【特集】早慶対談第3回 森田朝陽×廣瀬隆太

野球

 最終回は主将としてチームを率いる森田朝陽(社新4=富山・高岡商)、廣瀬隆太(新4年)が登場。森田は昨年は持ち前の勝負強い打撃と声でチームを支えた。1年時から東京六大学リーグ戦に出場している廣瀬は昨年7本塁打を放ち、2季連続のベストナインを受賞した。そんな新主将二人にチームや役割について伺う。

※この取材は1月25日にオンラインで行われたものです。

(早大は)「とにかく早慶戦に強いなというイメージ」(廣瀬)

春季立大1回戦で本塁打を放つ廣瀬

――自己紹介をお願いします

廣瀬 慶應大学野球部キャプテンの廣瀬隆太です。4年商学部です。ポジションは主に内野をいろいろやっています。

森田朝 早稲田大学野球部主将の森田朝陽です。4年社会科学部で外野やっています。よろしくお願いします。

――お二人は面識はありますか

廣瀬 キャプテンになって、オール早慶(全早慶戦茨城大会)とかもそうですけど関わりはありましたね。

――主将に決まる前は特に関わりはなかったですか

廣瀬 そうですね。主にキャプテンになってからですね。

――森田朝選手もそういった感じですか

森田朝 そうですね。

――お互いの印象を教えてください

廣瀬 第一印象はすごく真面目だなっていうふうに感じました。

――どういったところで真面目だなと感じましたか

廣瀬 キャプテンとしていろいろコメントを求められた時に僕は結構ふざけたことを言ってしまうんですけど、森田くんはしっかり考えていてすごく真面目なコメントをしているなっていうふうなイメージはあります。

――森田朝選手からはいかがですか

森田朝 本当に怖いバッターだなというのが一番で、ずっと試合に出場してずっとホームラン打って勝負どころで打ってっていうのをずっと見ているので、そういう印象です。

――今度はお互いの野球部の印象はどうですか

廣瀬 とにかく早慶戦に強いなというイメージはありますね。最近ずっと負け越しているので。僕たちも本当に早稲田に勝つという目標を毎年毎年続けて練習しているんですけど、それをちょっと上回っていくような記憶があるというかすごい脅威ですね。

森田朝 毎年強打というかいいバッターが何人もいて、毎年上位で安定してっていうのが慶應さんのイメージなので、本当になんとか来年は自分たちが上に立てるように今必死でみんな頑張っています。

――廣瀬選手は早稲田に、森田選手は慶應に仲の良い選手はいますか

廣瀬 僕は生沼(生沼弥真人、教4=東京・早実)ですね。中学のチームが一緒だったので仲いいです。

森田朝 すみません、いないです(笑)。

――逆に仲良くなってみたい選手はいますか

森田朝 森下くん(森下祐樹、4年)がオール早慶の時のサービスエリアでばったり会って話しかけてくれたので、仲良くなってみたいっていう感じですね。

――その際にどんな話をしたか覚えていますか

森田朝 練習どんな感じとかそんな話をした記憶があります。

――お二人はあまり深めの関わりがない中で、今回の対談が決まった時の思いなどはありますか

廣瀬 やっぱり早慶の主将ということで取り上げられることも多いなと感じていますし、これからより関わる機会があると思うので、これを機により一層仲良くなれればいいなというふうに思っていました。

森田朝 廣瀬くんが言った通りだと思います。ずっとライバルとして1年間戦っていくわけなので、お互いより深く知れたらなというふうに思います。

――ここからは昨年について伺っていきます。昨年1年間はどういった1年でしたか

廣瀬 慶應としては優勝をもちろん目指してやってきたんですけど、惜しくもできずに明治にやられてしまったというところで非常に悔しいシーズンではありました。一つ上の代は萩尾さん(萩尾匡也、・読売ジャイアンツ)や橋本達弥さん(横浜DeNAベイスターズ)など本当に素晴らしい選手がたくさんいた中で、われわれ下級生もいろいろ勉強させていただいたチームだったなと思います。

森田朝 おととしに続いてあと一つ、あと1勝優勝に届かなかったというところがあって、5位でスタートして秋は2位でというのが2年続いていて、昨年の秋の最後の早慶戦で4年生の方々が必死に戦う姿はこういうものなんだというのを見せてくれたので、そういうのをこれから春からつくって、必ず優勝するという思いを持ってみんなで取り組んでいます。

――1年間で得られたものはありますか

廣瀬 さっきも言ったように先輩からいろいろ学べたというのもありますし、早稲田が早慶戦になるとすごい目の色を変えてやってくるというか、そういうイメージはおととしからあったんですけどさらに昨年はそれよりもすごい強さがあって。また来年はそれをもっと超えるような気迫でくるんじゃないかなというふうには感じているので、そこはもっと早稲田に対するライバル心を持って来年は挑んでいかないといけないなと思っています。

森田朝 先ほども言いましたが、4年生の最後の早慶戦での姿がやっぱり一番印象に残っていて、必死に食らいついて必死につないでという姿を見させていただいたので、やっぱりチームは最上級生がつくっていくものだと思っています。なので、その姿を春からつくっていくというのを見せてくれたというか学んだ部分だと思っています。

――それをどのように生かしていきたいですか

廣瀬 気持ちの面で早稲田を上回るようにしたいというのと、去年は3戦目以降に負けが続いていたので、そこの粘り強さをもう一度見直していかなければと思っています。

森田朝 去年は最後の最後に先輩方が見せてくれたその姿というのは、課題を一つ一つつぶしていって、最後は慶應さんと思い切ってやるだけだという気持ちで戦っていたと思うので、今は初戦までに課題をつぶしていって練習をやり残したことなく試合を思い切ってやるだけだっていう気持ちになれるように、今必死で取り組んでいます。

(早慶戦は)「素晴らしい舞台でやれているんだなと思う」(森田朝)

春季東大3回戦で安打を放つ森田朝

――ここ数年は秋に早慶で優勝を争うことが多いと思いますが、その点についてはどうですか

廣瀬 優勝争いしている中での早慶戦というのはやっぱり特別なものがあると思っていますし、これからもぜひお互い切磋琢磨(せっさたくま)して優勝争いの早慶戦というのを残り2季やっていきたいなと思っています。

森田朝 優勝の懸かった早慶戦ほど素晴らしいというか、私たちもやっていて一番気持ちが入りますし、見ている方々も本当に注目してくれる舞台だと思うので、春も秋も早慶で熱い戦いができればいいなというふうに思います。

――お二人は甲子園に出られていますが、甲子園と早慶戦ではどのような雰囲気の違いがありますか

廣瀬 もちろんトーナメントとリーグ戦っていう形式の違いはあると思いますが、その中でも早慶戦は絶対に負けられない戦いなので、そういう意味では意外とトーナメント制と変わらないのかなと思っています。なので、そこの気合の入り方というか気持ちの入り方は甲子園以上のものがあると僕は思っています。

森田朝 今廣瀬くんが言ったように、本当に負けられない戦いという面で緊張感もありますし、全国で注目されていてやっぱり特別な舞台だと思っているので、自分としては甲子園よりもより一戦が重い、そういう試合だと思っています。

――伊藤樹選手(スポ新2=宮城・仙台育英)と外丸東眞選手(新2年)は「甲子園とは応援が違う」とおっしゃっていましたが、応援の部分ではどうですか

廣瀬 僕の場合は慶應義塾高校だったので大学とあまり変わらないんですよね。だからそんなに違いはないんですけど、確かに高校野球は一般的には選手一人一人に応援歌があってという感じですが、六大学はそうじゃなくてチーム全体を応援しようというか、早慶戦だったら早稲田を倒そうというようなメッセージが込められた応援だとは思っています。

森田朝 早慶戦だと早稲田ファンと慶應ファンの方々で埋まるので、甲子園では高校の関係者席が応援してくれるという感じだったんですが、神宮球場では球場全体が真っ二つに応援が分かれていて、そういう意味では本当に大きな歓声が聞こえますし素晴らしい舞台でやれているんだなと思っています。

――早慶戦と六大学の他の試合の雰囲気の違いはどのような点だと思いますか

廣瀬 やっぱり雰囲気は違いますね。お客さんの量も違いますし伝統の一戦ということもあって、もちろんほかの大学とも真剣に戦いますが早慶戦はリーグ戦とはまた一つ違った別のイベントとして捉えている感じがあるので、勝たないといけない試合という点に関しては変わらないですが、やっぱり雰囲気の違いは少なからずありますね。

森田朝 全く同じ思いです。絶対に負けられないというのは同じですが、その中でも特別気合が入るなと思っています。

――全早慶戦ではOB選手と一緒にプレーをしましたが、どうでしたか

廣瀬 僕たちにとって秋のリーグ戦で2連敗していますので、そこのやり返してやろうという思い慶應全体としてあったとは思うので、もちろん楽しかったんですけど、その中にも絶対早稲田に負けないぞという気持ちでやっていました。

森田朝 リーグ戦でなくても慶應とやるときは絶対に負けられないので、とにかくみんな気合入っていますしその中で勝てなかったというのは非常に悔しかったですし、みんな悔しい思いをしたと思います。

――OB選手などもいらっしゃいましたが、全早慶戦でチームを引っ張っていたのは主将のお二人でしたか

廣瀬 いや、僕は引っ張れてなかったと思いますね。

――具体的には誰が引っ張っていましたか

廣瀬 僕の印象としては社会人の方たちが年は上なんですけどベンチで声出したりとかしていて、強い組織はベテランの選手とか、大学だったら4年生とか、そういう人たちが率先してやっているチームが本当に強いなと感じました。本来であれば主将の僕が引っ張らなければいけないはずなんですけど、社会人の方たちにはちょっと負けました(笑)。

――森田選手はいかがですか

森田朝 自分も正直全然引っ張れてないですね。自分が1年生で入った時に一緒に野球をした先輩方もいらっしゃって、僕にずっと付いていただいて「こういうところはこうした方がいい」というのを教えていただきながらといった感じだったので、本当に学びの多い試合でした。

――全早慶戦で印象に残っている選手はいらっしゃいますか

廣瀬 森田さんから先にお願いします(笑)。

森田朝 自分はもう廣瀬くんがバンバン打っていたので、それが一番印象に残っています。

廣瀬 蛭間さん(蛭間拓哉、令5スポ卒=埼玉西武ライオンズ)なのかなと思いますね。やっぱりドラフト1位でいかれていますし、オール早慶戦でも蛭間さんのことを見に来ているお客さんもいっぱいいらっしゃったと思うので、やっぱり空気感というか存在感というのは蛭間さんはありますね。

――新体制最初の大きな試合だったと思いますが、試合を振り返ってどうですか

廣瀬 僕としては10番のユニフォームを着るのが最初だったので、やっぱりキャプテンとして茨城の多くのお客さんから見られているというのも分かっていましたし、その中で緊張というかプレッシャーというか、そういうのはあったんですけど、その中でキャプテンとして早稲田に勝てたというのは一つ良かったのかなというふうに思っています。

森田朝 自分自身改めて成長しなければならないなと感じた試合でした。チームとしても慶應に負けてしまったので、春は絶対勝つという気持ちを持って今練習に取り組んでいるところです。

――印象に残っている早慶戦はありますか

廣瀬 僕が1年生の時ですね。蛭間さんにセンターバックスクリーンに逆転ホームランを打たれた試合ですね。それが一番インパクトありますね。蛭間さんは本当に早慶戦に強くて、そのあたりから早稲田は慶應に対して本当に強いなという印象が出てき始めたところですね。

森田朝 廣瀬くんと同じで早川さん(早川隆久、令3スポ卒=東北楽天ゴールデンイーグルス)の代の蛭間さんがホームラン打って優勝を決めた試合が非常に印象に残っています。自分は補助でベンチ裏に入っていて、ベンチ裏からしか見ることができなくて、チームが優勝したことは本当にうれしかったんですけど自分もあの舞台で寄ってみんなで集まりたいなと改めて思いました。

後編は慶應スポーツ新聞会ホームページでご覧ください!

(取材・編集 早稲田スポーツ新聞会 荒井結月、田中駿祐、慶應スポーツ新聞会 岡澤侑祐、写真 田中駿祐、湊紗希)