全日本大学野球選手権 6月16日 神宮球場
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |||||
青学大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | |||||
早 大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | |||||
(早)●鹿田、宮城、香西-印出 ◇(二塁打)印出 (三塁打)なし (本塁打)なし |
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前日に行われた準決勝で東日本国際大との死闘を制し、ついに決勝へと駒を進めた早大。最後の舞台の相手は「戦国東都」を制し、大会連覇を狙う青学大となった。多くのタレントがそろう最強軍団相手に、9年ぶりの日本一を懸け、東京六大学野球連盟代表の意地をぶつけた。試合は緊迫した展開が続いた。4回に小澤周平(スポ3=群馬・健大高崎)の四球と梅村大和(教4=東京・早実)の犠打に相手の失策が絡み1点を先制する。しかし続く5回に2本の適時打を浴び、2点を奪われ逆転を許した。先発の鹿田泰生(商4=東京・早実)は5回を投げて2失点。宮城誇南(スポ2=埼玉・浦和学院)、香西一希(スポ2=福岡・九州国際大付)がそれぞれ2回を無失点と強力打線相手に好投を見せたが、打線はその後も再三好機をものにできず。13残塁と本塁が遠く、4回以降は追加点を奪えないままゲームセット。9年ぶりの全日本大学野球選手権(全日本)を準優勝で終えた。
先発は今季公式戦では初の先発起用となった鹿田。東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)では中継ぎとしてプルペンを支えた男が、この大舞台の最初のマウンドを踏んだ。初回、いきなり先頭に安打を許すと、2死二塁のピンチを招く。しかし、センター方向への大飛球を尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)が好捕したこともあり無失点で切り抜けた。その後は、4回まで持ち味の力強い直球で飛球を量産。2回から4回を三者凡退で締めた。
先発の鹿田
打線も初回から吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)の安打と印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)の二塁打、前田健伸(商3=大阪桐蔭)の四球で満塁を作る。相手先発・中西聖輝(3年)の立ち上がりを攻め切りたかったが、後続が倒れ無得点に終わった。試合が動いたのは4回。先頭の小澤が四球で出塁すると、続く梅村が相手の失策を誘うバントを決め一塁セーフ。送球が一塁後方に転がり、処理にもたついている間に、三塁まで進んでいた小澤が本塁を狙う。相手一塁手が慌てて本塁に送球するもこれが逸れて本塁生還。1点を先制し、さらに梅村はその間に三塁に到達した。安打はなかったものの、貴重な1点目を相手の隙をつく走塁で奪った。さらに無死三塁となったが、続く打者は二者連続三振に倒れるなど、ミスに漬け込むことはできずにこの回は1点に留まった。
先制点に喜ぶ梅村
虎の子の1点を守りたい早大。続く5回、先頭打者の当たりは打ち取ったかのように見えたが、中堅手・尾瀬と遊撃手・山縣の間にボールが落ち二塁打にされる。鹿田は不運なかたちで初回以来の走者を出し、無死二塁のピンチを招く。犠打で走者を進められ1死三塁になると、適時二塁打を打たれ同点。さらに2死三塁から逆転の適時打を浴び、状況は一転し1ー2と追いかける展開となった。
6回から早大は継投策に入る。今季のリーグ戦では第二先発を務め、準々決勝の九産大戦でも好投を見せた宮城が登板。直球がなかなか決まらず四球を2個与えたが、4番・西川史礁(4年)から併殺打を奪うなどして6回を無失点に抑える。続く7回も続投。二塁打と四球で無死一、二塁のピンチを招くが、ここから宮城はギアを上げる。相手打者は犠打を試みたが、投手への小飛球に打ち取ると、続く1、2番を最速144㌔の直球とキレのあるチェンジアップで二者連続3球三振に封じた。8回からは香西が登板する。先頭に死球を与えるも、続く打者の右翼線への打球を吉納副将が追いつき好捕。しかし失策も絡み2死一、二塁のピンチを迎えるが、無失点で切り抜ける。9回は四隅に丁寧に集める投球で2奪三振、三者凡退とテンポの良い投球を見せ、1点を追いかけるかたちで9回裏に望みをつなげた。
3番手で登板した香西
中継ぎ陣の好投に応えたい打線。6回は2死三塁、7回は2死二塁、8回は1死満塁の好機を作るが得点にはつなげられず最終回を迎えた。9回裏、1点ビハインドの状況で先頭の山縣が四球を選ぶ。早大側応援席のボルテージが最高潮に高まる中、打席に入ったのは前日の準決勝で逆転の3点本塁打を放った吉納。リーグ戦から何度もチームの危機を救ってきた男の登場にサヨナラの機運が高まる。だが、吉納副将はバントの構えを見せ、最後はバスターエンドランを仕掛けるも二飛に打ち取られる。1発出れば逆転サヨナラの場面だったが後続も続かず。最後の最後に向かえた好機も生かせず1ー2で敗れた。
試合後の礼をする印出主将
決勝の舞台でも、隙のない守備と走塁、巧みな小技に盤石な中継ぎ陣と、あまたの接戦を制してきた理由である早大の強みを発揮することができた。一方、ここぞの場面での1本が光っていた打線は、散発6安打と8四死球で1得点。2度の満塁、7度得点圏に走者を進めるも本塁に返すことができず、13残塁と散々だった。唯一の1得点も2失策が絡んだ結果であり、相手投手陣が四死球の多さに苦しんでいるところに、1本を打つことができなかった。あと一歩で手の届かなかった全日本の頂点。この雪辱は秋のリーグ戦、そして明治神宮野球大会で果たしてくれるだろう。『覇者・早稲田』に似合うのは頂点ただ一つだ。
(記事 小島大典、写真 沼澤泰平、梶谷里桜)
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