先発・西垣が8回2失点の粘投 逆転勝利で2季ぶり47度目の優勝に逆王手/慶大1回戦詳報

野球
TEAM
早 大
慶 大
(早)○西垣、徳山―岩本
◇(二塁打)福本、蛭間、丸山、西垣

 風は、『都の西北』に吹いていた。勝たなければ優勝の可能性が消滅するという重圧の中迎えた、東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)早慶戦の初戦。2回裏に先発・西垣雅矢(スポ4=兵庫・報徳学園)が2ランを浴びて先制を許すも、直後の攻撃で逆転に成功。その後はリードを守り切り、2季ぶり47度目の優勝に逆王手をかけた。

 約10,000人の観客が見守る神宮球場で始まった伝統の一戦。最初に主導権を握ったのは『陸の王者』だった。早大先発・西垣は140キロ前後の直球と変化球を投げ分け、初回を三者凡退に抑える上々の立ち上がりを見せた。しかし2回、1死一塁の場面で迎えたのは廣瀬隆太(2年)。甘く入った初球の変化球を捉えられると、これが左中間最深部に届く3号2ランに。先制点を奪われた。

適時打を放ち、ベンチを外れた部員や応援団のいる右翼席に向けてガッツポーズをする福本

 だが、早大も黙ってはいない。先制を許した直後の攻撃、2つの四球と犠打で1死一、二塁の好機をつくる。すると、2番・福本翔(社4=東京・早実)が左翼線を破る適時二塁打を放ち、点差を縮めた。続く蛭間拓哉(スポ3=埼玉・浦和学院)も緩いカーブを拾うと、左翼線にポトリと落ちる適時二塁打に。この一打で2人の走者が生還。逆転に成功した。その後も攻撃の手を緩めない。2死後、丸山壮史主将(スポ4=広島・広陵)が右翼線を痛烈なライナーで破る適時二塁打を放ち、この回一挙4点を奪った。さらに続く4回には、西垣の右中間二塁打で得点圏に走者を置き、今季好調の中川卓也(スポ3=大阪桐蔭)の打球は右前適時打に。点差を3点に広げた。


適時右翼線二塁打を放つ丸山

 その後は両校投手陣が一歩も譲らない力投を見せる。先発・西垣は2回の失点以降、ストライク先行の投球で得点を許さない。一方の慶大も渡部淳一(3年)ら救援陣が粘りの投球を見せてゼロ行進。最終回の攻撃では、この回から登板した生井惇己(3年)に対し、代打・橘内俊治(教4=東京・早実)が安打を放ち2死三塁の好機をつくると、打席に立ったのは昨秋生井から決勝弾を放った蛭間。因縁の対決に会場が沸き立ったが、2ストライクから最後はスライダーで空振り三振。軍配は生井に上がり、追加点を奪えなかった。


8回を抑え、吠える西垣

 3点リードで迎えた9回裏。ここでマウンドに登ったのは徳山壮磨(スポ4=大阪桐蔭)だった。エースがこの回を抑えて勝利を――。だが、慶大はそう簡単に勝たせてくれない。先頭の正木智也(4年)に安打を許すと、後続の内野ゴロと暴投により三進を許す。1死三塁となり、次打者が放った二ゴロの間に走者が生還した。その後、徳山とは大阪桐蔭高時代にバッテリーを組んでいた福井章吾(4年)に安打を許したが、最後は三振に抑えてゲームセット。度重なるピンチを最少失点で切り抜け、見事白星をつかみとった。


勝利し、笑みを浮かべる岩本(左)と徳山

 この試合を終え、賜杯の行方は2回戦に持ち越された。31日に早大が勝利を飾った場合は早大の優勝、一方、引き分けか敗戦の場合は慶大の優勝となる。奇跡の逆転優勝か、眼前で塾の胴上げを許すのか。「一球に対して必死に、チームの勝利の為に泥臭く」(丸山)。『一球入魂』の精神を全員で体現し、宿敵を打ち破る。

(記事 小山亜美、写真 永田悠人)

黄字は打点付き

早大打者成績
打順 守備 名前
1 (三) 中川卓也 3 1 1 .375 空三   四球 右安     四球   バ三
2 (左) 福本翔 5 1 1 .387 三邪   左2 空三     見三   二ゴ
3 (右) 蛭間拓哉 5 1 2 .237 左飛   左2   遊ゴ   二ゴ   空三
4 (一) 今井脩斗 4 0 0 .500   空三 空三   中飛   空三    
5 (二) 丸山壮史 2 1 1 .229   四球 右2   中飛     死球  
6 (捕) 岩本久重 4 0 0 .189   左飛 二飛     三ゴ   右飛  
7 (遊) 熊田任洋 4 0 0 .125   空三   中飛   二ゴ   見三  
8 (中) 鈴木萌斗 3 1 0 .211     四球 投ゴ   中安   二ゴ  
9 (投) 西垣雅矢 2 1 0 .308     投犠 右2   見三      
  橘内俊治 1 1 0 .333                 左安
  友田龍之介 0 0 0                  
  徳山壮磨 0 0 0 .333                  
早大投手成績
名前
西垣雅矢 6 3 1 8 4 2 8 2 2 1.05
徳山壮磨 5 1 1 1 2 0 1 1 1 3.91
東京六大学秋季リーグ戦星取表
順位   慶 大 早 大 明 大 立 大 法 大 東 大 勝ち点 勝率
慶 大 ●3-5 △4-4
△2-2
○8-5
△2-2
○11-2
△0-0
○15-1
○4-1
.800
早 大 ○5-3 ○8-5
○3-0
●0-4
●2-5
△0-0
△0-0
○23-1
○19-0
.714
明 大 △4-4
△2-2
●5-8
●0-3
○2-1
○5-4
△4-4
△6-6
○9-0
○22-0
.667
立 大 ●5-8
△2-2
○4-0
○5-2
●1-2
●4-5
○8-3
○4-1
○15-6
●4-7
5.5 .556
法 大 ●2-11
△0-0
△0-0
△0-0
△4-4
△6-6
●3-8
●1-4
○11-1
△0-0
.250
東 大 ●1-15
●1-4
●1-23
●0-19
●0-9
●0-22
●6-15
○7-4
●1-11
△0-0
1.5 .111
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コメント

丸山壮史主将(スポ4=広島・広陵)

――試合を終え、今の率直な気持ちを教えてください

 今日はこのように逆転して勝つことができたのはとても嬉しいですが、明日の試合に勝たないと意味がないという思いが強いです。なので、明日に向けてという気持ちの方が強いです。

――今日の試合を振り返っていかがですか

 点を取られた後に逆転して、自分たちのペースに持っていけたのは良かったと思います。

――勝利のカギとなったのはどこだと感じていますか

 点を取られた直後にしっかりと点を取れたところですね。何とかして後ろにつなごうと、4点を取れたあの回(3回)が良かったと思っています。

――2回に先制を許しましたが、その時を振り返っていかがですか

 ここまで好調だった西垣(雅矢、スポ4=兵庫・報徳学園)が点を取られてしまいました。ですが、ここまで西垣のおかげで勝てた試合がたくさんあったので「今度は自分たちが助けよう」と、チームはまとまっていました。

――2回裏終了後の円陣でお話をされたのでしょうか

 逆転というよりはまず1点、後半に勝負しようという話をしていました。

――西垣選手が2回以降は好投を披露しましたが、後ろで守っていていかがでしたか

 廣瀬選手(隆太、2年)に打たれた本塁打以降は低めに丁寧に集められていましたし、要所で真っすぐも効いていて、頼もしかったです。

――3回には適時打を打ちました。ご自身の打撃は振り返っていかがですか

 明治戦を終わってからどこがダメかを反省して、一昨日に監督さん(小宮山悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)に打撃のアドバイスをいただいたので、そのおかげもあったと思います。

――どのようなアドバイスをもらったのでしょうか

 もともとバッターボックスで肩が入ってしまう癖があったので、もっと両目でボールを見るようにとアドバイスをもらいました。

――最後の守りまで苦しい展開となりました。振り返っていかがですか

 粘り強い慶応が相手だったので、最後まで苦しくなるのは承知をしていました。しっかり徳山(壮磨、スポ4=大阪桐蔭)がしのいでくれたので、勝つことができたと思います。

――次戦のポイントはどこになると感じていますか

 徳山と岩本(久重副将、スポ4=大阪桐蔭)バッテリーが試合をつくりながら、打線が福本(翔、社4=東京・早実)や中川(卓也、スポ3=大阪桐蔭)、調子を戻してきた蛭間(拓哉、スポ3=埼玉・浦和学院)の前で走者をためて、ワンチャンスをものにしたら優勝できると思っています。

――明日の試合に向けて意気込みをお願いします

 とにかく粘り強く、相手よりも1点でも多く取るというのをしっかりやっていきたいです。一球に対して必死に、チームの勝利の為に泥臭くプレーしていきます。