昨年の東京六大学秋季リーグ戦、開幕戦法大1回戦で『2番・二塁』に抜てきされた富田直希(教2=東京・早実)。今季は2年生では唯一の台湾遠征参加など日増しに首脳陣からの評価が高まっている。二塁手でのスタメン定着へ向け、ここまでの取り組みや今季への意気込みを伺った。
※この取材は3月30日に行われたものです。
「貴重な体験をさせてもらった」
笑顔で取材に応じる富田
――台湾遠征を終えて「貴重な体験ができた」と言っていましたが、具体的には
毎試合ごとに始球式があったり、市長さんが観に来てくれたり、毎晩開かれた晩さん会にも市長さんや台湾出身の有名な野球選手なんかが来てくださっていて貴重な体験をさせてもらえてるんだなと思いました。
――2年生としては唯一の参加でしたが、寂しくなかったですか
寂しかったんですけど、上級生も優しく声を掛けてくださる人ばかりで、やりやすい雰囲気をつくってもらえました。
――沖縄キャンプでの思い出はどんなものがありますか
沖縄には同級生が結構来ていたので、国際通りに行ったり、近くの海に行ったりと楽しみました。
――2年生で固まっているように見受けられますが、仲のいい選手はいますか
この中で言ったら、加藤(雅樹、社2=東京・早実)ですかね。加藤は高校の頃から同じチームでやっていたので、仲が良くて今でも一緒に練習したりしてますね。
――1年生が入部してきましたが、、後輩に対してはどうしていきたいですか
自分はあまり口でああしろこうしろと言えないので、雑用とか姿勢を自分でやって見せられたらいいなと思います。
――2年生になって丸刈りを卒業できますね
高校の時からしばらく坊主だったので、いろいろな髪型にしてみたいです。
「守備は、いい感じになってきてる」
――かねてからの希望だった二塁手での出場が増えてきています
今まで遠慮しちゃって、固くなって守備してたんですけど、最近はだんだん自分のやりたいようにプレーできているので、守備はいい感じになってきてるかなと思います。
――具体的にはどのあたりが成長したと思いますか
(動きが)固くてバウンドに合わせる余裕がなかったんですけど、前に出たり、下がったりと自分の捕りやすいところでボールを取れるようになったと思います。
――春季オープン戦では積極的に前に出て打球を捕っていますね
守備範囲を広げるために後ろの方で守っています。弱い打球は前に出ないと間に合わないので、前に出るって感じです。
――では、守備面での不安な点をあげるとするならば、どこですか
六大学の選手は強打者が多いんで、強くて速い打球が来たら、少し不安です。
――強くて速い打球への対策は考えてますか
速い打球は前に落とせばアウトにできます。身体を張って止めていきたいです。
――内外野間のフライ処理では危ない場面も見られましたが、先輩外野手との連携はどうしてますか
自分はフライがあまり得意ではないので、ほとんど捕ってもらうようにお願いしてます。
――同じ2年生の檜村選手(篤史、スポ2=千葉・木更津総合)が遊撃手を務めていますが、どんな選手ですか
もともと肩が強くて守備がうまいんですけど、最近バッティングも調子良くなってきてて、攻守ともに力になれる選手だと思います。
――どのあたりが特にうまいと思いますか
球際ですかね。あと、握り換えの速さやあと一歩ってところの飛びつきがすごいなと思います。
――檜村選手との二遊間はどうですか
同級生なので、思ったことはなんでも言い合える。失敗することもあるんですけど、二人で話し合って改善できてると思います。
理想の2番バッターとして
昨年も神宮の打席は経験済み。成長した打撃を見せたい
――最近の打撃ではいかがですか
オフシーズンではいろいろと試してあまりうまくいかなくて、今まで通りでやるようになって調子良くなってきたって感じです。
――2番に座ることが増えていますが、打撃の中で意識していることは
低めの変化球を振らないようにしつつ、引き付けて打つことを意識しています。
――2番打者に期待されてることはどんなことだと思いますか
確実に送りバントを決めることと、進塁打を打つことだと思います。あとは、粘ることが大事だと思うんで、今の粘りを活かして、打ちづらい球は逃げて、甘い球が来たらしっかり振り切っていきたいです。
――後ろには佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)や加藤選手が控えていると思いますが、それぞれどんな存在ですか
晋甫さんは、去年から結果を残していて、キャプテンということで頼りになる存在です。なんとかして自分が出て晋甫さんに回したいなと思ってます。加藤も高校時代から頼りにしているんで、なんとか自分が出て回したいです。
――二人のことをどんな選手だと思ってますか
晋甫さんは、単打も長打も打ち分けることのできるうまい選手で、加藤は、思い切り良く長打が打てる力強い選手だと思ってます。
――度々口にされている「引きつけて打つ」ためにどんなことを意識してるんですか
肩を開かないで、へその前で打つことを意識するようにしています。低めへの変化球を打てない時に肩が開いてしまうのが自分の癖としてあって、その癖が出ないようにとやっています。
――ファールで粘ってヒットにするケースが増えたと思いますが、手応えはありますか
粘れるようにはなったんですけど、甘い球が来た時に強い打球を打つってのができてないので、粘れることはいいことなんですけど、甘い球を確実に打てるようになっていけたらなと思います。
――打席に入る前のルーティーンは何かを意識しているんですか
指を横と縦にするようにしてて、加藤がこのルーティーンをやっていて、良さそうだなと思ってやってみてます(笑)。ルーティーンぽく出来たら集中力がつくかなと思ってやってます。
――「三振を恐れずしっかり振る」とはどういう考えから来たものですか
調子が悪い時は肩が開いて走りながら打ってしまうんで、身体を残してしっかり振り切るっていうのを意識してます。
――当てに行くような打撃はしないという感じですか
まだ出来てないんですけど、徐々にそうできるようになっていきたいです。
――昨秋は開幕戦でスタメン起用されましたが、今回の春季リーグ戦に生かせることはありますか
昨年は初メンバー入りで初スタメンということで力んでしまって結果が出せなかったんですけど、ことしはメンバーに入れてもらえた経験があるので、力みとかはなく挑めると思ってます。
――リーグ戦には独特な雰囲気があると思いますが
学校と学校の歴史ある戦いなので、絶対に負けられないぞという気持ちのぶつかり合いだなと思います。
――投手のレベルの高さを痛感させられた昨季だったと思いますが、今季はそんな好投手をどう打ち崩していきたいですか
どの投手も低めの変化球がいいと思うので、ボール球に手を出さないことと、力強いストレートに振り負けないスイングをしたいと思ってます。
――早実高時代から受けてきたワセダの応援は力になりますか
なりますね。勢いをつけてくれますし、ダメな時も頑張ろうって気持ちになれます。
――リーグ戦を通じて好調をキープするための心掛けはありますか
変化球の対応とか相手に合わせずに自分のかたちでしっかり振り切るってのをやっていきたいです。
――「ここぞの場面での一本がまだまだ足りない」と言っていましたが、リーグ戦に向けてどんなことを意識したいですか
リーグ戦は負けても次があるんですけど、一戦も負けられないっていう気持ちを持って一球一球大事にやっていきたいです。
――チームの目標と個人としての目標をお願いします
チームの目標はリーグ戦優勝と日本一です。自分の目標はしっかり試合に出て結果を残すことです。チームの力になれるようにやっていきたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 石田耕大)
球際に強くなった守備を見てください!
◆富田直希(とみた・なおき)
1997(平9)年6月27日生まれ。176センチ、80キロ。東京・早実高出身。教育学部2年。内野手。右投左打。先日の台湾遠征で、初めて臭豆腐を食べた富田選手。味にクセがあって全部は食べられなかったそうです。