【連載】新体制始動特集『誓-ちかい-』 第4回 大竹耕太郎×小島和哉

野球

 2015年(平27)、東京六大学リーグ戦(リーグ戦)で春秋連覇を成し遂げた早大。6月の全日本大学選手権でも優勝し、日本一に輝いた。その当時から先発マウンドに立ち、ここまで第一線で投げ続けてきた二人の左腕がいる。大竹耕太郎(スポ3=熊本・済々黌)と小島和哉(スポ2=埼玉・浦和学院)だ。新体制となった早大が目指すのはもちろん、リーグ優勝とその先にある日本一。もう一度、頂点からの景色を見るために――。ダブル左腕は静かに闘志を燃やしている。

※この取材は12月3日に行われたものです。

「友達のような感じ」(大竹)「すごく話しやすい」(小島)

下級生時から一緒に戦い、同じ時間を共有することも多かった二人

――ズバリお聞きしますが、お二人は普段どんな関係でしょうか

大竹  あまり後輩という感じはしないですね。友達のような感じです。

小島 それはヤバいっすね(笑)。

大竹 (小島は)1年からベンチに入って、ずっと一緒にやっているのでライバルでもあるし、いつも助けてもらってる感じでもあります。

小島 自分も、最初入った時にいろいろ教えてもらった先輩でもあるので、投手陣の中でもすごく話しやすい先輩です。

――グラウンド外では一緒に何かされることは

小島 たまに食事に連れて行ってもらいます。

大竹 去年は竹内さん(諒、スポ4=三重・松阪)とも三人で結構ラーメン食べに行ったりしてました。

――最初の出会いは高校生の時だったと思いますが、その時の印象、そして今の印象を教えてください

大竹 高3時のセンバツで彼は2年生だったんですけど優勝して、同じ大会に出てたので、テレビで観て単純にすごいなと。自分にはない馬力とか変化球とかキレがあるなという印象でした。あと、これは今も変わらないんですけど、球の伸びが他の人と違うのでそこはすごいなと思っていつも見ています。

小島 大学来てからもそうですけど、一試合完投する能力が高いなと思います。自分は大学入ってから二年間で完投した試合は1試合しかないので、長いイニングを投げることに関してずば抜けてるなと思います。それと自分は真っすぐしか決め球がないんですけど、そこを大竹さんは変化球でカウントを取ったりうまく打たせたりするのはさすがだなと。自分も打たせてとることを意識してやっているのでそこはすごく勉強になります。

――それでは、ことし一年の投球についてそれぞれ振り返っていただきます。まずは大竹投手、ことしは悔しいシーズンになりましたが、ご自身の投球をどう振り返られますか

大竹 いろいろ考えてやってきたんですけど、それがうまくいかなかったです。考えすぎて投げ方が分からなくなったり、空回りしたりした一年でしたけど、そういう時期もあっていいのかなとポジティブに考えています。来年は最後の年なので優勝して終わりたいなという気持ちでいます。

――秋季リーグ戦前にフォーム改造を行ったということですか、どこを新しくしたのか教えてください

大竹 投げる時に、両肩が上下してしまったり(テークバック時にグラブを出す方の右の肩が上がり、ボールを投げる方の左の肩が下がる)、(踏み出す時に右足が)一塁方向にインステップしてしまったりしていたので、そこを直したんですけど、逆に打ちやすくなってしまったのかなと思います。他大の選手に聞いても「ボールが見やすくなった」と言われたので、ある意味自分の良さを失ってしまったのかなと思いました。

――秋はベンチを外れた時期もありましたが、その時はどのように過ごされていましたか

大竹 ベンチ入りできるよう練習をしっかりしていました。

――過去にもこういった経験はありましたか

大竹 ここまで長くうまくいかないというのは初めてなので、心が折れました。

――先程ポジティブに捉えているというお話でしたが、苦しい時期は自分を成長させてくれるものだと考えていますか

大竹 そうですね。いろいろ試してダメならまた違う方法で試しての繰り返しだと思うので。

――苦しい期間、応援してくれる方や支えてくれる方からはどういった声がありましたか

大竹 もちろん厳しい声もたくさんあって。「しっかりしろ」という声もたくさんあったんですけど、そういう中でも常に気に掛けてくださる方々もたくさんいて「復活するのを待ってる」という声もいただいたのでそういった方たちのためにも頑張ろうって思います。

――昨秋は二山陽平投手(商3=東京・早実)や柳澤一輝投手(スポ3=広島・広陵)といった同期の投手の活躍が光りました。彼らの姿はどう見ていましたか

大竹 二山はいい投球をしていたのに試合に出る機会がなかったので、やっと試合に出れて同級生としてはうれしかったのですが、同じ左ピッチャーとして「このままじゃいけない」という気持ちにもなりました。柳澤は1年の秋からベンチ入りしていましたが、彼も去年ベンチを外れて苦しい思いをしていたし、その苦しみを乗り越えて今投げていると思うので、一年そういう時期がずれていますが自分も見習っていきたいです。

――次は小島投手にお聞きします。昨秋は最優秀防御率のタイトルを獲得しました。率直な感想をお聞かせください

小島 タイトルを取れたことは良いことだと思うんですが、数字的には(1.60)去年の柳さん(裕也、明大4年)が0点台なのでまだまだだなとは思うんです。それでも、そういうタイトルを取ったことによって、不甲斐ないピッチングが今後もできないなという責任はあります。

――高校時代と比べ、精神面での成長は感じられていますか

小島 1年生のときは(試合の)後ろで投げさせてもらって、経験してみないとわからない点もたくさんあったので、そういう面では高校の時よりも確実に成長しているのではないかなと思います。

――夏からフォームの改造を行ったと聞きましたが、技術面ではどうですか

小島 1年生の頃は勢いだけで投げていた部分があったので、2年生になってそこをフォームから変えていこうとやっていました。夏ごろになって結果が出なくなって、それを他人のことで当たったりして、自分と正直に向き合えてなかったんですけど、いろいろ柳さん(裕也、明大4年)に結構アドバイスをいただいて、そこでやっぱりフォームとかではないなと気付きました。とりあえず勝つためにできることを一生懸命やろうと重きを置くようになってから結果がまた出るようになりました。フォーム改造などは冬にやればいい思っているので、そういう点ではいろいろと教えてもらいました。

――昨秋に限らず連勝しているとき、調子の良いときにしている験担ぎやルーティンなどはありますか

小島 試合前にどら焼きを食べてはいたんですが、途中から(口の中が)パサパサするのがキツいなというのに気付き、途中で一回やめたんですけど、最後までやったほうがいいのかなと思って、また食べてたんですけど新しいものを何か見つけようと思います(笑)。

――昨秋は試合序盤に球が高く浮いていても中盤以降で修正ができていたのではないかと感じました。自身の修正能力という部分はどう感じていますか

小島 調子良いときは普通にやればいいんでけど、悪いときこそ抑える力が必要だと思うので、毎回悪くてもダメですけど、試合の中で修正できるよう意識的にいろいろ変えたりしています。ただ、投げ方を変えてしまうと試合にならなくなってしまうので、バッターと一対一での駆け引きができるように日頃のピッチングの時から意識して練習しています。

――昨春は22回で22奪三振、昨秋は39と1/3回で19奪三振でした。やはり打たせて取る投球が理想ですか

小島 最終的には三振を取れるように段階を踏んでいく必要があるんですけど、今はどっちかというとボールゾーンの球を振らせるというよりかはストライクのコースでしっかり勝負できるピッチングを覚えたいと思ってやっていました。打たせてとることはできてたんですけど、逆にストライクゾーンで勝負すると当てられることがあったので、真っすぐの精度を上げて、ストライクゾーンで勝負できるように段階踏んでやっていくのが必要かなと。打たせて取って、勝負どころのような欲しい場面で三振が取れるようなピッチャーになりたいなと思っています。

――先ほど柳投手からアドバイスがあったとありましたが、それは気持ちの部分のアドバイスだったということですか

小島 自分が打たれた時に「大丈夫か」とLINEが来て、そこで自分がボロっと言ったことに対して「それは違うぞ」とご指導いただきました(笑)。ただ、そこから吹っ切れたというか、柳さんの4年時の成績を見てもそういった考えを持っているから結果が出るのかなと目標になりました。

――先日はユニバーシアード大学日本代補の選考合宿がありましたが、そこでは何か刺激を受けたことはありましたか

小島 同学年の選手たちのレベルがみんな高かったので、自分も負けられないなという気持ちが出たし、いろいろ話して多くのことを吸収できたので、それを春に向けて生かせたらいいかなと思います。

――代表経験は高校時代からあると思いますが、日の丸を背負う意識はどう感じていますか

小島 みんなの代表として出るわけなので、不甲斐ない成績は出せないですし、結果にこだわっていいたいなと思っています。

――よく話した選手などいましたか

小島 ピッチャーで固まっていたので、東海大の青島(凌也、2年)や横川(楓薫、2年)、あとは明大の齊藤さん(大将、3年)はよく話しました。

――大竹投手は他大学で仲の良い選手はどなたかいますか

大竹 法大の熊谷(拓也、3年)や森田(駿哉、2年)、立大の藤田(凌司、3年)ですね。

――済々黌高の選手とは大学入ってからも交流はありますか

大竹 そうですね。慶大に3人います。きょうも焼肉に行きます(笑)。

メリハリのあるオフに

――年末年始のオフはどれくらいありますか

大竹 12月24日から1月3日ですね。

小島  え、4日じゃないすか?

大竹 あ、4日までです。

――その期間は実家に帰られますか

大竹、小島 はい。

――実家に帰ってしたいことはありますか

小島 気分転換もしたいですけど、とりあえず練習はサボっちゃいけないと思ってます。今積み上げてる分も年末何もしないとゼロになってしまうのでとりあえず毎日練習はしていきたいと思っています。

大竹  年末年始なんで自分に甘えちゃう部分もあると思うんですけど、そこは律して練習は練習、遊ぶ時は遊ぶというようにけじめをつけようと思います。

――ことしの春は故郷の熊本で震災がありました。故郷への思いはどういうものを持ってらっしゃいますか

大竹  熊本は本当にいいところです。実家は大丈夫だったんですけど、友達が被害にあっていろいろと不便していたので、来年熊本で行われるオール早慶戦やリーグ戦で自分が活躍することで良いニュースを届けられたらなと思います。

――お二人は車の免許をお持ちですか

小島 取りました。

大竹 僕もう免許更新しました(笑)。

小島 (安部寮から)実家まで車で1時間なので、親が車で迎えに来たらその帰り道を運転します。実家にいるときも、兄とショッピングモールに行く時は自分が運転していったりします。ただ駐車がちょっと怪しいのですが(笑)。

――では普段、学校がある時のオフは何をしていますか

大竹 買い物が好きなのでアウトレット行ったり、さっきも車の話出ましたがカーシェアしてどこか出掛けたりですね。トレーニングもしてます。

小島 とりあえず昼まで寝て、あとは体を動かしたりご飯食べに行ったりですね。

――先ほど実家でも練習するということでしたが、母校には顔を出しますか

大竹 自分の練習がメインではありますが、お世話になった監督などにあいさつに行ったりはします。

小島 大学ではピッチングを教えてもらうことがあまりないので、自分では気付かない点をあいさつがてら見てもらう感じですね。いい気分転換になりますし、後輩にも教えてくれと言われるので、自分の経験したことを伝えたりしています。

――これからインフルエンザがはやる季節ですが、寮内で風邪は蔓延しやすいのですか

小島 はやるときは一気にいきますね。

大竹 感染性胃腸炎ヤバいっすよ。

小島 早慶戦のときはロッカールームやバスの中で吐いてる人とかいたので大変でした(笑)。

――大竹投手なら森友哉選手(埼玉西武ライオンズ)や松井裕樹投手(東北楽天ゴールデンイーグルス)、小島投手なら安楽智大投手(東北楽天ゴールデンイーグルス)や高橋光成投手(埼玉西武ライオンズ)といった高校から直接プロに進んだ同級生の活躍は刺激になりますか

大竹、小島  結構受けます。

――そういった選手たちとの交流はありますか

小島 光成(高橋投手)とは結構食事に行きますね。向こうのオフのときにいきなり連絡が来て急に行きます。所沢なんですぐ行けます。

「0点に抑えられなければ自分の責任」(小島)

マウンドでの心の持ちようについて語る小島

――再び野球の話に戻ります。体づくりの面で意識すること、普段から取り組んでいることがあれば教えてください

大竹 僕はケガをしたくないので、食べ物には結構気を使っているつもりです。

小島 自分はリーグ戦が終わってから結構食べているので、体重も3キロぐらい増えて80キロちょいになりました。

――ウエートトレーニングはされますか

小島 上半身は結構やってますね。今まで腕とか鍛えてなかったんですけど、ことしの冬からやり始めるようにしました。

大竹 自分もあまりやってこなかったので、最近は下半身も肩周りもやるようにしています。

――秋季リーグ戦では法大1回戦の途中から捕手が小藤翼選手(スポ1=東京・日大三)になりました。急な変更に戸惑いはありましたか

小島 それまで実戦で組んだのは1回しかなくて、練習も常に吉見さん(健太郎、教3=東京・早実)に受けてもらってたので、戸惑いはありました。ただ小藤のポテンシャルも高くて、今思えばあんまり心配する必要はなかったなと。結構信頼してます。

――サインなどリードの部分も試合中は小藤選手が決めているということですか

小島 そうですね。試合中は小藤のサイン通りに投げて、イニングが終わった時は必ず意見交換をするようにしています。

――今、ポテンシャルの話が出ましたが、捕手としての小藤選手の良さは何ですか

大竹  いい意味で1年生らしくないなと思います。普通にいじってくるし(笑)。そういうメンタルの強さはさすがだなと。技術面でいえば低めの球のキャッチングがすごくうまく、ボールが伸びてるように捕るので、投げやすいです。

小島 やっぱり高校から強豪校でキャッチャーをしているだけあって、一球一球の勝負所での駆け引きがすごくうまいです。1年生の頃から試合に出るというのは大変な部分もありますし、特にキャッチャーは守備全体を引っ張っていかなくてはならないので、そういった才能の高さが活躍につながったのかなと思います。

――ことし一年を振り返って良い面、悪い面あると思いますが、最も印象に残っている試合はどの試合ですか

大竹 ことしはいい試合がなかったです。全部同じように打たれて代わる感じだったので。夢でもそればっかりが出てくるぐらいです。打たれてベンチから監督(髙橋広、昭52教卒=愛媛・西条)が出てくるみたいな。ただ、あえていい試合を挙げるとしたら、夏季オープン戦の東京ガス戦(5回無失点5奪三振)ですね。あの時はなぜか球がキレていました。あれが投げられれば普通に抑えられるんですけど(毎回は)投げられないので難しいなと思います。

小島 自分は秋の明大2回戦です。明大はずっと勝っていたので、1つでも黒星を付けてやりたかったというのと、自分の体調もその週すごく悪くてピッチングがほとんどできない状態で。そんな中で気持ちだけはしっかり持とうとしました。内容自体はあまり良くなかったですけどチームの勝ちに貢献できたので印象に残ってます。

――昨年、春秋連覇したチームは4年生がよく打ちました。その4年生が抜けたことしのチーム。やはり投手陣が引っ張っていくという意識はありましたか

大竹 そういう気持ちはあったんですけど・・・結果が伴いませんでした。

小島 投手陣は(昨年のメンバーが)残っていたので、何とかなるだろうと思っていました。最初は(チームの敗因を)野手陣が打てないことのせいにしてしまっていたんですが、柳さんに言われたというのもあって、自分が0点に抑えられなければ自分の責任だ、と思うようになりました。そこからはどんな状況でも点を取られないという気持ちで投げたので、春よりも秋のほうが良かったのかなと思います。

――ことしは石井一成前主将(スポ4=栃木・作新学院)と竹内諒投手(スポ4=三重・松阪)がプロ志望届を提出しましたが、プロへの意識についてはいかがですか

大竹 石井さんは毎日練習前に早く出てきてランニングしたりしていたので、そういった意識が高いなと思っていました。竹内さんはことしあれだけ良くても指名されなかったので、厳しいなと。自分も普通にやっているようではダメだなという気持ちです。

小島 (石井前主将は)キャプテンとしてチームを引っ張っていく姿が印象的だったので、自分の結果だけでなく周りを勝たせる姿勢のある選手がプロに行くのかなと思います。今行っているジムも同じで、指名後も毎日通ってると聞いたので、そういった意識の高さは見習って行きたいなと思います。

「先頭に立ってチームを引っ張っていく」(大竹)

大竹は強い決意を胸に大学ラストイヤーに臨む

――佐藤晋甫主将(教3=広島・瀬戸内)はお二人から見てどういう方ですか

大竹 クソ真面目ですね。オフの前の日でも外出しないぐらい真面目です。

小島 すごく真面目だなと(笑)。

――やはり主将に選ばれるだけあって、部員からの信頼も厚いのですか

大竹 それはありますね。秋の活躍もあったし、部員の投票で決まったので。あとはいい意味でいじれるので(笑)。他の選手が練習で必要以上に気を使うことはないので、選手としては意見交換しやすいかなとは思います。

――お二人は来年、4年生、3年生になりますが、そのあたりの意識や自覚を教えてください

大竹 年取ったなあ・・・。

小島 この間まで1年だったのにもう3年になるということで、ことしは1週間に1試合分しか投げられなかったので、プロに行かれる加藤さん(拓也、慶大4年)や柳さんのように1戦目投げて、中1日で3戦目も完投できる体力をつけなければいけないなと思っています。

――これまでは先発として投げてこられましたが、先発へのこだわりはありますか

大竹 やっぱり先発がいいですね。気持ちも持っていきやすいですし。抑えで出ていくならピンチで三振が取れる柳澤(一輝、スポ3=広島・広陵)のようなタイプだと思います。三振が取れるわけではなく、長いイニングを投げていく中でのらりくらりいくタイプの自分は、先発でないと良さは出ないと思っているので、先発としてやりたい気持ちは強いです。

小島 先発で行ければ一番ですけど、監督から見て後ろで投げる必要があるなら後ろでも行くつもりでもいます。

――先日のスポーツ推薦入試では早川隆久投手(スポーツ科学部入学予定=千葉・木更津総合)が合格しました。彼にはどういった印象をお持ちですか

大竹 自分と小島の中間ぐらいのタイプかなと。

小島 自分はまた左(投手)かとしか思ってないです(笑)。

大竹 頭良さそうな顔で、すごく考えて投げてそうだなと甲子園を観てて思いました。

小島 動画自体は観てないので何とも言えないですけど、U―18と壮行試合をした時に見たので、そのときはキレのあるいいピッチャーだなと思いました。

――その早川投手は一般紙の取材で大竹投手を目標に挙げていました

大竹  そう言っていただけるのはうれしいですけど、もっと高い目標を持ってほしいですね(笑)。ただ、自分なりに考えて練習しているので教えてあげられることはあるし、自分も彼から教わりたいこともあるのでシェアしていきたいなと思っています。実は彼とは遠い親戚なんですよ。親戚から「仲良くしてあげてね」と連絡来ました(笑)。

――再び野球の話に戻りますが、自分が理想とする投球をするために大切になってくるのはどういった部分だと考えていますか

大竹 『再現性』です。ことし一年はいい球が投げられても続かなかったので、それを常に同じフォームで投げられるように、何も考えなくてもそこにしか(球が)行かないぐらいになりたいです。そのための体づくりや精神面の強化をしていきたいです。

小島 自分は『心・技・体』の3つがそろえば良いピッチャーになれると思っています。ここぞの場面で重要な技術や、それを発揮するための体力が必要だと思っています。また、3戦目も投げるとなると気持ちの部分も大事になってくるのでその3つをレベルアップしていきたいです。

――来季に向けて、自分の良さを追求していくのか、それとも悪い点を修正していこうと考えているのかどちらですか

小島 自分はフォームをぐちゃぐちゃにしてもいいと思っているぐらいなので、とりあえず体を大きくして、体力をつけることだけ考えています。技術的な部分はこの時期はまだいいかなと思っています。

大竹 良かったときのフォームとことし一年のフォームをしっかりと比較した上で何が悪かったのかを考えた結果、問題点が出てきました。他にも筋肉の出力が弱くなっていたり機能が落ちていたり。そういった悪い点を直していくことが一番ですかね。何が打ちにくかったのか、なぜ打ちにくかったのかを相手の打者にも聞いて、自分の良さとはなんなのかをもう一度考えて、それを失わないようにしていきたいです。

――最後に大竹投手はラストイヤーを迎えますが、どのような意気込みを持って臨まれますか

大竹 (最後の年という)実感はないんです。ただ、4年生の力がないと勝てないというのはこの三年間でよく分かりました。自分が先頭に立ってチームを引っ張っていければ優勝できないことはない思います。最後の年、背中で見せるというか、結果で(チームを引っ張る姿勢を)見せていけるようにしたいと思います。

――小島投手は3年生としてのシーズンですが、この一年に懸ける思いを聞かせてください

小島 気の抜ける試合は一つもないと思っているので、自分の結果もそうですけど、チームの勝ちに貢献できるような人間になりたいなと思っています。自分が勝てばチームの勝ちにつながるので、そういったことを意識して投げていきたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 郡司幸耀、田原遼)

天皇杯奪還に向け、二枚看板を確立できるか

◆大竹耕太郎(おおたけ・こうたろう)(※写真左)

1995(平7)年6月29日生まれ。182センチ。77キロ。熊本・済々黌高出身。スポーツ科学部3年。投手。左投左打。『大学野球』(ベースボール・マガジン社)や野球部ホームページを見ると体重は72キロ。これまでの特集記事でも大竹選手の体重を72キロと掲載していたことについて話すと「それは古いです」とキッパリ。今後は最新のデータを掲載していきます!

◆小島和哉(おじま・かずや)(※写真右)

1996(平8)年7月7日生まれ。177センチ、79キロ。埼玉・浦和学院高出身。スポーツ科学部2年。投手。左投左打。埼玉県鴻巣市に実家がある小島選手。地元には埼玉県警運転免許センターしかないと前置きした上で、「今後、免許センターだけには行くことのないように」と笑いを誘っていました。