東京六大学秋季リーグ戦 10月7日 神宮球場
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |||||
立 大 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | |||||
早 大 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | ✕ | 4 | |||||
(早)〇伊藤樹、香西、田和-印出 ◇(二塁打)山縣 (三塁打)なし (本塁打)なし |
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前日の立大2回戦を1-2で落とし、1勝1敗で立大3回戦を迎えた早大。勝ち点獲得に向けて絶対に落とせない一戦だったが、先発した伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)は1回表に先頭打者本塁打を浴び先制を許してしまう。それでも打線は、1回裏に相手の暴投で尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)が生還し、すぐさま同点とすると、4回には山縣秀(商4=東京・早大学院)の適時二塁打で逆転。6、7回にも1点ずつ追加してリードを広げると、投手陣は立大打線を初回以降無失点に抑え込む。最後は田和廉(教育3=東京・早実)が回またぎで締め、4-1で勝利。今季3つ目の勝ち点獲得を決めた。
先週の法大戦に続き3回戦に突入した立大戦。3回戦の先発を託されたのは、もちろんエース・伊藤樹だった。しかし伊藤樹は、立大1回戦でも本塁打を浴びた桑垣秀野(3年)にいきなり先頭打者本塁打を浴び先制を許してしまう。それでも伊藤樹はすぐに立ち直り、被本塁打以降4回二死まで被安打ゼロの好投を披露。この日は、10日間で4先発目ということもあってか打たせて取る投球に徹し、立大打線を6回までわずか65球で抑えた。
先発した伊藤樹
先制を許した早大だったが、初回、尾瀬が右前安打を放ち出塁すると、山縣の犠打、吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)の進塁打で2死三塁の好機を作る。すると、印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)の打席で、小畠一心(3年)の投球がワンバウンドした隙を見逃さず、尾瀬が本塁に突入。好走塁で1点をもぎ取り、すぐさま同点とした。小畠は以降も制球が定まらず、印出主将、前田健伸(商3=大阪桐蔭)が四死球で連続出塁。2死一、二塁と再び好機を作ったものの、小澤周平(スポ3=群馬・健大高崎)が一ゴロに倒れ、逆転には至らなかった。続く2回にも1死一、二塁のチャンスを迎えたものの、尾瀬、山縣が内野ゴロに倒れ、二者残塁。1、2回戦に続き、あと1本が出ない展開が続いた。
それでも4回、先頭の梅村大和(教4=東京・早実)が右前に鋭い当たりを放って出塁すると、石郷岡大成(社3=東京・早実)の犠打で伊藤樹に1死二塁の好機が回る。ここで伊藤樹はしぶとく四球を選び、1死一、二塁と好機を拡大。続く尾瀬は空振り三振に倒れたものの、山縣が右翼線への痛烈な適時二塁打を放ち、梅村を本塁に迎え入れた。この試合前まで打率1割台、前日の立大2回戦では手首に死球を受けるなど、今季打撃面で苦しみ続けた仕事人が、ようやくのお目覚め。山縣はこの日、6回にも1死一、二塁から鮮やかなセーフティーバントを決めて吉納副将の犠飛をお膳立てするなど、攻守にわたって存在感を示した。
4回に逆転となる適時二塁打を放ち、ほえる山縣
犠飛でリードが2点に広がった7回、打たせて取る投球を続けていた伊藤樹だったが、この回は試合の流れを決定付けるべくギアを大きく上げた。ここまで130㌔中盤程度に抑えられていた直球は何度も140㌔超を記録。気迫の投球で三者連続三振を奪い、立大打線を見事にシャットアウト。立大の反撃の芽を刈り取った。
伊藤樹の投球に打線も応える。7回、先頭の小澤がしぶとく内野安打で出塁すると、続く梅村の犠打で1死二塁とし、さらに小澤が三盗。その後2死一、三塁となり打席に入った尾瀬は、目の前の打者が申告敬遠された中で左前適時打を放ち、1点を追加した。そして続く山縣が四球を選び、なおも二死満塁の場面で打席に入ったのは吉納副将。試合を決定付ける一打が期待されたが、結果は空振り三振。この場面でも三者残塁となり、決定打となる大量得点こそ奪えなかったものの、3点リードで試合は最終盤に突入した。
7回に適時打を放った尾瀬
8回、早大は継投に入る。まず登板したのは香西一希(スポ2=福岡・九州国際大付)。今季やや不安定な投球が目立つ香西は、この日も2四球を与え、2死を奪ったところでで田和にマウンドを譲る結果となった。後を受けた田和は、この日も支配的な投球を見せる。2死一、二塁のピンチを簡単に火消しすると、続く9回も立大打線を無失点に封じ込め4-1でゲームセット。先制弾を浴びて以降、終始流れを渡さなかった早大がカード2勝目を記録し、今季3つ目の勝ち点獲得に成功した。
今季3セーブ目を挙げた田和
今季全カードで勝ち点を挙げている早大。ここまでの戦いぶりは、順調そのもののようにも思える。しかし、立大との3連戦で挙げた得点10に対し、喫した残塁は29。あと1本が出ず、走者をふいにする場面が目立ってしまった。次戦の相手は、最速150㌔超投手を多数抱える明大。リーグ屈指の投手陣を相手に、少ないチャンスをものにできるかが、カードのカギを握ることになるだろう。リーグ戦の行方を決する天王山で、強力早大打線の真価を発揮できるか。要注目だ。
(記事 林田怜空、写真 沼澤泰平)
◆コメント
山縣秀(商4=東京・早大学院)
――今日の試合を振り返って
粘り強く戦えたのでよかったと思います。
――4回の適時二塁打を放った打席を振り返って
ずっと打てていなかったので、やっと1本出たと言うことが嬉しいですし、ほっとしています。
――6回のセーフティーバントを振り返って
あの場面は1死一、二塁だったので、最悪2死二、三塁になっても良い場面でしたし、自分がセーフになれば大きなチャンスになると思っていたので狙いました。
――現在の打撃の調子は
良い感じに力が抜けてきたので、それがバッティングに出てくれているのかなと思います。
――明大戦に向けて意気込みを
ここが一番大事な試合になると思うので、2連勝で勝ち切れるように頑張ります。