今月21日のプロ野球ドラフト会議で広島東洋カープから1位で指名された相手エース森下暢仁主将(4年)と対峙(たいじ)明大2回戦。慶大は4回に先制されるも、すぐさま追い付く。しかし両チームの投手が力投し、同点のまま勝負のゆくえは9回までもつれ込んだ。その最終回、慶大は好機を迎えると代打・橋本典之(2年)の適時打でサヨナラ勝ち。4つ目の勝ち点を8連勝で手に入れ、優勝へ大きく前進した。
初回、森下からルーキーの2番・下山悠介(1年)が左翼線に二塁打を放ち、1死二塁の好機をつくる。しかし、ここはさすがの森下。3、5番が三振に倒れ、好機を生かすことができない。その後はなかなか出塁できず、見せ場をつくることができなかった。一方、慶大先発・森田晃介(2年)も速球を中心にした投球で相手を流れに乗らせない。ところが4回、ついに先制を許してしまう。先頭・陶山勇軌(2年)が、セーフティバントを敢行すると、捕手・郡司裕也主将(4年)の一塁送球が逸れ、無死二塁となる。すると3番・北本一樹副将(4年)が右翼線に適時打を放ち均衡が破れた。反撃したい慶大は5回。8番・瀬戸西純(3年)が死球で出塁。続く森田晃が犠打で送るが次打者は右邪飛に倒れ、2死二塁となる。同点の好機で打席に立つのは下山。得点圏打率4割の勝負強さをここでも発揮する。右中間を破る適時二塁打を放ち、待望の1点を奪った。
同点打を放った下山。今季は新人離れした活躍を見せている
両先発の力投で緊迫した展開となる。森田晃は9回1死まで7奪三振1失点と安定した投球を見せた。その後も2人の救援が責任を果たした。勝負が決したのは9回裏、慶大の攻撃。2死となり延長戦へ突入かと思われたが、7番・小原和樹(4年)が左翼線へ二塁打を放ち好機を生む。次の瀬戸西は申告敬遠となり、迎えた打者は投手への代打・橋本典。一塁側・慶大応援席はこの試合最高潮の盛り上がりを見せる。橋本典はファウルで粘り、森下が投じたこの日の159球目。変化球の落ち際を捉えた打球は、二塁走者の本塁帰還を阻止するために前進していた中堅手の頭を越える。見事なサヨナラで試合を決めた。
代打・橋本典が試合を決めた
勝利を決めたのは橋本典だったが、それに勝るとも劣らない活躍を見せたのは下山だろう。序盤から150キロを超える直球で慶大打線を抑えるドラフト1位右腕相手に2本の二塁打と1打点の活躍。毎試合観客を魅了するスーパールーキーは、もはや打線になくてはならない存在となった。また攻撃陣の粘りも勝利をたぐり寄せる要因となった。ファウルで粘る場面が数多く見られ、森下の体力消耗につながったのは間違いない。ルーキーの台頭、打線の粘り強さを武器に、完全優勝へとさらに突き進む。
(記事 永田悠人、写真 高鳥希実、姉﨑珠有)