見殺しにされた投手陣―― 開幕カードを18イニング連続無得点で落とす/法大2回戦

野球
TEAM
早 大
法 大
(早)●徳山、今西、柴田―小藤

 屈辱的な試合となった。東京六大学秋季リーグ開幕戦を落とした早大は、前日に引き続き法大と対戦。先発の徳山壮磨(スポ2=大阪桐蔭)が序盤から丁寧な投球で粘り6回2失点と好投するも、加藤雅樹主将(社4=東京・早実)を中心とする主軸が得点の好機で相次いで凡退し、2試合連続の零封負けで勝ち点を逃した。

 先発マウンドに上がったのは徳山。昨季抑えを任されていた右腕は3季ぶりの先発登板だったが、序盤から丁寧にコーナーを突く投球で法大打線を寄せ付けない。「自分の真っすぐを武器にした」(徳山)と、140キロ台後半の速球を中心に凡打の山を築いた。しかし5回、先頭から連打を浴びると、前日3安打と好調の相馬優人(4年)に右翼線への適時二塁打を放たれ失点する。さらには1死二、三塁となり、次打者の内野ゴロを前進守備の二塁手・吉澤一翔(スポ3=大阪桐蔭)がファンブル。打者はアウトにし失策とはならなかったが、手痛い追加点を許した。徳山は6回を投げ、球数98球6奪三振の2失点。先発の役割を十分に果たした。その後は、連投の今西拓弥(スポ3=広島・広陵)と今季から抑えを任される柴田迅(社3=東京・早大学院)が無失点の好救援。安定感が光った。

6回2失点の徳山。先発の役目は十分に果たした

 打線は深刻な貧打にあえいだ。初回に1死満塁と絶好の先制機を迎えるも、5番の檜村篤史副将(スポ4=千葉・木更津総合)が二ゴロの併殺打。ベンチに不穏な雰囲気が漂うと、その後もなかなか走者を出せないまま試合終盤を迎える。ようやく7回に2死一、二塁の好機を迎え、この日コンディション不良でスタメンを外れていた瀧澤虎太朗(スポ3=山梨学院)を代打に送り勝負に出る。しかし空振り三振に倒れ、期待に応えられない。極めつけは2点ビハインドで迎えた8回。代打・佐藤純平(社4=東京・早実)のリーグ戦初打席初安打を皮切りに、中川卓也(スポ1=大阪桐蔭)の技ありプッシュバントに失策が絡み、無死二、三塁とこれ以上ない同点機をつくる。しかし、クリーンアップの福岡高輝(スポ4=埼玉・川越東)、加藤、檜村の4年生が三者連続で凡退し、まさかの無得点。法大の豊富な投手陣を前に、2試合連続で本塁を踏めず敗戦した。

8回の好機で空振り三振に倒れた加藤。開幕からいまだ快音なしだ

 優勝を掲げて挑んだ今季。その開幕カードで痛すぎる連敗を喫し、勝ち点を落とした。それでも、前日7回1失点のエース早川隆久(スポ3=千葉・木更津総合)、この日2失点の徳山ら投手陣は確実に力を発揮している。しかし、あと一本が出ない打撃陣があまりにもふがいない。早くも優勝には黄信号が灯ったが、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)は、「別のチームに生まれ変わるくらい、劇的に変えてみせる」と次カードの明大戦に向けて決意をあらわにした。その言葉を信じたい。

(記事 吉岡拓哉、写真 柴田侑佳、江藤華)

黄字は打点付き                 

早大打者成績
打順 守備 名前
(中) 蛭間拓哉 3 1 0 .286 二安   二ゴ   右飛        
  佐藤純平 1 1 0 1.000               中安  
  走左 田中雅也 0 0 0 .—                  
2 (一) 中川卓也 2 1 0 .200 投犠   右安     空三   一犠  
(三) 福岡高輝 2 0 0 .000 四球   投ゴ     四球   投ゴ  
(右) 加藤雅樹 3 0 0 .000 四球   左飛     中飛   空三  
(遊) 檜村篤史 4 0 0 .143 二併     三ゴ     見三 右飛  
6 (捕) 小藤翼 4 0 0 .143   一ゴ   空三     遊ゴ   空三
7 (二) 吉澤一翔 2 1 0 .333   左安   遊飛          
  田口喜将 1 1 0 .500             右2    
  走左中 山野聖起 1 0 0 .000                 空三
(左) 山田淳平 1 0 0 .000   一犠     ニゴ   四球    
  金子銀佑 1 0 0 .000                 中飛
9 (投) 徳山壮磨 2 0 0 .000   右飛     三ゴ        
  瀧澤虎太朗 1 0 0 .000             空三    
  今西拓弥 0 0 0 .—                  
  柴田迅 0 0 0 .—                  
早大投手成績
名前
徳山壮磨 1 0 1 6 4 0 6 2 2 3.00
今西拓弥 2 0 0 1 1 0 1 0 0 0.00
柴田迅 1 0 0 1 0 1 1 0 0 0.00
東京六大学秋季リーグ戦星取表
順位   明 大 法 大 早 大 東 大 慶 大 立 大 勝ち点 勝率
明 大     ○4-2
○8-0
    1.00
法 大   ○1-0
○2-0
      1.00
早 大   ●0-1
●0-2
      .000
東 大 ●2-4
●0-8
        .000
  慶 大          
  立 大          
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コメント

小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)

――勝敗の決め手は

もう点を取れないのが敗因なので。どうやったら点が取れるのか考えて、次(明大戦)までにしっかりとしたチームにしたいと思います。

――5回に2点を失った場面を振り返ってみていかがですか

まああれはね、徳山(壮磨、スポ2=大阪桐蔭)を責めることはできないので。吉澤(一翔、スポ3=大阪桐蔭)もね、2点目も(三塁)ランナーが突っ込んでくるのがつい目に入ってしまって、ということだから。でも2点しか取られていないので、こればかりはしょうがないですね。

――初回ももったいない攻撃でチャンスをつぶしました

もう今に始まったことではないので。そこはもう打開しなければいけないところです。

――7回、吉澤選手にはきっぱり田口喜将選手(商4=東京・早実)を代打に送りました

これは右ピッチャーということだったので、左の田口を使おうと。そういうことです。

――徳山投手の投球はいかがでしたか

十分です。

――8回には中川卓也選手(スポ1=大阪桐蔭)がセーフティバントを決めましたが、あれはサインでしょうか

企業秘密で。

――前日は「打席の中で各打者がもっといろいろと考えながらできるか」というお話もありました。そういった点からはどのように評価できるでしょう

もちろんね、オープン戦などを通じてあのようなことができるプレーヤーだということで2番に置いています。ですので、最後まで2番・中川でいきます。

――監督から見て、ベンチの雰囲気はいかがでしたか

負けていても空元気でいいから声を出すという、そういうチームではあると思うので。結果が出ればもっともっと雰囲気も上向いていくんでしょうけど、それまでは大変だと思うんですけれども頑張ります。

――次の明大戦に向けて

こんなもんじゃファンが許してくれないので、別のチームに生まれ変わるぐらい、劇的に変えてみせます。

加藤雅樹主将(社4=東京・早実)※囲み取材より抜粋

――得点が奪えない展開が続いていますね

みんなが何とかしようと思って打席に入ってはいるんですけれど、特にクリーンアップを打っているずっと主力を張っていた4年生を中心に、硬さがあると思います。

――チームのために、と思えば思うほど硬くなってしまう部分もあるかと思います

うーん。改めて、やっぱり野球って難しいですね。チームのためにと言っても、チームのために動くっていうのがどういうことかはっきりしないですし。チームのためにチームのために、と思い過ぎて重くならないように、ということは、このあとみんなに伝えようと思っています。

――8回の好機の場面では、どのような狙いで打席に入っていましたか

ゴロを転がせば1点入る場面だったので、何とか前に飛ばそうと思っていました。スライダーは泳いででもバットに当てて、と思っていたんですけれど、前に飛ばすことができなかったです。

――2日連続で法大が小刻みな継投策を取ったことは、打者としていかがでしたか

嫌でしたね。左サイドハンドの新井(悠太朗、4年)とは必ず一度当たりますし、良い感覚になってきたと思ったら代わってしまうので。

――好機を生かせない展開が続いています

迷いが生まれているのも、「ここでボールを振ったらいけない」とかいろいろなことを考えてのああいった結果なので。やっぱりメンタルが大きな要因なのではないかな、と思います。

――打席の中で考えてしまっている、ということですか

そうですね。打席に入る前に整理を付けているつもりでも、「ここはこうした方がいいんじゃないか」とか。

――開き直って攻めていく、という方針ですね

そうですね。重くなっても仕方ないので、自分への戒めも込めて、そうチームのみんなには伝えようと思います。

――次戦は昨季優勝した明大との対戦となりますが

雰囲気を良くしようみたいなことも(改善策として)ありますけれど、それよりもまず点を取らなければいけないので。いかに実戦で打つかということだけ考えて過ごしていけたらと思います。

小藤翼副将(スポ4=東京・日大三)

――今の率直な気持ちを聞かせてください

実質自力優勝がなくなって厳しい状況なんですけど、ここで落ち込んでいてもしょうがないので、この後の4カードを勝ち切るつもりでやっていきたいと思います。

――投手陣について、先発の徳山壮磨投手(スポ2=大阪桐蔭)はどのような配球を意識しましたか

徳山の持ち味は真っすぐなので、相手が狙ってきているのは分かっていたんですけど、真っすぐで押せるところは押していこうと話していました。

――実際に球を受けていて、きょうの徳山投手の調子はどのように感じましたか

きょうはオープン戦も含めて、自分が受けた中では一番調子は良かったと思います。

――その中で、5回に連打で走者を許し2失点しました。あの回を振り返っていかがですか

最初の連打は低めを突いていた中で打たれたので仕方ないといえば仕方なかったんですけど、適時打を許した相馬選手(優人、4年)は前日も適時打を放っていて調子が良かった中で変化球が甘めに入ってしまったので、満塁にしてもいいくらいの気持ちで攻めるべきだったのかなと思います。

――打撃陣について、きょうは好機であと一本が出ずに零封されました。振り返っていかがですか

ところどころ好機はつくれているんですけど、そこであと一本が出ないだったり、好機をつくれない回もすごく淡白な攻撃になってしまっているので、打撃陣でもう一度見直していかないといけないと思います。

――最後に、次カードの明大戦に向けての意気込みをお願いします

この2試合は投手はすごく頑張っていたので、次は打撃陣で投手を支えたいです。守備面では、今まで通り粘り強く最少失点で抑えたいと思います。

吉澤一翔(スポ3=大阪桐蔭)

――きょうの結果を受けて率直な気持ちをお願いします。

だいぶ悔しいです。

――課題としていたベンチの雰囲気はどうでしたか

打てないので悪かったのですが、ベンチの雰囲気というか点取らなあかんなという感じでした。

――5回の守備で球をはじく場面がありました。振り返っていかがですか

間一髪のプレーという球際が大事になってくるところでやってしまったかなと。自分の力不足です。徳山(壮磨、スポ2=大阪桐蔭)に申し訳ないことしたなって気持ちです。

――焦りもあったのでしょうか

ありました。

――打撃では2回には安打を放ちました。現在の調子はいかがですか

悪くなかったですし、調子よりも塁に出ようという気持ちで打ちました。

――最後に次の明大戦へ向けて意気込みをお願いします

まだ可能性はあるので、チームでやるしかないと思ってます。

瀧澤虎太朗(スポ3=山梨学院)

――試合を終えて今のお気持ちをお願いします

このカードを落としてしまったのは自分の責任だと思っているので、きょう何とかチームのために活躍したいと思っていたのですが、なかなか厳しかったです。残りのカードでチームのために頑張りたいと思います。

――代打を告げられたのはどのタイミングでしょうか

回が始まるときに、ピッチャーのところでいくぞと指示がありました。

――打席に入る前に山田淳平選手(教4=東京・早実)からの伝言がありましたね

ピッチャーの球種を教えていただきました。

――2死一、二塁の好機で回ってきました。打席を振り返っていただけますか

きのうからずっとチャンスで回ってくるのを想像しながら過ごしたのですが、きのうの夜にメンバーに入ることになって、ずっと準備していたのですが、そう簡単には打てなかったです。

――本調子でないことの影響はあったと思いますが

それは全く(ないです)。

――体の調子が戻るまでは代打起用が続くのでしょうか

きょう帰ってから監督と話すと思います。自分は明治戦に合わせて、そこでスタメンで出られるようにしたいと思います。

――今後に向けてお願いします

4年生の最後のシーズンで、いきなり自分が多大な迷惑を掛けてしまったので、償うではないですけど、自分が後の4カードで結果を残してチームに貢献するしかないなと思っています。4年生とできる期間も残り少ないので、チームが勝てるようにまずは明治戦に向けてしっかり準備していきたいと思います。

徳山壮磨(スポ2=大阪桐蔭)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

自分としては打者陣が援護の点を取ってくれるまでは無失点でいこうとしていたので、自分が2失点してしまったことが反省点だと思っています。

――立ち上がりは上々だったと思います

打線の強い法大が相手なので、自分のストレートを武器にして真っすぐ中心で投げていこうと思っていました。その結果が序盤にいいテンポで投げられたことにつながりました。

――1回の三者連続三振を含め、2回までに5奪三振でした

三振にはあまりこだわりはなかったんですが、しっかり投げられていたことがこの結果になったんだと思います。

――失点のあった5回は安打が続いてしまいました

真っすぐでもっと押して投げても良かったのかな、とは少し思います。ちょっと心残りというか悔いが残るんですけど、変化球が甘く入ってしまったのでそこを狙われたかなと。

――5、6番打者に連打を浴びた後、バントを防いだ直後の適時二塁打となりました

何とか粘ろうとしたんですけど…。そこもストレートから入れば良かったなって感じです。

――結果としては2失点ということですが

これが実力ですね。でもほぼ初めての先発ということで少し緊張した部分もあったんですけど、もっとやれたんじゃないかっていう気持ちもあります。

――明大戦に向けてお願いします

もう優勝のためにはとにかく勝つしかないので。勝ちにこだわってチームのために投げ抜きたいと思います。

中川卓也(スポ1=大阪桐蔭)

――本日の試合を振り返っていかがですか

悔しい負けですね。

――個人としては3回に安打を放ちましたが、打席を振り返っていかがですか

真っすぐで(初回の)バントもいい感じにボールが見えていたので、打てるかなという感じで打席に入りました。1本出たので気持ち的には楽になりました。

――8回にもセーフティバントを決め出塁しました。個人としての状態は上向きと捉えていいでしょうか

口に表すのは難しいんですけど、しっくりくる感じはあるので、この状態をキープしながら向上させてやっていきたいなと思います。

――きのうよりは手応えを感じますか

そうですね。きょうも東伏見で練習してから来たんですけど、いい感じに打てていたので、きょうは打てるかなと思って来ました。

――しっかりと切り替えられたと

そうですね。第1戦も状態としてはそんなに悪くなくて、相手のピッチャーが一枚上手なだけなので自信を持っていきました。

――開幕戦を落としてしまいましたが、今のチームの雰囲気はいかがですか

ここからはい上がっていくしかないと思います。開幕ゲームとしてはどん底からのスタートだと思うので、もう落ちることはないので、ここからしっかり上がっていきたいなと思います。

――最後に、明大戦に向けての意気込みをお願いします

(明大は)ピッチャーももちろんいいですし、しぶといバッターがそろっているので、厳しい戦いになるのは分かっているんですけど、やっぱり早稲田らしい野球というのを見せて粘り強く勝ちたいなと思います。