痛恨の連敗で同率最下位に転落/法大2回戦

野球
法大2回戦
法 大
早 大
(早)柳澤、今西、●早川、小島-岸本、小藤
 2日の順延をはさみ、ようやく行われた法大2回戦。1回戦を落とし、後のない早大は3回に連続適時打で2点を先行するが、終盤以降に救援陣が踏ん張れず手痛い逆転負けを喫した。2試合連続で1点差で敗れ、勝ち点は依然として1のまま。一つでも上の順位を狙うために背水の陣で臨んだ早慶戦前最後のカードは、非常に厳しい結果となってしまった。

 雨の降りしきる中、柳澤一輝(スポ4=広島・広陵)がぬかるんだマウンドに向かう。今季2度目の先発となった右腕は、立ち上がりからスライダーをカウント球にストライク先行の投球を展開。追い込んでからは140台後半をマークした直球を投じ、3回まで無安打に抑える。柳澤の好投に応えたい打線は3回、1回戦で1得点に抑え込まれた法大先発・菅野秀哉(3年)から岡大起(社4=東京・早実)福岡高輝(スポ2=埼玉・川越東)の連続適時打で2点を先取。先手を取ることで流れをつかみ、試合を有利に展開していくかに見えが、その直後の4回に柳澤が突如乱れる。二つの四球で1死一、二塁のピンチを招くと、この日5番に入った法大・毛利元哉(2年)に中越え2点適時二塁打を浴び同点に追い付かれた。すると早大も黙ってはいない。4回2死で打席に入った檜村篤史(スポ2=千葉・木更津総合)がカウント0-2から真ん中に入った直球を強振すると、打球は左翼スタンドに飛び込む勝ち越しソロ本塁打に。伏兵の一発で再びリードを奪い、前半を終えた。

一時は勝ち越しとなるソロ本塁打を放った檜村

 後半6回からは5回途中で柳澤を救援した今西拓弥(スポ1=広島・広陵)が登板。しかしその今西、2死から右越え三塁打と四球で一、三塁とされると、この場面で指に引っかかった投球がワンバウンドの暴投となり3-3の同点に。たまらず早川隆久(スポ1=千葉・木更津総合)へと継投するが、7回2死から5番・毛利に甘く入ったカーブを右中間スタンドへ運ばれ、痛恨の勝ち越しソロ本塁打を許す。1年生二人が不用意なかたちで逆転を許し初めて追う展開となった早大は、菅野の前に再び打線が沈黙。敵失などで走者は毎回出すが、そこからの一本が出ない。9回には1回戦で先発した小島和哉(スポ3=埼玉・浦和学院)が4番手で登板するものの、先頭に許した四球をきっかけとして5点目を献上。その裏の最後の攻撃は2死ながら一、三塁と好機をつくり宇都口滉(人4=兵庫・滝川)の左前適時打で1点差に詰め寄ったが、反撃もここまでだった。

同点の7回に一発を浴び負け投手となった早川

 点を取った直後に点を取られた4、6回。そして無失点で抑えて最後の攻撃へつなぎたかった最終回。踏ん張るべきところで踏ん張れず、流れをつかみきれなかった。それも、先頭に許した四球や暴投、明らかな失投による失点だけに悔いが残る。この結果、第6週終了時点で早大は勝ち点1で勝率3割3分3厘。最終順位は4位以下が確定し、東大に並ぶ同率最下位に転落した。第7週、そして早慶戦の結果次第では、実に70年ぶり2度目の最下位の可能性もある。「絶対2連勝して、リーグ戦を終える」(佐藤晋甫主将、教4=広島・瀬戸内)。試合後、重苦しい雰囲気に沈みながら必死に前を向こうとするチームの思いを代弁するように、主将は声を振り絞った。突き付けられた現実は厳しいが、昨秋、今春、そして今夏の全早慶戦と負け続けている慶大への雪辱は早大に課せられた使命だ。現体制で臨む最終戦で宿敵から3季ぶりの勝ち点を挙げ、覇者ワセダの矜持(きょうじ)を示したい。

(記事 郡司幸耀、写真 加藤佑紀乃、大浦帆乃佳)

黄字は打点付き

早大打者成績
打順 守備 名前
(右) 八木健太郎 .286 三振    四球 右飛    左安       右飛
(三) 岡大起 .313 二ゴ    左安    二ゴ 二ゴ       遊失
  戸谷光助 .000                           
(一) 福岡高輝 .353 三振    中安    四球    投ゴ    三振
(左) 加藤雅樹 .207    左安 四球    左飛    遊失    中安
  三倉進 .172                           
(二) 宇都口滉 .424    投ゴ 遊ゴ    左2    二併    左安
(中) 長谷川寛 .200    二併    一ゴ 四球            
  打中 山田淳平 .429                      二ゴ 三振
(捕) 岸本朋也 .100       三振 遊ゴ 遊ゴ            
  尾崎資樹 .500                      三振   
  小藤翼 .083                           
(遊) 檜村篤史 .300       右安 左本    左飛    遊失   
  小野寺旭 .000                           
  西岡寿祥 .167                           
(投) 柳澤一輝 .250       中飛 左安               
  今西拓弥 .000                           
  早川隆久 .000                三振         
  熊田睦 .250                      三振   
  小島和哉 .333                           
早大投手成績
名前
柳澤一輝 4 2/3 2.66
今西拓弥 6.43
早川隆久 2 1/3 3.00
小島和哉 3.52

東京六大学秋季リーグ戦順位表(第6週終了時点)
順位 慶 大 明 大 立 大 法 大 早 大 東 大 勝ち点 勝率
慶 大 〇5-4
〇2-1
○8-7
○7-2
●0-8
△3-3
○9-5
●6-7
10/28
10/29
●2-5
○4-1
○13-10
.700
明 大 ●4-5
●1-2
○2-1
○11-3
○8-4
○9-4
○3-0
●8-13
○3-2
10/21
10/22
.667
立 大 ●7-8
●2-7
●1-2
●11-3
10/21
10/22
○4-3
○6-4
○4-1
○8-1
.500
法 大 ○8-0
△3-3
●5-9
○7-6
●4-8
●4-9
10/21
10/22
○2-1
○5-4
●2-9
●7-8
.444
早 大 10/28
10/29
●0-3
○13-8
●2-3
●3-4
●4-6
●1-2
●4-5
〇9-2
〇10-1
.333
東 大 ○5-2
●1-4
●10-13
10/21
10/22
●1-4
●1-8
〇9-2
〇8-7
●2-9
●1-10
.333
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コメント

髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)

――連敗で勝ち点を落としました

1点の・・・。なかなかね。何かそういう原因があるんでしょうね。あとは早慶戦頑張るだけですね。

――きょうは1回戦とは打って変わり2点を先制して先に流れをつかんだと思います

そうですね。いいかたちで先制できて。柳澤(一輝、スポ4=広島・瀬戸内)も途中まで良かったんですけどね。2点取った後の回に先頭を四球で歩かせたり、勝ち越したところから調子が・・・。どうしてもこっちは落とせない試合で、点も取りにいかないといけないんでね。向こうは菅野くん(秀哉、法大3年)で来ていて最後まで投げ切らせたところが勝負で来てるわけですから。菅野くんとしたら粘り切ったというところもありますよね。

――柳澤投手は序盤の内容から状態の良さを伺わせましたが、5回途中で代えました

そうそう。2点取られたところからボールがばらつきだしたし、制球もなくなってきたんで代え頃と思いましたね。

――その後は檜村篤史選手の本塁打で勝ち越しますが、バッテリーミスで同点とされました

あそこ5回に柳澤をリリーフした時の今西(拓弥、スポ1=広島・広陵)は良かったんですけど、その次の回、頭から行くと良くないんですよね彼は。ランナーを置いた時のピッチングとランナーいない時で全然違います。それも四球を出した後にラッキーなダブルプレー(犠打を試みた打球が捕前に転がり、併殺)でしのいだだけにね。

――7回には早川隆久投手(スポ1=千葉・木更津総合)が甘く入った球をソロ本塁打にされました

制球悪いですね。長打を打たれますからね、彼は。怖さありますよね。

――4-5という最終スコアから、9回に与えた1点が結果的に大きかったです

小島のあげた点になりますよね。ミスではないけど、先頭打者を四球で出すあたりがね。終盤の1点絡んだ場面での四死球というのは勝敗を分けますよ。1点差と2点差で最終回に臨むのではピッチャーの心理が違いますからね。

――現時点で勝ち点1で同率最下位です

状況厳しいですね。

――今年度の体制で臨む最終戦となる早慶戦へ向けては

やっぱりリーグ戦は別にして早慶戦は続けて落としてるんでね。ぜひ対抗戦として早慶戦では勝ちたいと思いますね。

佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)

――勝ち点1のまま早慶戦を迎えることになりました

もう終わったことは仕方ないので、勝ち点1のままリーグ戦終わるにはいかないので、早慶戦なんとかいいかたちで2連勝目指してやっていかないといけないなと思っています。

――先制しましたが逃げ切れず最後は1点差まで詰め寄りました。試合を振り返っていかがですか

やはりこっちが取って、その次の回にしっかり向こうが返してくるんですけど、その取られた後にこっちが同じように取り返すことができなくて、なかなか勝ち越すことができなくて苦しい展開だったなと思っています。

――雨で試合が2日間順延しましたが、その間チームとしてはどのような調整をされていましたが

試合をしない日が続いたので、調整という部分もあるのですが、監督さん(髙橋広監督、昭和52教卒=愛媛・西条)からは気温も下がっていますししっかり汗をかけというふうに言われていました。汗をかかないと体のキレも出てこないですし、普段と違う状況の中で試合をすることになると思うのでしっかり汗かく、しっかり動く、そうしてキレ出すということをチーム全体でやっていました。

――きょうは試合開始直後は雨もまだ強かったですが、やりにくさはありましたか

いや、そこまで。ピッチャーもしっかり投げていましたし、守備もミスなくて。気温が低いというのはあったんですけど、そこまでやりにくさというのはなかったんじゃないかなと思います。

――ここまで勝ち点1と苦しい状況ですが、何かチームに足りないものがあるとすればどんなことになりますか

うーん、そうですね・・・。取れるときに取り切る、勝ち切るということですかね。きょうもチャンスはいっぱいあったんですけど、そこでしっかり一本出せなくて。なんとかつなごうという意識はみんなあったと思うんですけど、ちょっと一本出なかったなと。そういう集中力、勝負どころでの集中力は、ピッチャーも、野手も、バッターも足りていないんじゃないかなと思っています。

――早慶戦で勝ち点を取らなければ最下位ということもありえますが、早慶戦に向けては

もう勝つしかないので。早慶戦絶対2連勝して、リーグ戦終えようと思います。

岡大起(社4=東京・早実)

――連敗で勝ち点を落とす結果となりました

もう完全に優勝がなくなってしまったので…。悔しいです。

――春からずっと言われていた「粘り切れない」部分が出てしまった試合でした

春からずっとそうで、正直もう何が原因かは分からないんですけど…。バッターは同点に追いつくだけじゃなくて逆転する、ピッチャーは点を取った後は抑えるということを最後に早慶戦ではできればと思います。

――2日続けての雨天順延となりましたが、調整はどうされていましたか

チーム的にも個人的にも土曜日の試合は全然打てていなくて。バッティングだけは全体でやってあとは個人でやるという練習メニューで、自分は土曜日に全く振れていなかったので、とりあえず量を振って調整していました。

――きょうの試合では先制の適時打。少し内角に入った球でした

キャッチャーも構えていたと思うんですけど、土曜日からあそこを徹底的に攻められていてずっと打てなかったので、監督さん(髙橋広監督、昭52教卒=愛媛・西条)に「グリップを残して打て」と言われていて、それを意識して打ちました。

――檜村篤史選手(スポ2=千葉・木更津総合)の走塁も良かったですね

そうですね。打点にしてくれました。

――しかし、第1試合で完投した菅野秀哉投手を今回も打ち崩せませんでした

球速は145キロぐらいなんですけど、他のピッチャーにはないキレがある投手で、球の伸びが違いました。みんな振り遅れてましたね。

――次は早慶戦です。最終カードに向けて一言お願いします

4年生の意地を見せるのはもう早慶戦しかないので、優勝は無理ですが、連勝して下級生に「さすがだな」って思ってもらえることを目指したいです。

檜村篤史(スポ2=千葉・木更津総合)

――グラウンドコンディションが悪い中での試合でしたが、プレーに影響はありましたか

守備の時に、地面がぬれていたのでボールが湿っていたんですけど、しっかりロージンを付けて滑らないようにしていました。

――送球に対する怖さはありましたか

送球ミスがあった時(立大1回戦)は怖いなと思っていました。でも思い切り投げるということを意識して、最近は良い球が投げられているのでよかったです。

――法大戦では自信を持って投げられているように思います。ご自身でも実感としてあるのでしょうか

そうですね。怖がってプレーをしていたらミスしてしまうので、ポジティブに、思い切って(プレーを)するようにしています。マイナス思考だと悪いっていうのは前々から思っていて、プラス思考を心がけています。

――第1打席で逆方向への安打がありました

追い込まれてからだったんですけど、しっかり真っすぐに反応して強い打球を打てたのでよかったなと思います。

――リーグ戦前から逆方向を意識し続け、東大戦では逆方向への三塁打もありました。思い通りに打てているという感覚はありますか

もう少し逆方向への打球が多いほうがいいのかなとは思いますけど、春は(逆方向に)全然打てなかったので、そういった面では良いのかなと思います。

――第2打席では本塁打を放ちました。打った瞬間に「入った」という感触はありましたか

はい、ありました。

――打った球種、コースを教えてください

真っすぐで、真ん中よりちょっとインコースでした。

――カウントはツーボールでした

打席に入る前までにツーアウトをすぐ取られてしまっていたので、長く見ようかなと思ってたんですけど、変化球は見切って甘い球が来たら思いっ切り行こうと思って、真っすぐを狙っていました。

――全ての打席で球を芯で捉えられているような印象を受けました

一打席目にああいう打球を打てると調子も上がってくるので、一打席ごとにしっかり集中してやっていきたいなと思います。

――次は早慶戦ですが、意気込みをお願いします

もう早慶戦しか残ってないので、しっかり勝って終わりたいなと思います。

福岡高輝(スポ2=埼玉・川越東)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

やっぱり1点に泣く試合が多いかなと思いました。

――3回の適時打は東大1回戦ぶりの安打となりました

絶対勝たなきゃいけない試合だったので、なんとかチャンスで一本出そうと思っていたので、うれしかったです。

――打ったのは高いボール球でしたが

そうですね。待っていた球が来たので思い切り振りました。

――5回には右前に抜けそうな打球を好捕しました

もうちょっと足動かしてゲッツー取れたら最高だったかなと思います。

――最後の打席は三振でしたが、振り返っていかがですか

ちょっと考えすぎて、追い込まれていたので、粘らなきゃいけないのに、決め球を相手につくらせちゃったのが原因かなと思います。

――法大1回戦後に打率を意識して力んでしまうとお話されていましたが、2日間で切り替えられましたか

そうですね。きょうはしっかり切り替えて打席に立てました。

――1週空いて早慶戦となりますが、それに向けてひとことお願いします

4年生が最後なので、いいかたちで送り出せるように、いい状態で臨めるように調整していきたいと思います。