V逸も… 宿敵相手に意地の勝利を刻め/慶大戦展望

野球

 法大、明大に連続で勝ち点を許し、今春の優勝を逃した早大。序盤の東大、立大戦を流れよく制していただけに、肩を落とす結果となった。残るは宿敵・慶大との一戦のみ。2カード連続で勝ち点を落とす中、意地の勝利を刻めるか。

2回戦での先発が予想される谷村

 今季の慶大先発は、1回戦で外丸東眞(2年)、2回戦は谷村然(4年)が濃厚だ。外丸はここまで9試合に登板して2勝2敗、44イニングで防御率1.43と下級生らしからぬ好投を見せている。昨年秋に早大との2回戦で先発した外丸だったが、初回に印出太一(スポ3=愛知・中京大中京)に痛恨の満塁本塁打を被弾。再び迎える伝統の一戦に闘志を燃やしていることだろう。谷村は投げては東大2回戦で完封勝利、打っては同試合で2点本塁打を放つなど、今季は投打で能力を発揮。リリーフ陣にも、10試合で防御率1.59の森下祐樹(4年)ら好投手が控えており、早大打線にとって打ち崩すことは容易ではないはずだ。

 一方で、今季はチーム合計10本塁打と長打が光っている早大打線。打率でも3割9分5厘でリーグ3位の尾瀬雄大(スポ2=東京・帝京)を筆頭に、熊田任洋副将(スポ4=愛知・東邦)、中村将希(教4=佐賀・鳥栖)、山縣秀(商3=東京・早大学院)、印出が3割台をマーク。多くが高い数字を残している上位打線に、好機演出と要所での勝負強い打撃が期待されるだろう。下位打線のキーマンとしては、小澤周平(スポ2=群馬・高崎健康福祉大高崎)を挙げたい。開幕直前に正三塁手の座をつかむと、立大2回戦で2点本塁打を放つなど、存在感を示している。打点数も熊田、吉納翼(スポ3=愛知・東邦)に次いでチーム3位の7を残しており、勝利を手繰り寄せる一打に注目したいところだ。

立大1回戦で本塁打を放った小澤

 慶大打線も強打者が名を連ね、決して引けを取らない。主将の廣瀬隆太(4年)は今季すでに4本の本塁打を放ち、通算の本塁打数は17。東京六大学リーグの現役最多本塁打をハイペースで更新している。ともに主軸を担う栗林泰三(4年)は、明大2回戦で好投手・村田賢一(4年)から逆転の適時打を放ち、勝利に大きく貢献。立大戦では3試合で本塁打を含む5本の長打を放つなど、バットで打線を盛り立てている。チーム首位の打率3割6分6厘を誇る栗林の他にも、リードオフマンの吉川海斗(4年)や正捕手の宮崎恭輔(4年)らも3割超えをマーク。しぶとくつなぎ、強打者ぞろいの上位打線へチャンスを回すことができるかが、一戦を制する鍵となるだろう。

好調の栗林泰

 対する早大投手陣は、1回戦でエース・加藤孝太郎(人4=茨城・下妻一)の先発が予想される。加藤は明大1回戦で4回7失点と打ち込まれたものの、それまでの4試合で合計失点はわずか4。法大3回戦では剛腕・篠木健太郎(3年)との投げ合いに一歩も引かず、カード2度目の先発ながら法大打線を8回無失点に抑えた。続く2戦目は、法大戦から3度マウンドに上がっている左腕・清水大成(スポ4=大阪・履正社)の先発登板が濃厚。試合を作る投球が期待されるが、齋藤正貴 (商4=千葉・佐倉)や伊藤樹(スポ2=宮城・仙台育英)らリリーフ陣の活躍も、慶大打線を封じる上で欠かせないものとなるだろう。

 いよいよ今季最終カードに臨む早大。声出し応援が解禁された伝統の一戦は、非常に大きな盛り上がりを見せるはずだ。賜杯奪還は叶わずも慶大を投打で圧倒し、来秋へとつなげる勝利を期待したい。

(記事 湊紗希、写真 野中美結、湊紗希)