チーム随一の俊足と守備範囲の広さが持ち味の鈴木萌斗(スポ4=栃木・作新学院)。昨春は自己最高の成績を残したが、秋は打撃が振るわず出場機会を減らす悔しいシーズンとなった。悔しさを胸にどのような冬場を過ごしたのだろうか。東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)にかける思いを伺った。
※この取材は3月30日に行われたものです。
「1打席目にいかに出塁できるか」
笑顔で質問に答える鈴木萌
――開幕を控えた現在の気持ちを教えてください
去年の秋に自分たちの代、新チームになって、気づいたらあっという間(に春季リーグ戦開幕)だなという気持ちが大きいです。
――股関節を痛めていたということですが、いつケガをされたのですか
2月の終わりごろです。違和感がありました。ずっと痛い中やっていたのですが、リーグ戦に支障が出たら嫌だなと思ったので、監督さんに言って大事を取って1週間くらい離脱させていただいたという感じです。
――現在はプレーに支障がないほどに回復しましたか
特に支障はないです。大丈夫です。
――新体制特集では、冬場に打撃の練習に取り組みたいとおっしゃっていましたが、具体的にはどのような取り組みを行いましたか
春季オープン戦が始まるまでは自分の中でも悩んで試行錯誤していたのですが、一からフォームを見つめ直しました。しっかりとコーチやチームメイトに聞いたりして一つ一つしっかりと作っていこうという気持ちでやっていました。
――打撃の感覚は良くなっているのですか
オープン戦では結果を残すことができているので自分の中では手ごたえを感じてはいます。
――オフシーズンに重点的に取り組んだのは守備や走塁というよりは打撃ということでしょうか
一番打撃に取り組みました。
――ご自身のオープン戦の打撃を振り返ってください
1番バッターとしての出場が多かったので、1打席目にいかに出塁できるかを課題としてやっていました。大体の試合で1打席目に結果を出せて、その試合は勝ちにつながっていたので、1打席目に結果を出せたというのは自分の中では収穫かなと思います。
――1番打者ということで、盗塁などで投手を揺さぶるということも意識されているのですか
今年走塁チーフになったのですが、自分が走塁の面でチームを引っ張っていかなければならないという責任が自分の中にあります。常に盗塁に行けるように意識していて、オープン戦の中でも盗塁をしてアウトが1つもなかったのはいい結果だと思います。
――現在の調子はいかがですか
今はとてもいいと思います。
――守備面では、外野手をまとめる存在として何か意識していることはありますか
両翼が下級生ということで自分が中堅手で4年ということで一つ一つ確認の声をこまめに送ったり、守備位置の面でも指示したりして、多めにコミュニケーションをとるようにはしています。
――オープン戦を通してチームの状態をどう見ていますか
(試合の)入りがいいと内容もいいことが多いと思っています。接戦をものにしているゲームが多いので、オープン戦での粘り強さをリーグ戦につなげていければなと思います。
――昨年に続き沖縄キャンプが中止となるなど、練習にコロナが与える影響は少なくないと思いますが、調整のやりづらさなどは感じていますか
沖縄に行けないことで、気温的なつらさはあったのですが、やることは変わらないのであまり普段と変わらずいつも通りできたかなと思います。
――鈴木選手にとっての理想の選手象はありますか
選手としての理想は秋山翔吾選手です。自分の中では切り込み隊長、リードオフマンという認識が強いです。打って走れて守れる三拍子揃っていていい選手だと思うので、秋山選手みたいになるというのが自分の理想です。
――外野手以外のポジションをやられたことはありますか
小学校とかになりますね(笑)。中学校までは一応投手を少しだけやっていたという感じです(笑)。
――今年のチームの特徴を教えてください
徳山(壮磨、スポ4=大阪桐蔭)、西垣(雅矢、スポ4=兵庫・報徳学園)の二枚看板で守った状況の中で、足を絡めて勝つのが今年のチームの特徴だと思います。あまり大きいのを打つことのできる打者は揃っていないので、チームも打線をつないで勝つ、チャンスをものにするというチームだと思います。
――学年を越えた仲の良さはあるのですか
今年の4年生は優しい人が多いので、下級生からしたらやりやすい雰囲気はとてもあると思います。4年生全体が仲がいいかつ優しい4年生が多いので、下級生ともいい意味で上下関係がゆるい感じで接することができています。下級生にとってもやりやすい環境ではあると思います。
「メンバーもベンチも一体となってゲームに臨めている」
2日のJFE東日本戦で1番・中堅として出場した鈴木萌
――チームの雰囲気はいかがですか
試合に入っていないメンバーもベンチも一体となってゲームに臨めているというのがここ最近の試合でとても感じています。それはチームとしてとてもいい雰囲気なのではないかなと思います。
――昨年の4年生もチーム一体となることを意識されていたと思うのですが、そこは継承されているのですか
4年の澤田(健太朗、文4=福井・高志)であったり、小西(優喜、文構4=東京・早実)が筆頭となって声を出したり、ベンチワークをしてくれているのでそこは試合の中でも助かっているなと感じています。
――春季リーグの中で目標にしている数字やタイトルはありますか
打率は3割以上、盗塁をシーズンで10個できればなと思っています。
――キーマンとなる選手はどなただと思いますか
打者としては岩本(久重副将、スポ4=大阪桐蔭)、投手としては徳山、西垣に注目していただければなと思います。
――その3人が活躍すればチームとしても流れに乗っていけそうですか
投手の2人がテンポよく抑えれば打撃にいい流れで行けますし、4番の岩本が打てばチームとしての士気も上がっていくのでそこを見てほしいなと思います。
――オープン戦の中には大差で負けてしまう試合もありましたが、そういう試合でもチームの雰囲気は明るいのですか
以前までの試合だと後半でチームの士気が下がってしまうということがあって、それをやめようというのをチームの課題にしています。ここ最近の試合では改善できていて、次につながるような、課題が克服されたかのようなチームの状況ではいられていると思います。
――「絶対にこの人から打ちたい」という他大学の投手はいますか
これといった人はいませんが、どこの大学の投手でもいい投手が多いので、どの投手からも打ちたいなと思います。
――意気込みをお願いします
昨秋は4年生の力で優勝ができました。今度は自分たちの代になって連覇がかかっているので、去年の先輩たちに負けないように今年の春も優勝できるようにチーム一丸となって頑張っていきたいと思っています。応援よろしくお願いします。
――ありがとうございました!
(取材・編集 永田悠人)
◆鈴木萌斗(すずき・もえと)
1999(平11)年6月25日生まれ。180センチ。77キロ。作新学院高出身。スポーツ科学部4年。外野手。右投左打。リードオフマンとして1打席目を意識しているという鈴木選手。冬場に重点的に取り組んだ打撃で、チームに勝利を呼び込みます!