【連載】春季リーグ戦開幕前特集『勝利への渇望』 第1回 檜村篤史

野球

 昨年レギュラーに定着し、早大不動のショートストップにまで上り詰めた檜村篤史(スポ3=千葉・木更津総合)。今季から背番号『1』を背負い、早大の顔としてプレーする。背番号『1』を身に着けている以上、チームのみならず個人としても結果が求められるこの男に、いまの心境や今季への意気込みを伺った。

※この取材は3月28日に行われたものです。

声で内野を盛り上げる

チームの中心選手となる覚悟を語った檜村

――現在の打撃の調子はいかがですか

 きょうの試合(鷺宮製作所戦)とかはヒットが出ていなかったんですけど、捉え方としてはいい感じなので、いい方かなとは思います。

――実戦では好不調の波があるように思えるのですが、ご自身ではどう考えていらっしゃいますか

 自分は打てる日と打てない日の差が激しいというか、打てない日はノーヒットの日が多いので、しっかり一本でもいいので毎試合打てるようにしたいなと思います。

――毎試合打てるように心掛けていることはありますか

 試合前のバッティング練習でバッティングフォームをつくるというのを心掛けていますね。

――沖縄キャンプではバッティングフォームを少し変えたと話されていましたが、その影響はありますか

 だいぶその感覚というのは試合の中でもできるようになってきたと思います。

――沖縄キャンプ全体を振り返ってみていかがでしたか

 バッティングの面で不調だったなと思います。自分の中では、打席で集中していたはずなんですけど、まだもっと集中できるというのを東京に帰ってきてから思いました。もっと一打席一打席を大事にするということが沖縄ではできていなかったなと思います。

――沖縄キャンプでの収穫は

 集中力が欠けていると打てないということで、狙い球を自分は張っているんですけど、それだけじゃなくてフォームの意識というのがあって。実際、リーグ戦に入るとそういうところに気を回している場合じゃないと思うんですけど、フォームに関しても一つや二つ心掛けていればヒットが生まれるんじゃないかと思いました。

――狙い球は何を張っていらっしゃるのですか

 真っすぐの方が狙いやすいかなと思って狙っています。

――同率最下位の翌年ということで、昨年と比べてチームとして何か変化を感じる部分はありますか

 試合を重ねていくにつれていろいろな課題が見えてきていて、「このままじゃ勝てない、どうするべきか」っていうのを試合後のミーティングで前よりもしっかり話しているのではないかと思います。

――檜村選手はリーグ戦へ仕上げていくために必要なことはなんだと考えていますか

 打撃ですね。

――それはチームとしても個人としてもということですか

 そうですね。チームとして打てていない中で、去年試合に出ていた人が打てないと勝てないので、そういった面では打撃が課題かなと思います。

――檜村選手は打順がまだ不確定なように感じられるのですが、打順によって気持ちの面が変わってくることはありますか

 いま6番を打っていて、6番や8番はそんなに変わらないんですけど、2番を打つときは犠打とか多くなってくるかと思うので、そういった面で心の準備というのはありますね。

――昨年と違って主軸を任されることもあり、期待が大きくなっていると思われますがいかがですか

 3年生という立場や、去年から試合に出ているということもあって打って欲しいというか、打たなきゃいけないというのは感じています。

――それはプレッシャーになりますか

 プレッシャーというか、気持ちの面で、自分の中で打つためにこうしていこうという意思になります。

――バッティングにおいてご自身の役割はどのように考えていらっしゃいますか

 あんまり4番みたいな大振りなタイプではなくて、監督さんにも言われるんですけど、自分みたいなタイプは逆に強く打つというのを言われているので、チームバッティングができればいいかなと思います。

――主軸を担う同学年の加藤雅樹選手(社3=東京・早実)や福岡高輝選手(スポ3=埼玉・川越東)の存在は刺激になったりしますか

 そうですね、毎試合ヒットを打っているので、そういった意味では自分も打ちたいなというのは感じますね。

――それが焦りにつながったりはしませんか

 焦っても打てないので、そこは冷静にというか、自分のやるべきことをやっていくだけです。

――それでは守備面に関してですが、現在の調子はいかがでしょうか

 正面の簡単なショートゴロや打ち取った打球はしっかり取れているんですけど、三遊間の強い打球で球際が取れないというのがあります。あと、周りに声をかけるというのが前まではできていなくて、きょうからしっかりやるように臨んでいます。そういったところでもリーグ戦が始まると下級生のピッチャーが多かったり、内野でも4年生がいないので、3年生の自分と福岡とかが中心となってくると思うので、そういった面でもしっかり声かけができるといいなと思います。

――試合では守備陣をまとめる立場となりますが、内野や投手にかける言葉も上級生となるとかけやすいのでしょうか

 そうですね、自分が上になるので、内野や投手にかける言葉も去年と比べるとかけやすくなりましたね。

――これまでの春季オープン戦では堅実な守備をしてきていますが、エラーを出さないための秘訣などはあるのでしょうか

 まず足を動かすというのが大事で、自分は一歩目に集中をしていて、その一歩目がしっかり切れれば打球は取れるかなと思います。

――その一歩目は予測しているのでしょうか

 ピッチャーが球を投げてバットに当たる瞬間ぐらいに自分はジャンプして、「だいたいこっちの方向にきそうだな」とか予測したりしています。あとは変化球とストレートの具合で引っ張りが大きくなるからその方向に寄ったりとか、そういうのはあります。

――その中でも守備での課題というのはありますか

 さっきも言ったように、球際というか、普通の打球ではなくてヒット性の当たりもしっかり取れればピッチャーも助かると思うので、そういう打球も取れるようにしたいです。

――春季オープン戦では入部したばかりの丸山壮史選手(スポ1=広島・広陵)と二遊間を組んでいますが、丸山選手の印象はいかがですか

 しっかり球を後ろにそらさず体で止めるというのをやっていて、気迫が見えてくるし、声も出ています。外野との連携がたまにうまくいっていないところがあるので、そこはしっかり外野と丸山と自分で「こうやろう」とか話し合って突き詰めていきたいと思います。

――丸山選手は1年生ですが、コミュニケーションを取るに当たって意識していることはありますか

 内野でノックを受けている時とかも「いまのトスはどうだった」とか声をかけるようにしていますし、丸山も結構自分とかに聞いてきたりするので、話しやすいっちゃ話しやすいです。

――怖がられたりはしていないですか

 それはないですね、大丈夫だと思います(笑)。

――練習では西岡選手(スポ4=東京・早実)とも二遊間を組んでいるのでしょうか

 はい、そうですね。

――実戦で西岡選手と連携を試せていないことに不安はありませんか

 いや、実際丸山が入ってくるまでは西岡さんと組んでプレーしていたので、その面では問題はないかなとは思います。

――三遊間を組む福岡選手とは打球の処理などに関してどのような話をされていますか

 バッターを見て「これは引っ張りだな」と思った時は福岡が三塁線に寄ったりだとか、そういったところで「三塁線に寄るよー」と声をかけてくれたりしています。三遊間の打球も取れないと思ったらすぐに自分に言ってくれるので、大丈夫です。

「3割を打ちたい」

ことしは打撃面での貢献も強く求められる

――3年生になってチームでは上級生の立場になりましたが、意識の変化はありますか

 下級生の時は、上についていくだけで良かったんですけど、上級生になると自分が引っ張っていかないといけないというのもあるし、しっかり考えてそれを周りにも伝えていかないといけないなと思います。

――ご自身3度目の春季リーグ戦となりますが、心持ちはいかがですか

 やっぱり、3割を打ちたいなというのがあって、そろそろ自分の進路とかが関係してくると思うので、そういった面でも頑張りたいなと思います。

――プレッシャーと楽しみな気持ちは割合としてはどちらが強いですか

 4:6ですかね。プレッシャーが4です(笑)。

――昨年の春はレギュラー争いの最中だったと思いますが、昨年と比べてみて違いはありますか

 経験してきた分、少しは信頼されているのかなって思っています。それでも、打てないとなってくると状況が変わってくると思うのでそういったところでしっかり打たないといけないなって思います。

――東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)開幕を前に、チームの状態を見ていかがですか

 オープン戦で負けが続いているというのがあって、きょうのミーティングでもこのままではリーグ戦でも負けてしまうというのが出ていて、もっと明るくやっていこうというのをチームで話し合いました。

――オープン戦ではなかなか白星がつかない状況ですが、要因はどこにあると思いますか

 野手が打てない、打線のつながりがあまりないというのが一番の理由ですね。チャンスがつくれたとしてもそこでの一本が出なかったり、先頭がなかなか出塁できなかったりとか、そういったところが敗因かなとは思います。

――先ほどリーグ戦での目標は3割打つということだったのですが、守備面での目標はありますか

 守備での目標は変わらずノーエラーというのが目標です。

――昨秋の立大1回戦では終盤に痛い送球ミスがありましたが、その悔しさは残っていますか

 そうですね、はい。

――春季リーグ戦初戦のカードは立大ですが、対策などはありますか

 立教に限らず、リーグ戦に出てくる選手はみんな足が速いので、打球を待って取ると焦って送球ミスとかにつながってしまうので、足を使って前に出て勝負していきたいです。攻めてのミスはしょうがないと割り切ってやっていこうと思っています。(対戦の)順番はあまり気にしていないです。

――春季リーグ戦で対戦が楽しみな投手や他大で意識している打者などはいますか

 ことしから法政に入る自分の高校の後輩の山下輝(1年)っていうのがいるんですけど、対戦したいなって思います。U18にも入っていて、左ピッチャーでいい投手だと思います。

――それでは最後にリーグ戦に向けての意気込みをお願いします

 去年、最下位という結果に終わってしまったので、今季は一戦必勝で勝ってリーグ戦優勝したいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 中澤紅里)

堅実な守備はチームメートから絶大な信頼を得ている

◆檜村篤史(ひむら・あつし)

1997(平9)年11月6日生まれ。182センチ、82キロ。千葉・木更津総合高出身。スポーツ科学部3年。内野手。右投右打。色紙に書く言葉がなかなか浮かばず、筆が進まない檜村選手。隣にいた福岡選手の助言もあり、書かれた言葉は『無失策』でした。今季も檜村選手の軽快なグラブさばきに注目です!