【特集】秋季リーグ戦開幕前特集(番外編)スタッフ対談 第1弾 菊池聡太主務×岩井寛汰副務

野球

 今スタッフ特集の第1弾は、早大野球部の縁の下の力持ちであり、常日頃からチームに寄り添う菊池聡太主務(商4=福岡・東筑)と岩井寛汰副務(スポ4=大阪・早稲田摂陵)の対談をお送りする。外部と内部、首脳陣と選手の架け橋となる存在であるお二人。その仕事内容やマネージャ-に就任した経緯、そして秋季リーグ戦を目前に控えた現在の心境について語ってもらった。

※この取材は9月8日に行われたものです。

気づいたら目指していた(菊池)

対談で使ってほしいとガッツポーズで決めてくれた岩井寛汰副務(写真左)と菊池聡太主務(写真右)

――他己紹介をお願いします

岩井 主務の菊池聡太で、出身は東筑高校で、商学部で、たぶんマネージャーで甲子園に出場してマネージャーに転身しているのは意外というか、甲子園出場している人ってバリバリにやるかなと思うんですけど、その中でもマネージャーに転向してチームを支えている熱い人間です。

菊池 思ったより真面目な自己紹介(笑)。岩井は早稲田摂陵高校出身で、めっちゃ雑で適当な感じなのに、めっちゃ真面目で。それが人として成立しているのが不思議なくらい。

岩井 やめろやめろ(笑)。

菊池 でもまあそれは置いといて、彼は早稲田愛が強くて、主務・副務を決めるときもチームが勝つためにということで、お前が主務になってくれと俺が伝えると熱い話をしてくれたような熱いやつです。自分が主務なんですけど、いろんなところで助けてくれる超いいやつです。

――お互いに尊敬する部分はありますか

岩井 結構人に言い方がうまいというか。自分は思ったことを言っちゃうタイプなんですけど、菊池は思ったことを自分の中でかみ砕いてわかりやすく伝えようとする姿勢がすごくあふれていて、そのところは勉強になります。

菊池 自分は言いたくても言えないことがあるんですけど、岩井はとっさの発言力があってすごいなと思います。

――お二方はプライベートでの交流はありますか

菊池 ないです(笑)。マネージャーですっと一緒にいるので十分です(笑)。

岩井 仲が悪いとかじゃなくて、十分です(笑)。

――普段仲のいい選手はいますか

岩井 みんな仲いいけどなあ。しいて言うなら蛭間(拓哉副将、スポ4=埼玉・浦和学院)選手のお世話役をしています(笑)。

――どういったお世話ですか(笑)

岩井 バッピ(バッティングピッチャー)とかをやったりします。

菊池 今安部寮にいるんですけど、その前は別の学生寮に住んでいてその時に2年間くらい隣の部屋だった三宅隆二郎(人4=大阪・明星)
は仲がいいです。

――オフの日は何をされていますか

岩井 結構ずっと寝てる日もありますし、どっか行きたいと思ったら自分は一人で出かけてしまうタイプの人間です。普段集団行動している分、オフは一人行動を楽しんでいます。

岩井 自分も買い物に行ったり、美術館とかもすきなので美術館に行ったりしています。

――お二人の経歴についてお伺いしたいと思います。菊池主務が早稲田を目指したきっかけはありますか

菊池 きっかけは結構難しいんですけど、気づいたら目指していたという感じで。あとは就職先とかを考えたときに総合商社を目指しておけば勉強を頑張れるなと軽い気持ちで思っていて、それで例えば総合商社に行くとしたら東大とか早稲田慶応がいいって思って。でもきっかけとしては、早稲田の入学式の映像をYouTubeを見たことで、その時に応援部とかが歌うのを見て早稲田がいいなと思いました。

――岩井さんは早稲田摂陵 のご出身ですが、入学前から早稲田へのあこがれはありましたか

岩井 全くなくて。正直どうしてその高校にしたかもあまり覚えてないんですけど、早稲田に行きたいという思いがあって入学したわけではなくて、当時は大阪の大学に行けばいかなとも思っていました。でも高校のイベントで関東研修というイベントがあって、早稲田キャンパスと早慶戦を見に行くというイベントがあったんですけど、そこで早慶戦を見て神宮の舞台で早稲田のユニフォームを着て戦っている大学生にすごいあこがれて。その時に早稲田行きたい、野球部に入りたいと思いました。なのでどちらかというと早稲田大学に入りたいというより早稲田の野球部に入りたいと思っていました。

――お二人がマネージャーになられた経緯を教えてください

菊池 時系列で言うと長くなってしまうんですが、1年の9月にマネージャー決めが始まって、その時に岩井ともう一人がまずマネージャーになってくれたんですが、岩井ではないもう一人が辞めてしまって。もう一人決めなくちゃいけなかったのでまた話し合って、5か月くらい話してお願いした人が結局また辞めてしまって。その時点で年明けの3月くらいだったんですが、そのタイミングで自分は初めてマネージャーの候補に入って、そこから一対一の話し合いをしたりして、最終的に5月6月になりますと言って、引退したのは6月末か7月の頭くらいです。

――マネージャーの候補に入ったのは立候補したのでしょうか

菊池 毎回投票でマネージャーの候補を決めてその中から話し合いで一人を決めるという感じでした。二人辞めてしまった時点で、マネージャーやる人は他にいないのかと思ったりもして、その時から少し考え始めました。

岩井 僕も菊池と一緒なんですけど、8月くらいから話し合いを始めて、僕はたぶん最初から投票されていて候補者になっていました。候補者になったからにはマネージャーになる可能性があるということで、3か月くらい悩んで12月くらいに学年からやってほしいと言われて。学年のみんなから自分はこういう理由で岩井にやってもらいたいという手紙をもらって、すごく自分も心を動かされて、チームのためになるなら、選手をやめてマネージャーになろうと思いました。

菊池 自分も結構いろんな人に泣かれて、お前しかいなと言われたので、そこは大きかったです。

――そこで心が動かされたんですね

菊池 でもやっぱり選手をやめてマネージャーになるというと、どこかで自分だけでは決断できないとこもあって。親と話したりとか同期と話したりする時間が大事でした。

自分たちはとにかく応援するしかない(岩井)

――主務と副務の仕事を教えてください

菊池 主な仕事としてはリーグ戦の運営とかがあって、外向きの仕事で言うと、運営のための話し合いに出席したりとか六大学連盟の行事を手伝ったりとかいうのがあります。あとはスカウトや関係者に連絡を入れたり予定表を送ったりしています。内向きの仕事だと、月の予定表を作成したりしています。主務としてはそれくらいなんですけど、会計もやっているので、月決算とか大学に提出する年度予算の書類の作成をしています。

岩井 自分は広報をやっていて、SNSを更新したりホームぺージを更新したりといった野球部から外に発信する仕事をしています。、副務というところでは、主務がかなり忙しいので、そこで手が回らないところをサポートするというのが仕事になります。

――仕事の中で工夫していることや意識していることはありますyか

菊池 岩井が言ってくれたんですけど、言葉遣いとかですね。監督に言われたことを選手に伝えることが結構あるので、その時に伝わりやすい言い方とか納得してもらう言い方にできるように意識しています。なので仕事どうこうというよりは組織の中の感情の部分とか、波風が立たないように、いいように回るようにというのを意識しています。

岩井 広報で言うと、いろんなに人に興味を持って神具に来てもらえるようにデザインを工夫したりしています。興味を持ってもらうようなSNS発信というのを心がけています。副務というところで言うと、選手と指導者の間の立場なので、選手がわかりやすくやりやすい環境をつくることを意識しています。

菊池 安全面とかもありますね。ネットが破れているのとかはマネージャーで見まわったりしています。発注とかもマネージャーがやっていて、そういう不備がないか目を光らせています。

――普段マネージャーとして選手にどのようなアドバイスや声掛けを行っていますか

岩井 自分たちはとにかく応援するしかないので、とにかくベンチでも応援ですし、活躍したら「ナイスバッティング」「ナイスピッチング」という感じで褒めたりします。あとはできる限り練習のサポートをするというか、バッティングピッチャーを務めたり、足りなかったら守備をやるとか、補助的というか選手が一番やりやすいように、気持ちが上がるようにというのを意識しています。

菊池 客観的に練習を見られるのがマネージャーなので、そういう面では2年生まで選手をしていたこともあって、技術的なところでアドバイスをしたりもしています。あとは同じようにバッティングピッチャーなどで手伝えるところは手伝うようにしています。

――昨年に引き続きコロナ禍での運営になりますが、難しい点は

菊池 コロナがやっぱり(笑)。今年の1月もかなり大量に感染者が出て、出てしまったときの難しいところはどれだけ感染を広げないかというところと、濃厚接触者もほんと面倒臭いので、それを追って、まとめて報告するというのが大変でした。濃厚接触者に当たる人がもし漏れていて、練習とかに出てしまうとそこからまた広まってしまう可能性があるので、過不足なく囲い込むというのが大変なところでした。

岩井 めっちゃ専門的やん(笑)。

菊池  コロナを出さないことが一番なので、そのために寮内でも食事は同じテーブルに一人しか付かせないとか、そういったところで感染のリスクをなるべく下げるように努力しています。

岩井 夏のキャンプが3年ぶりで、自分も全く経験したことがないことだったので、何から始めて良いのかっていうのが正直分からない状態でした。色々準備をして何とか最後まで無事に完走できたことがこのコロナ禍での苦労です。

春は秋のための良い負けに繋がったなと思えるようになってくれたら(菊池)

――マネジャーとして辛いことや大変なことは多いと思いますが、そこで支えになっているものはありますか

菊池 自分は同期とか後輩の選手たちとの絆や繋がりが支えです。早稲田大学野球部が好きというよりは、野球部の中にいる選手たちが好きだからマネージャー続けられているというところがあるので、成長して活躍している姿を見ると、良いなあと思います。

岩井 自分もどちらかというと仲間がいるから続けられているというのが一番あるかなと思います。キャンプもすごく忙しくて、投げやりになりそうなところもありましたが、仲間からやってほしいと言われて、信頼関係もあったので、仲間がいたからこそ何とかキャンプだけでなく普通の業務も一生懸命できているかなと思います。

――マネジャーをやっていたからこそ経験できたことや学べたことは

菊池 他大学の選手とか部員、マネジャーとの繋がりはマネジャーじゃないとなかったのかなと思っています。リーグ戦の運営も他大学のマネジャーとやっていくので、そこでの繋がりは他では変え難いですね。あとは、OBなど色々なところでの繋がりがあるのがマネジャーかなと思います。

岩井 自分も繋がりが広いというのが大きいかなと思います。OBとか違う分野の偉い方と話す機会があって、初めての経験だったので、非常に勉強になることが多いです。そういった経験は、早稲田の野球部のマネジャーでしかできない経験だと思います。

――4年間を振り返って一番の思い出は

岩井 やっぱりこの夏のキャンプですかね。自分達の代のキャンプだったので、色々しんどいことも楽しいこともありましたが、最上級生となった時のキャンプはすごく思い出に残っています。

菊池 2年の時に優勝したのが思い出ではあるのですが、それは先輩方の思い出でもあるので(笑)。それ以外で今の時点だと、マネジャーになって引退する日に、最後の練習をしたのですが、同期と一つ下の学年でノックをやって、最後引退となりました。その時、最後ということでみんなが気合を入れてくれていて、言葉で言い表せないのですが、ピッチャーのみんなも前に出てきてくれて、声出してくれてという雰囲気の中で、最後野球人生終えられたというのが今のところは一番かなと思います。

――春季リーグ戦は5位という悔しい結果に終わりましたが振り返っていかがでしたか

菊池 負けるべくして負けたのかなと思います。夏を経て春と全然雰囲気が違うので、春はしょうがなかったというか(笑)。逆に今は本当に秋が楽しみです。春は秋のための良い負けに繋がったなと思えるようになってくれたら一番嬉しいです。

岩井 自分達の学年は下級生が試合に出ることが多くて、そういった経験不足というのもあったりしてああいう結果になってしまったのもあると思います。本当にこの夏、春の悔しさをバネに一生懸命頑張ってきたので、秋は早稲田に大注目ということでお願いします。

早稲田への恩返しと、これまでやってきた自信というのを最後秋にぶつけて、優勝したい(岩井)

――秋季リーグ戦に向けてのお話に移ります。現在のチームの雰囲気はいかがですか

菊池 雰囲気は今までで一番良いなと思っています。練習中は良い緊張感があって、全員が頑張る雰囲気があるというのが一番で、ミスもありますが、ミスした時でも前向きな感じで集中して練習ができているので、そこが良いなと思います。

――そうした緊張感はどこから生まれていますか

菊池  キャプテンの中川(卓也主将、スポ4=大阪桐蔭)や、学生コーチの冨永(直宏学生コーチ、文4=東京・国学院久我山)の力が大きいかなと思っていて、あとは蛭間(拓哉副将、スポ4=埼玉・浦和学院)とか、中心となる人がみんなを引っ張っているので、良い雰囲気がだんだん作られていると思います。

岩井  良い緊張感になってきているというのと、メンバーに入れなさそうな4年生が、メンバーの練習の手伝いをしてくれていて、そういったところからもチームの一体感というのが生まれてきているので、まとまってきたなと感じます。

――お二方から見たこの秋の注目選手は

岩井  二人挙げても良いですかね。あやっぱり三人で(笑)。

――全然大丈夫です(笑)

岩井 まず一人目は、副将の原功征(スポ4=滋賀・彦根東)です。リリーフということであまり投げるイニングは少ないですが、彼が抑えることによってチームはすごく盛り上がるので、良い流れを持ってきてくれるのではないかなと注目しています。二人目は、4年の松木(大芽、スポ4=石川・金沢泉丘)です。彼は夜にすごく練習していて、部員の中でも一番練習している選手だと思うので、彼には頑張ってもらいたいですし、努力が報われてほしいなと思います。三人目は、吉納(翼、スポ2=愛知・東邦)です。可愛がっているのか可愛がってもらっているのかという仲が良い関係なのですが、良いバッターなので、これから活躍するであろうと注目しています。

菊池 三人出てしまったので(笑)。

岩井 いっぱい言ったらええやん(笑)。

菊池 じゃあ自分は野村(健太、スポ3=山梨学院)ですかね。野村はリーグ戦にあまり出ていなくて、割とベンチで悔しい思いをしていましたが、この夏は試合にも出ていて、主軸で結果も出ていて調子が良いので、秋こそは爆発してくれるかなと思います。

――お二方含め4年生はラストシーズンとなりますが、ここまで一緒にやってきた同期はどのような存在ですか

岩井 大切な仲間ですかね。色々喧嘩もしてきましたけど、やっぱり4年生になって最後優勝したいという気持ちがみんな溢れていて、そういった仲間と今野球をすることができているというのは本当に嬉しいです。色々な青春が詰まった4年間だったと思うので、最高な仲間です。

菊池  自分も最高の仲間だと思います。マネジャーになる時も、辞めようというところまで行って、親にも辞めるという話までしたことがありました。結局辞めなかったのは、同期がいたからというのがあったので、そういう意味でも心の支えになっています。今でも同期全員で集まった時の雰囲気というのが、1、2年生の時からキツイことを耐えてきたからこその雰囲気があると思っていて、この4年間をかけてみんなで作り上げた良い関係だと思います。

――最後に秋季リーグ戦への抱負、意気込みをお願いします

岩井  この4年間早稲田でやってきて良かったとすごく思っているので、早稲田への恩返しと、これまでやってきた自信というのを最後秋にぶつけて、優勝したいです。

菊池 立場上主務ということで、色々な方に支えられてここまでやって来られました。OBの方もそうですし、マネジャーのみんなや応援部など、色々な人がいてリーグ戦ができているので、そういった方々への恩返しの意味も含めて、優勝できる力は付いていると思うので、この秋こそは選手を信じて優勝できたらなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 玉置理沙子、藤田珠江)

◆菊池聡太(きくち・そうた)
2000(平12)年9月12日生まれ。177センチ、73キロ。福岡・東筑高出身。商学部4年。

◆岩井寛汰(いわい・かんた)
2001(平13)年1月25日生まれ。177センチ、74キロ。大阪・早稲田摂陵高出身。スポーツ科学部4年。