【連載】早慶戦直前特集 第2回 有原航平

野球

 今季から早大の右腕エースナンバーである11番を背負った有原航平(スポ3=広島・広陵)。周囲からの大きな期待を受けて臨んで迎えたシーズンだっただけに、ここまでの成績は不本意なものだろう。しかし、第1戦の先発としてワセダの投手陣を支え続け、チームの中心的存在としての自覚は強まった。今季の試合を振り返りながら見えてくる、決戦への思いとは――。

※この取材は5月24日に行ったものです。

「悔しいというか、もったいない」

先発の柱としての活躍が求められる

――今季、自身の成績を振り返って

東大1回戦と明大1回戦は良かったんですけど、そこから勝ち星が付いていないので、そこは自分の練習が足りないんだと思います。

――どんな練習が足りていないのですか

シーズン前の冬の時期にやっておくべきことが足りなかったと思います。

――それは、体力強化などですか

そうです。

――自身の投球について「粘りがない」と振り返っていましたが、どういった意味ですか

取られてはいけないところで点を取られて、簡単に失点してしまっているところが粘りがないと思います。

――東大1回戦では開幕投手として7回無失点でしたが、滑り出しは順調という感じでしたか

(春季)オープン戦から調子は良かったので、滑り出しは良かったと思います。

――明大1回戦も7回無失点で2勝目を挙げました。この2試合の投球は納得がいっているか

そうですね。

――この試合はほとんどのボールが150キロ台でしたが、調子がよかったのですか

特別調子が良かった訳ではないですけど、自分でもスピードは出ているなと思いました。

――球速と自身の調子は関係があるか

あんまり無いです。いつもだいだい150キロくらいなので、あまり気にしていないです。

――調子の良し悪しを決める指標はありますか

やっぱりコントロールが良いときは調子が良いです。

――153キロを計測した際は、投じた瞬間に出たというは感触はありましたか

そんなに無いですけど、明大の福田(周平)は高校の同期だったので、自然と力が入ってしまいました。

――以前の取材では球速よりコントロールを重視しているとのことでしたが、速い球をコントロール良く投げるのは難しいのですか

そうですね。力を入れるので難しくはなります。

――明大3回戦では4回2/3を投げて自責6。前の2試合と、球速など投球がかなり違ったように見えましたが、疲れはありましたか

それはあまり無かったですけど、甘いボールが多かったと思います。

――明大戦ではバッティングが目立ちました。3回戦では4回に同点適時打を放ちましたが、このバッティングを振り返って

前の打席で打ち取られた球が来ると思ってそれを狙って思い切り振ったら、狙い通りに球が来たので、ラッキーでした。

――4回戦ではソロHRを放ちました。しかもこの日の得点はこの1点だけと、野手顔負けの打撃でしたが、会心の当たりでしたか

中村(奨吾、スポ3=奈良・天理)のバットを借りて打ったのが良かったのかなと思います。バットは折れてしまいましたけど(笑)。

――立大戦は、髙梨選手が野手として出場しましたが、同じ投手としてどう感じましたか

あいつはバッティングが良いので、いつかはあるだろうなと思っていました。特に驚きは無かったです。

――自身もバッティングが好きとのことですが、もし野手転向を命じられたらどうしますか

いやー(笑)、ピッチャーでたまにバッティングをするくらいがちょうど良いので、ちょっときついですね。

――打撃好調の要因は学生コーチのおかげとのことでしたが

いつも夜の自主練習の時に、中村と直原(大典、人3=高知・土佐)と3人でバッティングしているので、それを続けていることが良いと思います。

――ことしからその練習をしているということで、打撃面での成長はありますか

成長していると思います。

――打率は.375ですが、この成績に関してはどうですか

ラッキーなヒットが多いので(笑)。でも、このままこの打率を維持したいと思います。

――立大戦は好投しながらも、9回表に勝ち越しを許してしまいましたが、この試合を振り返ってどうでしたか

その試合に勝っていれば優勝の可能性は残っていたので、悔しいというか、もったいないと思いました。

――法大戦は、投打ともに圧倒されるかたちでした。開幕前に法大の打撃が良いと話していましたが、やはり法大の打撃陣は手強かったですか

そうですね。やはり力強いバッティングでした。2アウトからホームランが打てるのは良いバッターだと思います。

「自分らしく頑張りたい」

――一番印象に残っている試合はどの試合ですか

明大2回戦の引き分けた試合ですね。内容的にも勝ちゲームだったので、そこを勝てなかったから、いまのこういう状況になっているんだと思います。

――チームとしては6連敗中ですが、今のチームの雰囲気はどうですか

やることは変わらないので、早慶戦に向けて良い雰囲気だと思います。

――連敗脱出には何が必要だと思いますか

最初はピッチャーは抑えているのに得点ができないという感じだったんですけど、いまはピッチャーも打たれて得点もできないという感じになってしまっています。自分はピッチャーなので、まずは0点に抑えないといけないと思います。

――リーグ戦デビューした1年生の吉野選手についてはどう見ていますか

しっかり投げられているので、1年生からあれだけ投げられるのは心強いと思います。

――昨秋の、初めての先発としてのシーズンとの違いはありましたか

きょねんはキャッチャーが地引さん(雄貴、平25年卒=現東京ガス)だったので、引っ張ってもらうという感じでした。でも、ことしは土屋(遼太、スポ3=東京・早実)だったり道端(俊輔、スポ2=智弁和歌山)だったりするので、自分で考えないといけないと思うようになりました。

――土屋選手と道端選手とのバッテリーは違いがありますか

特に無いですね。どちらも、もっと成長していって欲しいと思います。

――5試合に先発し、ワセダの投手の1本柱的な存在となりましたが、自分がけん引しているという意識はありますか

一試合目を任せてもらっているので、もっと頑張らないといけないと思います。

――エースとして望んだシーズンでしたが、エースとしての働きはできていましたか

できていないですね。勝たなければいけないところで勝てていないので。

――今季の開幕前に立てていた目標はありますか

投げる試合は全部勝つという目標を立てていたんですけど、それができませんでした。まだ早慶戦は残っているのですが、秋に向けていろいろ課題が見つかったので、秋も見据えて頑張りたいです。

――今季の良かったことはありますか

明大1回戦に勝てたのは良かったです。味方がたくさん点を取ってくれて投げやすかったっていうのもあったんですけど、明大に勝つということを目指してやってきたので。

――背番号11はなじんできましたか

もとからそんなに意識はしていないので、特にそういうのは無いですね。

――背番号の話をもらった時はどう思いましたか

監督に、もっと頑張って欲しいという風に言われていたので、この背番号をもらって、もっと頑張ろうという気持ちになりました。監督には練習をもっと頑張るようにと言われました。

――理想とするエース像はありますか

特には無いので自分らしく頑張りたいと思います。

「ワセダらしい良い試合を」

――早慶戦はどのような気持ちで臨まれますか

今季はあまり調子が良くなく連敗も続いているので、早慶戦でしっかりと連敗を止めて、今季を締めたいなと思います。

――早慶戦は特別なものですか

観客の入り方も違うので、少しは意識しますね。

――昨春には満塁本塁打も打たれていますが

いいイメージが大きいですね。

――連敗を抜け出すためには

思い切ったことをしないとこの悪い流れは変わらないと思うので、大胆にしていければいいのかなと思います。

――慶大の注目選手は

投手なら白村選手(明弘、4年)、野手なら佐藤旭選手(3年)はいやなバッティングをすると思います。

――白村選手をこう打ちたいとかはありますか

昨年の秋にセンター前に打っているので、そのようなイメージで打ち返したいと思います。

――早大の早慶戦のキーマンは

誰かわからないですけど、先頭バッターだと思います。

――最後に意気込みをお願いいたします。

今季はふがいない結果ですけど、最後慶大に勝って終わりたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 高田麻里)

◆有原航平(ありはら・こうへい)

1992年(平4)8月11日生まれ。188センチ、91キロ。広島・広陵高出身。スポーツ科学部3年。投手。右投右打。他大学のなかで注目している投手として、明大の上原健太投手、と高校の後輩の名前を挙げた有原投手。後輩の活躍は良い刺激になっているそうです。後輩、先輩とは一緒にごはんを食べにいくこともあるそう。六大学を盛り上げる活躍に目が離せません!