これまでの3年間共に切磋琢磨してきた同期の3人、山下拓馬(法3=埼玉・早大本庄)、森田直哉(スポ3=早稲田佐賀)、福本翔(社3=東京・早実)。大学へは早稲田の附属・系属校から内部進学したという共通点を持つ。東京六大学野球秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)で優勝を掴んだ瞬間、彼らはどのような思いを抱えていたのか。そして、最高学年となり、目指すものとは。新体制開始直後の率直な気持ちを聞くことができた。
※この取材は12月19日に行われたものです。
「すごくいい雰囲気でスタートできている」(福本)
笑顔で取材に答える福本(右)、森田直(中央)、山下
――新チームが始まって雰囲気はいかがですか
福本 秋のリーグで優勝して、どういうチームだと優勝するのか、こういうチームなら強くなれるのだなというのをみんな目の当たりにしましたし、早川さん(隆久前主将、スポ4=千葉・木更津総合)からも最後引退するときに「強い早稲田を継承して、さらに強いチームを作ってくれ」というふうに言われました。自分たちも“強い早稲田”を最初に目標に掲げた中でやっぱり全員高い意識を持って毎日練習に取り組めている、すごくいい雰囲気でスタートできているなと思っています。
森田直 自分は優勝を経験できたので、モチベーションが高く保てていると思います。また、(今年は新型コロナウィルスの影響で)日本一になるチャンス(明治神宮野球大会)がなかったので、自分たちは日本一になるんだという気持ちでみんな取り組めていて、非常にいい状態でやれているなと思います。
山下 秋優勝したのは、4年生のおかげで勝てた部分が非常に大きくて。そういうのを見ていた自分たちだからこそ、自分たちが最上級生になって自分たちの力で勝ってやろうという思いが強いです。早川さんも「強い早稲田を取り戻す」と言っていたのですが、自分たちもミーティングをしてきて、常勝集団を作るというのが、一つのテーマとして上がっているので、それに向けて各自がいい雰囲気でいい考えを持って意見を交換したりしながらやっていけているかなと思います。
――主将、副将に抱く印象はいかがですか
山下 まず、主将は丸山(壮史、スポ3=広島・広陵)ですが、変人なので彼は(笑)。野球に対してはすごく真面目で、取り組む姿勢とかも素晴らしいものがあって、みんなの見本になるのですが、オフになったときにやっぱり関西人の血が騒ぐのか、ふざけだすことが多く、楽しくチーム作り雰囲気作りどっちでもいい感じで。まぁキャプテンらしくはないかもしれないですが、まとめてくれているなという印象があります。岩本(久重、スポ3=大阪桐蔭)はバッテリーで結構話すことも多くて、自分としては岩本がキャプテンなのかなとずっと思っていたので、少し意外だったところはあるのですが、副キャプテンとして丸山と話しているところもよく見ますし、もう一人のキャプテンみたいな感じで、チームをまとめているところはすごくいいなと感じます。あとは、岩本くんはよく自分を殴りにきます(笑)。まぁ、そこは楽しみながらやっています(笑)。
森田直 自分も2人の印象としては関西人なので、練習を盛り上げるのが上手で、常にチームをいい方向に持っていいこうとしているので、すごいなと思います。その中で練習終わった後も、首脳陣とかとミーティングを重ねたり、2人で話したりしているところも見るので、チームのために率先して動いていて(主将副将は)すごくいい2人になったなと感じています。
福本 丸山に関しては自分に厳しい男でありながら、周りが見えていてすごく優しいやつだなと感じています。自分に対してプレッシャーをかけながら結果を求めて誰よりも練習しているし、その姿は自分も含めてチーム全体がすごいな、これについていかなきゃ駄目だなと思うので、そういう意味で丸山は背中で引っ張るというか、周りに対しても優しく、気配りができると自分は思っています。岩本はやっぱり山下も言っていたと思うのですが、キャッチャーという部分でもグラウンドの要というかまとめるのがすごいうまいなと思います。4番でキャッチャーですごくプレッシャーがかかる中で、ああやって試合にずっと出続けて、チームを引っ張っていく姿というのは味方としてかっこいい男だなと思います。
――最高学年になることに感じることはありますか
森田直 優勝できたのは4年生のおかげって山下が言っていたと思うのですが、本当に4年生の力があっての優勝だったと思うので、今年は自分たちが4年生となって早稲田を一番強い集団に持っていけるようにやっていかないといけないと思いますし、試合に限らず日頃の練習から勝ちにこだわった姿勢というのを見せていくことが必要なんじゃないかなと思います。
山下 自分は新4年生になるにあたって、言った通り、優勝するには4年生の力がキーになってくるというのはあるのですが、自分の代で優勝することだけではなくて、その先も見据えていく、強い集団、常勝集団を作ると考えたときに自分たちが下級生を導いていかなきゃいけないというのがあると思います。それた道にいかないように、指導という言い方はあれかもしれないのですが、積極的に会話したりして、指導という言葉しか出てこないや(笑)。指導していかないといけないかなと思います。
福本 自分は3年間やってきて、4年生の強さというか、4年生の姿がチームの強さに直結してくるというのは、すごく自分の中では感じています。良くも悪くも自分たちの姿がチームに影響を与えるのは間違いないので、自分たちが日本一になるというのを口に出しているからには、やっぱりそれなりの責任が4年生にあると思いますし、その責任をしっかり果たしていく行動はとらなきゃいけないので、そこは意識しています。山下も言っていたように今年だけ強ければいいというわけではなくて、これからずっと強い早稲田を作るというのを考えたときに、1個下、2個下、来年は3個下も入ってくるので、その子たちに「この人たちのように、それ以上にならないとだめなんだな」と感じてもらえるように、今意識してやっています。
――学年としての雰囲気はいかがですか
福本 学年としての雰囲気(笑)。
森田直 いいんじゃない(笑)。
一同 (笑)。
福本 一人一人がすごい考えているというか、自分なりに「日本一になるためにどうしたらいいんだろう」という考えをそれぞれしっかり持っていて。それをみんな自分はこうした方がいいと思うというのを結構みんな口にする代なのかな、遠慮とか少ないのかなと思っているので。自分的にはチームなのでいろいろな人がいて、いろいろな考え方があっていいと思いますが、みんな目標が一つだとチームは強くなっていくと思うので、非常にいいなと感じています。森田はどうですか(笑)。
森田直 今のが正解(笑)。
山下 俺は言うわ(笑)。今まで自分たちの代って結構我が強い代だと思うのですが、今までバラバラの方向を向いていたのが、優勝を経験したことで、優勝(という一つのもの)にみんな向き始めたというのがあります。また自分たちの代でノートを1人1日1ページ、書くというのを始めたおかげで、「こいつがこんなこと考えていたんだな」とか、そいつの行動だけでは分からないことも言葉にして見れるので、そいつの考えていたことも分かるようになって。それで、より仲が良くなって、チームの雰囲気も良くなって、より一つの方向を向いてやっていけているように感じます。
――ノートには具体的にどのようなことを書いているんですか
山下 基本的に何を書いてもいいのですが、今のチーム状況について自分が考えていることとか、チームに役立つために自分がこうしないといけないというのをある程度書いた上で、最後に、来月の自分に向けてのメッセージみたいなのを書くという感じですかね。
――秋季リーグ戦について振り返っていかがでしたか
福本 森田さんいかがでした?
山下 森田トリにとっておこう(笑)。
森田 背番号順にいこう。
山下 自分から行きます(笑)。自分は秋では明治東大慶應立教、4試合投げさせてもらったのですが、自分の思い通りのピッチングが出来た試合というのはなくて。明治(2回)戦では森田のあと投げることになったのですが、自分が打たれてしまったことで、最後同点になったこともあって。正直その同点がなかったら、自分がそこで抑えていたら、もっと楽に優勝できていたと思いますし、早川さんとか先発陣にきつい思いをさせなくて済んだかなと思うので、悔しいですね。で、早慶戦、自分としては2試合目の1イニングしか投げる機会なかったのですが、そこはまぁ、0で抑えることができてよかったと思いますし、優勝、蛭間(拓哉、スポ2=埼玉・浦和学院)のホームランという感動的な逆転も経験できて、やっぱり野球は何があるか分からないと思いました。来年以降も気引き締めて一球一球魂込めて、一球入魂の自分たちの代のテーマのもとにやっていきたいなと思います。
福本 自分はこの秋で、シーズン通して試合に出る機会がちょっと多くなった中で、今までやってきたこと、自分は通用するのだなということと、まだまだ課題があるんだなということどっちも感じたシーズンでした。特にバッティングに関して言えば、この秋は左ピッチャーと対戦させてもらう、左ピッチャー対策のために出されることが多かったのですが、正直左ピッチャーは得意じゃなくて、どうなんだろうなって自分の中で思っていました。でも日頃の準備で、左ピッチャーを想定しながらやったり、シートバッティングで早川さんと対戦する機会があったりしたことで、「早川さんと対戦したらいけるっしょ」という自信もついて、それらが結果的にはこの秋いい結果にもつながりました。やってきたことは間違ってなかった、これをより良いものにしていこうというのは改めて感じました。逆に走塁とか、守備は、まだレベルアップしなきゃいけないし、それが自分の課題としてでたシーズンでもありました。あと、優勝する瞬間にグラウンドに立てたのは幸せなことだと改めて感じましたし、すごいいい経験ができたシーズンではありました。
森田直 自分に関しては反省しかないですが、自分が明治で投げて、2アウトまでとって2ストライクまで抑えていて、残り1球というところでホームラン打たれて1点取られて、そこから簡単に取られてしまったので、それで自分の秋のリーグ戦というのは終わりましたし、逆に自分はチームは優勝しましたが、チームに迷惑しかかけていないシーズンになってしまったので、そこはふがいないなというふうに思いましたし、逆に18番という番号をいただいているにも関わらず、その価値を下げてしまうようなピッチングをしてしまっているので、そこに関しては自分に自覚を持ってやっていかないといけないのかなと感じています。
――個人のプレーを点数で表すなら
山下 結構やっているけど難しいんだよな(笑)。
森田直 自分は0ですね、ほんとに。そこに関しては。打たれて終わったシーズンだったので、今回は0点だと思うので、来年以降いい点数を自分にあげられるように自分は頑張ります。
山下 自分は65点くらいですかね。というのも、明治戦(2回戦)を抑えられなかった。前のピッチャーがまぁ森田なのですが、早めに代わっちゃったときに、こいつなら抑えてくれるだろうという気持ちを持って出してくれていると思うのですが、それに応えられなかったというのと、立教戦(2回戦)も0で抑えはしたんですけど、あれも熊田(任洋、スポ1=愛知・東邦)のファインプレーがあったから抑えられたわけで、あれを取ってくれていなければ、またそこで失点してあの試合も勝ててなかったと思うので、あんまりいい点は与えられないかなと思います。それに加えて、リーグ戦前に「無失点、自責(点)0」って言っていたと思うのですが、無理だったので70点以上合格ラインだとしても、それ以上は自分の点数として与えられないと思っています。
福本 65か、山下(笑)。
山下 高くていいんだよ、全然(笑)。
福本 自分はじゃあ、70点で。さっきも言ったんですけど、打撃に関しては、ある程度チームに貢献できたと言えるかなというところで、点数は高いのですが、走塁では逆にチームに迷惑をかけてしまった部分があったので、そういうところで70点なのかな。でも、バッティングも守備も攻撃も全部レベルアップして走攻守全てで貢献してこそ100点だと思うので、そこ目指して頑張ります。
――優勝に関して改めて振り返っていかがでしょうか
山下 最高です。ベンチにいたのですが、あの瞬間にマウンドに駆けていくあのときは最高ですね。なあ、森田(笑)。
森田直 そうですね、(スタンドから)見ていたのですが、あれはいいなと思いました(笑)。
一同 (笑)。
福本 マウンドに駆け上がる瞬間も最高だったし、優勝してスタンドに向かって走っていって、応援してくれていた森田をはじめ、4年生だったり、応援団、リーダーの人だったり、吹奏楽の人だったりチアの人だったり、もうたくさんの人の喜ぶ顔が見えて、こんな幸せなことはないなって個人的に思ったし、みんなも思っただろうし、みんなが報われた瞬間だったなと思います。
山下 挨拶している瞬間やばかったよな(笑)。
福本 やばかったね、最高だったね。
山下 「たくさんの感動をありがとう」ってね。こっちこそ感謝しかしてないから、みたいな。(森田を見て)まぁ分かんないと思うけど(笑)。
森田直 そうなんですね(笑)。
山下 そんな感じです。
「緊張せずリラックスしてマウンドに向かえた」(山下)
昨秋の慶大2回戦で好投した山下
――ここからお一人ずつ、質問させていただきます。山下選手からお伺いします。春季リーグ戦でデビューを飾り、転機となる1年でしたが、今年の収穫は
山下 もともと肩肘が弱くて、2日連続で投げられないと散々言われてきた中で、前の日に早川さんのようにほぼ投げることがないまま、ブルペンで肩を作って、次の日に出番があったら投げて、そうやって連投できるようになったことはまず1つの収穫です。あと結構言ってきているのですが、レベルが高いといわれる六大学の中でも、チェンジアップが腕を振れれば打たれない、まっすぐが走りさえすればそうそう打たれないとはっきり分かったのが収穫だと思います。
――今季印象に残っているのはどの試合でしかた
山下 (秋の)早慶戦ですね(笑)。春も自分の中では印象的だったですが、秋には勝てないです。自分は2戦目ですね。優勝はもちろん、蛭間の感動的な逆転ホームランももちろん、自分があそこで投げたというのが大きいです。 あの試合はなぜか、緊張せずリラックスしてマウンドに向かえたので、「打たれないな」と思いながら投げました。
福本 すごいわ(笑)。
――緊張しなかったということですが、自分の中で練習や考えに変化があったのでしょうか
山下 大して変えていませんが、変えたことは試合前、登板前の気持ちの持ち方というところで、「今まで出番がくる、やってやるぞやってやるぞ」と考えていたのですが、秋の終盤以降は「どうせ出番ないっしょ」みたいな、「早川さん抑えるし、徳山(壮磨、スポ3=大阪桐蔭)先発して西垣(雅矢、スポ3=兵庫・報徳学園)挟んで今西さん(拓弥、スポ4=広島・広陵)柴田さん(迅、社4=東京・早大学院)で終わりじゃね」みたいな。結構それくらいリラックスした気持ちでいったら、緊張でがちがちになることなく、いい感じに肩もあたたまって、腕が振れたので、来年以降もこのままいけば投げることになると思うのですが、気楽に余裕っしょくらいの気持ちでいければいいかなと思っています。
――バッテリーのコミュニケーションについて、いかがですか
山下 試合後の、配球どうだったとか今日はこのボールきれて、このボールだめだったなというのはもちろんですが、やっぱりそれだけじゃなくて日頃のくだらない話、岩本だったら自分を殴りにくるので、そういうところからもコミュニケーションとか、仲良くなればなるほど話しやすくなっていくと思うので、大事にしています。殴られながらオーバーにリアクションとって、岩本くんを喜ばせてあげてます(笑)。
――続いて森田選手に質問します。今季は春秋それぞれ一試合のみの登板となってしまいましたが、今年を振り返っていかがですか
森田直 けがから始まったシーズンで、いつ投げられるか分からないという状況の中で投げられるようになったのはよかったのですが、そこで結果を残さないといけない立場だったにも関わらず、残せなかったのでチームの勝利にできなかったことは反省点だと思います。
――優勝の瞬間はどのような思いでしたか
森田直 正直うらやましいなという思いもあったんですけど、それ以上に悔しさが強くて、自分がベンチに入れていたら素直に優勝を喜べていたと思いますし、4年生にはお世話になった人も多かったので、そういう人たちと優勝の喜びをグラウンドで分かち合いたかったです。もちろん優勝自体はうれしかったのですが、それ以上に後悔が残りました。
――リーグ戦を終えて見えてきた課題はありますか
森田直 (秋季リーグ戦明大2回戦6回裏で)2ストライクからチェンジアップが浮いて、ホームランになってしまったので自分は決め球がないなと感じました。この冬は空振りが取れる変化球や、もう一度ストレートの質を意識して取り組もうかなと思います。
――早川選手、今西選手という左腕2人が引退されましたが、個人的にもらった助言などはありますか
森田直 自分が打たれたり、調子悪かったりした時は質問しに行っていました。同じ左ピッチャーとしていろんなことを教えてくださったので、感謝しています。引退される時、「『左ピッチャーがいない』と言われないようにお前が頑張れ」と声を掛けてもらったので、そこに関しては自分が自覚を持って投げたいと思います。
「(強みは)思い切りの良さ」(福本)
昨秋の法大2回戦で適時二塁打を放つ福本
――続いて福本選手にお伺いします。今年の春季リーグで神宮デビューを果たし、秋季リーグでは印象的な打撃もありましたが、今年を振り返っていかがですか
福本 正直スタートは最悪で、沖縄キャンプのメンバーにも入れず、キャンプは結局中止になってしまったのですが、2軍からスタートしました。どん底から始まった2020年で、コロナもあって練習ができない中、どうしても気持ちは下がっていた部分がありました。逆にコロナで全体練習ができなかったからこそ、練習再開した時に「こいつ変わったな、成長したな」と思ってもらうための時間を与えてもらったと捉えることが出来たので、自分の中で成長した部分を感じていて、それが打撃面での結果につながったのかなと思います。非常に山あり谷ありの2020年だったけれど、最終的には笑って終われたので、よかったなと思っています。
――ご自身で手応えを感じ始めたのはいつ頃ですか
福本 一番自分の中で違いを感じられたのはコロナ明けの最初の練習の時で、バッティングの力強さというか、飛距離、打球スピードというか、バッティング練習で伸びたというのは明らかに自分でも感じたのでやっと勝負できるかなというのをそこで初めて感じました。それでオープン戦に少しずつ出させてもらう中で、安定して結果が出せていたので、手応えというか“今年こそは”という思いが強くなりました。
――秋のリーグ戦での活躍は自信につながりましたか
福本 そうですね、2球団競合ドラフト1位の鈴木選手(昭汰、法大4年)から打てたので、「もうあれ打てたら打てるでしょ」というのは多少あります(笑)。自信はついたけれど、ここで止まっていたら成長できないし、次の春は結果残せないと思っているので、良いところだけとって、悪いところは変えていこうと思います。
――バッティングで意識していることは
福本 とにかくタイミングを合わせて強く振ることです。リーグ戦に出てくるピッチャーは球も速いし、キレのある変化球もあるし迷っていたら勝てないと思っています。ここにいる2人のピッチャーもいいので、対戦する時は割り切ってストレート狙うならストレートだけ、とにかく負けないように自分から先に仕掛けて強く振っていくというのを意識してやってきたので、それはリーグ戦で上手くできたかなと思います。
――ご自身の強みは何だと思いますか
福本 思い切りの良さですね。例えば初球を振ったりとか、そういうことができるのかなと思います。
――ここからは3人それぞれにプライベートの様子をお伺いします。まずは、お互いの良いところを教えてください
山下 見てもらったら分かるんですけど、2人ともかっこいいんですよ。
福本 森田には勝てない。
森田直 ありがとうございまーす。
一同 (笑)
山下 福本は英語ペラペラで、スペック高すぎます。
福本 森田良いところあるのかな(笑)。喋らなかったらかっこいい。
山下 そう、喋らなかったらかっこいい(笑)。
一同 (笑)
福本 森田はマッサージしてくれるのでそこは良いところですね。山下は、なんか知らないんですけど、リーグ戦中気づいたら隣にいたなという印象です。
山下 福本はいっつも自分のグローブ使ってキャッチボールするんですよ。
福本 新しくてかっこいいから使っていて、ルーティーンみたいになっていました。
――続いてお互いの直してほしいところを教えてください
福本 森田は約束守らないんですよ(笑)。
森田直 それはおかしいでしょ(笑)。
山下 そうそう、こいつは一番ドタキャンするんです(笑)。
福本 マッサージやってって言っても後でやっとくって言って結局1週間くらいやらないです。そこは人としてどうなのかなって(笑)。
山下 ご飯行こうって言ってるのに、ごめん無理ってなって結局行かないんですよね。福本はお調子者で、調子に乗るのも、冷めるのも早いのでついていけない時があります。
森田直 福本に関しては気分屋で感情に流されやすいと思うので、冷静になるところは冷静に行動して欲しいです。山下に関しては何だろな、自分に対してガツガツいじってくるので、もうちょっと穏やかないじりをしてほしいです(笑)。
福本 山下は話し出すと止まらないところがあるんですよ、今日一日何があったかとかを全部話すときがあるので、そこまで言わなくても良いなと思うところがあります。森田はもう諦めました。もうそれが森田なので、良さでもあるなと思っています(笑)。マッサージはしてな。
山下 俺にも。
森田直 時間あれば(笑)。
――練習以外の関わりはありますか
山下 たまに森田とはご飯いきますね。森田さんとご飯行ける時なんて滅多にないので、できるだけ楽しもうと思っています(笑)。福本は寮が一緒だったのでそこでよく話していました。同じ寮のメンバーではよくご飯行ってました。
福本 森田は食事に一緒に行ったことは一回もなくて。
森田直 いやあります!(笑)
福本 あ、多分2回くらいあるんですけど、やっぱり貴重な時間なので楽しい時間を過ごさせてもらっています(笑)。別に3人仲が悪いわけではないんですけど、そんな感じですね。
――みなさんどなたと一緒にいることが多いんですか
福本 自分は占部(晃太朗新人監督、教3=早稲田佐賀)ですね。あいつとは話足りないくらい遊んでるかなと思います。高鍬(尚也、政経3=石川・小松)、岩間(翔平、スポ3=東京・早実)とか、その辺とも仲良いです
森田直 自分は鈴木隆太主務(教3=早稲田佐賀)と高校からずっと一緒で寮でも基本的に同じ時間を過ごしてるので一番仲良いかなと思います。
山下 自分は内田(悠佑、文3=東京・早大学院)ですかね。あいつに大学入ってラップを勧められてハマったりとか、結構馬が合うのでご飯もいきます。あとは清水(大翔、スポ3=大阪・早稲田摂陵)ですかね。『荒野行動』を一緒にやってます。
――最近ハマっていることはありますか
福本 Def Techっていう歌手がいて、「My Way」っていう曲があるんですけど、最近よく聞いていますYouTubeで「THE FIRST TAKE」っていう一発撮りをやっているチャンネルがあって、元々(Def Techのことは)知っていたんですけど、そこに出て歌っていた「My Way」という曲がめっちゃめちゃかっこよくてハマりました。
山下 『荒野行動』は飽きてきちゃっているんで、強いていうなら『呪術廻戦』とかそのへんのアニメを見ていますね。最近『BLEACH』見ようかなと思っていて、昔やっていたそのアニメを1話から見始めています。
森田直 自分は『鬼滅の刃』にハマってました。全巻読んで映画も見たんですけど、感動しました。
山下 漫画もハマってますね、『キングダム』とか。全部読んでます。外に出られない分、漫画アニメとかになっちゃいますね。
「この代でよかったと思えるような終わり方をしたい」(森田直)
昨秋の明大2回戦で力投する森田直
――ここからは来シーズンに関する質問をさせていただきます。特に意識しているチームや選手を教えてください。
山下 チームはやっぱり慶應ですね。昨季優勝がかかった試合をやって、その時のメンバーほとんどが残っているのでめちゃめちゃ強いんじゃないかなと思います。その中でも同学年で日本代表候補になっている正木(智也、慶大3年)とかめちゃくちゃ打ちますし注意したいです。個人的には、橋本(典之、慶大3年)に春の借り(春季リーグ戦慶大戦で、山下は橋本典に決勝打を打たれている)を返せていないので、何回か対戦することがあれば全部三振をとりたいです。
福本 チームで意識するのは慶應ですね。早稲田にいる限りは、慶應は嫌でも意識しなくてはならない相手だと思いますし、もちろん他大学も意識はしているんですけど、特に慶應は意識しています。今回左ピッチャーと対戦することが多かったので、各チームの左ピッチャーは気になりますね。どういうピッチャーがいて、どんな球を投げるのか意識してみていきたいです。
森田直 自分も中学から早稲田なので慶應はずっと意識してきて、特に絶対に負けないという思いを持ってやっていきたいと思います。自分は他大学の左ピッチャーを見て、早稲田は早川さんと今西さんが抜けて左ピッチャーが手薄になったと思われたくないので、負けないように頑張りたいです。
――それぞれチーム内でどのような役割を果たしていきたいですか
山下 来シーズン以降、どのような形のリーグ戦になるかわかりませんが、勝ち負けとなると3戦目の結果が大事になってくるので、自分は3試合全部3イニングくらい投げる体力をつけて後ろは任せろと言える立場になっていきたいです。
福本 自分はやっぱり「走攻守すべてで活躍できる選手になる」というのを目標にやっているので、バッティングだけじゃなくて、走塁も守備もレベルアップしたいという思いがあります。また、外野手リーダーという役割になっているので、早稲田の外野手陣の守備は他大学と比べて突出して良いわけではないし、むしろ悪い方だと思っているので、自分中心に外野手のレベルを上げて、「早稲田の外野手変わったな」と思ってもらう象徴になれるように頑張ります。
森田直 自分は今年投げられなかった悔しさがあって、来季はラストシーズンでもあるので、中継ぎとして投げるところは先発にとって後ろ安心して投げられるピッチャーになりたいですし、個人的に18番をもらっているのでみんなが認めてくれる存在になりたいと思っています。簡単につけてはいけない番号だと思うので、後輩に受け継ぐにしても恥じない活躍をしたいと思います。
――この冬課題にしていることを教えてください
山下 まっすぐのスピード、コントロールをもっと上げて、分かっていても打てない、捉えきれないストレートを目標にしたいです。究極的に言えば、ど真ん中にまっすぐ投げてもカウントが取れるストレートを目指してやっています。自分はチェンジアップが持ち味だと思うので、春の法政戦のようなチェンジアップをコンスタントに投げきれるように自分的にフィットしたものをもう一回見つけて、完璧なピッチャーになりたいです。
福本 自分はさっきの走攻守の守備のところでいえば、送球ですね。あいつが守っていれば走れないとか回せないとか、どんな場面でも、例えばスタメンで出てもあいつのところ飛んだら無理だなと思わせたいし、後から守備固めみたいな形で出ていっても守りたいなと思います。慶應の去年の水久保さん(佳幸、慶大4年)が難しい場面でいきなり出されていてすごいなと思ったので、こいつだったら大丈夫だと思われるように送球に関してやっていきたいです。走塁に関しては自分は基本的な技術が足りないなと思うので、帰塁やベースランニング、ベースの回り方、走力とか細かいところからやっていきます。バッティングに関しては、もっと率も上げたいですし、力強さを求めてやっているのでフィジカルの強さを上げて、一冬越えて成長したいと思っています。
森田直 中継ぎで出ることが多くて、まっすぐで押していくスタイルになると思うので、まっすぐのスピードや質を見つめ直していくというのと、決め球がないので、チェンジアップやカットボールも試しているんですけど、どちらにせよ空振りを狙って取れるような球をこの冬しっかり身につけてリーグ戦で投げたいと思います。
――最後に今後の意気込みをお願いします
山下 個人的には、自責0、失点0を達成できなかったので、それを達成してチームの勝利に貢献し、全勝で優勝して日本一になりたいです。
福本 秋優勝した4年生の姿を見ているので、ああいう姿を見せられるように、リーグ戦春も秋も取って、日本一になってみんなで笑って終われるように頑張りたいです。応援お願いします。
森田直 自分は優勝に貢献できなかった悔しさがあるので、とにかく優勝に貢献する、ラストシーズンは春秋優勝して、みんなでこの代でよかったと思えるような終わり方をしたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 後藤泉稀、吉田美結)
◆福本翔(ふくもと・しょう)
1999(平11)年4月3日生まれ。178センチ、74キロ。東京・早実出身。社会科学部3年。外野手。右投右打。ハイスペック、お調子者などと表現されていたように、いろいろな面を持つ福本選手。今後は昨季光った思いっきりのいいバッティングだけでなく、進化した走塁や守備に注目です!
◆森田直哉(もりた・なおや)
2000(平12)年3月4日生まれ。180センチ、82キロ。早稲田佐賀出身。スポーツ科学部3年。投手。左投左打。悔しさの残るシーズンになってしまった森田選手。部内で“いじられ役”だということがよく分かる対談となりました。来シーズンこそは貴重な左腕の活躍に期待です!
◆山下拓馬(やました・たくま)
2000(平12)年2月29日生まれ。184センチ、90キロ。埼玉・早大本庄出身。法学部3年。投手。右投右打。森田選手に対するツッコミは最初から最後までキレッキレでしたが、終始笑顔で質問に答えてくださり、和やかな雰囲気は3人の絆の深さを感じさせるものでした!