同学年のスポーツ推薦4人が同部屋だった時とか、あとはこの前の全早慶戦(全早慶野球戦)のときも立ち上がったりしてたっぽくて。
一同 (笑)。
吉納 分かんないんですけど、ずっとしゃべったり、立ち上がって暴れたりとか…。
印出 て言っても寝てるのに、「◎△$♪×¥●&%#?!」とかじゃなくて、今しゃべってるこの感じで話すんですよ、寝言を。
吉納 そうなんですよ。ほんとに「○▼※△☆▲◎★●!」みたいな感じじゃなく、会話みたいにはっきりしゃべってるらしいです。
印出 そうそう。俺話しかけられたと思って、「え、何!?」みたいになった時もあって(笑)。しゃべるだけしゃべって、あとは寝てます。
吉納 でも、起きるのは朝めっちゃ強いんで。アラームかけたら1分前とかに絶対起きられるっていう自信がありますね。
――寝言や寝相に関しては、全く意識や記憶はないのでしょうか
吉納 それが全くないんですよ。でも寝る前に、「絶対この時間に起きなきゃダメなんだな」と強く思って寝るので、多分それが寝てる間も脳にずっと残ってるんだと思います。それでアラームの前に、脳が時計に反応して…(笑)。
印出 だからしゃべるんじゃないの?
吉納 そうね、多分そう。
一同 (笑)。
「3年生は一番大事な学年」(吉納)
――それでは、野球に話を戻したいと思います。来年はお三方ともに上級生である3年生になりますが、何か意識の変化はありますか
吉納 もうチームとしては、来年も優勝することが絶対の目標として変わらないですし、個人としてもベストナインと三冠王を取れるまでは、その2つがずっと目標だと思います。3年生になることに関しては、チームの立ち位置として一番大事な学年になると考えています。一個上の先輩たちのために、後輩もしっかり育てていかないとチームとしてもいい方向に向かないですし、自分たちの学年が一人でも悪いところにそれたり、少しでもマイナスな部分があったりすると、もう優勝につながらないと感じています。来年も、もちろん技量アップして優勝に貢献することを意識してやっていきますが、新チームでは今までよりチームに対する視野を広くして、上級生らしくチームをまとめていきたいなと思います。
印出 僕も優勝という目標は変わらないですし、日本一を目指しているので、リーグ優勝は通過点だと思います。僕は六大学のリーグ戦で優勝することが一番難しいと思っていて、ここ4シーズンは5位、2位、5位、2位と入学してから続いているので、いい加減そのレールから外れられるようにしたいです。春にしっかり優勝して日本選手権(全日本大学野球選手権大会)に向かっていけるように、個人としてもチームとしても何が必要なのかを考えてやっていきたいと思います。個人的には昨季ベストナインをいただけましたけど、一回取っただけでは「たまたまだったね」で終わってしまうので、取り続けて「六大の捕手は早稲田の印出」と言われるくらいの力をつけないといけないと感じています。捕手として投手を引っ張り、優勝するに値するバッテリー、かつ打者としての活躍をしていけるように、春に向けてやっていきたいなと思います。
山縣 個人としては、もう一度レギュラーを取り戻すということから謙虚にやっていけたらと思います。あとは3年生になるので、下級生の世話というか面倒を見なければいけないんですけど、そういうところで自分はあんまり強く言えないことがあります。そういう部分でもしっかりチームに貢献できるような、チームにプラスになるような人になっていけたらと思います。
――来季に向けて、この冬「特にここを伸ばしたい」と思っている部分を教えてください
吉納 やっぱり打撃が課題ですね。昨季はピッチャーに助けられる部分が多かったので、来季は野手が頑張ってピッチャーを楽にさせて、「何点でも取られていいよ」と言えるようにしたいです。そして、自分がその中で中心選手となるための打撃力向上、特に長打が打てるように頑張りたいなと思います。
印出 やはりスローイングの部分、盗塁の阻止率に来季はこだわっていきたいと思います。それだけが必要なわけではないんですけど、一つの塁を進まれるというのは大きなことですし、自分が投げた一球で27分の1のアウトを取ることがやるべきことだと思うので、スローイングの精度と強さみたいなところをこの冬は意識していきたいと考えています。
山縣 僕はバッティングをこの冬なんとかしたいと思っています。この秋は期待されていなかったので、バッティングで期待されるような選手になりたいと思います。
――打撃で特に伸ばしたい部分はありますか
山縣 そもそも僕は、バッティングで「ここがいい」という部分がないんですよね。例えばミート力とか飛ばす力、選球眼があるなど、そういう強みが何もないと思います。一つでも抜けているところがあれば武器になるので、それらを見つけ、バッティングを伸ばしていけたらと思います。
――個人としての来季の目標を教えてください
吉納 三冠王です!自分はもうそれだけですね。
印出 自分は首位打者とベストナインを目指していきたいと思います。
山縣 自分はノーエラーと首位打者でお願いします。
――最後に、来季に向けての意気込みをお願いします!
吉納 毎リーグ毎リーグ「優勝します」と言っているのに昨年今年と悔しい思いをしているので、「口だけじゃないぞ」ということを結果で、早スポさんや早稲田のファンの皆さんに示したいと思います。頑張ります!
印出 ピッチャーも含めて、比較的今の2年生は試合に出ている人が多いです。4年生が主役のリーグ戦ではありますが、縁の下の力持ちにとどまらず自分たちが主役だと思って、かつ早稲田の野球部のレギュラーということに責任と自覚を持ってプレーしたいです。結果が出なければ変えられる厳しい世界なので、来年は結果にとことんこだわって、優勝だけでなく自分の成績、チームへの貢献度を意識した1年にしていきたいと思います。
山縣 来季優勝するためのプレーや行動に関して、自分の中でベストを尽くせるように全力で頑張りたいと思います!
――ありがとうございました!
(取材・編集 湊紗希、近藤翔太 写真 是津直子、玉置理沙子、田中駿祐)
異なる強みをもつ三選手に、来季も期待しましょう!
◆山縣秀(やまがた・しゅう)(※写真左)
2002(平14)年5月1日生まれ。176センチ。74キロ。東京・早大学院高出身。商学部2年。内野手。右投右打。「早稲田の忍者」と評された山縣選手。片耳イヤホンがルーティンなのは、外の音を入れることで、音楽の世界に入りすぎないようにするためだそうです。新チームでも持ち味の守備で、早大を大いに盛り上げます!
◆吉納翼(よしのう・つばさ)(※写真中央)
2002(平14)年8月16日生まれ。180センチ。86キロ。愛知・東邦高出身。スポーツ科学部2年。外野手。右投左打。打撃と同様、寝相と寝言もスケールが大きいという吉納選手。4歳の頃から野球を始められたそうですが、自身の一番古い記憶からバットを振ったりボールを投げたりと、野球にばかり興味を示されていたそうです。今冬を経て、「野球一筋」の吉納選手はどんな成長ぶりを見せてくれるのでしょうか!
◆印出太一(いんで・たいち)(※写真右)
2002(平14)年5月15日生まれ。185センチ。90キロ。愛知・中京大中京高出身。スポーツ科学部2年。捕手。右投右打。12月に、侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿に参加した印出選手。合宿では、立大の池田陽佑投手(3年)や名城大の松本凌人投手(3年)らに、3日間ずっとかまってもらっていたそうです。「すごく勉強になった」というこの経験を糧とした、今冬のパワーアップに期待しましょう!