【連載】春季リーグ戦開幕前特集『勇往邁進(まいしん)』 【第1回】伊藤樹

野球

 昨年は1年生ながらクローザーに定着し、防御率1.80の好成績を残した伊藤樹(スポ2=宮城・仙台育英)。春季オープン戦では先発、抑えどちらでも登板し、安定した投球を見せている。そんな伊藤樹に冬の期間の取り組みや今季について話を伺った。

「コントロールとフィジカルの点では一冬超えて成長できた」

早同定期戦で先発した伊藤樹

――2年生になってピッチャー陣に後輩が入ってきたことに対して心境の変化はありますか

 今、A(チーム)に入ってきたのが越井(越井颯一郎、スポ1=千葉・木更津総合)だけなのですが、基本的にスポーツ推薦は森山(森山陽一朗、スポ1=広島・広陵)と越井と宮城(宮城誇南、スポ1=埼玉・浦和学院)の3人がいて、後輩が入ってきたというよりかは、スポーツ推薦の投手は4年生の中になかなかいなくて、清水(清水大成、スポ4=大阪・履正社)さんと飯塚さん(飯塚脩人、スポ4=千葉・習志野)しかいなくてという感じなので、後輩というか頼れるピッチャーが入ってきたなという感じですかね。

――仲良くなった選手はいますか

 越井はずっと遠征で一緒だったので(仲良くなりました)。宮城も森山も大分話すようになりました。

――LA・浦添キャンプに関して、一試合一試合テーマを持って取り組むとおっしゃっていたと思うのですが、具体的に意識したことはありますか

 昨年より先発する機会が増えて、球数を気にしたりだとか、力の配分だったりとか一試合一試合テーマを持ちながら、もちろん抑えもやっているので、そこの切り替えなど、そういった部分を試合の中ではすごく意識して、それに加えてフィジカルトレーニングとかしてきたのでその成果は出てきているのかなという気はしています。

――冬の期間で一番成長したことは何ですか

 コントロールは良くなったと思います。このあいだ社会人対抗でひどいところが出たのですが、遠征中はすごくいい感じで投げられていたので、コントロールとフィジカルの点では一冬超えてすごく筋肉がついてきたりしてきたのかなと思います。

――社会人対抗の話が出たと思うのですが、鷺宮製作所との対戦で先発されていて、投手陣全体的に見ても制球が苦しいように見えましたが、振り返ってどうでしたか

 そうですね、僕が完全に流れをつくっちゃった感じになったので、勝てないなと思ったんですけど、神宮のマウンドが結構期間が長くなっていて、そのギャップがすごくあってやっぱりちょっと難しかったなというのはありました。全員そういう風に感じていたみたいで、もちろんリーグ戦までには間に合わせないといけないし、感覚をつかみながら。まあそこはよく言えばいい経験ができたというか、リーグ戦前に感じられて良かったなというふうに思っています。

――逆にオープン戦で福岡工大と対戦したときにも先発されていて、この時は4回被安打1無失点で抑えられていて凄い調子が良く見えました

 先発をしたいっていう方向で自分の中でやっていて、冬の結果が一発目の試合でああいう風にポンと出たっていうのはすごい自信になりましたし、このくらいの力感とか感覚的なところがすごくつかめたので、すごくいい試合になったなというふうに思っています。

――投手陣全体としてのオープン戦の調子はどうですか

 そうですね、結構一人一人コンディションがバラバラというか、もちろんいい選手もいますし、中には悪い選手も、まだ調子が上がり切ってないなという選手もいるのですが、一人一人課題が明確に出ているので、リーグ戦までには何とか間に合うようにはなっているのかなと思っています。そんなに雰囲気も悪くなく投げられていると思うので。

――伊藤樹選手個人として見つかった課題というのはどういったことがありますか

 神宮の中でいうとやっぱりこの間の鷺宮戦で、マウンドとの相性というか感覚がちょっと合わなかったときに修正する能力があまりなかったというのが結構課題なのかなと思っていて、ある程度いろんな球場で沖縄とか大阪とかでやったときもできたのですが、土が違ったりすると全然違うので、そういったところの対応と大量失点しない、5回2失点くらいに抑えるみたいな、要所のピッチングというのはやっぱり覚えないといけないかなという風に感じています。

――先日の取材では、昨年一年間は先発で投げることを優先に調整するとおっしゃっていたと思うのですが、今季は先発とリリーフどちらを優先しようと思っていますか

 監督がどう考えているのかまだ分からないので、まあもちろんどっちもできる準備はしていますし、昨年よりは先発の試合も多く投げさせてもらって、感覚もつかめているので。

――伊藤樹選手個人はどちらをしたいとかありますか

 僕は先発をしたいですね。

「自分をコントロールしたり、計画立てたりしながら投げられるように」

福岡工大戦で好投した伊藤樹

――春季リーグ戦がもう少しで始まると思うのですが、リーグ戦に向けて現在の調子はどうですか

 遠征から帰ってきて急に疲労感とか出てきていて、遠征中ほどあまり調子は上がっていないのですが、ここから一週間弱くらい空くのでそこで調整をしながら、まだ2年生なので、成長しながらしっかりやっていきたいなと思っています。

――同世代とかで意識している選手とかいますか

 六大学では、ピッチャーだと慶応の外丸(外丸東眞、2年)と明治で投げているのが久野(久野悠斗、2年)とか菱川(菱川一輝、2年)っていう花巻東の子とか。久野とかは全然絡みはないのですが、菱川とか外丸が結構仲良く会話とかしたりしているので、そういった選手が投げているとやっぱりライバル視というかすごいなあと思いながら見ているので、そういう人たちに負けないように投げたいなと思っています。

――では、逆にチーム内で意識している選手はいますか

 チーム内…あんまり気にしていないんですよね(笑)。でも田和(田和廉、教2=東京・早実)が結構今大分Aの試合で投げられるようになったので、それはすごく投手陣としては頼もしいピッチャーだなというのがあるので、ライバル視というのではないのですが、同じ学年で投げているピッチャーがAに一緒にいるっていうのは心強いというか、まあ同級生いるのってやっぱちょっと違うので、すごくいいなと思います。

――投球フォームを一段モーションに変えられたと思うのですが、それによる制球やスタミナの変化はありますか

 やっぱり二段に比べて、全然疲労感はなくなりました。コントロールもしやすくなったし、加えて球数も少なくなったので、疲労感は多少少なくなったというのはありますね。

――リーグ戦がもうすぐ始まりますが、それに向けて投手陣全体の目標はありますか

 そうですね、やっぱり0に抑えれば試合に負けることはないので何とか0で抑えるっていうのを第一目標にしながら、やっぱりそのなかで攻撃にテンポ良くつなげることであったりとか、フォアボールを出さないことであったりとか、そういう細かい目標ではあるのですが、第一優先は失点を0にすることだと思うので、そこは全員でつなぎながら、それが早稲田の投手陣なのかなという風に思っています。

――個人としての目標はありますか

 昨年一年間、規定投球回に乗れなかったので、乗れるくらいのイニング数を投げたいなという風に思っているのと、チーム内で加藤さん(加藤孝太郎、人4=茨城・下妻一)が最優秀防御率を昨年取って、すごく身近な目標というか輝かしい成績だと思うので、そこを目指しながらやりたいなと思っています。

――リーグ戦で学生応援席が復活することを踏まえて、応援に来る学生に何かありますか

 昨年一年間応援をグラウンドで聴かせてもらって、入ってくるまでは正直全然早稲田の応援とか気にしたことなかったのですが、簡単に言えば好きになった感じで、すごく口ずさみやすくてとか応援良いなというふうに思っているので、選手の打った、守った、出したとかも含めて、応援も一緒に楽しんでもらえたらなと思っています。

――対面の取材では毎回色紙を書いて頂いていて、今回オンライン取材なので難しいのですが、書くとしたらどういう漢字を書きますか

 

 「抑」ですかね。昨年ルーキーというのもあって、若々しく投げている感じだったので、その感じを抑えるというわけではないのですが、相手を抑える、自分をコントロールしたり、計画立てたりしながら投げられるように、この一年間したいなと思っています。

――最後に今季の意気込みをお願いします

 今季は昨年の秋2位で終わって、その前の春は5位というかたちで、早稲田は春あまり勝てないというのがあるみたいなので、それを払拭できるような試合を一試合ずつしていければいいかなと思います。個人的には頭でも抑えでもしっかり準備をして勝ちにつなげられる投球ができるように頑張りたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 帖佐梨帆、写真 田中駿祐)

質問に答える伊藤樹

◆伊藤樹(いとう・たつき)

2003(平15)年8月24日生まれ。176センチ、78キロ。宮城・仙台育英高出身。スポーツ科学部2年。投手。右投右打。冬の間にフィジカルを鍛え一層コントロールを磨いた伊藤選手。春に弱いという早稲田のイメージを払拭するべく、進化した身体で投球する右腕の活躍に期待がかかります!