【連載】秋季リーグ戦開幕前特集『逆襲の早稲田』 第7回 加藤雅樹×早川隆久

野球

 昨季、全試合で4番を務めながらも、わずか3打点に終わった加藤雅樹(社3=東京・早実)と第2先発として大きな期待を受けながらも、ゼロ勝に終わった早川隆久(スポ2=千葉・木更津総合)。高い潜在能力を持つこの二人が真価を発揮すれば、6季ぶりの王座はおのずと近付いてくるだろう。逆襲の秋に向けた強い思いを伺った。

※この取材は9月1日に行われたものです。

「秋は打点を増やしたい」(加藤)

昨季は好機での凡退が続いた加藤。巻き返しを図る

――まずは加藤選手。きょうのオープン戦(9月1日、対東芝○4-3)では、1番が福岡高輝選手(スポ3=埼玉・川越東)で3番が瀧澤虎太朗選手(スポ2=山梨学院)という打順になりましたが、その点はどう考えていますか

加藤 今まで3番を打つ選手がいなくて、そこで瀧澤が成長してきてくれました。今ははまっているので、いいと思います。

――早川選手は、瀧澤選手は同学年ですがどのように見ていますか

早川 頼もしい存在ですね。一言で表すと(笑)。

――開幕までちょうど1週間となりましたが、現在の仕上がりは何パーセントでしょうか

加藤 (少し考えて)…95!

早川 ケガ明けなので、60ぐらいですかね。

――加藤選手はだいたい毎試合1本ずつコンスタントに安打が出ていますが、状態はいかがですか

加藤 取り組んできたことは着実にできつつあります。なかなか思い通りにはいかないですけど、そういう意味では(状態は)いいと思います。

――髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)は「ブラジルに行ったメンバーは練習できていない」とおっしゃっていましたが、練習不足を感じることはありますか

加藤 まあ、多少は。多少振れていないとか、多少体ができていないとか。でも結構時間も経ちましたし、自分の中でも気になるものもないです。

――早川選手は、JX-ENEOS戦と東洋大戦では打たれるかたちになりましたが、打たれた要因はどこにあったと思いますか

早川 そうですね。変なプレッシャーを感じて。球自体は悪くないと周りからも言われているので、そこは気持ちの問題でした。

――どんなプレッシャーを感じていましたか

早川 1点リードしている中で逆転されることが多かったです。そこで、「絶対に抑えてやる」ではなくて、「絶対にここで抑えないといけない」というように不安要素のように、ネガティブに捉えてしまいました。

――春は開幕前に先発か中継ぎか分からない状態でしたが、秋は中継ぎということで、調整に関して意識の違いはありますか

早川 調整という調整も必要ないかなと思います。自分が試合の中で場面を見ながらブルペンで肩をつくって、行けと言われたときに100パーセントの力を出せるようにします。試合の中で準備ができるかなと思います。

――夏の遠征についての話に移ります。加藤選手は台湾で開催されたFISU世界大学選手権に出場されましたが、六大学選抜の4番を打つことに対してどう考えていましたか

加藤 4番でしたけど、周りがすごかったんで、「俺が4番になった」という実感はそんなになかったです。

――長打が多かったです

加藤 そうですね。もちろん相手の投手のレベルもあったり、好機で回ってくることも多かったですし、点差に余裕もあったりして自由に打たせてもらえました。成長できたかなと思います。

――他大学の選手との交流もあったと思いますが、特に誰と行動していましたか

加藤 郡司(裕也、慶大3年)とか柳町(達、慶大3年)とか相馬(優人、法大3年)、伊勢(大夢、明大3年)とかですかね。

――他大の選手たちに何か影響を受けたことはありましたか

加藤 越智さん(達矢、明大4年)の打席の中で振りにいく姿勢というか、強く積極的にいく姿勢というのは自分に足りない姿勢だと思いました。

――ブラジルでの思い出に残ったことを教えて下さい

加藤 (質問の声に被せるように)イグアスの滝ですね。すっごいキレイでした。あとは、移動が長くて、飛行機だけで23時間とか…。

――ブラジルの野球はいかがでしたか

加藤 (ブラジルは)日本人が多くて、日本人が教えているので、多少粗っぽいですけど日本的な選手が多いなという印象です。

――早川投手はブラジルには行きたかったですか

早川 自分は高校の時に台湾に行ったんですけど、海外に対してあまりいい印象がなくて。いい思い出もないし、ケアという面でも日本の方がしっかりできるので、そういう面では自分は残ってよかったです。

――新潟でのサマーリーグでプレーした収穫はありましたか

早川 やっぱり自覚とか責任感が芽生えたことです。自分たちの代が中心で投げているということもありますし、自分が背中で語るという訳ではないですけれど、しっかり自分らしい投球をしないと、バックにも不安が伝わってしまうので。

――早慶戦での完封で慶大への苦手意識は拭えましたか

早川 そうですね。慶大には苦手意識があったんですけど、正直、自分たちの代になった時にはあのメンバーで戦うと想定して投げたので、あのかたちで抑えられたというのは2年後にもつながっていくと思います。

――新潟では、寮生ではない1、2年生とも寝食を共にしましたが、何か思い出はありますか

早川 ブラジルより過酷な生活していたと思うので。寝るところになんかバッタが跳んでたりとか(笑)。

――ことしの1年生の印象はいかがですか

早川 まとまって力を出すときは出すんですけど、基本的には個々でいる感じがします。そういう面では良かったり悪かったり、まだなんとも言えないですね。

――ことしの夏は母校が甲子園に出場しましたが、見ていましたか

早川 見てましたけど、やっぱり甲子園は勝つのが難しいなと改めて思いました。

――甲子園を見ていて印象に残った選手はいますか

早川 常葉菊川の奈良間くん(大己)っていう地方大会8割のバッターです。打ち方が今宮選手(健太、福岡ソフトバンクホークス)にそっくりで、そんな選手になってほしいなと思います(笑)。

加藤 誰だよ、お前(笑)。

――ここ最近の出来事ですと、OBの大竹耕太郎投手(平30スポ卒=現福岡ソフトバンクホークス)がプロで活躍されていますが、投球を見ていていかがですか

早川 一軍初先発の時に自分も西武ドームに行って見たんですけど、だいぶ刺激を受けました。その後も(大竹の)配球を頭に入れて放ったら抑えることができました。そういう面では大竹さんの投球を見て、似たようなタイプではないですけれど、配球はプロも大学も必要なことなんだなと思いました。

――この間オープン戦の際に大竹さんとすれ違ったのですが、東伏見にはいらっしゃっているのでしょうか

早川 大竹さんが静岡で登板する予定があって、授業受けながらここで練習しながらという感じでした。

――加藤選手は大竹投手の初先発を見ていましたか

加藤 ブラジルに出発した日で、飛行機の中で誰も電波が届かなくて、着いてから勝ったと分かりました。

――お二人が共に参加した試合としては、全早慶戦がありました。久しぶりに慶大と戦ってみていかがでしたか

加藤 投手がいいなというのはすごく思います。あと、ブラジルから帰ってきたばかりで、日本の投手を全く打てませんでした。

早川 竹内さん(諒、平29スポ卒=現Honda鈴鹿)が先発してくれて、技巧派でもコースを投げ分ければ、強打の慶大打線も抑えられるというのが分かりました。そういう意味では、自分も竹内さんからアドバイスをもらいました。

――竹内選手からはどんなアドバイスをもらいましたか

早川 自分は小さい変化球を持っていないんですけど、小さい変化球で勝負すると打ち取りやすくなって、テンポも良くなると言ってもらいました。竹内さんからはだいぶ勉強させて頂きました。

――今試している球種はありますか

早川 カットボールです。小島さん(和哉主将、スポ4=埼玉・浦和学院)も投げますし、竹内さんも投げますし。あとは大竹さんからはツーシーム、というように、小さい変化球を色々な方からアドバイスをもらって試しています。秋は厳しいと思いますが、来年の春から入れていきたいです。

――では、昨季の振り返りに移ります。加藤選手は打率3割3分3厘、打点3、本塁打1という成績でしたが、自己評価はいかがでしょうか

加藤 なんか、うーん。いまいちというか。打率は最初に上位にいたけど早慶戦で落ちて。本塁打は1で物足りなさがあるし、打点は3しか取れていない。特に打点に関しては、好機で打てなかったので。だからどうしようという訳ではないですけれど、今は好機で打てるように意識しているので、秋は打点を増やしたいですね。

――好機で打てなかったというのはプレッシャーからでしょうか

加藤 別にプレッシャーとかはなくて、好機だからどうということもなく、自分の打撃をするだけっていう考えでやってたんですけど、それで打てなかったので。今季は福岡が1番なので好機が増えると思うので、しっかり打てるようにします。

――早川選手は昨季はゼロ勝に終わりました

早川 いやー、情けないですね。

加藤 何、情けないって(笑)。

早川 実力不足というのは本当にありますし、監督さんが言うように抑える投手がいい投手です。全然まだいい投手じゃないなと思います。中継ぎでピンチの場面で出ても0点で帰ってくるのがいい投手だと思うので、どんなかたちでも0に抑えたいです。

――立大戦では藤野隼大選手(3年)と三井健右選手(2年)に、東大戦では新堀千隼選手(3年)に本塁打を打たれてしまいました

早川 立大の時は甘いボールを打たれてしまって、甘いボールを投げてしまった実力不足を感じました。東大の時は、誰かに完全にデータを取られていたと言われたんですけど、それにしても一発で打たれてしまう自分も悪いです。まだ実力不足だと思います。

――打たせて取る投球を理想としている中で、球数もかさんでしまいましたが

早川 そうですね。ずっと真っすぐ真っすぐで押し続けた結果、すぐ打たれてつなげられて、変化球投げたらストライクが入らないという悪循環になってしまいました。そこで真っすぐと変化球を織り交ぜていけば自分らしい投球ができると思うんですけど、悪循環になってしまいました。

――法大戦ではベンチから外れましたが、肩の故障によるものでしょうか

早川 そうですね。肩痛かったのは、正直沖縄キャンプからで、痛み止め飲みながら投げていました。先発陣がいない中で、自分が投げなきゃいけないと思っていたんですけど、痛み止めを飲んでも限界を感じたので、早めに監督さんに言いました。

――肩を痛めたことでフォームに変なクセがついたと話していましたが、今は直りましたか

早川 今も残ってます。そこを改善しない限り打者も打ちやすいと思います。シャドウピッチングなりで改善しないと良くならないと思います。

――夏の間に重点を置いて練習してきたことはありますか

加藤 自分は打撃の安定感、崩されないフォームです。結構、形を崩されて自分のスイングができないことが多くて、そういう中でやりくりすることがあったので。そうではなくて、自分のスイングの中にボールを入れるというか。そういうことは意識していました。

早川 自分は変化球の精度です。さっき言ったように、球数が増えたのも変化球の精度のせいです。精度を極めた結果、サマーリーグの早慶戦で完封できました。あとは、メンタルの面でそれが発揮できるような気持ちです。

――リーグ戦を終えて、監督やコーチから言われた言葉はありますか

加藤 打点が少ない。

早川 自分はめちゃくちゃありますね(笑)。投げ足りないと言われました。

学年の垣根を越えて

互いの実力を認め、遠慮することなくアドバイスを送り合える関係だ

――それでは、お二人のプライベートについて伺います。お互いの性格はどんな印象ですか

加藤 (早川の方を見て)かわいいところもあるけど、頑固。

早川 自分の性格なんて知らないですよ(笑)。

加藤 頑固者だけど、そうだね、ちょろける(調子に乗る)時はちょろける(笑)。普段は結構かわいい(笑)。野球の話になると頑固だね。

早川 (加藤は)動きが遅いっていうのと(笑)。

加藤 何(笑)?メシ食うのとか(笑)?

早川 メシ食うのも遅いし、歩くのとかも。さっき後ろを歩いてたんですけど遅いですし(笑)。性格的にはポジティブっていうのを一番感じます。自分が野球の相談でルーティンの話をしても、「野球がうまければそんなの関係ないでしょ」みたいなことを言われて納得しました。そういう楽観的なところがあるので、相談する時は加藤さんです。

――前に加藤選手から「ニュースを見ろ」と言われたとおっしゃっていましたが、生活面でのアドバイスもあるのでしょうか

早川 生活面では食生活で、食えって言われます。 体重の話で自慢してくるんですよ(笑)。「俺何キロに見える?」って聞かれて「85ぐらいですか?」って言ったら「90キロだ」って(笑)。「ブラジルで痩せたんですか」って聞いたら「いや、ブラジルでも食えた」って言って(笑)。

加藤 こいつガリガリだから(笑)。

――結構かわいがってるんですね

加藤 そうですね。後輩でよく話すのは吉澤(一翔、スポ2=大阪桐蔭)、お前(早川)、金子(銀佑、教2=東京・早実)とか。1年は丸山(壮史、スポ1=広島・広陵)とか徳山(壮磨、スポ1=大阪桐蔭)。

――お互いが初めて会ったときのことは覚えていますか

加藤 最初来たときに、髪切ってなくて。あとは顔が黒いな~ぐらい(笑)。

早川 初めて見たのは、加藤さんが東伏見のグラウンドで走ってる時で。でかいなというのは感じたんですけど、意外と足も速いんだなっていう印象を受けました。見た目は、まあやっぱりイケメン…イケメンというかシュッとしてるなーみたいな(笑)。性格は、クールでしゃきしゃき動いてる感じかなと思ったんですけど…意外と…(笑)。

――加藤選手はよく、期待する選手として早川投手の名前を挙げていますが、投手としてどんなところがすごいですか

加藤 いや、エグいです。全部ですね。真っすぐはまじ速いし、変化球もめっちゃキレるし。そういうエグさはあるのに、なんかもったいない。メンタル弱いし、なんか打たれるんですよ。ちゃんと投げられればエグいですよ。

――紅白戦での対戦成績は

加藤 シートかなんかで1本だけ二塁打を。内角を右中間に打って、それだけですね。

――早川投手から見て加藤選手は打者としてどうですか

早川 怖さを感じるので、攻め切れないというか逃げの投球をしてしまいます。やっぱりその分、四球も多いですし、三振という三振も多くないので。そういうところで気持ちの弱さが出てるのかなと思います。

――後輩投手についてお聞きします。徳山投手が故障してしまいましたが、何か声を掛けましたか

早川 練習を怠けていたりしたらもっとしっかり走れよと言うようにしています。あいつのためにもチームのためにも厳しく言うようにはしています。

――西垣雅矢投手(スポ1=兵庫・報徳学園)に対しては

早川 あいつにも厳しく言っています。あの二人は走らないので。でもあいつらに食えって言われたら食います(笑)。自分は走れるけど食事が嫌いで、あいつら二人は走るのが嫌いで食事が好きなので。「早川さん、もっと食って下さいよ」って言われるんですけど、それは、自分の体なので…(笑)。あー、でもそう言ったらあれですね(笑)。またお互い言い合いながら、高め合いながらできればなと思います。

――その徳山投手、西垣投手は対談で「ことしの1年生はリーダーがいない」とおっしゃっていましたが、いかがですか

早川 まあ…全体的に見ても…。

加藤 確かにいないね。キャプテンやってたやつがいないので。

早川 自分たちの代は、吉澤とか瀧澤とかがキャプテンやっていたので、そこにみんなが集中して集まるという感じです。逆に1年生はキャプテンを経験した人が少ないので、まとまりがある時はあるんですが、個々でバラバラになってる印象です。

加藤 今気づいたわ。

――今季で4年生とは最後になりますが、4年生はどんな存在ですか

加藤 いや、もう本当にみんないい人というか。人としてできている人が多いので、いい先輩です。

――特にお世話になった先輩は

加藤 三木さん(雅裕、社4=東京・早実)です。だから、三木さんを優勝させないといけないなって(笑)。(高校から)5年間一緒にいるので。

――早川投手は

早川 優しい先輩が多くて人間性もできていますし、自分たちが仕事できてなければ強く言ってくれます。自分は小島さんに特にお世話になりました。自分が落ち込んでる時も、怠けている時も、常に近くにいてくれて。発破をかけるじゃないですけど、小島さんがいてくれたおかげで、今自分がこうやって頑張れていると思うので、今度は自分が小島さんのような存在になれるようにしたいです。

「リベンジする機会が与えられたら、それを果たしたい」(早川)

春のリベンジに燃える早川

――他大にここは負けないぞ、という今のワセダの強みは

早川 自分は一軍に帯同していないので分かんないんですけど、試合を見てる限りでは、各々が仕事の役割を自覚しているからチームが団結している感じがあります。

加藤 一体感はあります。ベンチの人がなんで俺試合出さないんだよとかじゃなくて、ベンチにいる人はその時に自分にできることは何かっていうのをしっかり自覚しているから、それが強みなのかな。ベンチを含めた一体感というか。

――個々が自分の役割を分かっているとおっしゃいましたが、今季お二人が果たしたい役割はなんでしょうか

早川 自分の役割は、相手の勢いを投球で止めて、チームに流れを持ってくることだと思います。相手の流れを切ってこっちに持ってくる、チームに勝利を持ってくることで勝つ確率は上がってくると思います。

加藤 場面に応じた打撃というか、得点圏で打って試合を決めるというのはもちろんなんですけど、出塁しなければいけない場面で出塁したり、チームのための打撃を目指したいです。

――チーム全体を見ていて開幕に向けて上げていかないといけないと思う点は

加藤 野手面でいえば、足を絡めた攻撃というか、得点圏でどのように点をとるのか、ということですかね。走者が絡んだときの攻撃が課題です。結構安打を打ったりするので走者は出るんですけど、点につながらないので、盗塁やスクイズとかもう一つのアクションがあれば点が入るかなと思います。

――早川選手はどうですか

早川 自分すか(笑)。

加藤 お前だわ(笑)。

早川 あしたのオープン戦の試合しかないですけど、粘り強さを見せることができれば。ここで失点したくないという場面で失点してしまうと、チームの波を下げてしまうので、そこで粘ってピンチを切ってベンチに帰れば波は上がるので。粘り強さが一つ続けばいいかなと思います。

――春は開幕カードを落としましたが、今秋は法大が初戦の相手となります。法大にはどのような印象がありますか

加藤 法大は毎年スタートダッシュに失敗している印象があって。でも選手はトップレベルの選手ばかりで、そういう面では実力ナンバーワンの相手ではあると思うので、スタートダッシュに失敗している印象はあるにしても侮ってはいけない印象です。

早川 見てて油断はできないし、力としては自分たちの方が低い印象です。なので、いかにチーム力で戦うのかがポイントだと思います。

――頭角を現している高田孝一投手(2年)の印象はいかがですか

加藤 真っすぐが伸びる印象なのと、制球が安定しているので打ちにくい投手ではないですけど、崩すのが難しい印象です。

――早川選手は毛利元哉選手(3年)に打たれたのが印象に残っていると以前おっしゃっていましたが

早川 そうですね、毛利さんや相馬さんに打たれたのが印象にあります。でも、そこで怖いと言っていたら自分の逃げの投球につながるので、強気で抑えられればいいかなと思います。

――2カード目の立大戦ですが、立大は田中誠也投手(3年)を攻略できないと勝ちは見えてこないと思います。どのように崩していきたいですか

加藤 彼は厳しいコースにばかり投げてくるので、粘る!嫌な球をしっかりファールで逃げれるようにしないと安打が打てないので。甘い球が来ない訳ではないので、そういう球が来るまでチームとしても粘るしかないのかなと思います。3点取れたらいいですね。小島さんが先発なら3点取れば勝利は見えてくると思います。

――早川選手は立大打線の印象はどうですか

早川 意外と一発のある打者がいるので、それだけは打たれないようにしたいです。連打の印象はあまり感じられなかったので、連打をさせるならクリーンナップの前に走者をためないようにするのだけ気をつけて。ピンチの場面でも一発だけには警戒して、しっかりコースに投げていきたいです。コースを間違えなければ打たれる心配はないと思います。

――六大学全体でお二人が脅威に感じているチームや選手はいますか

加藤 どこも強いですけど、自分が嫌だなって思ってしまうのは慶大です。(慶大投手陣に)抑えられてしまうので。今は開幕前で、慶大と戦うのは最後なので気が早いかもしれませんけど、慶大は優勝しましたし勝てるように考えていきたいです。

早川 自分は圧倒的に明大です。左打者が多くて、特に越智選手は長打力があるし、1、2番も出塁率が高くて何がなんでも塁に出る印象です。苦手というか脅威もあります。投手力もありますし。

――春のリベンジをしたいという思いは

早川 そうですね、もちろんあります。戦うなら攻めの投球をしていかないといけないです。インコースもデッドボールになってもいいからしっかり攻めていかないと。そうしないと春の二の舞になってしまうのでリベンジする機会が与えられたら、それを果たしたいと思います。

――今季の個人目標は

加藤 正直、なくて。数字的なものはないという意味なんですけど。それよりも優勝したくて。場面に最適な打撃を目指して、一打席一打席積み重ねていきたいです。

早川 先発する機会が与えられたら1勝はしたいですし、機会がなかったとしても防御率は中継ぎでも0点台にしないと。自責点じゃなくて、全てを含めて0点台という意味で。目標を持ってリーグ戦に突入したいです。

――春は先発でも中継ぎでもどちらでもいいと話していましたが、今は先発をやりたい気持ちはありますか

早川 もちろんありますし、リベンジしたい気持ちもあります。でも、任せられた立場は先発ではないので、割り切って、与えられた役割をします。

――最後に今季の意気込みをお願いします

加藤 お世話になった4年生とできる最後の野球なので、死に物狂いで食らい付いて、一戦必勝で頑張りたいです。

早川 フライ落とさないようにね。

加藤 うるさいな(笑)。

――法大戦でしたよね

加藤 法大。めっちゃ怒られた。

早川 そういう油断が駄目なんだよ(笑)。自分も(加藤と)同じですけど、お世話になった先輩に恩返しするために、全身全霊で登板できるように頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 皆川真仁、吉岡篤史)

普段から親交の深い二人。投打でチームを盛り立てます!

◆加藤雅樹(かとう・まさき)(※写真右)

1997(平9)年5月19日生まれ。185センチ、87キロ。東京・早実高出身。社会科学部3年。外野手。右投左打。開幕週で対戦する法大の高田投手とは、今夏の東京六大学選抜でも交流がありました。「洗濯とか自分からやってくれました。いいやつっていう印象です(笑)」と思い出を語ってくださいました。グラウンド上での真剣勝負を楽しみにしています!

◆早川隆久(はやかわ・たかひさ)(※写真左)

1998(平10)年7月6日生まれ。180センチ、73キロ。千葉・木更津総合高出身。スポーツ科学部2年。投手。左投左打。ルーティンを数多く決めていることで有名な早川選手ですが、「自分の実力があれば関係ない」という加藤選手のアドバイスを受け、現在はほとんど行っていないそうです。自分の力を信じ、打者に立ち向かいます!