【連載】春季リーグ戦開幕前特集『勇往邁進(まいしん)』 【第8回】中村将希

野球

 昨季はケガに苦しめられ、不本意なシーズンに終わった中村将希(教4=佐賀・鳥栖)。それだけにチームとしても賜杯奪還をかける今季への思いは人一倍強い。そんな中村将にオフシーズンの攻守における取り組み、リーグ戦優勝への意気込みを伺った。

※この取材は4月8日にオンラインで行われたものです。

「昨シーズンの悔しさをバネに、取り組んできたことをしっかり出せれば」

福岡工大戦で本塁打を放った中村将

――ロサンゼルスから始まった長い春季キャンプが終わりました。春季キャンプ全体を振り返っていかがですか

 春季キャンプは練習量もかなりの練習をしましたし、結果としてもバッティングもそうですし、守備も両方ともそれなりの結果を残すことができたので、自分にとってものすごくプラスになったキャンプでした。ものすごく長かったですけど、自分のレベルアップにつながるようなキャンプになったと思います。

――春季キャンプで重点的に取り組んできたことを教えてください

 キャンプを通してしっかり練習をする、練習量を取るっていうのは一番意識してやったことです。もちろん全体練習で練習するのもそうですし、宿舎に帰って素振りをするであったり。野球に費やす時間っていうのをもう圧倒的に増やしたので、そこは重点的にやったことかなって思います。

――キャンプの中で一番きつかった練習はありますか

 キャンプはずっと休みがないので、これが一番きついってよりかは、ずっと継続的に練習が続いて疲労がたまった中でどれだけ動けるかっていうのが勝負だと思うので、全体の練習が(きつかった)。特にこれがきついっていうのはあまりなかったかなって思います。

――キャンプで体重が落ちた選手が多いと聞きました。中村将選手はどうでしたか

 自分も3キロぐらい落ちちゃいました(笑)。

――試合に影響はありませんか

 いや、それは別に影響はそんなにないと思います。(キャンプから)帰ってきてしっかりトレーニングとかもやっているので、そこは問題ないかなって思います。

――長いキャンプでの一番の思い出を教えてください

 そうですね。一番やっぱり思い出に残っているのは、浦添キャンプのダッシュかなって思います。みんなで体がもうへばった中で、坂道ダッシュとか階段ダッシュをやったのは、ものすごくいい思い出になりました。

――今季から背番号が「25」に変わり、野村健太選手(スポ4=山梨学院)と入れ替わるかたちになりました。

 いや、自分は5番が良かったんですけど(笑)、それは「5」っていうのがもともと好きだったっていうのもあります。やっぱり背番号ってその選手の印象というか、番号と一緒に名前とかも覚えていただけるので、できる限り同じ番号でずっといきたかったっていうのはあるんですけど、自分は選択権がないので。背番号に関しては。それはしょうがないかなって思います。

――打撃面で最も強化してきた部分はどういったところですか

 「長打を打てるようなバッターになること」っていうのを今年は目標に掲げています。今まではやっぱり打率を残すであったり、そういうところを重点的にやってきていたので、どうしても打率は残せても長打率とかがあまり良くなかった、長打が打てなかったっていうのが自分の反省点でありました。今シーズンはもうとにかく長打をしっかり打てるようにスイングするっていうことを意識してやってきました。

――実際に福岡工大戦では本塁打、関西遠征でも長打が出ていた印象です。その手応えはいかがですか

 いや、もう多分今までのバッティングとはちょっと違うかなっていうふうに思います。いい意味でしっかり振れてきているというか、小さいバッティングにならないように心がけているので、そこはできてきてるかなっていうふうに思います。

――オープン戦では打球速度の速さが印象的です。その部分では成長を感じていますか

 やっぱり自分が長打を打つために、しっかり振り切る、(ボールに)当てにいかないっていうのを一番大切にしています。そういうのが打球速度が速かったり、そういう結果に表れているかなって思うので、そこもすごくいい傾向かなって思います。

――ファーストストライクからスイングしていく打席が多く見られますが、意識されていますか

 そうですね。やっぱりリーグ戦でも追い込まれてしまうと後手後手に回ってしまうので、もう常に先手というか、こっちから勝負を仕掛けていく感じで。しっかりファーストストライクを打ちにいくことは大切だと思うので、どんどん自分から攻めていくようにやっています。

――打撃好調の一方で、バントやバスターなどを成功させる場面が多いと思います。その部分の手応えはいかがですか

 小技も結構サインが出ています。個人的にはやっぱり打って結果を残したいっていうのはあるんですけど、チームのためにはそういう役割や仕事も絶対やらなきゃいけない部分があります。(小技が)結構成功しているところがあるので、そういう小技もしっかり自信持ってやっていきたいなって思います。

――守備面について、この冬と春季キャンプで強化してきた部分を教えてください

 1番強化してきた部分はスローイングです。スローイングの強さや返球は自分が一番課題を持って取り組んできたことだと思います。

――関西大戦では本塁で走者を刺殺する場面がありました。実際にその手応えはどうでしょうか

 いや、もうスローイングもかなり良くなっていて、去年の秋とか、一冬を越す前とは全然違った球になっていると思います。 やっぱり監督さん(小宮山悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)とかからも指導を受けたりすることもあるので、そこはかなり自信を持ってやってきたことです。

――アドバイスをもらうのは、監督など指導者の方が多いですか

 そうですね。自分はまだ経験が浅いので、監督やコーチの方からももちろん指導されますし、同期や外野の選手には、学年関係なくどんどん自分から聞きに行っています。分からないことが多いので、周りの選手に教えてもらいながらやっている感じです。

――印象的なアドバイスはありますか

 一番自分が大切にしているのは尾瀬(尾瀬雄大、スポ2=東京・帝京)に教えてもらった「左打者の打球の追い方」なんですけど、ちょっと話したらいろいろ長くなっちゃうので(笑)。

――今年はラストイヤーになります

 自分は3年の春から試合に出させてもらって、昨シーズンの秋のシーズンがケガで思うようにいきませんでした。全体としても2位で終わり、個人としてもケガで全然うまくいかなかったので、やっぱり今シーズンに懸けている思いが強いです。昨シーズンの悔しさをバネに、取り組んできたことをしっかり出せればいいなっていうふうに思います。

――今年のチームは森田朝陽主将(社4=富山・高岡商)を中心にすごく声が出ていると感じます。中村将選手はどう感じていますか

 そこはもう自分たちの代の強みです。そんなにうまい選手がいっぱいいるわけではないんですけど、しっかり活気を出して、元気を出してチームを全員が鼓舞するっていうか、そういうチームになっているかなって思います。

――チーム全体の状態はいかがですか

 チームの状態はものすごくいいと思います。自分たちも自信を持ってリーグ戦に臨めるような個人の成績であったり、チーム状態であると思うので、そこには自信を持っていけています。

「経験していることを周りの選手にしっかり伝えていければ」

関西大戦で二塁打を放った中村将

――リーグ戦が開幕しましたが、今日の試合はご覧になりましたか

 見ました。少しですけど。

――実際に見てどう感じましたか

 「いよいよ始まったな」っていう感じで。自分たちは初戦東大なんですけど、明治も結構手こずっていたので、しっかり覚悟していかなきゃいけないなって思いました。

――初戦の東大戦についてお聞きします。東大は鈴木健投手(4年)と松岡由機投手(4年)の二枚看板が予想されます。2投手に対してどんな印象ですか

 自分は鈴木投手はかなり得意な投手で、2年生のフレッシュリーグでも鈴木投手からホームランを打ってますし、3年生の春は鈴木投手から先制タイムリーを打っているので、かなり自信を持っていこうかなっていうふうに思います。松岡投手は対戦回数が多分1、2回ぐらいしかないのでそこまで印象はないんですけど、普段通りのバッティングができれば大丈夫かなっていうふうに思っているので、しっかり対策はして戦いたいなって思います。

――他大学で警戒している選手や対戦したい投手はいますか

 立教の池田投手(池田陽佑、4年)です。池田投手とはまだ戦ったことがないので、1回戦ってみたいなっていうふうに思います。

――早大は他大学と比べて、昨季からの選手の入れ替えが少ないと思います

 経験を積ませてもらっているっていうのは確実に強みになると思います。リーグ戦を経験している選手を筆頭にというか、チームを引っ張っていく存在になっていかなきゃいけないっていうふうに自分も含めて感じているので、経験していることを周りの選手にしっかり伝えていければいいなっていうふうに思います。

――今シーズンのご自身の目標を教えてください

 個人としては、首位打者を取ることが目標です。 そこを取るために取り組んできたことをしっかり発揮できればいいなっていうふうに思います。

――最後に、春期リーグ戦へ向けて意気込みをお願いします

 個人としては昨年の秋ものすごく悔しい思いをして、そこからチームとしても優勝できずに、全員で絶対今年は優勝するっていう目標を掲げてきました。今年の春は一冬取り組んできた成果を発揮する番だと思うので、まず初戦の東大から全開で、元気のある粘り強い早稲田野球をしっかり発揮できれば優勝につながると思うので、そこを見ていただきたいかなっていうふうに思います。個人としてもしっかり取り組んできたことを出せれば、必ずいい結果になるっていうふうに信じています。やっぱりチームとしては優勝するのはもちろんですけど、個人としても首位打者を目指してやってきたので、そこを取れれば一番嬉しいかなっていうふうに思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 矢彦沢壮真、写真 荒井理沙、田中駿祐)

質問に答える中村将

◆中村将希(なかむら・まさき)

2001(平13)年7月26日生まれ。180センチ、87キロ。佐賀・鳥栖高出身。教育学部4年。外野手。右投右打。今季は安打後に「しっかりガッツポーズする」と宣言してくださった中村将選手。闘志あふれるプレーでチームを引っ張ります!