最大6点のリードが1点に 山下の好救援で逃げ切り開幕戦白星/東大1回戦

野球
TEAM
東 大
早 大
(早)○徳山、飯塚、原、山下―岩本
◇(二塁打)岩本(三塁打)鈴木萌(本塁打)熊田1号2ラン(4回)、蛭間1号ソロ(5回)

 昨秋の劇的な優勝から約5か月。再び賜杯を目指す戦いが10日、晴天の神宮球場で幕を開けた。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で8月に行われた東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)だが、今年は例年通りの時期での開催となった。しかし、昨秋に引き続き1試合の勝利ごとに勝ち点がつく10試合勝ち点制(ポイント制)となり、文字通り『一戦必勝』の戦いとなる。

 開幕戦の相手はリーグ戦56連敗中の東大。試合は序盤から早大のペースで進んだ。初回、岩本久重副将(スポ4=大阪桐蔭)の2点適時二塁打で先制すると、中盤にも追加点を奪い5回終了時点で6-0と大きくリードして折り返す。先発の徳山壮磨(スポ4=大阪桐蔭)は、140キロ台の直球を中心に6回まで無失点に抑える好投。しかし続く7回、四死球が絡んで3点を失うと、8回には救援陣が崩れさらに2失点。8回途中から登板した山下拓馬(法4=埼玉・早大本庄)の好リリーフで何とか逃げ切り開幕戦を制したものの、課題を残す一戦となった。

初回、2点適時二塁打を放つ岩本

 先発の徳山は序盤、決め球に欠き苦しい立ち上がりとなる。2回までに37球を要するなどなかなか本来の投球とはいかないが、中盤以降は直球にキレが戻り6回まで無失点に抑える好投を見せる。

 一方の打線は序盤から攻勢をかける。初回、1死一、三塁の好機で打席には4番・岩本。「外野フライでもいいという気持ちで打席に入った。そこでうまく力も抜けていいところに打球が飛んでくれた」と右中間を破る2点適時打を放ち先制に成功すると、4回には熊田任洋(スポ2=愛知・東邦)の2ラン、鈴木萌斗(スポ4=栃木・作新学院)の適時三塁打でさらに3点を追加。5回には蛭間拓哉(スポ3=埼玉・浦和学院)にもソロが飛び出し、6点のリードを奪った。蛭間はこれで通算7本目の本塁打となり、現役選手で単独最多となった。

5回、左越えソロを放つ蛭間

 このまま早大のペースで進むと思われたが、終盤に落とし穴が。7回1死から徳山がこの日初めての四球で走者を許すと、続く4番井上慶秀(4年)に左中間を破られ1点を返される。この一打でリズムが狂ったか、徳山はここから3つの四死球と適時打でさらに2失点。この回までで降板となり、悔しい今季初戦となった。

 続く8回も東大打線の流れを止められない。飯塚脩人(スポ2=千葉・習志野)がリーグ戦初登板を果たすが、先頭にいきなり四球を与える。走者をため、6番・宮﨑湧(3年)に左前適時打を許したところで降板。続いてマウンドに上がった原功征(スポ3=滋賀・彦根東)も初登板となったが、制球が定まらない。四球で2死満塁とし、続く8番打者には押し出しの死球を与えてしまう。原は一死も奪えず降板となった。1点差、2死満塁というピンチで原の後を継いだのは守護神・山下。甲子園の経験もある代打・梅林浩大(2年)に粘られるが、最後は146キロの直球で空振り三振に切って取り窮地を脱する。続く9回もマウンドに上がった山下は、相手上位打線を三者凡退に打ち取り、試合終了。終盤苦しんだものの、大事な開幕戦を制した。

打者4人を相手に完全投球を見せた山下

  「勝てたという部分では良かった」という岩本の言葉の通り、1試合の勝敗が大きく優勝に関わってくる今大会において苦しみながらも勝ち点1を奪えたことは大きな収穫だ。しかし、終盤の戦いは攻守にわたって課題が残るかたちとなった。失点を喫した場面は当然ながら、6回以降無安打に抑えられた打線も大いに修正の余地があるだろう。「6点取ったことでチームに少し緩みが出た」(岩本)。勝利という収穫と、今回見つかった課題をどうつなげていくか。また明日、絶対に負けられない戦いの中で試されるだろう。

(記事 山崎航平、写真 足立優大)

黄字は打点付き

早大打者成績
打順 守備 名前
1 (中) 鈴木萌斗 3 1 1 .333 四球 空三   中3   左飛      
2 (三) 中川卓也 3 0 0 .000 一犠   空三 遊飛     三ゴ    
3 (右) 蛭間拓哉 4 2 1 .500 二安   一ゴ   左本   空三    
4 (捕) 岩本久重 3 1 2 .333 右2   中飛   四球   空三    
5 (二) 丸山壮史 3 0 0 .000 遊飛     四球 投ゴ     見三  
6 (左) 野村健太 3 0 0 .000 死球     中飛 中飛     一邪  
  西田燎太 0 0 0                  
7 (遊) 熊田任洋 4 1 2 .250 中飛     右本   空三   右飛  
8 (一) 生沼弥真人 2 1 0 .500   右飛   中安   四球      
9 (投) 徳山壮磨 2 0 0 .000   二飛   投犠   空三      
  飯塚脩人 0 0 0                  
  原功征 0 0 0                  
  山下拓馬 0 0 0                  
早大投手成績
名前
徳山壮磨 1 1 0 7 5 4 7 3 3 3.86
飯塚脩人 1 0 0 2/3 2 1 1 2 2 27.00
原功征 1 0 0 0/3 0 2 0 0 0
山下拓馬 1 0 0 12/3 0 0 1 0 0 0.00
東京六大学春季リーグ戦星取表
順位   早 大 法 大 東 大 慶 大 立 大 明 大 勝ち点 勝率
早 大   ○6-5      

1.00
法 大     ○2-1     1.00
東 大 ●5-6         .000
慶 大   ●1-2       .000
立 大          
明 大          
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コメント

岩本久重副将(スポ4=大阪桐蔭)

――本日の試合を振り返っていかがですか

開幕カードということもあり、投手陣、特にリーグ戦初登板の投手に硬さがありました。いつも通りというよりは押される展開だったかなと思います。

――追いかけられる試合展開となりましたが、6ー5 で勝利を収めました。逃げ切れたことについていかがですか

勝てたという部分では良かったのですが、(点差を)追い上げられて終わったので、明日は(気持ちを)切り替えて挑まなければならないと思います。

――1回裏には1死一、三塁から2点適時打を放ちました。感触はいかがでしたか

確実に点を取りにいこうということで、外野フライでもいいという気持ちで打席に入りました。そこでうまく力も抜けていいところに打球が飛び、二塁打を打つことができたのでよかったです。

――打った球はストレートでしたか

多分ストレートだと思います。

――前半は6得点と打線がつながっていたと思いますが、手応えとしてはどうでしたか

本塁打も2本出て、打線の状態はいいと思います。ただ、三者凡退で終わる淡白な回もあったので、もう少し粘り強さを出すことができればさらに(打線は)良くなると感じました。

――6回以降は東大救援陣の前に無得点でした。こちらについてはいかがですか

6点取ったことで少しチームに緩みが出てしまい、後半は簡単に打ち上げる打席が多かったので、もっと貪欲に点を取りにいく必要があると感じました。

――先発の徳山壮磨選手(スポ4=大阪桐蔭)は本調子でないように見えましたが、捕手として今日の出来はどう感じていますか。

(徳山は)本調子ではなかったです。ただ、その中でも要所を締め、抑えることができたのは収穫だと思いますし、この東大戦を経て次の登板までに修正してほしいですね。

――初登板となった飯塚脩人選手(スポ2=千葉・習志野)、原功征選手(スポ3=滋賀・彦根東)に関しては

やはり、初めてのリーグ戦の登板ということもあり、精神的な面でいつも通りの投球はできていなかったので、自分がもう少し引っ張っていければ良かったです。また、明日以降も登板があると思うので、今後はこの経験を生かして(相手打線を)抑えたいです。

――明日へ向けて意気込みをお願いします

絶対に連勝して、いいかたちで立教戦につなげていきたいです。