【特集】早慶対談第2回 生沼弥真人×宮崎恭輔

野球

 第2回には高校時代、同じ西東京の強豪校でしのぎを削り合った生沼弥真人(教新4=東京・早実)、宮崎恭輔(新4年)が登場。昨秋は生沼は途中からスタメン出場し打率4割台、宮崎は捕手としてスタメンに定着し、さらに大学日本代表候補合宿にも選出された。中学時代からお互いを認知し合っているという二人にさまざまな話を伺った。

※この取材は1月27日にオンラインで行われたものです。

「宮崎選手は結構因縁の相手」(生沼)

秋季慶大2回戦で安打を放つ生沼

――自己紹介をお願いします

宮崎 慶應大学野球部、宮崎です。ポジションはキャッチャーで、趣味はいろいろご飯を食べに行ったり、温泉に行ったりすることが好きです。

生沼 生沼弥真人です。ポジションは去年はずっとファーストをやってて、今年は今サードを練習しているところです。趣味は格闘技がめっちゃ好きなので、暇な時は見たり、年末は去年は行けなかったんですけど、観戦に行ったりしてます。

――お二人は2018年に東京都高校選抜に選出され、キューバに遠征に同じチームとして戦っていたが、お互いどのようなイメージを持っていましたか

宮崎 生沼くんはキャプテンでチームを引っ張っていたんで、すごい選手だなっていうのは感じていて。僕はその時はもう本当に大したことない選手だったので、こういう選手が上に行って活躍するんだろうなっていうのを思っていました。あと、話すのがとても上手いのでそこもすごいなと思ってました。

生沼 宮崎選手は中学の時から僕からしたら結構因縁の相手というか。なんで因縁の相手かというと、中学の時の夏の関東大会と、全国大会どっちも宮崎選手率いる海老名シニアに負けてからの高校だったので、宮崎選手を見ると嫌な気分が蘇るというか…。

一同 (笑)。

生沼 トラウマみたいな感じでしたね。

――お互いのことを認知したのは中学時代ですか

宮崎 そうですね。中学時代から知っていました。

――宮崎選手は中学時代の生沼選手を見てどのような印象を持ってましたか

宮崎 正直「こういう奴がプロ行くんだな」というのは思っていました。すげえ選手で、打球もとんでもなく飛ばしますし。最初試合をするまでは、生沼選手率いる世田谷西シニアには勝てると思っていませんでした。

――生沼選手の目には宮崎選手がどのように映っていましたか

生沼 (宮崎選手の発言は)ちょっと語弊あるんですけど、僕、宮崎選手と試合したときは全く活躍してないし、2回目に全国で試合した時にはスタメンじゃないんですよ。僕がすごかったんじゃなくて、チームメイトが。宮崎選手からしても、僕を大きく見すぎちゃってるんじゃないかなと。

宮崎 いやいや(笑)。

生沼 前置きとして、宮崎選手は元々下位打線だったのでバッターとしてのイメージはそんなになくて。キャッチャーで、本当にとんでもない球を投げるなというのを覚えていますね。2回試合しているので、強く印象に残っています。

――普段から話すことはありましたか

宮崎 共通の友人がいるので、それ伝に話を聞いたりはしますね。

生沼 同じチームになったことがないので、そんないつも深い話をするわけではないですけど、会った時は喋りますね。

――どういう話をしていますか

生沼 球場で会って、試合が終わった後とかは「あの時、何(の球種を)待ってた?」とか、そういう野球の話が多いです。あんまり日常会話とかは。キューバの時も結構野球の会話はしたんですけどね。

――共通の友人からはどのような話を

宮崎 どこまで言っていいのかちょっとわかんないというのはあるんですけど。そんな感じですね(笑)。

――2019年西東京大会準々決勝、国学院久我山高対早実高では、宮崎選手が9回2死の場面で最後サヨナラ満塁本塁打を放ちました。その時のエピソードや心境はどうでしたか

宮崎 実はあの試合、あの最後の一本しか打ってなくて。あの場面で回ってきちゃったんで、すごく緊張していて。頭の中真っ白で打席に行くという感じだったので、ちょっと考える余裕がなくてあんまり覚えてないんですよ、あの試合の最後の方は。あの試合だったら守備の方が覚えているかな、生沼選手にたくさん打たれたので。緊張していたということしか覚えてないですね。

生沼 こういうのはやったよりやられた側が鮮明に残ってるんですよ(笑)。打たれた瞬間は呆然という感じだったので、現実を受け入れたくないみたいな時間が結構長かったんですけど、振り返ってみれば高校でもやられるかと。本当に、宮崎選手が打って拳を突き上げてグラウンドを一周しているところを見るのが結構辛かったです。

「悔しさは相当強かったというのが昨年の印象」(宮崎)

秋季立大2回戦で指示を出す宮崎

――大学の話題になりますが、宮崎選手は昨季初めてベンチ入りし、早慶戦では春秋通してスタメンで出場されました。振り返ってどのような1年でしたか

宮崎 やっぱり一番印象に残っているのは最後の早慶戦ですね。優勝が懸かった大一番で、早稲田大学さんには本当に…。こういう言い方をしていいかわからないですけど、これまでとは別のチームになったかのように鋭いスイングで。僕らも優勝しかないっていうところでそこに強い魂を持って臨んでいたので、悔しさは相当強かったというのが昨年の印象だったかなと思います。

――早大は春は5位で秋は2位、生沼選手自身も春は打率が低迷した一方で、秋は打率4割3分8厘で終えました。昨季はどのようなシーズンでしたか

生沼 僕は5戦目くらいまでスタメンじゃなくてきっかけが野村(野村健太、スポ新4=山梨学院)のケガだったので、感覚的にはリーグ戦自体にはぬるっと入って。出始めたのが後半だったんですが、春と比べるとボールがちゃんと見えて、精神的にも技術的にもしっかり準備できて打席にいけたので、バッティングとかはそれなりによかったんじゃないかなと思います。

――この1年間試合に出て、何か得られたものはありますか

宮崎 1シーズンを通してキャッチャーとして全部スタメンで出られたことというのはすごく大きな経験になったなというのはあったんですけど、その中で勝ち負けどっちも経験できたというのはすごくいい1年でした。バッティングに関しても、やっぱりトップレベルのピッチャーと対戦することができたので、今年もっとやらなきゃなというところが出てきました。

生沼 春全然駄目で、秋ちょっとそれを修正して終えられたという感じだったので、主にバッティングで春から秋で成長を感じられたかなと思ってます。秋だけでいうと、早慶戦1戦目全然駄目で2戦目に修正したというところで、技術的に変えたところもあるんですけど、それよりも4年生最後の試合で、そのためにという一心でやってたので。誰かのためにやるってなった時にすごい力があるんだなというのを感じたので、それは来季にもつながるんじゃないかなと思います。

――今年の自身の注目ポイントは

宮崎 今年、手応えを感じているのはバッティングで。去年は長打が出なかったので、長打をなんでも出していきたいなということもありますし、守備面では経験もあるんですけど、そこからもう一段階アップした安定感を見てもらえたらなと思います。

生沼 バッティングは自分の長所なので、相手がここで打たれたら嫌だという場面での打席には注目して欲しいなと思います。サードを今すごく練習していて、まだまだですけど、春までにしっかり守備でも貢献できるような選手を目指して取り組んでいるので、出られるかはわからないんですけどサードで出た時は期待して見てほしいです。

後編は慶應スポーツ新聞会ホームページでご覧ください!

(取材・編集 早稲田スポーツ新聞会 齋藤汰朗、田中駿祐、慶應スポーツ新聞会 北村可奈、写真 玉置理沙子、畠山大輝)