不安要素を払拭する試合に/東大戦展望

野球

 2カード連続で勝ち点を落とした早大。『優勝』の二文字は大きく遠のいた。次に迎え撃つのは、年々勢いを増している東大だ。勝ち点奪取はもちろん、上位に食い込むには2連勝が必須だろう。ここまでほころびが出ている守備の修正と、不安定な投手陣がしっかりと抑えられるかがポイントだ。

 東大打線は、昨季クリーンアップに座った選手が全員卒業。開幕からここまで、4試合の合計得点はわずか3点で、うち2試合は完封負けを喫している。しかし、打線のキーマンとなる1番・辻居新平(3年)は明大エース森下暢仁(3年)から先頭打者本塁打を含む3安打を放つなど、打率3割7分5厘と好調だ。また、昨季2本塁打を記録した新堀千隼(3年)の意外性のある打撃にも注意が必要となる。その他にも、三鍋秀悟(4年)、岡俊希(2年)がコンスタントに安打を出しており、個人の力は見逃せない。たとえ上位打線に打たれても、抑えるべき場面を締め、打線を『線』とさせないことが重要だ。

俊足と長打力を併せ持つリードオフマン辻居は要注意だ

 一方の早大打線。ここまで4割を超える打率を誇る加藤雅樹(社3=東京・早実)岸本朋也副将(スポ4=大阪・関大北陽)を筆頭に上昇傾向だ。下位に入っている檜村篤史(スポ3=千葉・木更津総合)も、明大との全3試合で安打を放つなど、調子を上げている。また、髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)丸山壮史(スポ1=広島・広陵)鈴木萌斗(スポ1=栃木・作新学院)のルーキーコンビを積極的に起用。チームを活気づけるキーマンとなり、個人としての飛躍を果たしたい。

 続いて東大投手陣。昨季まで絶対的エースだった宮台康平(現北海道日本ハムファイターズ)が抜け、その穴をどう埋めるかが課題。ここまでは投手陣総出で慶大、明大打線に立ち向かってきた。宮本直輝(3年)、小林大雅(3年)、有坂望(4年)、濵崎貴介(3年)のカルテットが、ほぼ毎試合投げるというフル回転ぶり。特に小林と濵崎は昨季までの経験が豊富だ。チームの失点は4試合で36と苦しい状況を強いられているが、単独最下位脱出に向けて全力で向かってくるだろう。出てくる投手をそれぞれ打ち崩し、早大ペースに持ち込みたい。

重要な局面での好投が光る今西

 早大最大の不安要素は守りだ。明大戦では失点につながるミスが多発し、投手の足を引っ張るかたちになった。特に外野手は、右翼手の加藤以外はメンバーが固定できておらず、不安は拭えない。中盤手と左翼手に関しては、東京六大学リーグ戦の出場経験が浅い選手を、日替わりで起用せざるを得ない状況だ。髙橋監督が掲げる『守り勝つ野球』からはほど遠い試合が続いており、早急に修正しなければならない。投手陣では、エース小島和哉主将(スポ4=埼玉・浦和学院)が、明大3回戦でまさかの9失点。チームメイトからの信頼も厚い早川隆久(スポ2=千葉・木更津総合)も明大2回戦で打ち込まれており、先発陣に不安が残る。ただ、ここまで大事な場面での救援を任されている今西拓弥(スポ2=広島・広陵)は無失点。出場した投手陣のなかで最も安定感がある。首脳陣がどのタイミングでマウンドへ送るのか、あるいは先発に回すのか。大きなポイントになりそうだ。

 昨年からの戦力ダウンが否めない東大とはいえ、早大の現状では油断は禁物。万が一、勝ち点を落とすことになれば、優勝の可能性は完全に消滅する。しっかりと白星を確保し、今後の試合に勢いをつけるカードとしたい。

(記事 吉岡篤史、写真 皆川真仁、今山和々子)

東京六大学春季リーグ戦星取表
順位   立 大 慶 大 明 大 早 大 法 大 東 大 勝ち点 勝率
立 大 5/5
5/6
5/12
5/13
○2-1
○4-2
○3-2
△5-5
○2-1
5/26
5/27
1.000
慶 大 5/5
5/6
5/19
5/20
6/2
6/3
○6-3
○5-4
○15-3
○5-1
1.000
明 大 5/12
5/13
5/19
5/20
●2-3
○15-3
○9-4
5/26
5/27
○9-2
○7-0
.800
早 大 ●1-2
●2-4
6/2
6/3
○3-2
●3-15
●4-9
5/19
5/20
5/5
5/6
.200
法 大 ●2-3
△5-5
●1-2
●3-6
●4-5
5/26
5/27
5/19
5/20
5/12
5/13
.000
東 大 5/26
5/27
●0-15
●1-5
●2-9
●0-7
5/5
5/6
5/12
5/13
.000