【連載】秋季早慶戦直前特集『掉尾』【第3回】梅村大和

野球

 今春開幕前にスタメン落ち、途中までベンチ入りもできず悔しい思いをした梅村大和(教3=東京・早実)。しかし、今秋は代打としてベンチに入ると、立大1回戦ではサヨナラ安打、2回戦ではリーグ戦初スタメン入りし、初本塁打を放つなど、躍動している。そんな梅村に今季の活躍の要因や、早慶戦への思いを伺った。

※この取材は10月21日にオンラインで行われたものです。

「秋に向けて逆算しながら目標を立ててやっていた」

立大2回戦で本塁打を放った梅村

――今回は早慶戦前の対談ということで梅村選手はここ一番で気合いを入れる自分なりの方法はありますか

 最近よく取り入れてるのは、1回目を瞑って深呼吸して、自分のいいイメージを想像して、精神統一のような感じで気持ちを落ち着かせてプレーに入ることです。

――試合前のルーティンはありますか

 最近はバランストレーニングとか体幹トレーニングは結構重点的にやっています。普段もそうですし、試合前は特にそういうアップを結構入念にしています。リーグ戦の日もアップには結構時間をかけて、体幹やバランストレーニングを取り入れながらやる、というのがルーティンかなと思います。

――チームについてお聞きします。現在チームは勝ち点3の2位で早慶戦を迎えます。これまでの結果はどのように受け止めていますか

 明大戦で勝ち点を落としてから、6連勝するしか優勝がない、と思ってチーム全体でやってきていたので、それが今のところ4連勝という形で進んできています。普段の練習の時も、いい雰囲気でみんな明るくやれているので変に気負うことはなく、今すごく勢いに乗れている状態かなと思います。

――春に比べてチームとして成長した点はありますか

 選手それぞれ技量というのは上がっていると思います。特に夏の合宿期間も含めて、「一球に入り込んでやろう」というのはチーム全体でやってきたことだったので、そこに関しては打席も守備もそうですし、ベンチも含めてワンプレイワンプレイに全員で入り込んでできています。準備の声や確認の声というのも含めてそういうところは春に比べて全員でできているんじゃないかなと思います。

――そのチームとしての強みが特に現れた試合はありますか

 やっぱり立大1回戦ですかね。序盤点を取られていた中で1点ずつ返していって、最後もつなぐというところができていました。そこで諦めずに最後の最後まで全員でつないでやっていこうという試合ができたのかなと思います。

――先ほども話に出ましたが今のチームの雰囲気はいかがですか

 4年生の人たちがすごくいい人たちばかりで、人数も多いですし、そういう4年生の方たちが率先してすごくいい雰囲気でチームを引っ張ってくれています。3年生以下の選手はすごくやりやすいです。

――来週の早慶戦に向けてチームとしての課題はありますか

 慶大の投手陣、特に外丸選手(外丸東眞)は秋もいいピッチングをしていたので、彼を打ち崩さないと慶大には勝てないというのは全員がわかっています。そこのデータとかも含めてこの1週間でどれだけ外丸選手に対して対戦するイメージ、打ち崩すイメージを持ちながらやれるかというのが鍵になってくると思います。

――春はスタメンに定着とはなりませんでした。そこから今までどのような気持ちで練習を重ねてきましたか

 春はああいう形ですごく悔しい思いをして、自分としてもやっぱり気持ちが沈む時期もありました。それでも「なんとか試合に出るためにはどうしたらいいか」ということを毎日考えて、そのためには「こういうことをしたらいいな」ということを色々考えながら、この秋のリーグ戦に向けて日にちを逆算しながら目標を立ててやっていました。

――特にどのようなことに取り組んだのですか

 特に自分の足りないところはバッティングの面だと大学に入ってからずっと思っていました。だからバッティングにおいて今自分に何が足りないか、と考えた時に、パワー・スイングスピードの他にも、大学のピッチャーのスピードに慣れていくための選球眼とかそういうところもすごく必要になってくるなと感じました。自分の中では足りないことだらけだったので、それをどうしたらいいかというのを1個ずつ考えていきました。パワーはウェイトでつけたり、スイングスピードを早くするためにバットを振らなくてはいけないので、毎日マシンに向かって打ってたりもしていました。そこでちょっとずつですけど課題を潰しながらやっていたという感じです。

――春は春は三塁を守ることが多かったと思いますが、今季は二塁手として出場することもあったと思います。守備の面での手応えはいかがですか

 元々内野に関してはどこでもできるようにした方がいいなと思っていて、特にサードやセカンドというのは守ることが多いポジションだったので、どっちか1個というよりはどっちにもチャンスをつかめるようにと思っていました。そのためにはどちらも中途半端にならないように、セカンドもサードもしっかり練習しないといけないと思っていました。バッティング練習中の守備でもサードもセカンドも守ってやっていました。春自分が悔しい思いをしたのも守備からだったので、守備で信頼される選手にならないといけないと思って練習してきたので、ある程度自信はついてきたかなと思っています。

「とにかく楽しもう、思い切ってプレーしよう」

――立大1回戦ではサヨナラ打を放ちました、振り返っていかがですか

 秋は代打でどこで出るかわからないというところでスタートしたので、「どんな場面でもしっかり自分のバッティングができるように」と思ってずっとリーグ戦期間やってきました。その結果、今シーズンの初打席でああいう場面(一打サヨナラの場面)で回ってきました。「とにかく自分のスイングをしよう」と思って打席に入った結果、なんとかヒットになってくれました。少し詰まった打球ではあったんですけど、振り切れていましたし、あそこで振り切れたというのはそこまでやってきた成果が多少は出たのかなと思います。

――代打として出場するときはどのような気持ちでバッターボックスに入っていますか

 「とにかく初球が大事になってくる」というのは金森さん(金森栄治助監督、昭54教卒=大阪・PL学園)からも常々言われていましたし、とにかく初球で自分のスイングができるように、もしファールになってもしっかり自分のスイングをすることが大事だと思って打席に立っています。代打で出た時は初球を自分のスイングで、自分のタイミングで振れるように意識しています。

――立大2回戦では今年のリーグ戦で初めてのスタメン出場でした。どんな気持ちで臨みましたか

 試合に出ることが目標だったのでスターティングメンバーとして発表された時はうれしい気持ちがありました。「そこでやっぱり結果を出したい」というのはもちろんそうなんですけど、「とにかく楽しもう、思い切ってプレーしよう」と思って試合に入り込めたので、あまり緊張もしなかったです。

――その結果リーグ戦初のホームランを放ちました。振り返って いかがですか

 あの打席もファーストストライクでしっかり自分のスイングができた結果だと思います。大学入ってから初めてのホームランだったのですが、まさかああいう形で入ると思ってなかったので嬉しい反面、すごく驚きというかそういう部分が大きかったです。でもやっぱりああいう打球を打てたというのは自信になりました。

――立大戦での好調の要因は

 好調というよりは、とにかく思い切ってやろうと思って試合に臨んでいたので、積極的なプレーをした結果がああいう結果になったのだと思います。調子が良かったかはわからないですが、そういう気持ちで試合に入れたのが良かったかなと思っています。

――法大との1回戦でもスタメンで出場されました。振り返って

 法大の投手陣、特に吉鶴投手(吉鶴翔瑛)とかもいいピッチャーだったので、簡単には打てないなと思っていたんですが、やっぱり自分のタイミングで振れなかったり、なかなか自分のスイングができなかったりという結果に終わりました。そこはやはり自分の実力が足りないんだなと再確認できましたし、今後やっていく上ですごく課題が出た試合だったかなと思っています。

――お話にもありましたが、ご自身の課題はどのようなところだと考えていますか

 法大戦は特に左ピッチャーと対戦することが多かったので、そこでなかなか自分のスイングができませんでした。今後試合に出るためには左投手もしっかり打てるようにならないといけないですし、左投手に対してのバッティングというのが今の課題かなと思います。

――ご自身の成長できたところやアピールポイントはありますか

 元々自分は守備と走塁が武器だと思っているので、そこは自分の武器として生かしていかなくてはいけないと思っています。立大戦ではバッティングというところでもなんとかアピールすることができたので、バッティングは春に比べて1番成長できたかなと思います。

「どんな形でも試合に出たら思い切ってプレーをしたい」

立大1回戦でサヨナラ打を放つ梅村

――早慶戦についていくつか伺います。早慶戦とは梅村選手にとってどのような試合ですか

 大学入って、2年生の頃からベンチに入れさせてもらって経験していく中で、やっぱりお客さんの数も違いますし、応援の熱量とかもやっぱり早慶戦というところは比べものにならないです。そういった試合は早慶戦でしかできないと思っているので、すごく価値のあるというか、幸せな経験ができる試合だなと思っています。

――4年生の方にとっては最後のリーグ戦となります。4年生に向けたメッセージをお願いします

 今の4年生の方たちにはすごくお世話になりましたし、寮に入ってからは特に話すこともすごく増えて、感謝の気持ちが強いです。これまで1年間チームとして引っ張ってくれた4年生にはいい思いをして引退してほしいなと思うので、なんとか力になれたらな、と思っています。

――特に仲良い4年生の方などいらっしゃいますか

 いっぱいいるんですけど(笑)、生沼さん(生沼弥真人、教4=東京・早実)は中学からの先輩なので1番長くお世話になった先輩ですし、それだけ思いがあります。熊田さん(熊田任洋副将、スポ4=愛知・東邦)や中村さん(中村将希、教4=佐賀・鳥栖)は普段話す機会も多くて、野球の面でも参考になった部分もたくさんあるので、特にそういう方たちには思いは強いですし、いい思いをしてほしいなと思っています。

――今年の慶大のイメージは

 攻守共に強力だなと思っています。外丸選手を筆頭に投手陣もすごくいいですし、打撃陣もすごく好調だなと思っています。

――それに対して早稲田はどのように戦いを進めていきたいですか

 ここまでリーグ戦でやってきたことは変えずにやっていきたいです。1年間早慶戦のためにやってきたと言っても過言ではないので、一球に対する気持ちや、負けたくないという執念を普段から練習で培ってきたつもりです。その培ってきたものを全部出せたら勝利できるんじゃないかなと思っています。

――早慶戦に向けてスタメン争いも予想されます。今の心境は

 今まで通りやってきたものを出すことが1番だとは思っているので、どんな形でも試合に出たら思い切ってプレーをしたいなと思っています。

――今年の早慶戦は優勝が懸かった戦いとなります。重圧などはありますか

 たぶん神宮に立ってからそういう気持ちが湧いてくるのかなと思います。今のところはそういう気持ちはなくて、とにかく100%の状態で早慶戦に持って行こうということを考えてやっています。

――早慶戦で特に注目してほしいところはありますか

 チームとしては、これまでの試合もそうでしたけど、特に早慶戦では勝ちたい気持ちがみんな強いと思うので、そのチーム全体としての執念というところを見てほしいなと思います。個人としては、このリーグ戦で結果が出た試合は思いきりの良さが結果に繋がったと思うので、変わらず積極的なプレーをしていこうと思っています。そこに注目してほしいと思っています。

――最後に早慶戦に向けた意気込みをお願いします

 勝つことしか考えていないです。この1年間やってきたことを全て出して、2連勝して優勝したいと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 梶谷里桜)

◆梅村大和(うめむら・やまと)

2003(平15)年1月6日生まれ。170センチ、74キロ。東京・早実高出身。教育学部3年。投手。右投左打。自身の見てほしい部分ついて、積極的なプレーと話す梅村選手。早慶戦でも走攻守での積極性に期待です!