これまで東京六大学リーグ戦(リーグ戦)への出場経験はないものの、春季オープン戦で存在感を見せていた眞子晃拓(教4=早稲田佐賀)。ここまでの3年間は怪我などにも悩まされ、辛酸をなめてきた。そんな眞子はこの冬どのような意識を持ち、どのような練習を積んできたのだろうか。春季リーグ戦への意気込みと共に語ってくれた。
※この取材は3月25日に行われたものです。
「一球一球真剣に」
質問に答える眞子
――春季リーグ戦が開幕直前になりましたが、現在の心境を教えてください
自分は去年まで全くベンチ入りなどをすることができていない状態でしたが、今年1年はいい感じに(調子が)きているので、楽しみな気持ちと不安な気持ちがあります。
――流行している新型コロナウイルスの影響を感じる点や日々の過ごし方の変化はありますか
新型コロナウイルスの影響としては、沖縄遠征が中止になり色々予定が変わってしまったところもあるのですが、それはプラスに考えてこっち(東京)でやれることを自分で考えているので特に影響などは感じていないです。日々の過ごし方の変化については部員が150人いるので外出したりするときはマスクをするなどの対策をしたり、あまり遠出をしないようにしています。
――オフシーズンについてお伺いします。オフシーズン全体ではどのように過ごしていましたか
今年のオフシーズンはスイング力をテーマに鍛えてきました。
――スイング力を鍛えるためにどのような練習をしていたのですか
いつもより重いバットを使いました。普段は900グラムのバットを使っているのですが、それよりも400グラム重い1.3キロのバットで振り込むということと、(練習の)量を増やしてスイング力を上げました。
――その練習の中で意識していたことはありましたか
一球を大事にするということは新チームになってからやってきました。杉浦学生コーチ(啓斗、文構4=東京・早実)は一球にこだわれとずっと言っているので、流す練習ではなく一球一球真剣に取り組むということを新チームになってからずっとやってきました。
――練習をして強化したことにより、成果として表れたものはありますか
やっぱりスイング力をテーマにやってきたので、スイング力が上がったな、ということは自分で実感しています。かなりボールを捉えられるようになり、よりミートの確率が上がったな、ということがありました。
――次はキャンプからオープン戦までについてお伺いします。毎年行われていた沖縄キャンプが中止になりましたがどのように捉えていますか
まああっち(沖縄)行ってもそんなにすることはないですし、自分は去年まで参加していないので、個人的にはいつも通りという感じでこっち(東京)でやるべきことをやりました。
――ここまでのオープン戦を経てレギュラーへの手応えを教えてください
手応えは感じています。ただ色々競争相手として鈴木萌斗(スポ3=栃木・作新学院)とも争っていますし、ライバルも多く、自分は去年まで全然(ベンチに)入っていないという状態だったのでがむしゃらにやるということを心がけてやっています。
――オープン戦をここまでしてきて自分の調子はどうですか
調子は悪くはないと思います。一番良いという状態ではないのですが、かなり良い状態ではあると思います。
――もう少し詳しくお伺いします。打撃面と守備面それぞれでの調子はどうですか
打撃面の変化としては、去年の秋くらいから今までバットを立てて構えていたのですが、それを寝かせて構えるということを杉浦学生コーチのアドバイスでしました。それが今はしっくりきているので、バットを寝かせることでミートする確率もあげることができて調子がいいですね。守備面ではこれまであまり1軍の試合を経験していないということもあり、ミスもしているのですが、練習でいっぱい(ミスを)出して、リーグ戦までにはミスなく完璧にできるようにしたいです。
――オープン戦ではセンターからライト方向に強い打球を飛ばしている印象がありますが、何か意識していることはありますか
センターに強く低い打球を打つということを心がけているので、それが結果としてセンター方向に飛んでいるのだと思います。ライト方向に飛ばしているのは当たる位置がずれてしまったら、ということなので狙っているというよりたまたまという感じですね
――ここまでオープン戦をやってきて自分の中で見つかった課題などはありますか
やっぱり力が入ってしまうことですね。試合慣れとかもあるのですが、試合になると力が入ってどうしても自分の思うように(体が)動かないというのが課題ですね。
――得点圏になると力が入ってしまうなどはありますか
ありますね。やっぱり結果を出さないと、と思って肩に力が入ってしまうので、そこは修正していきたいですね。
――先ほど杉浦学生コーチとの話し合いがあったとお伺いしましたが、監督や他のコーチとの技術面の話し合いはありましたか
打撃に関していえば徳武さん(定祐コーチ、昭36商卒=東京・早実)が主に指導してくれるのですが、徳武コーチには最短距離でバットを出せと言われています。自分もいいと思っていて、それは自分のバッティングにも影響を与えています。
――守備における技術面の話し合いはありましたか
送球にはこだわっていて、監督さん(小宮山悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)にはずっと送球のミスは致命的になると言われています。なので送球の練習などはこだわってやってきました。
「がむしゃらに」
春季オープン戦・駒大戦で適時打を放つ眞子
――次は眞子さんについてお聞きします。今年が大学生活の最後の年になりますがどう感じますか
これまで(試合に)出てきていないというのもあるので、挑戦するという気持ちでがむしゃらにやっていきたいです。これまで(積み重ねが)ない分、とにかくチャレンジして、その中で集大成としていい結果が出ればいいなと思います。
――これまでの大学3年間を振り返っていかがですか
チャンスをもらいながらもそれを怪我などで活かせなかったり、結果を出せなかったりと悔しい思いをしてきたので、最後の1年でしっかりもらったチャンスを活かせるようにがむしゃらにやっていきたいです。
――最上級生になって何か変わったことはありますか
後輩たちは上級生を真似するし、4年生がしっかりやっていかないと下も育たないので、自覚を持って率先して動き、一番声を出したり姿勢で見せたいですね。
――練習面で下級生とコミュニケーションを取ったりしますか
しますよ。ちょくちょくですけど練習の合間に後輩が聞きに来たり、自分のバッティングがどこか変じゃないかとか聞きますね。
――大学3年間を終えてここまでの自分の評価を教えてください
点数だと20点、30点ですね。
――20点、30点はどのような内訳ですか
新人戦などでは出場させてもらったのでその点ですね。自己管理の面では怪我など多くしてしまったので、その点でマイナスが多いですね。
――怪我が多かったのですか
そうですね。結構怪我しちゃって。チャンスをもらっているときに怪我をしてしまって、それがかなり自分の中では悔しいですね。
――チームでの自分の役割を教えてください
自分は言葉で引っ張っていくタイプではないので、野球に取り組む姿勢であったり、そういうところでチームにいい影響を与えていけたらいいなと思います。
――早大の選手でライバル意識のある選手はいますか
萌斗ですね。
――それは同じ外野手だからですか
そうですね。同じ右投げ左打ちでというのもあって。オープン戦もどちらかが出たり出なかったりというのもあるのでそこは大きなライバルですね。強敵です。
――野球部で仲のいい選手はいますか
仲のいい選手は真中(直樹、教4=埼玉・早大本庄)とか中島(活大、商4=香川・高松北)とか銀佑(金子、教4=東京・早実)とかは仲良いですね。
――何か仲の良い選手とのエピソードはありますか
真中と中島とはしょっちゅうどこかに遊びに行っていますね。
――プロアマ問わず目標にしている選手はいますか
今年メジャーに行った秋山翔吾選手(シンシナティ・レッズ)ですね。結構憧れでバットも秋山選手モデルを使っていますし、秋山選手のようになりたいと思っています。
――どういった理由で憧れているのですか
秋山選手はあまり大きな当たりを打つ選手ではないと思います。それでヒットを多く打つところは尊敬していますね。自分もホームランを打つというよりは低い打球で(ヒットを打つ)というのをやっていきたいので憧れています。
――春季リーグ戦についてお伺いします。春季リーグ戦の個人目標を教えてください
まずはレギュラーで出るということですね。出場できたら打率は3割は残したいですし、守備はノーミスでいきたいですね。
――リーグ戦で見せていきたい自分の持ち味はありますか
積極的なバッティングです。守備は飛び込んだりとかガッツのあるプレーを見せられたらな、と思います。
――春季リーグ戦に向けて今のチームの状態はどうですか
色々怪我人が出たりしていますけど、それをチームでカバーすることができていて、雰囲気的には悪くないですね。
――優勝に向けて良い雰囲気があるのですね
はい。まだまだ甘いところもありますけどそこは残りの期間でもっといいチームにしてやっていきたいですね。
――具体的にチームでどこが足りてないと思いますか
杉浦コーチもよく野球は準備が大切なスポーツだといっているのですけど、アップであったりキャッチボールであったりと、準備という点でまだまだできることがあると思うので、準備というところをチームとして突き詰めていければな、と思います。
――優勝するために今のチームに必要なことはありますか
練習試合などで守備のミスなどがまだあり、もっと集中していれば防げたミスもあると思うので、一球に対する集中力を上げていけば優勝は近づいてくると思いますね。
――チーム全体でそれを意識した練習はしていますか
新チームになったばかりの頃と比べて、やっぱり一球に対してミスしたらノックで指摘される声は増えてきたと思いますし、練習を変えるというよりは意識を変えるというふうにやっていますね。
――他大学で対戦したい選手はいますか
全員初めて対戦するピッチャーなので全てが楽しみですね。名前を挙げるなら三浦銀二(法大)ですね。同じ福岡出身なので個人的には対戦したいですね。
――警戒しているチームや選手はいますか。
慶大はやっぱり早大の最大のライバルだと思います。投手陣も結構(去年から)残るので脅威だと思いますね。選手だと誰というのは対戦したことがないのでわからないのですが、去年からずっと投げている投手は警戒していますね。
――最後に春季リーグ戦への意気込みを教えてください
やっぱり初めてのことなのでがむしゃらにやっていきたいというのと、出るだけではダメだと思うので、しっかり結果も求めながら一球一球集中して、挑戦者の気持ちで個人的にもチーム的にもやっていきたいですね。
――ありがとうございました!
(取材・編集 荻原亮)
がむしゃらなプレーでチームを勢いづけてくれるでしょう!
◆眞子晃拓(まなこ・あきひろ)
1998(平10)年5月7日生まれ。174センチ、75キロ。早稲田佐賀高出身。教育学部4年。外野手。右投左打。最上級生になっても挑戦者であるという気持ちを忘れない、と対談では話してくれました。そんな眞子選手が色紙に書いてくださった言葉は『一球』。これまでの練習で磨いてきた『一球』で決める打撃から目が離せません!