加藤拓の快投で連勝／法大２回戦

　慶大の勢いは止まらない。土壇場での劇的な逆転サヨナラ勝利で先勝した前日。対してこの日は終始試合の主導権を渡さなかった。その立役者は先発の加藤拓也（２年）。自慢の直球がさえわたり、自身初となる完封勝利を挙げる。打っては女房役の小笠原知弘（３年）が先制打を放つと、その後も藤本知輝（４年）の２点本塁打などで点差を広げた。連勝した慶大は依然として無敗。再び首位に立った。

　まさにマウンドに仁王立ち。ダイナミックなフォームから繰り出される剛球でねじ伏せる加藤拓が躍動した。最速は１５０キロを計測し、法大打線を沈黙させる。３、４回に長打でピンチを迎えてもまったく動じる様子は見せない。後続を断つと小さくガッツポーズを見せるその姿には余裕さえ感じられた。５回から７回にかけては、６者連続三振を奪うなど中盤以降、そのギアはさらに加速する。最終回こそ２死から安打とこの試合２個目の四球で走者を２人許すも、最後は三邪飛に打ち取り、完封。散発４安打で１５奪三振と堂々の投球でチームに勝ちを呼び込んだ。

三振を奪い、ガッツポーズをつくる加藤拓

　好機を逃さぬ集中力が目立った。２回、四死球で１死一、二塁の好機を得ると、８番の小笠原が４球目を中前へ弾き返し、早々に先制点を挙げる。４回には藤本知が左翼ポール際へ、滞空時間の長い２点本塁打を放ち加点。この回、さらに好投の加藤拓も適時二塁打で自らを援護し、前半で完全に試合のペースを握った。その後ゼロ行進が続き、迎えた９回。山本泰寛（３年）、ここまで無安打の谷田成吾（３年）の連打で１死二、三塁とすると、主砲・横尾俊建（３年）の犠飛でダメ押し。どこからでも得点できる打線の力強さを見せつけた。

先制打を放った小笠原

　前日に捕手と交錯し負傷した佐藤旭主将（４年）を欠いたものの、チーム全体がカバーし、見事勝利を挙げた。きょうの結果を受け、引き分けを挟んで開幕６連勝と好調を維持し、勝ち点３で首位。次週には澤田圭佑、齋藤俊介の好投手二人を擁する立大と対戦する。しかしいまの慶大にはどんな難敵さえも圧倒できる力がある。頂点に立つその日まで、陸の王者は歩みを止めない。

（記事　盛岡信太郎、写真　荒巻美奈、角田望）