９回１死から逆転サヨナラ勝利！法大を撃破／法大１回戦

　先週、明大との激戦を制して勝ち点をつかみ取った慶大。折り返し地点であるきょうの法大との戦いは、両校のエースの意地がぶつかり合う投手戦となった。緊迫した展開の中でまずは４回に慶大が１点を先制。しかし好投を続けていた先発の加嶋宏毅（３年）が、７回に崩れて逆転されてしまう。何とか追いつきたい打線が奮起したのは、１点を追う９回。４連打で同点とすると、最後は竹内惇（４年）の二ゴロが相手の失策を誘い、劇的な逆転勝利を飾った。

　慶大の左のエース加嶋と、リーグ戦での通算勝利数１位を誇る好投手・石田健大。良好な立ち上がりを見せる両者の投げ合いが続く中、先に均衡を破ったのは慶大だった。４回に横尾俊建（３年）が三塁打を放つと、続く藤本知輝（４年）の適時打で待望の１点をもぎ取る。しかし、５回まで２安打無失点の好投を見せていた加嶋が、突如法大打線につかまる。内野安打で同点とされると、続く７回にも連打を浴び、無念の降板。代わった三宮舜（３年）もその勢いを止めることができず、さらに１点を加えられてリードを許してしまった。

２本の長打で得点に絡んだ横尾

　この後も反撃の糸口をつかめないまま、ついに試合は最終回へ。後がない状況であったが、１番から始まる好打順が幸いした。連打で無死一、二塁の好機を演出すると、続く谷田成吾（３年）の放った鋭い打球は右前へ。この当たりで二塁走者が本塁を狙うも、相手の好送球によりタッチアウトとなってしまう。もう試合は決まったかもしれない――。球場中が法大の勝利を予感する中、打席に向かうこの男は諦めていなかった。第２打席に三塁打を放っている４番・横尾。振り抜いた２球目は右翼手の頭上を大きく越え、フェンス直撃の適時二塁打となる。土壇場で同点に追いつき、一気に試合の流れは慶大へ。２死後、竹内惇が放った二ゴロを相手選手が失策すると、その間に三塁走者が生還。その瞬間、慶大のサヨナラ勝利が決定し、ベンチが、スタンドが大きく沸いた。

サヨナラ勝ちにチーム全員が歓喜した

　強い執念がたぐり寄せたきょうの勝利。最後まで諦めない打線の粘り強さは、リーグ戦後半を迎える今後へ向けて慶大の大きな武器となるだろう。一方で、課題も明らかになったこの試合。中盤までは快投を見せていた加嶋がどこまで踏ん張ることができるか、また、きょう目立った走塁面での失敗をどこまで減らすことができるか。反省を生かしてあすの２回戦で白星を挙げ、勝ち点を加えたいところだ。ここまで負けなしでリーグ戦を終えてきた慶大が目指すのはもちろん優勝のみ。最高のフィナーレの準備はもう、整いつつある。

（記事　芦沢仁美、写真　田島光一郎、久保田有紀）