遂に、東京六大学リーグの最終戦が訪れる。ここまで早大は、東大、立大、法大から勝ち点を獲得しており、唯一落とした勝ち点は明大のみ。その中で迎える伝統の一戦が始まる。今季の早慶戦は、勝ち点を取った方が優勝をつかみ取ることができる。昨シーズンは４位に終わった早大。甲子園で付属校が優勝し、勢いに乗っている慶大。どちらにとっても渇望している優勝であり、負けられない戦いである。例年より一層熱く、注目度の高い早慶戦になることは間違いない。
ここまで圧巻の投球を続ける慶大のエース・外丸
チーム防御率がリーグトップの早大投手陣。まず注目すべきはエースの加藤孝太郎（人４＝茨城・下妻一）だろう。今季の初戦である東大１回戦では10三振を奪い、幸先良いスタートを切った。その後も明大相手に６回１失点で抑えるなど、好投を続けている。加藤にとっては、今季が最後のリーグ戦だ。これまで、加藤は唯一慶大からのみ勝ち投手の権利を得たことがない。自身最後となる早慶戦で勝利を手に入れたいという気持ちは人一倍強いといえる。続いて注目したいのは、今季から先発として頭角を現している伊藤樹（スポ２＝宮城・仙台育英）。１年春から救援を中心に登板を重ねていたが、２年生の秋となった今季、東大２回戦に先発し勝利を挙げた。続く立大２回戦でも完投。日々成長を遂げている伊藤の登板に、早慶戦でも期待がかかる。中継ぎ陣には今季ここまで３試合に登板し、得点を許さない好投を続けている４年生の齋藤正貴（商４＝千葉・佐倉）、同じく４年生の澤村栄太郎（スポ４＝早稲田佐賀）、前田浩太郎（スポ４＝福岡工）が控える。また、ルーキーの香西一希（スポ１＝福岡・九州国際大付）や越井颯一郎（スポ１＝千葉・木更津総合）への期待も大きい。香西は立大１回戦で好リリーフを見せ、公式戦初勝利を挙げた。越井は明大２回戦で先発し満足のいくような結果は残せなかったが、それでもリーグ戦初先発した経験は確実に成長の糧となったといえる。
三冠王の可能性を残す栗林泰
対するのは、慶大強力打線。ここまで、チーム打率は２割９分５厘と好調である。打線の中心とされるのが、三冠王が懸かっている栗林泰三（４年）である。中学生時代に見た早慶戦に憧れ、浪人時代を経て慶大に入学した栗林。集大成の早慶戦でどこまで思いを爆発させるか目が離せない。同じく主軸打者で長打力のある廣瀬隆太（４年）、立大２回戦で逆転本塁打を放った宮崎恭輔（４年）の打線の勢いも止まらない。また、斎藤來音（４年）や吉川海斗（４年）も高打率を誇る強打者だ。
慶大の投手陣をけん引するのは、満場一致であるだろう外丸東眞（２年）を挙げたい。ここまで６試合に先発し、負けなしの完璧な投球を続けている。堂々たる慶大の若きエースだ。そんな外丸も昨秋の早慶２回戦、負ければ優勝を逃すという大事な試合で初回に印出太一（スポ３＝愛知・中京大中京）に満塁弾を浴び、敗戦を喫した。１年前の苦い経験から、大きくステップアップした外丸。昨秋の雪辱を果たしたいという気持ちはとても強いはずだ。また、谷村然（４年）、竹内丈（１年）も手強い投手だ。竹内は１年生ながら先発もリリーフもどちらも経験し、有望株といえる。
好調を維持する吉納
早大打線も負けてはいられない。コンスタントに安打を放ち、出塁している熊田任洋副将（スポ４＝愛知・東邦）。打って守って早大を引っ張る頼れる副将だ。また、東大１回戦では２打席連続アーチを放ち、立大２回戦でも本塁打を放つなど、勢いが止まらない絶好調の吉納翼（スポ３＝愛知・東邦）。さらに、今季からスタメン入りし東大２回戦で本塁打を放った島川叶夢（スポ４＝熊本・済々黌）にも注目したい。今季逆転勝ちも多くあった早大。欠かせないのがここぞという場面で打ってくれる代打の存在である。立大１回戦で同点適時打を放った篠原優（社４＝東京・早大学院）や逆転打を放った梅村大和（教３＝東京・早実）、法大２回戦で先制適時打を放った田村康介（商２＝東京・早大学院）などの活躍を抜きにしてはここまでの早大の勝利は語れない。早慶戦でも代打の切り札としての活躍に注目したい。慶大投手陣を打ち崩すには、リードオフマンの尾瀬雄大（スポ２＝東京・帝京）も重要な存在だ。今春は尾瀬の安打から得点につながることが多く、今季明大２回戦でも尾瀬の安打から先制点が生まれた。１戦目の先発は外丸が予想されるが、その外丸を攻略してなんとしてでも初戦で勝利し、流れに乗りたい。そして、法大１回戦に代打で出場し、打点を挙げた森田朝陽主将（社４＝富山・高岡商）。野球への情熱、チームへの情熱から誰よりも声を出し、早大をまとめてきた。森田主将の雰囲気作りが勝利を導いてきたと言っても過言ではないだろう。
明大に敗戦してから、４連勝して優勝への望みをつないだ早大。諦めない粘り強さが強みといえる。2020年秋季リーグ戦以来６季ぶりの優勝に向けて、神宮球場の舞台で陸の王者と意地と意地をぶつけ合う。チーム早稲田全員で、いざ、打倒慶大。力を合わせて突き進みたい。
（記事 本田里音）