今シーズンは途中からスタメンで出場を続けている生沼弥真人（教３＝東京・早実）。少ない出場機会の中でも全力プレーで結果を残している。早実時代から対戦している選手が多い早慶戦には熱い思いがあるようだ。
※この取材は10月27日に行われたものです。
（チームの）状態は上がっている
笑顔を見たい
――現在、勝ち点３で３位です。ここまでのチームの戦績を振り返っていかがですか
明治の２敗はもちろん痛かったとは思うんですけど、東大あたりから試合をやるごとにチームとしての結束力みたいなものがどんどん毎試合重なっていっていると思うので、チームとしての状態は上がっているんじゃないかなと思います。
――立大から勝ち点を奪った日のチームの雰囲気はいかがでしたか
もちろん、逆転でどっちも競った中での勝負をものにできて、素直にみんな喜んでいたんですけど、帰ってきた時にはもう気持ちはみんな早慶戦に向いていたんじゃないかなと思います。
――これまでのご自身の打撃成績を振り返っていかがですか
練習と練習試合とかと比べてそのままの結果という感じですね。リーグ戦だけ打てなくなるとかリーグ戦だけ打てるようになるとかじゃなくて、普段通りの結果が出ているんじゃないかなと思います。
――途中からスタメンで出ていますが、初めに出ると伝えられた時はどんな気持ちでしたか
野村（健太、スポ３＝山梨学院）が腰を痛めてしまい、東大戦の２戦目の朝に起きた時に言われてそこが始まりでした。そのアクシデントで代わるというかたちだったので、ちょっとびっくりはしましたけど、これまでも後から守備から出たりすることはあったので、そんなに気持ちは変化はないです。
――９日のインタビューで、ボールがよく見えるとおっしゃっていましたが、継続していますか
それは結構変わらずできています。
――打席では緊張しますか
打席というか試合の前はそわそわする気持ちは少しあるんですけど、試合に入ってしまえば緊張とかはないですね。
――これまで印象的だった打席はありますか
東大の２戦目の初めてスタメンで出た時の最終打席ですね。同点の２アウト一塁からレフトオーバーを打って、二、三塁になってその後勝ち越して勝ったんですけど。８回裏かな。ツーベース打って、二、三塁になって死球死球で押し出しで入って、熊田（任洋、スポ３＝愛知・東邦）が満塁ホームラン打ったあそこの打席が一番印象に残っています。
――今季初安打の明治戦の打席はほっとしましたか
あれだけ点差があって、その中でも出番が来たときのチャンスを逃さない準備ができていたので、それは結構自分の中でプラスに捉えていいのかなとは思いました。
――ここまで出場してきて、課題はありますか
追い込まれることが多いです。それはなぜかというと、追い込まれる前の前に飛ばせる球をファールにしたり空振りにしたりしてしまっているから。そこが自分のバッティングを狭めてしまう原因になっていると思うので。甘い球を一発で仕留める精度はもっと上げていかないといけないなとは思います。
――待っている球も見逃すことはありますか
半分くらいは正直結構厳しくて、ボールだと自分で思ってというか、変にがっつきにいってもいい結果が出ないと思って見逃して、ストライクを取られるのがまあ半分ぐらいあるんですけど。もう半分は、しっかり自分で前に仕留めようと思って振りにいったやつが空振りというかファールになったりとか、まだ若干あるので。その半分をしっかり仕留められるようになったらもっとコンスタントに打てるんじゃないかなと思います。
――生沼選手が打つとチームが盛り上がっているように見えますが、ご自身でも感じますか
いや（笑）。誰が打っても盛り上がると思うので、そこに差はあんまりないと思います（笑）。
――次に守備に関して質問します。ファーストを守られていて、セカンドに熊田選手がいますが、一、二塁間の相性はいかがですか
熊田もその都度ポジショニングを確認しながら声出してくれるし、お互いがどの位置にいるのかというのをわかりながら守備をやっているので、そういう意味での安心感はあります。あと熊田に対する信頼感もあるので。頼りがいあるという感じですね。
――普段もよくコミュニケーションを取りますか
そうですね。グラウンドでは結構バッティングの話とか、守備の話とかもしっかりコミュニケーション取れていると思います。
――同期で負けたくない人はいますか
みんなですね。みんなに負けたくない。常にライバル意識は持って、競争意識は持って練習には取り組んでいる感じです。
――多くの３年生が出場していますが、３年生はどんな学年ですか
みんな基本仲良くて、みんながみんなを心から応援し合えている仲だと思うので、そういった意味では３年生という学年の括りで見たときにいい関係だなとは思います。
――２年生も活躍していますが、下級生の活躍は刺激になりますか
下級生が頑張っているのを見て、自分らもやっぱり４年生よりも下で、４年生のためにという気持ちでやっているので。２年生もそういう気持ちでやっていい結果が出ているというのを見ると自分たちも続かないとなという気持ちにさせられる感じです。
――ドラフトについて蛭間拓哉選手（スポ４＝埼玉・浦和学院）とは何か話しましたか
蛭間さんはドラフト前から指名を公表されていたとはいえそわそわしていました。一緒にいる時間があったので、そういう話をしたりとか、決まってからはおめでとうと言って。すごくうれしかったです。
勝って恩返ししたい
一、二塁間は心配ない
――早慶戦に向けて伺います。先程、立大戦が終わって帰ってきたら早慶戦に向けてという雰囲気だったとおっしゃっていましたが、今もそのような締まった雰囲気ですか
正直、いくらこれまで良くても早慶戦に負けたらもう何の意味もなくなっちゃうので。そういった意味ではかなり熱は入っているんじゃないかなと思います。
――４年生への気持ちを聞かせてください
３年間本当にたくさんお世話になりました。勝って恩返ししたいです。
――生沼選手の現在の打撃の調子はいかがですか
正直段々上がってきているんじゃないかなと思っています。
――自信はありますか
そうですね。早慶戦はどんなに自分の状態が良くても相手のピッチャーがあることなので、必ずしも全打席打てるという保証はないんですけど、ここ一番の甘く来た一球を逃さない自信はあります。
――早慶戦まであと１週間と少しありますが、何に重点的に取り組みたいですか
その都度練習やっていると、毎日ちょっとした課題みたいなのは毎日発見があるので、そういうのが全体練習とか自主練習で、技術的なところを不安なく挑めるように補うというのはもちろんあるんですけど。一番はプレッシャーがのしかかってくると思うので、そこでチームの勝利につながるプレーができるように心から早慶戦に向けて研ぎ澄ましていくという集中力みたいなところを磨いていきたいですね。
――早慶戦のキーマンは誰だと考えていますか
正直、後から出る人かなと思います。このチーム、４年生で試合に出ている方は置いておいて、スタメンとメンバーに入っているスタメンじゃない人の実力差が特に下級生は大きくなくて、みんな試合に出られると思うので。実際これまで勝っている試合というのも後から出てきた人たちがすごくいい活躍をして勝っているというのがあるので、早慶戦でも誰かスタメンの人がうまくいかなかったときとかに、後から出てきた人がそれをカバーして。そういうことができれば勝てるんじゃないかなと思っています。
――今季の慶應のイメージを教えてください
走攻守のレベルが全てにおいて高いという印象です。
――先発陣の具体的な印象はありますか
どんなかたちでも絶対に６回２失点、３失点くらいにはまとめてきて、崩れることがないピッチャーだと思っています。
――リリーフ陣はいかがですか
リリーフで控えているピッチャーの人たちもそれぞれ力を持っている武器のある投手陣の人たちなのかなという印象です。
――中学時代、ともにプレーをした廣瀬隆太選手（慶大、３年）は意識しますか
廣瀬選手はやっぱり元々知った仲なのでもちろん意識はしますけど。廣瀬を抑えられるかなーみたいな感じで他の人よりは注目しますけど、だからといって自分がどうとかはない感じですね。
――打つのかな、打たないのかなと見ている感じですか
対戦している瞬間は、抑えたいなって思いながら見ています（笑）。
――早慶戦ではどんな役割を果たしたいですか
早慶戦だからといって、いつもよりも自分が出せるMAX以上のものを出そうと思ってもそれは絶対に無理だと思うので、やれる最大限の働きができればいいなと思います。
――どこに注目してほしいですか
やっぱりバッティングです。前にはすごく調子がいいバッターたちがいるので、もちろんチャンスで回ってくるケースが増えると思っています。そういったところでしっかり一本出せるという打撃に注目してほしいなと思います。
全打席チームにとってプラスの働きをしたい
右方向への長打は脅威となるだろう
――高校から早稲田ですが、他の選手よりも慶應に対してライバル意識はありますか
高校の時は練習試合で定期的にやっていたという感じでした。慶應義塾大学の選手は塾高の選手が多くて、結構知っている人が多い中で試合をやるので。高校の時は結構対戦成績が悪かったので、慶應ってなるとちょっと。もちろん全部勝ちたい思いでやっていますけど特に燃えるというのはあります。
――当日の具体的な目標はありますか
チームの勝利に貢献するという意味で考えると、アウトでも貢献はできると思うので、全打席チームにとってプラスの働きをしたいと思います。
――最後に改めて意気込みをお願いします
勝つこと以外は正直考えていないし、みんながそう思えば絶対勝てると思います！
――ありがとうございました！
（取材・編集 臼井恭香）
◆生沼弥真人（おいぬま・やまと）
2001（平13）年11月23日生まれ。182センチ、95キロ。東京・早実高出身。教育学部３年。内野手。右投右打。「野村選手は陽キャ」「中村将希選手（教３＝佐賀・鳥栖）のリストバンドがものすごくお洒落」と語ってくれた生沼選手。しかし、自身も森田朝陽選手（社３＝富山・高岡商業）に「野球部の陽キャ」と暴露されていました。早慶戦では全力で勝ちに行くプレーはもちろん、ユニフォームの着こなしや爽やかな笑顔にも注目です！