鮮やかな逆転劇で白星!エース早川は6回被安打ゼロの快投/共栄大戦

野球
TEAM
共栄大
早 大
(早)早川、○田中星、柴田、徳山―小藤、岩本
◇(二塁打)瀧澤

 先月29日の筑波大戦で大勝を収めて以来、社会人対抗戦を含め3試合白星から遠ざかる早大。2週間後に迫った東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)初戦を前に勝ち癖をつけ直すべく、この日は東京新大学連盟の新鋭・共栄大を本拠地に迎えた。先発の早川隆久(スポ3=千葉・木更津総合)は6回までスコアボードに『0』を刻み続けたが、1点リードで迎えた7回。2番手・田中星流(スポ1=宮城・仙台育英)が逆転を許す。それでも直後の攻撃で3点を奪い主導権を握ると、残り2回を救援陣がしのぎ勝利を収めた。

 これが早大の新エースか――。暖かい日の光がさす穏やかな休日。安部球場へ足を運んだ観客にそう思わせる快投を披露したのが、紛れもなく早川だった。初回、先頭をわずか1球で遊ゴロに仕留める。続く2番打者には振り逃げを許すが、何ら動じることなく次打者を併殺打に切って取った。この日の直球は140キロ台前半だったが、「割合を増やしている」という緩い変化球を効果的に織り交ぜゴロアウトを積み上げていく。気が付けば、6回を投げ終え被安打ゼロ、無四死球。奪った18アウトのうち、ゴロアウトは実に11個を数えた。3月の長期遠征を終えた帰京後、早川が春季オープン戦で登板したのはこれで3度目。前の2戦では、常時140キロ台後半をマークする自慢の快速球で押し込み、三振の山を築く投球が目を引いたが、この日は一変。変化球でうまく打たせて取り、これまでとは違った投球スタイルを展開した。

6回を被安打ゼロ、無失点に抑えたエース早川

 すると、早川の力投に同級生が応える。この日もスタメンにずらりと多くの左打者を並べた早大打線は、相手の先発左腕・佐藤廉(3年)の外角への変化球に苦戦。試合前半、その打棒は鳴りを潜めた。しかし5回、1死から四球をもぎ取ると犠打で進め2死二塁。打席には1番・瀧澤虎太朗(スポ3=山梨学院)が静かに入る。カウント2-2から投じられた6球目だった。瀧澤がベルト付近の好球を振り抜くと、打球はぐんぐんと伸び右翼手の頭上を越える。二塁走者はゆうに本塁へと生還し、リードオフマンのバットで先制点をつかみ取った。

先制点をたたき出した1番・瀧澤

 7回から早大は継投モードに入る。だが、2番手・田中星が先頭に中前打を許すと、その後2死としてから適時三塁打を浴び、たちまち同点に。そしてさらに、味方守備の乱れの間にもう1点を献上する。ルーキー右腕が代わり端(ばな)を攻め立てられ、試合をひっくり返された。しかし、やられたらやり返す。直後の早大の攻撃、共栄大も2番手にスイッチした。ところが制球が定まらず、先頭・中川卓也(スポ1=大阪桐蔭)は4球で四球を選択。続く7番・田中星のところで、切り札・田口喜将(商4=東京・早実)が代打に告げられる。カウント3-2からの7球目だった。一塁走者・中川がスタートを切ったと思えば、打席の田口はヒッティング。打球は右前へと抜け、策が見事にはまった。無死一、三塁と好機を広げた早大は、攻撃の手を緩めない。続く8番・山田淳平(教4=東京・早実)に投じられた初球、田口の代走・山野聖起(法4=岡山・金光学園)が盗塁を企図。これも見事に決まり、無死二、三塁。すると山田は、次球のファーストストライクを積極果敢に振りにいく。ぐしゃりとバットが折れる鈍い音がしたが、打球は中堅手の前にぽとり。一気に走者2人が生還し逆転に成功した。『ツキ』が回ってきたようだ。さらに次打者が四球を選び打順を回すと、先頭に返り瀧澤。ここでも白球を中前に運び、さらに1点を加点する。この日の瀧澤は、左に右にセンターに3安打と気を吐き、チームに勝利をたぐり寄せた。主導権を握り必勝態勢に入った早大。8回を柴田迅(社3=東京・早大学院)、9回を徳山壮磨(スポ2=大阪桐蔭)が危なげなくピシャリと締め、4試合ぶりに勝利を収めた。

バットを折られながらも逆転の2点適時打を放つ山田

 鮮やかな逆転劇で白星を手にした早大。直近は負けが立て込んでいただけに、春季リーグ戦開幕前の良い景気付けとなったはずだ。エース早川は圧巻の投球を見せ、順調な調整ぶりをアピール。打線も試合序盤は苦しんだが、終盤の得点すべきところで得点し流れをがっちりとつかんだ。救援の柴田や徳山も力強い直球が健在であり、それぞれセットアッパー、クローザーとしての計算が立ちつつある。ともすれば案件となるのは、この二人にどうやってバトンをつなぐか。この日は田中星が一時試合をひっくり返され、先日神宮球場で行われた社会人対抗戦では、好調を維持していた藤井寛之(法4=福岡・東筑)が6失点と不安を残した。けがの影響で離脱している長身左腕・今西拓弥(スポ3=広島・広陵)の早期合流も待たれるが、開幕まで残された時間はそう多くはない。何とか『勝ちパターン』を整備し、盤石の臨戦態勢を整えてから第1カード東大戦を迎えたい。

(記事 石﨑開、写真 石﨑開、池田有輝)

 

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