昨年の東京六大学秋季リーグ戦(リーグ戦)では2試合でベンチ入りし、東京六大学秋季フレッシュトーナメントでは先発として登板した加藤孝太郎(人2=茨城・下妻一)。春季オープン戦では中継ぎとして登板し続け、今シーズンはリーグ戦初登板が期待される。そんな加藤に、昨年の取り組みやオープン戦での投球について伺った。
※この取材は3月26日にオンラインにて行われたものです。
「丁寧かつ大胆に」
笑顔で質問に答える加藤
――高校時代までの競技生活について教えてください
自分は茨城の下妻一高という県立高校に通っていたのですが、学校の特色として文武両道がありました。結構部活動中心にはなっていたのですが、勉強も一般生徒と同じようにやりながら、両立してやっていたという感じです。
――中学校まではいかがですか
中学校(の時)はシニアリーグでプレーしていました。
――六大学でプレーしたいという思いがあって、下妻一高に通っていたということを野球部のブログで拝見したのですが、これについて理由などはありますか
小学生の頃に東京ヤクルトスワローズのファンで、神宮球場によく足を運んでいました。そこで東京六大学野球が神宮球場を使うということを知り、東京六大学に対する憧れというか、神宮球場でプレーしたいという思いが強くなりました。
――六大学はその頃に見ましたか
そのあとに、東京六大学選抜対ヤクルトスワローズの試合がありました。それは小学生か中学生の時に一度見ましたね。
――六大学の中で早稲田を選んだ理由はありますか
六大学といったら早稲田、慶應というイメージがあって、その中で個人的な意見として早稲田のユニフォームにとても憧れを抱いていたので、早稲田大学に志望を決めました。
――昨年早稲田に入られて、どのような練習に取り組んできましたか
去年の秋に2戦、リーグ戦でベンチ入りさせていただきました。そこで実際にグラウンドの中で感じたのは、他大学の選手は体が大きいということでした。とても今の自分の体では戦うことはできないなと実感したので、この冬は体力強化と体重の増加を目標に掲げて取り組んできました。
――それではウエイトトレーニング等が中心でしたか
ウエイトトレーニングと食事を意識して摂りました。
――食事の量も多かったですか
(食事の)量も今までよりはかなり増やして、この冬で6キロぐらい体重を増やしました。
――昨年、レベルアップを図っていくにあたって先輩やコーチからアドバイスなどはありましたか
具体的なアドバイスとかはないのですが、いろいろな先輩やコーチから「とりあえず体をつくれ」と言われました。
――体の大きさを違いとして挙げられていましたが、高校野球と大学野球で他に違いとして感じた部分はありますか
東京六大学野球というのは、高校時代に甲子園で活躍していた選手であったり、その世代の代表となるような選手たちが集まるところだと思っています。大学に入ってからは今まで対戦したことのないレベルでやっているのかなと感じています。
――秋のリーグ戦でベンチ入りしていましたが、チームの雰囲気などで感じた部分はありましたか
入部当初も早慶戦は他の試合とは違ったものがあると聞いていました。実際に最後の優勝決定戦でベンチに入って、優勝が決まった時もそうですが、先輩たちが涙する瞬間を見て、やはり早慶戦に懸ける思いというのは他の大学とあたる時よりも強いものがあるのだなと感じました。
――その後、フレッシュトーナメントで先発しましたが、この試合について振り返っていかがですか
その前の試合で1個上の雪山さん(幹太、教3=東京・早実)がいいピッチングをされて、その流れに乗って自分も抑えようと思っていましたが、初めて神宮のマウンドで投げるということもあって少し乱れてしまいました。自分の納得できるようなピッチングはできなかったのですが、悪いなりにうまく試合をまとめられたかなと思います。
――悪いなりにという話でしたが、その部分を良くしていくにあたってどのようなことが必要になると感じましたか
実際フレッシュでもそうでしたが、球速はある程度ないとリーグ戦で投げようと思ったら、ちょっと厳しいのかなと思いました。
――冬に入ってからは球速を上げていくためのトレーニングなどもやりましたか
そうですね。球速を上げるためにも課題であった体力づくりと体重増加に取り組みました。
――大学に入って1年が経ちましたがこの1年間、どのような部分でレベルアップしてきたと感じますか
入部当初は今までプレーしてきたことがないような人たちと一緒の舞台でプレーするということもあって少し不安であったり、自分がどれぐらいできるんだろうというのが正直いろいろありました。それでも、この1年間いろいろな経験をさせてもらって自分でも力をつけていけば十分戦っていけるなと感じています。
――技術的な面ではいかがですか
技術的にはこの1年間というよりは高校野球を引退してからだと、球速も10キロぐらい上がって、変化球とかも自分の思ったようにコントロールできるようになっているので、今年の1年というよりは高校野球を引退してからだと成長曲線が大きいのかなと感じています。
――ここまでのオープン戦での投球を振り返って100点満点で評価するとしたら何点になりますか
70点でお願いします。
――その70点の根拠は
オープン戦が始まって何試合か投げさせてもらって、調子が悪い時ももちろんありますが、その中でも与えられたイニングを無失点で投げられているのでそこは評価できるのかなと思います。
――今日の試合はあまり良くありませんでしたが、その前までを振り返って好投の要因はどこにあると考えていますか
小宮山監督からピッチャー陣は、「3球で追い込め」ということを練習から言われていて、自分自身それは大事なことだと感じています。練習の時から3球で追い込むということを意識した結果が、今回のオープン戦の結果につながっているのかなと思います。
――3球で追い込むためにどういった投球をされていますか
自分のイメージでは最初から厳しいところに丁寧に丁寧に(投げる)というよりは、バッターと対戦しているので、打者に向かっていく姿勢というのを大切にして、丁寧かつ大胆に(投げる)というイメージです。
――丁寧かつ大胆に投げるとはどういった投球なのでしょうか
コントロールを意識するあまり初球から厳しいところに投げてボールカウントが続いてしまうと、自分的にも苦しい投球になってしまって、流れもよくないので。コントロールは大切ですが、その中でも初球とか入りというのは真ん中に強い球を投げるというのを意識しています。
――ここまでのオープン戦で短いイニングを投げる中で三振も取れているように感じますが、その辺りについてはいかがですか
結果的に三振が取れているということは非常にいいことだと思いますが、自分のタイプとしてそんなに三振をたくさん取るようなタイプではないです。自分の場合は変化球、まっすぐを低めに集めてキレや牽制、フィールディングといったところで総合的に勝負するタイプだと思うので、三振を取れるに越したことはないですが、そこで三振を取ろう取ろうと勘違いせず、今まで通り投げたいなと思います。
――ボールのキレの部分はどのように出していますか
特別こういう練習をしたらボールのキレがついたとかはなくて、最初から比較的ボールの回転とかはキレの方だったのかなと思います。
――好投の中で失点もありますが、課題になっている部分はありますか
今日の試合もそうですが、任されているのは短いイニングで、その中で無駄な四球であったり、追い込んでから変化球が高めに浮いてしまったりするので、今の課題は無駄な四球をなくすことと変化球の精度だと感じています。
――オープン戦でずっと投げられていて監督からの期待もあると思いますが、その辺りについてはいかがですか
期待してもらっている以上はしっかり結果を残さないといけないと思うので、まずはしっかり結果を残すということを意識して頑張っています。
――その中で、ご自身では結果は残せていると感じますか
今のところ1イニングという短いイニングですが、無失点の試合が多いのでそういった面では比較的(結果を)残せているのかなと思います。
――昨年のフレッシュトーナメントでは先発でしたが、先発の時とどの辺りが違うなと感じていますか
先発の時とは違って、リリーフだとイニングが限られているので、今は本当に全力で投げているという感じです。それが先発になるとやはり長いイニングで、バッターを見ることや力加減も必要なので、そこが先発とリリーフの大きな違いかなと思います。
――ここまで1点差や同点など競っている場面で登板する機会も多いように感じますが、この辺りについてはいかがですか
やはりリリーフというのは終盤の1点差とかの場面で登板することが多いと思うので、その中でちゃんと自分の持っている力を最大限発揮させられるか、ということが大切なのかなと思います。
――緊張などはありませんか
そうですね。緊張とかはあまりしないです。去年の初めて投げた練習試合とかは緊張しましたが、今年に入ってから試合での緊張はそんなにないです。
「早稲田大学のリーグ優勝、日本一に貢献できるような投手に」
2日に行われたJFE東日本戦で登板した加藤
――大学の先輩で目標とする選手はいますか
やはり徳山さん(壮磨、スポ4=大阪桐蔭)、西垣さん(雅矢、スポ4=兵庫・報徳学園)とかですね。実力もそうなのですが、練習態度であったり、練習が終わってからの自主練もすごくされているので、やはり上の舞台で活躍するためにはそのぐらいしなければいけないのだなと日々感じています。
――チーム内で意識している選手はいますか
同学年だと、(スポーツ科学部の)アスリート選抜の飯塚(脩人、スポ2=千葉・習志野)、清水(大成、スポ2=大阪・履正社)はもちろんなのですが、早実出身の伊藤(大征、社2=東京・早実)というピッチャーがいて、伊藤を意識しています。アスリート選抜の2人もすごいのですが、その2人以外でとなるとこれから切磋琢磨して、お互いのレベルアップに刺激を与えられそうな(選手)と考えた時に、やはり伊藤が自分にとってはライバルになるのではないかと思います。
――別のインタビューで1個上の原(功征 スポ3=滋賀・彦根東)選手が意識する選手として加藤選手を挙げていましたが、今聞いてみてどのように感じますか
昨年のリーグ戦は、自分の1個上のピッチャーは原さんしか入っていませんでした。原さんには練習の時からいろいろ優しく教えていただいたりしています。やはりどうしても推薦や強豪校や附属から来た選手がベンチ入りには多くなってしまうと思うのですが、原さんも一般入試で入ってきている方なので、自分は指定校で少し違う形ですが、そこの部分は一緒だと思うのでお互い頑張りたいなと思います。
――他大学で意識する選手がもしいたら教えてください
まだリーグ戦で投げていないので、特別どの選手を意識するとかはないのですが、昨年のリーグ戦で出ていた自分と同じ代の選手は対戦した時には抑えたいなと思います。
――今後学年が上がっていきますが、大学を通しての最終的な目標は
今は4年生に徳山さん、西垣さんといった目標となるような先輩たちがいるので、今年1年で多くのことを吸収して、それを活かして最終的には早稲田大学のリーグ優勝、日本一に貢献できるような投手になりたいと思っています。
――最終的には先発でいきたいですか
そうですね。最終的には先発を目指していきたいです。
――リーグ戦に向けて自分のアピールポイントを教えてください
与えられたイニングをしっかり抑えるということはもちろんですが、そこでさっき言ったボールのキレであったり、牽制であったり、フィールディングというのを活かして、抑えられればいいなと思います。
――最後に今シーズンの目標とそこに向けての意気込みをお願いします
今シーズンは、まずはリーグ戦で登板するということを目標にして、与えられたイニングをしっかり0で抑えて、チームの優勝に貢献できるように頑張りたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 山床啓太)
◆加藤孝太郎(かとう・こうたろう)
2001(平13)年11月20日生まれ。178センチ、74キロ。下妻一高出身。人間科学部2年。投手。右投右打。目標とするプロの選手として東北楽天ゴールデンイーグルスの岸孝之投手を挙げた加藤選手。岸投手のようなキレがあって伸びるまっすぐを投げたいそうです。今シーズンはリーグ戦初登板を果たし、チームに勝利を呼び込む投球をしてくれることに期待です!