【連載】『真の王者への道』 第4回 有原航平

野球

 昨春は抑えとして日本一に貢献し、秋のリーグ戦では先発に再転向すると2完投を含む4勝をあげた有原航平(スポ3=広島・広陵)。しかし、その成績に満足することはない。エースとしての活躍が期待される今季への思いをうかがった。

※この取材は2月13日に行ったものです。

昨季は「60点くらい」

質問にはきはきと答える有原

――去年を振り返るとどういった一年でしたか

春は六大学リーグ戦と全日本大学選手権で優勝できて良かったのですが、秋は自分が投げた試合で勝っていれば優勝できたという試合があったので、ちょっと悔しいシーズンです。

――印象に残っているのは秋のシーズンですか

そうですね。

――点数をつけるとしたらどれくらいですか

60点くらいです。

――春の優勝の印象はどうですか

上級生に優勝させてもらったという感じなので、うれしかったですけどもっともっと練習しないといけないなと思っていました。

――夏に先発転向したことが一つの転機になったと思うのですが

変わったという感じは無いですが、やっぱり僕がやらないといけないなとは感じていました。

――秋のリーグ戦で先発として意識していたことは

先に点を取られない事ですね。味方が点取るまでは我慢していくことを意識していました。

――新たなバッテリーの良さはありますか

良さはまだわからないですね(笑)これからやっていくので。

――シーズン後には静岡キャンプがありましたが、どういう事を練習されたのでしょうか

体を鍛える事ばっかりでしたね。走り込んで。それだけです。

――スタミナ面の強化をはかってという事ですか

そうですね。スタミナは大分ついたと思います。

――秋にあったスタミナの不安はもうないですか

はい。大丈夫だと思います。秋は全部投げ切りたいと思っていたのですができていなかったので。

――静岡キャンプで監督やコーチから何かアドバイスは受けましたか

やっぱり体力面ですね。3戦目もしっかり投げられるようにと言われました。

――いま取り組んでいる課題はなんでしょうか

体力強化っていう面が一番なので、他は特に考えていないです。

――いまはどういう練習をされているのですか

ちょっと暖かくなってきたので、実戦が入ってきた感じですね。でもまだまだ体を強化していく途中という感じですね。投げ込みも来週くらいから始まると思います。

――新チーム、東條航(文構4=神奈川・桐光学園)主将のチームはどういうチームですか

「人間性」をテーマにしているので一つ一つきっちりこなしているなという感じはしています。

――投手で横山貴明(スポ4=福島・聖光学院)選手が副将になりましたが、副将としての印象は

副将っていうよりは、投手のリーダーなので、そっちのほうで引っ張っていってくれているというイメージの方が強いですね。

――投手陣で互いに話し合ったりされていますか

去年に比べて取れる点数は少ないと思うので、ピッチャーが頑張らないといけないという話はしています。去年に比べて守備が大事になっていくと思うので。

――ご自身が3年生になって、下級生をまとめていくということはありますか

あまりないですね。自分は自分の事をやるというタイプなので。

「やっぱり優勝を狙いたい」

エースとしてチームをけん引する

――早大は有原さん以外でも投手陣も充実していると思うのですが、周りの頑張りは刺激になりますか

周りが、というよりは自分が頑張ろうと思って、周りの投手の事はあまり意識していません。

――では、第1戦の先発投手に向けて自信がありますか

はい。あります。

――去年の秋の早慶戦前のインタビューで、球数を減らして勝ちにいく投球をしているという話がありましたが、理想の先発像は

三振取るっていうのも大事だと思うのですが、打たせて取る方がリズムもできて、ことしは守備のチームなのでなおさらそっちの方がいいなと思っています

――究極的には27球で27つのアウトを取って勝つという話がありますが

それは厳しいですね(笑)でもやっぱり少なければ少ない方がいいですね。

――三振数にこだわりは

こだわらないです。

――数字へのこだわりはあまりないですか

特にないですね。やっぱり優勝を狙いたいです。勝利にこだわりたいです。

――ストレートの球速はどうでしょうか

スピードは前からあまり変わっていないと思いますね。今はコントロールの方が大事かなと思っています。

――ストレートの球速もコントロールも秋は安定していたように思いますが要因は

やっぱりしっかり走ってきたことですかね。夏の軽井沢キャンプでも走ったので秋もまあまあ良かったと思います。今もしっかり走り込みをしているので、春はしっかり良い結果を出したいと思っています。

――憧れの投手などはいますか

あまりいないですね。タイプが被っている人がいないので。自分は自分らしくという事です。

――投球の生命線はなんでしょうか

真っすぐです。外の真っすぐだと思います。低めに制球していくことも。

――変化球はどうでしょうか

変化球はこれと言ったものは無くて、全体的に自信があるので、特にという球は無いですね。

――投手をやっていて良かったなと思う事は

投手しかやったことが無いのでわからないですけど、自分が投げないと試合が始まらないので、自分中心で試合やってるという感じがいいですね。

――一番気持ちが高まるのはどんなときですか

ピンチになって抑えたときですね。

――ピンチのときは三振を狙ったりもしますか

三振が必要な時もあると思うので、そういうときは三振狙っていきたいです。

――三振を狙うのはどんなときですか

相手がのってきて、ここで一本打たれたらやばいなというときにびしっと三振取れたら、流れを変えることができると思うので、そういうときは三振狙いたいですね。

――秋は先発として大崩れしない、ピンチに強い投球が目立ちましたが、ピンチで心掛けている事は

東條さんがショートから声をかけて下さって、それによって打者との間合いを外してくれているので、自分がというよりは東條さんが声をかけてくれたのでピンチを防げていたのかなと思います。

――東條さんは的確な所で声をかけてくれますか

そうですね。指示というか、タイミングとか、打者が打ちたいときにすぐ投げないようにやってくれているのですごくありがたいです。

――嫌なタイプの打者はいますか

やっぱりカットして粘ってくる打者ですね。あとは初球から振ってくる打者が怖いです。パワーがあると一発があるので。

――六大学で言うと

明大の岡さん(大海)とかですね。どんどん振ってくるので。

――逆に有原選手の打撃について聞いていきたいのですが、以前のインタビューでバッティングが好きということをおっしゃっていました。今シーズンの目標はありますか

目標は3割で(笑)3割打ちたいと思います。

――詰まって手がしびれたりという事は気になりませんか

まあそれもありますけど、それを怖がってたらヒットが出ないと思うので思い切っていってます。

――打者としては初球から思い切り振っていくタイプですか

そうですね。

――そういう意味ではピッチングがバッティングに生きていますか

そういう事はあまりないのですが、バッティングが良ければピッチングに生きてくると思っています。

――投球と打撃は別物として、気分転換くらいの気持ちですか

はい。それくらいの軽い気持ちでやっています。

「5戦投げたら5勝したい」

――リーグ戦に向けての話を聞いていきたいのですが、六大学で打撃が強いという印象のあるチームはどこですか?

打撃は法大、明大ですかね。まあ慶大も強いのでどこも強いですね。

――法大打線の嫌な所は

やっぱり一発がある打線なのが嫌ですね。

――明治は岡大選手が警戒する打者だという事ですか

そうですね。やっぱり打たれているので、一番危険だと思いますね。初球から振ってきて、パワーがあるので、怖さがあります。

――投手ではどうでしょうか。ライバルだと思う投手はいますか

あまりいないですけど、法大の石田(健大)が。あいつも広島出身なので、石田と投げ合えることがあったら面白いなと思います。

――高校の後輩の上原健太投手も意識しますか。

ああ、はい。あいつも良いピッチャーなので。いっぱい知り合いいると楽しいので、対戦するのが楽しみですね。

――総合的に見て優勝へのライバルとなってくるチームは

どこも強いと思うので、一戦一戦勝つという事しかないですね。

――個人としてリーグ戦への目標はありますか

秋は4勝だったので、5戦投げたら5勝できるようにしたいです。

――防御率だったら

最優秀防御率は取りたいですけど、それ意識するよりは勝ちを意識したいです。

――優勝のマウンドに立っていたいですか

先発で、最後まで投げられたらいいなと思います。

――今季への意気込みを

守り勝つ野球で優勝したいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 三尾和寛)

有原

◆有原航平(ありはら・こうへい)

1992年(平4)8月11日生まれ。187センチ、90キロ。広島・広陵高出身。スポーツ科学部3年。投手。右投右打。オフには広島へ帰省したという有原選手。その際に友人と会ったそうで、「友人たちは応援してくれて、刺激になった」と語っていました。地元からの力強い後押しも受けた有原投手の活躍に期待です。