早大打戦の1、2番を担う4年生コンビ・八木健太郎(スポ4=東京・早実)と宇都口滉(人4=兵庫・滝川)。2年前の東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)優勝をベンチで目の当たりにした二人は、「自分たちの代でリーグ優勝したい」と口をそろえた。早くから実力を評価されベンチ入りしていた二人も、ついに今季がラストシーズン。その意気込みを伺った。
※この取材は8月29日に行われたものです。
「初回から攻めていきたいので、1、2番は重要ですね」(宇都口)
攻撃のカギを握る1、2番コンビ
――まずは春季リーグ戦(東京六大学春季リーグ戦)を振り返っていかがですか
八木 自分は、前半良かったんですけど、後半チームに貢献できていなくて、悔しい思いをしました
宇都口 個人としては、目標としていた3割を達成できたんですけど、立教戦で勝てなかった(勝ち点を取れなかった)のは、自分も打ってなくて、そこで貢献できなかったことがあります。チームとしては、負けた試合が大体接戦だったので、その接戦を勝ち切れなかったのが、前期の反省点かなと思います。
――春季リーグ戦で特に記憶に残っていることは何ですか
八木 法大2回戦の時、雨があって、2時間中断になったじゃないですか。それが初めてで、ギリギリの試合だったんですけど、中断した後にみんな集中できていて、粘り強く勝てたので良かったかなと思います。
宇都口 自分はやっぱり早慶戦ですかね。早慶戦の2戦目です。1戦目負けて、2戦目も負けたら目の前で胴上げされるというところだったので、「それを絶対阻止しよう」という感じで、みんなで一つにまとまれて、接戦をモノにできたことが印象に残っています。
――チームとしてはどのようなところが課題だったと感じていますか
宇都口 自分は攻撃のミスが目立ったかなと。守備面はあんまりミスなかったんですけど、バントミスだったり、バッティングでのつなぎかただったりがあまり良くなくて、接戦で点を取り切れないというかたちが多くて負けたかなと思いますね。
八木 投打があまりかみ合っていなかったなという感じですね。それが一番だったと思います。
――その課題を踏まえて、チームとして取り組んでいることは何かありますか
宇都口 やっぱりバントをきっちりやろうということで、全員バントの練習はしっかりやっていますね。サインプレーの確認とかエンドランとかも練習しています。
八木 そうですね。エンドランはよくやっています。
――春よりも厳しく、集中的にということでしょうか
八木 というか、早めにやっています。春は、できなかったときにリーグ戦中の練習でやってたんですけど、今はそういうのをやめて、最初から「今日はこれやろう」「バッティングの練習の前にバントをやろう、エンドランをやろう」と、早めに始めています。
――夏季オープン戦のここまでの手応えはいかがですか
八木 あんまり勝ててないですね。調子がいいときと悪いときの差が。自分もそうですし、宇都口もそうですし、そこをなくしたいですよね。
宇都口 点を取れるときは取れるし、取れないときはとことん取れないので、取れない中でも3、4点はピッチャーにあげたいというのがあるので、そこが課題ですね、今のところの。オール早慶戦(全早慶戦)の時もそうだったんですけど、ピッチャーの調子も良くないので。2試合で20何点取られて…。
八木 22やな。
宇都口 ピッチャーにしっかりしてほしいというのもありますね。
――お二人とも4年生ですが、最上級生として普段の練習から心掛けていることなどはありますか
宇都口 自分は最上級生という感じはあんまりないですね(笑)。ゲーム中は自分あんまり声を出さないので、吉見(健太郎副将、教4=東京・早実)とかが声を出してくれて、プレーに集中できるということもあって助かってます。
八木 自分は一応寮長で、汚いと嫌なので、掃除してなかったりとか、道具放ったらかしのやつとか、そういう生活面ではできてなかったら言ったりはしますね。
――東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)ではどういったかたちの攻撃が理想だと感じますか
八木 自分は、野手が4点以上取って、ピッチャーが3点以内に抑える試合がいいなと思います。ピッチャーもできれば1、2点で抑えてほしいですし、野手は4点、5点取れれば、どちらも楽なので。厳しいと思いますけど、理想はそういう試合ですね。
宇都口 うちのチームが春の前半に調子良かったのは、先制点取って主導権握っていたからだと思うので、初回、2回に先制して、後半もう1点、2点取って逃げ切るのが理想だと思いますね。
――お二人は1、2番を打つことが多いと思いますが、それぞれご自身の役割はどこにあるとお考えですか
八木 そうですね、やっぱり1番なので出塁率を上げることかなと。出ることが一番で、隙あれば走れる選手、ランナーがいれば点を取れるバッターで。一番打席も回ってくるので。
宇都口 自分の理想としては、八木が出て自分が送るということなので(笑)。
八木 (笑)。
宇都口 八木が(塁に)出られなかったときにいかに出られるかが重要だと思っていますね、毎回出られるわけではないので。1、2番が倒れたら初回に点を取れないと思うので、(八木が塁に)出たら送るし、出なかったら自分が出塁というのが理想です。初回から攻めていきたいので、1、2番は重要ですね。
――お二人が打席で意識することとして『出塁』『右方向への打撃』『好機での一打』など共通するものが多くあります。それについてはどう感じますか
八木 お互いホームランバッターじゃなくて、シャープに打つようにしているバッターなので、似てるんじゃないですかね。
宇都口 自分が求められているのが出塁とか右打ちとかチームバッティングとかだと思うので、その辺は八木と似ているんじゃないですかね。
八木 似てるんじゃないんですかね、多分。
――お二人は卒業後も野球を続けられる予定と伺いました。特に今から取り組んでいることや、社会人でプレーする先輩にお話を聞く機会などはありますか
宇都口 自分は4年になった頃からずっと取り組んでて、あんま成果が出ていないんですど、体重増やそうかなって思ってて。社会人の人みんな大きいので、そこについていくためにはフィジカル面から取り組んでいこうかなと思っています。
八木 自分はそうですね・・・オール早慶戦で佐竹さん(功年、平18人卒=現トヨタ自動車)が来てくれて、走塁について、シャトルがあんまりできていないので、そこを教わったりしました。自分は苦手なので、特に二塁のときが。あとは打った後の走塁とかも教えてもらいました。社会人は走攻守全てができないとだめと言われたので。あんま覚えてないな(笑)。先のことまで考えてられないので(笑)。
――少しさかのぼらせていただきます。お二人が入学して初めてお会いした時に感じた印象はどんなものでしたか
宇都口 覚えてないっすね・・・。
八木 最初ですか、「すっごい可愛いのが入ってきたな」と(笑)。
一同 (笑)。
八木 自分は(高3の)1月から入って、こいつは2カ月くらい後で、めっちゃちっちゃくて(笑)。でもあんまりしゃべらなかったですね。
宇都口 ちゃんとしゃべったのは軽井沢キャンプの時ぐらい?
八木 というか夏ぐらい? こいつがメンバー入り始めた7月くらいっすね。そこからちゃんと話すようになって。
宇都口 最初はあまり覚えてないっすね(笑)。
八木 自分もそうなんですけど、緊張してて。1年生は自分のことでいっぱいいっぱいだったよな。
――宇都口さんは、最初に八木選手について抱いたはっきりとしたイメージはどんなものでしたか
宇都口 今も変わってないですけど、結構ものをはっきり言う人で、ズバズバ言うなと。
八木 (笑)。
宇都口 あとはきれい好きですかね。めっちゃ部屋きれいやし。食堂とか掃除するんですけど、汚かったら言われますね。
――高校時代から実績のある選手が多い中で、宇都口選手は入部する時どのようなお気持ちでしたか
宇都口 入るまでは不安というか、ワセダはすごい人しか行けない印象があったので不安だったんですけど、入ってみたら、守備だけなんですけど、通用するかもと思って頑張れました。
――通用するなと感じた瞬間はありますか
宇都口 練習見て、自分も参加させてもらって、いけるんじゃないかと実感しました。
――八木さんは入部してみていかがでしたか
八木 外野は人がすごかったので・・・。でも足には自信があったので、代打か代走かでやるべきことがあるかな思いました。トータルではまだ厳しいかなと思っていて、とりあえずベンチ入りを目指してやっていました。実際に入れはしたんですけど、(当初は)入れるとは思わなかったですね。
――現在に至って、お互いの「ここがすごい」と思うことはありますか
宇都口 やっぱり足ですね。ダッシュとかも(練習)メニューであって、頑張って競走するんですけど絶対勝てないので、すごいです(笑)。あとはノックのとき、送球が一番安定しているんじゃないかなと思いますね。
八木 守備じゃないですかね。一番うまいと思います。グラブさばきも。あとバントうまいですね。安心しています。自分がランナーで出て、(宇都口に)バントのサインが出ると安心します。
――私生活の面では何かありますか
宇都口 まあ、さっきから言ってるけどきれい好きがすごい。
八木 やめてくれよ(笑)。
宇都口 とことんきれい好きなので。
八木 私生活か・・・。
――印象的なことでも
八木 こいつ虫嫌いなんですよね(笑)。たまに(寮の)表から出ることない?
宇都口 裏から行った方がグラウンド近いんですけど、セミ多すぎて遠回りしてます。
八木 セミ苦手なのが・・・(笑)。たまにセミくっつけたりしてますけど、もう怒っちゃうから(笑)。
宇都口 セミはだめです。
――では、4年生はどんな代だと感じますか
八木 優しいよね、優しい学年だと思います。
宇都口 優しいですね。あとは仲良い方だと思います。この間もほぼ全員でオフの日に海に行って遊んだりもしたので。優しくて仲良い学年だと思います。
八木 厳しい学年ではないですね。
――どちらの海へ行かれたんですか
八木 江ノ島の東浜海岸です。
宇都口 土砂降りやったんですよ(笑)。
八木 あの雨の中で(海に)入ったんだったらどんな天候でも入れるなって。
宇都口 みんな凍えながら入ったんですよ。
――どなたの発案だったんですか
宇都口 熊田(睦、教4=東京・早実)っすね。
八木 何人かで行こうと思ってて、最初自分が運転しようと思ってたんですよね。
宇都口 中型の自動車免許持ってて、20人ちょいくらいで行こうかとなったんですけど、最後は全員誘うことになって、全員集まりました。
八木 中型は29人以下なんですけど、34人くらい集まったので、大型を借りようとなって、みんなで行きました。
――4年生で遊ぶ企画をするのはどなたなのですか
宇都口 あそこにいる三人(熊田、吉見と岡大起、社4=東京・早実)っすね(笑)。
八木 まあ熊田っすね。
「このままじゃダメだなって思いましたね、高1の時に。」 (八木)
練習の虫と称される八木
――ではここから八木選手個人にお伺いします。八木選手の練習量はチーム一とお伺いしますが…
八木 いや、そんなことないですよ・・・。
宇都口 多分一番多いですね。
――打撃についてはどんな練習をされていますか
八木 もう授業がなかったので、午前中の練習が終わって、午後はジムでトレーニングして、ちょっと打って、夜ご飯食べて、屋内で振り込むということをやり続けようという風にしています。
――具体的にはどのくらいの量を意識されていますか
八木 何時間とか、何本とかは決めてないですね。納得いくまで。「コレだな」と思ったらやめる感じです。
――練習で特別意識することはありますか
八木 強い打球を打つことと、シャープに打つことですね。あとは疲れてから自分のスイングをするように練習をしています。
――一番ご自身で練習されるのは打撃ですか
八木 そうですね、バッティングですね。守備も、走塁も、もちろん大事なんですけど、外野って打たないとダメなので、捕って投げるだけだから。一番大事というか、打たなければと思うので。
――1番打者としての走塁、外野リーダーとしての守備など、守備走塁面でも背負うものも大きいと思いますが、それについてはどう感じますか
八木 うーん。いや、あんまり感じないっすね(笑)。
――春は好不調の波に悩まされました。以前は「試合に入らないと好不調は分からない」とおっしゃっていましたが、それは今でも変わりませんか
八木 分からないというか・・・ずっと不安ですよね。打っていても不安ですし、打っていなくても不安ですし、毎日そう思いながらやっていますね。
――宇都口選手もそんな風に感じていますか
宇都口 自分はあんまり不安とかは感じないですね。試合のときはいいイメージで入ろうとしているので。打てるか打てないかは別として、自分のスイングをしようと、割り切っています。「打てんかったらええわ」という風に。
――好不調を分けているのは、身体よりもメンタルの部分ですか
八木 じゃないっすかね(笑)。
――調子が悪い時に、どなたかたに声を掛けてもらったことはありますか
八木 親ですかね。結構いろいろ言われました。「今悪くても次があるから」、「先があるから頑張れ!」と(笑)。
――今までのインタビューでは謙虚な発言が目立ちます。逆に「ここは譲れない」という部分はありますか
八木 足じゃないですかね。
――宇都口さんは、八木さんの謙虚な発言を見ていかがですか
宇都口 いっつも謙虚で、バッティングでいい打球がいってても、「いやあんま良くない」とか(笑)。
八木 (笑)。
宇都口 多分、自分の目指している志が高すぎて、八木からしたら(いい打球でも)まだまだなんだろうなと思っています。
――謙虚じゃなかったという時期はご自身にありましたか
八木 大学はないですね。多分、中学校のときはそうだったと思います。野球では、結構いろんな面で成功していたので。
――それが変わったのは
八木 高校入ってからですね。高校1年生の時、一応(ベンチ入り)メンバーには入っていて、リリーフだったんですけど、内田さん(聖人、平28教卒=現JX-ENEOS)とか、鈴木健介さん(平27教卒=東京・早実)とかがいて、それよりは全然、コントロールもなくてキレもなかったので。一応甲子園は出ましたけど、このままじゃダメだなって思いましたね、高1の時に。
――そのときに練習熱心になりましたか
八木 高校の時はあんまり練習してないんですよね(笑)。勉強もあって。大学に入ってからですね。高校のときは全然練習してないですね。時間があるので・・・いい学部に入りましたよね(笑)。
宇都口 いいなあ(笑)。
「技術とかではなくただ気持ちで打った」 (宇都口)
関学大戦のサヨナラ打を振り返る宇都口
――では、宇都口さんにお伺いします。春季リーグ戦の時から「チャンスでの一打」を掲げていましたが、それについて何か取り組んでいることはありますか
宇都口 チャンスで打ちたいんですけどやっぱり塁に出ることも大事だと思うので、打席でやることはどんな場面でも変わらないので、打席では自分のいいかたちっていうのを認識してそのスイングをいつもできるような意識を持って練習しています。
――先日の夏季オープン戦の関学大戦ではサヨナラ打が出ました。まさに「チャンスでの一打」が出た場面でしたが振り返っていかがですか
宇都口 その前に4タコしてたので(笑)。ここで打たなかったらやばいって思ってどうしても打ちたかったです。技術とかではなくただ気持ちで打った感じですね。
――あの場面で結果を出せた要因は精神面にあったのですね
宇都口 はい、やっぱり絶対打ちたいっていう精神面ですね。
――単打が多い印象ですが、あの時は外野を越える大きな当たりでした
宇都口 ツーアウト二塁で外野が前に来てたのもあってたまたまなんですけど、ああいう当たりはめったに出ないですね。まあ、リーグ戦でもできたらいいなと思います。
――2番以外の打順を打つこともありましたが、それぞれ心構えに違いはありますか
宇都口 だいたい一緒です。
八木 2番と5番は違うでしょ。
宇都口 打順が違っても、その時その時の状況でやることは変わるんで、2番でも5番でも回ってきた状況見て、それにちゃんと合わせたバッティングができたらいいなと思います。
――春季リーグ戦に比べて飛球が多い印象ですが、何か心当たりなどはありますか
宇都口 フライを打つようにしてるって言ったら語弊があるんですが、あまりゴロを打ちたくないっていう意識に変わったのはあるかもしれないです。打ち上げようって思ってるわけではないのですが、ゴロは打たないようにっていう思いがそうなっているのかもしれないです。
――なぜゴロを打たないように、と意識するようになったのですか
宇都口 高校までだったらゴロでも相手のエラーを誘うことも期待できたのですが、六大(東京六大学野球)レベルだったら、ゴロを打ちにいってヒットってなかなかなくて。ゴロを打ちに行くよりは、ライナー性の当たりを狙ってフライになった方がいいかなと思うようになりました。
――ご自身の中では打撃は好調と感じていますか
宇都口 普通、ですね。まだまだ上げていかないとと思います。
――追い込まれてからの選球眼がいい印象です
宇都口 たまに追い込まれて三振っていうのがあるので少ないんですけどそれをなくしていきたいです。たぶん欲が出て大きいのを打とうっていう時に三振が出てしまっていると思います。
――続いて守備についてお伺いします。まず、守備に当たって一番心掛けていることは何ですか
宇都口 一歩目の早さが第一です。あとはなるべく正面に入ることですね。イレギュラーとかしてもセカンドなら前に落とせば間に合うので、一歩目の早さと正面に入ることを意識しています。
――背番号『2』に対して感じていることはありますか
宇都口 自分が知っている中では右京さん(河原、平28スポ卒=現トヨタ自動車)や真鍋さん(健太、平29スポ卒=現JX―ENEOS)が付けてた番号で、守備がうまい先輩たちが付けていた番号なので、自分もそのレベルでできるような選手になりたいと思っています。
――最近の内野手は下級生が多かったり入れ替わりが激しかったりする中でずっと二塁を守っていますが、その中で気を付けていることなどはありますか
宇都口 打順の確認とか、さっきそっち(に打球が)いってるよ、とかは声掛けるようにしています。晋甫(佐藤晋甫主将、教4=広島・瀬戸内)もケガして一回自分以外の内野が全員1、2年生っていうときがあったんですけれど、やっぱりやりづらかったですね。もう一人くらい4年生いてほしいなって。
――先ほど入部して「まずは守備からアピールしていきたいと思っていた」とおっしゃっていましたが、二塁というのは大学入学前もずっと守っていたポジションなのですか
宇都口 中2、3年の時からずっとセカンドですね。大学入ってからもセカンドでやりたいと思っていました。まあ四年間でサード、ショートも一応やったんですけれど、最終的にセカンドでやれて良かったと思います。
――やはり一番思い入れのあるポジションですか
宇都口 そうですね、ずっとやってきたので。
「『ワセダの野球部はすごいんだ』ってことをちゃんと伝えなきゃ」(八木)
――またお二人に向けて質問させていただきます。大学生活最後のシーズンが始まるということですが、どなたか活躍を見せたい人はいますか
宇都口 やっぱり親ですね。
八木 自分も親です。おじいちゃんおばあちゃんとか。あとは自分兄弟もいるので、4人兄弟の一番上で下3人も野球やっていますし。家族には見せたいですね。
――球場にいらっしゃったりもするのですか
八木 毎週来てくれています。
宇都口 自分は実家が兵庫県なのですが、それでもたまに来てくれます。
八木 お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんと毎週見に来てくれているので、本当にありがたいと思います。家族にいい姿を見せたいですね。
――宇都口選手も、電話やメールなどでご家族と連絡を取ったりしているのですか
宇都口 はい、たまに。体を気遣ってもらったりして、元気付けられています。
――大学生活最後のシーズンを迎えるに当たって、個人的に掲げている目標はありますか
八木 打率3割、盗塁8個以上ですね。
――春と同じ目標ですね
八木 はい。一回も達成したことなくて、盗塁も最高6個とかなんですよ。
――宇都口選手はいかがですか
宇都口 春本当は取りたかったベストナインです。最後なので、取りにいきたいと思います。ベストナイン取りたいです。
――では、ここだけは最低限、絶対に達成したいという目標はありますか
宇都口 失策ゼロですね。春一度やってしまったので。
八木 自分もそうですね。フライとか、しょうもないミスは絶対したくないです。
――今のチームの状態については、どう感じていますか
宇都口 あんまり良くはないと思います。
八木 まあ絶好調って感じでもないですね。投打かみ合ってない試合もありますし。
宇都口 まあ日によってまだ波があります。
八木 みんな調子いい日と悪い日があって、いいところでキープするってまあ難しいことではあるんですけどそれができている人は少ないと思います。
――お二人自身の調子はいかがですか
八木 オープン戦ではノーヒットの試合がまだないと思うので、それは前よりはいいかなと思う点です。まああと何試合かあるのでわからないんですけど。
宇都口 オープン戦でエラーはしてないのでその辺の捕球の正確さ、送球の正確さっていうのは上がっていると思います。
――チームの中でのご自身の立ち位置・役割というのはどのようなものですか
八木 えーわかんないな、俺ってどう?
宇都口 んー(笑)。まあ自分は4年生としてお手本になれるのは守備かなと思うので、「守備は宇都口さんをお手本にしよう」って思われたらうれしいです。
八木 自分はないですね。ないです。
――秋に向けて、個人的に今一番力を入れていることは何ですか
八木 バッティングです。
宇都口 自分もバッティングです。打率を残さないといけないバッターだと思うので、打ち損じを少なくするように、ミートの正確さを課題にしてやっています。
――チームで掲げているスローガンや目標はありますか
八木 一戦必勝、ですかね。
宇都口 監督(髙橋広監督、昭52教卒=愛媛・西条)がよく口にしているので。特にリーグ戦になるとその意識でやれっていうのはよく言われます。
八木 あとは「他人に迷惑をかけない」とか。
宇都口 これは部訓の一つですね。
――秋季リーグ戦の優勝のカギだったりキーマンだったりは何だと思いますか
八木 ピッチャーだと思います。ピッチャーが抑えれば勝ちます。
宇都口 ピッチャーと1、2番。
八木 俺らか(笑)。
宇都口 ピッチャーがしっかり押さえて先制点が取れれば流れは来ると思います。
八木 確かに。大事ですね。(自分が塁に)出るか出ないかでだいぶ違う。
――特にどの投手がカギになるというのはありますか
八木 全員ですね。
宇都口 そうですね、特に先発するピッチャーは。個人的には大竹(耕太郎、スポ4=熊本・済々黌)に頑張って欲しいです。1、2年生であれだけ活躍して、活躍してから落ちるのって精神的にもきついものがあると思うんですよ。最後はまた躍動する大竹を見たいです。
――最も警戒するチームはありますか
八木 法大かな。どこも強いんですけど、聞くところ社会人相手にもほとんど勝ってるみたいで、めちゃめちゃ状態がいいみたいです。オールスター(東京六大学オールスターゲーム)とかでピッチャーも見ましたけどみんなすごいし、恐ろしいですよ。バッティングもめっちゃ打ってましたし。あとは慶大もバッティングがすごいです。
宇都口 慶大のバッターはすごいですね。あとは明大も、日本代表にいっぱい選ばれているので実力のある選手が多いイメージです。
――では、それに対する早大の強みは何だと思いますか
宇都口 勢いに乗れれば強いチームだと思います。勢いしかないな(笑)。
――勢いをつけるために1、2番が重要になってくるということですね
八木 大事ですね。
宇都口 やっぱり最初に八木が打つと、チーム全体が「このピッチャー打てるぞ」ってなります。
八木 こいつ大体「打ってね」「出てね」って試合中とか言ってプレッシャーかけてくるんですよ。そんなん言わなくていいじゃないですか(笑)。
宇都口 やっぱり最初のピッチャーって警戒するので、そこで八木が打ってくれるとそれが基準になっていくので。八木が打たないと始まらないです。
――大学生活最後のシーズンということで、このシーズンを通して後輩に伝えていきたいことはありますか
八木 「ワセダの野球部はすごいんだ」ってことをちゃんと伝えなきゃって思います。早稲田大学野球部っていうのは歴史もありますし。
宇都口 誇りを持って戦ってもらうためにも、ぶざまな試合はできないです。
八木 やっぱり注目もありますし。いい学校だっていうのは伝えたいですね。
――最後に、この秋季リーグ戦への意気込みをお願いします
八木 残り少ないので一日一日を大切に、今を大事に過ごしていって、ラストシーズン笑って終われるようにしたいです。
宇都口 自分の代で優勝したいって気持ちが強いので、そのチャンスがあと一回なので、この一回に懸けて全員で勝ちにいきたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 喜田村廉人、久野映)
二人の働きで攻撃のかたちをつくりたい
◆宇都口滉(うとぐち・こう)(※写真左)
1995年(平7)9月12日生まれ。168センチ、67キロ。兵庫・滝川高出身。人間科学部4年。内野手。右投右打。中学生の時からずっと守ってきたという二塁のポジション。大学入学後も「まずは守備からレギュラーに食い込んでいこう」とさらに磨きをかけてきました。この秋は、神宮の二塁に立つ最後のシーズン。力強く『躍動』を誓ってくれました!
◆八木健太郎(やぎ・けんたろう)(※写真右)
1994年(平6)6月29日生まれ。176センチ、80キロ。東京・早実高出身。スポーツ科学部4年。外野手。右投右打。自他ともに認める「きれい好き」の八木選手。インタビュー中も手が空くたびに布巾で机上を拭いていました。寮長を務めることしは、その性格からか鋭い(?)指示を飛ばしているようです。日常生活も含めて、『今を大切に』する姿勢で、最終シーズンに全力を注ぎます!