吉納副将が全5打点をたたき出す大暴れ シーソーゲームを制し先勝を決める/法大2回戦

野球

東京六大学秋季リーグ戦 9月29日 神宮球場

TEAM
法 大
早 大
(早)宮城、越井、〇髙橋煌、安田、香西-印出
◇(二塁打)なし (三塁打)なし (本塁打)吉納 4号3ラン(7回)

 前日の1回戦を3-3の引き分けで終えた早大はこの日、法大との2回戦に臨んだ。3回に吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)の中前適時打で先制したものの、先発の宮城誇南(スポ2=埼玉・浦和学院)が直後に崩れて3失点。5回には吉納副将の内野ゴロの間に1点を返したものの、7回に髙橋煌稀(スポ1=宮城・仙台育英)が適時打を浴び、再びその差を2点とされる。それでも7回、1死一、二塁の場面で吉納副将が今季4号となる3点本塁打を放ち逆転に成功。その後の守りを救援陣が無失点で締め、劇的な逆転劇で先勝した。

 勝ち点獲得に向けて絶対に落とせない第2戦の先発マウンドを託されたのは、今年ここまで第2先発の座を守り続けている宮城。これまでの東京六大学野球リーグ戦(リーグ戦)の登板では、奪空振りの少なさが課題であった宮城だが、この日は初回から中津大和(4年)、松下歩叶(3年)を空振り三振に斬って取るなど、空振りを量産。ストライク先行の投球で3回までに3奪三振を奪う快投を見せた。

 好投する宮城を援護したい打線は3回、先頭の中村敢晴(スポ4=福岡・筑陽学園)が中前安打で出塁すると、尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)、山縣秀(商4=東京・早大学院)が四死球で塁を埋め、一死満塁の好機を演出する。この場面で打席に入った吉納副将は、3球目をコンパクトなスイングで中前に弾き返し、幸先よく先制に成功した。しかし、なおも続くチャンスでは救援登板した山城航太郎(4年)の前に、印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)が投ゴロ、前田健伸(商3=大阪桐蔭)が三振に倒れ、追加点を奪えず。この日最速153㌔を記録した山城を打ちあぐね、この回は1点のみとなった。

先発の宮城

 3回まで好投を続けていた宮城だが、4回に2回り目に入った法大打線につかまってしまう。先頭こそ抑えたものの、続く藤森康淳(2年)にしぶとく中前に運ばれると、ここから4連打を浴びて2失点。その後、暴投の間に三塁走者に生還を許し、2点リードを奪われた。さらに5回には先頭に四球を与え、続く打者のバントを小澤周平(スポ3=群馬・健大高崎)が捕球ミス、さらにその次打者の内野ゴロを処理した前田も送球を走者に当てる凡ミスを犯し、無死満塁の大ピンチを招く。宮城は次打者を空振り三振に打ち取ったものの、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)は、ここで越井颯一郎(スポ2=千葉・木更津総合)をマウンドに。この場面で越井は今夏大学日本代表に選出された松下を相手に自慢の直球で真っ向勝負。雄叫びをあげながら直球を投じる気迫の投球で松下をどん詰まりの遊ゴロ併殺に打ち取り、このピンチを無失点で切り抜けた。

ピンチを無失点で抑え、ほえる越井

 2点をリードされ終盤に入った7回、先頭の石郷岡が気迫のヘッドスライディングで内野安打をもぎ取ると、続く尾瀬が四球で出塁。山縣は二飛に倒れたものの、得点圏に走者を置いて吉納副将を打席に迎えた。この試合前までに3本塁打、10打点と今季好調の吉納は、追い込まれながらも逆方向へ飛球を放つ。打球の行方をゆっくりと歩きながら見守った吉納副将は、一塁ベース手前で打球がスタンドに吸い込まれたことを確認すると、応援席に向けて雄叫びをあげ、興奮した様子でダイヤモンドを一周。キャリアハイとなる4号本塁打は、値千金の逆転打となり、ベンチでは小宮山監督と熱い抱擁を交わした。

逆転3点本塁打を放った吉納副将

 リードを守り切りたい早大は、春季リーグ戦でも試合を締め続けた安田虎汰郎(スポ1=東京・日大三)、香西一希(スポ2=福岡・九州国際大付属)がリリーフ登板。安田は四球を与え2/3回で香西にスイッチしたものの、香西は走者を2度牽制でアウトにするなど法大の攻撃の芽を摘み、1回1/3を投げて無失点の投球。わずかなリードを守り切った早大が5-4で先勝した。

試合を締めた香西

 吉納副将が圧巻の活躍を見せ、5-4の勝利を飾った早大。持ち味である終盤での強さを発揮し、欲しかった先勝を挙げることができた。明日は再び伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)と篠木健太郎(4年)の投げ合いが予想される。法大で最も波に乗る篠木を早い段階でノックアウトし、勝ち点奪取を決め切りたい。

(記事 林田怜空、写真 梶谷里桜)

◆コメント

吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)

ーー今日の試合を振り返って

 苦しい展開でも勝ち切れてよかったです。

ーー3回の先制の適時打、5回の得点を振り返って

 先制できたのはすごく良かったんですけど、5回に関しては負けている状況だったので、何とか1点ずつという気持ちで打席に向かったので、何とか返すことができて良かったです。

ーー逆転を許してからはビハインドの状況が続きました。チームとしてどのような雰囲気でしたか

 このような展開になるというのは予想できていたので、守備からリズムを作っていくいつものスタイルを貫けたと思います。

ーー7回の逆転本塁打を振り返って

  チームに非常にいい勢いを乗せられたと思います。

ーー明日への意気込みをお願いします

 明日勝ち切って勝ち点取ります。