【連載】秋季リーグ戦開幕前特集『Revival』第4回 鈴木萌斗×福本翔

野球

 東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)開幕まであと3日。第4回に登場するのは4年生の外野手コンビだ。鈴木萌斗(スポ4=栃木・作新学院)は昨季、積極的な打撃で自身初のベストナインに輝いた。福本翔(社4=東京・早実)は夏季オープン戦で持ち前の勝負強さを存分に発揮。打線の起爆剤となる2人に、ラストシーズンを前にした心中を伺った。

※この取材は9月5日にオンラインで行われたものです。

「もっとやることをやっていかないと」(福本)


安部球場にて、福本(左)と鈴木萌

――まず初めにお互いの他己紹介をお願いします

福本 外野手の鈴木萌斗です。明るい性格でみんなを笑わせてくれる面白いやつです(笑)。

鈴木萌 同じ外野手の福本翔です。意外としっかりやることが多いですけど、自己中な一面もあって気分屋でキレると結構怖いです(笑)。

福本 (笑)。

――練習以外に一緒に過ごすことはありますか

鈴木萌 夜遅くまで打っていたり。それは練習か(笑)。

福本 自主練習は常に一緒にやっています。

――プライベートではどうですか

鈴木萌 たまにですね。最近だと、コロナだからあまり会ってはいませんが、結構前に富士急に行きました。

福本 コロナの前ですけどね。イベントごとは大体一緒に行っています。

――夏季休業中のオフは何をして過ごしていましたか

福本 部屋で動画見たり、映画見たり音楽聞いたりですかね、基本的には家にいたと思います。

鈴木萌 自分はゲームが好きなので一日中ゲームをしていました。

――最近はどんな音楽を聴きますか

福本 最近は、変態紳士クラブという、二人のラッパーで構成されているアーティストにはまっています。

鈴木萌 自分は何聞くかな(笑)。ちょっとスマートフォン見てもいいですか。あ、クリープハイプ聞きますね。

――好きな曲はありますか

鈴木萌 好きな曲か。

福本 いや好きじゃないじゃん(笑)。

鈴木萌 あ、「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」を聞きますね。

――試合前にも聴きますか

鈴木萌 いや、試合前は聴かないです(笑)。試合前は決まっている曲があるので。「インフルエンサー」と「二人セゾン」です。乃木坂46と欅坂46です。

――野球に関してお互いにうらやましいと思うところはどんなところですか

福本 足が速いところ。あと、バッティングがいいなというのはいつも思っていて、自分にはできないバッティングだな、と思います。

鈴木萌 自分がめちゃくちゃ左ピッチャー苦手なのですが、福本は左ピッチャー得意なので、そこがうらやましいと思います(笑)。普通にすごいです。

――福本選手は左投手対策として何か取り組まれたのですか

福本 そんなに特別何かしたというわけではないのですが、昨年のリーグ戦の時は左ピッチャーに投げてもらったり、左の変化球のマシンを使って自主練でずっと打っていたりはしました。ただ今も、特別に左ピッチャーが得意だという意識はないです。ですが、左ピッチャーと対戦するときは「打てるな。」というメンタルにはなりました。

――鈴木萌選手は寮長だと伺ったのですが、具体的にはどんなことをされているのですか

鈴木萌 朝点呼が終わった後に掃除をするのですが、掃除の見回りが基本的な仕事です。

――下級生とのコミュニケーションで意識していることはありますか

福本 特別意識しないことが意識することです。

鈴木萌 先輩っぽくないように。

福本 そう。壁を作りすぎないようにしています。

鈴木萌 自分たちは基本的に接しやすい4年生の2人だと思うので、先輩というより同級生や仲間、友達という感じで接することが多いです。

――外野手陣同士でアドバイスし合ったりすることはありますか

鈴木萌 自分たちが外野のメインとして、まとめ役としてやっているので、そこはいろいろとアドバイスしたり後輩から聞いてくることは多いです。質問されたらその都度アドバイスしています。

――ここからは春季リーグ戦の振り返りを伺います。改めて春季リーグ戦を振り返ってみていかがでしょうか

福本 チームとしては5位だったので、そこは悔しいし、もっとやることをやっていかないと、という風に思います。僕は法大戦の週までずっとケガをしていて、明大戦、慶大戦も出場こそしましたが、万全かと聞かれるとそうではなかったので、チームに迷惑をかけたと思っています。その点で個人的にも悔しいシーズンでした。

鈴木萌 自分は個人としてはベストナインを受賞しましたが、チームとしては5位という結果に終わったことは悔しいので、その悔しい思いをいかに、秋季リーグ戦につなげるかというのが大事だと思います。

――春季リーグ戦慶大2回戦では4年生の執念が勝利につながったように見えました

福本 そうですね、僕以外の4年生が頑張ったと思います(笑)。

鈴木萌 僕たち以外です(笑)。

――春を通じて外野陣で取り組んでいたことはありますか

福本 ずっと送球は課題だったので、送球の練習は意識してやっていました。

――占部晃太朗新人監督(教4=早稲田佐賀)に、近くから投げてもらう練習をしているということですが、その練習をするきっかけは何ですか

福本 今井脩斗(スポ4=埼玉・早大本庄)がやっていて、もともと今井と占部と仲が良かったので、一緒にやろうよ、という感じで始めました。

鈴木萌 自分も同じで、練習していたところに混ぜてもらったという感じです。

――練習量はかなりこなしたのですか

福本 きつかったというよりは…。

鈴木萌 ゲーム感覚で楽しくやっていました。

福本 試合のように、打った、打ってない、点取った、取っていないというように、毎日対戦するような感覚でした。

「一打席一打席後悔しないように」(福本)


昨季の明大2回戦で力強いスイングを見せる福本

――福本選手に伺います。占部新人監督からは普段どんなアドバイスを受けますか

福本 自分は逆方向に打つバッターで、調子が悪い時は引っ張ったようなバッティングになるのですが、セカンドの頭を狙って、とか、そういうバッティングのアドバイスをもらいますね

――夏季オープン戦ではほとんどの試合でスタメン出場でしたが、収穫はどんなところに感じましたか

福本 そうですね、それこそ夜に占部とやっている練習がバッティングにおいて発揮できたというところが収穫だと思います。

――夏季オープン戦では勝負所での一本が光っていましたが、どんなことを意識して打席に入っていますか

福本 一打席一打席、悔いの残らないように。野球は大学で辞めるので、残りどんなに多くても15試合、オープン戦とリーグ戦と全日本、最後の最後まで行っても15試合しかないので、本当に一打席一打席後悔しないように意識して立ちました。

――送球が課題だとおっしゃっていましたが、今までに意識して取り組んだ練習はありますか

福本 そうですね、キャッチボールもそうですけど、とにかく内野手が取りやすいボール、これをどういう風に投げるかというのを、例えばいつものノックから、そのようなことを意識してやっていました。

――鈴木萌選手に伺います。春のご自身の結果を踏まえて、夏はどのようなテーマを立てて臨みましたか

鈴木萌 ベストナイン取った後でも、秋もしっかり結果を残す、春の自分の成績に負けないでそれ以上の成績を残すのを目標としてやっていました。

――調整は順調ですか

鈴木萌 そうですね。

――開幕まであと一週間を切りましたが、開幕までに詰めていきたい部分はどんなところですか

鈴木萌 打撃の確実性を残り一週間でさらに詰めていけたらなと思います。

――以前の対談では走塁チーフとしてチーム力を高めていきたいとおっしゃっていましたが

鈴木萌 ここ数試合では積極的な走塁を目標としてやっていて、それが結果につながっているのでチームとしてはいい方向に向かっていると思います。

――普段から練習で積極的な走塁は意識して行っているのですか

鈴木萌 実戦形式の中での意識的な取り組みとしては毎回心掛けていこうとしています。

「粘り強く戦っていきたい」(鈴木萌)


昨季の明大1回戦で安打を放つ鈴木萌

――秋季リーグ戦に向けてチームとしてはどんなことを意識して練習やオープン戦に臨んでいますか

福本 5位だったので、そこから1位になるのはかなり力のいることだとみんなで言っています。『一球入魂』というスローガンを掲げてやっているので練習では一個のボール、一個のプレーを本当に大切にしようという思いでやっています。オープン戦ではとにかく勝つこと、勝ち続けることを意識してやっていました。

――意識という部分では春季リーグ戦前と比べても違うと感じますか

福本 そうですね。負けてからこのままじゃまた同じ結果になってしまうという思いはみんなあったと思うので、全然違うと思います。

――夏全体を振り返ってチームの状況をどう見ていますか

福本 春に比べたら良くなっていると思いますし、オープン戦自体ももちろん負けた試合もありましたが、春に比べたら最後まで粘り強く戦えています。後半逆転する試合や、みんなで点を取ってみんなで守ってという試合ができたと思うので、良くなっていると思います。

――4年生の雰囲気はいかがですか

福本 選手を辞めて裏方に回ってくれた人もいますし、選手をやりながらサポートしてくれる人もいます。その中で4年生みんなが優勝するためにという思いでやっているので、一体感というのは湧いてきていると思います。

――秋季リーグ戦で、チーム内でのご自身の役割はどんなところだと考えていますか

鈴木萌 自分たちは丸山(壮史主将、スポ4=広島・広陵)と岩本(久重副将、スポ4=大阪桐蔭)が選手たちにきつく当たる分自分たちはもっと下級生と接しやすい立場にいた方がいいと思うので、厳しく当たるというよりかはアフターフォローに回るようにしています。

――きつく当たるのは、態度という部分で突き詰めているということですか

鈴木萌 そうですね。気が抜けているプレーに対しては厳しく接することも増えましたし、そこに対してもっと緊張感持ってやろうとか厳しく当たっている部分はあるので、(自分たちは)そこをケアするような感じで接しています。

福本 プレー面では、打順で言うと1番と2番を打つことが多いので、チームに勢いを付けるではないですけど、プレーの中でそういう役割ができればいいかなと思います。

――法大の山下輝投手(4年)や東大の小宗創投手(4年)など各大学に左の好投手がいますが、その点はどう捉えていますか

福本 さっき萌斗が言ったように左ピッチャーがチームの一つの課題だと思います。チームとして左投手対策をする中で、例えば左ピッチャーの北里(海渡、人4=熊本学園大付)という外野手が率先して打撃投手をやったりしてくれています。左投手を攻略できればもっと楽に勝てると思うのでそこは勝利に向けた大事な鍵だと思います。

――ラストシーズンに向けて個人としての目標を教えてください

鈴木萌 自分はもう一度ベストナイン受賞を目指して頑張りたいと思います。

福本 これがラストシーズンなので、本当に一個一個のプレーを悔いなくやって、とにかく目の前の役割や仕事を全うできるよう頑張っていきたいと思います。

――チームの目標であるリーグ優勝、そして日本一に向けてどんな戦い方をしていきたいですか

鈴木萌 まずは負けない野球をやりつつ、接戦をものにするというのを夏の練習試合でやってきました。それがチームカラーだと思うので、粘り強く戦っていきたいと思います。

――最後に意気込みをお願いします

鈴木萌 春は5位という結果に終わってしまったのですが、必ず秋は優勝、去年の先輩からの優勝が途切れないようにやっていきたいと思います。

福本 「強い早稲田を取り戻す」というのを最初に早川さん(隆久前主将、令3スポ卒=現東北楽天ゴールデンイーグルス)から受け継いでいるチームなので、やっぱり自分たちが優勝してまた次の一個下の子たちも優勝して「強い早稲田」が取り戻せるように頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 中原彩乃、永田悠人)

◆鈴木萌斗(すずき・もえと)

1999(平11)年6月25日生まれ。180センチ、78キロ。栃木・作新学院高出身。スポーツ科学部4年。外野手。右投左打。下級生とは友達のように接しているという鈴木萌選手。ラストシーズンに目指すは昨季越えの成績です。不動のリードオフマンが神宮球場に初回から『紺碧の空』を響かせます!

◆福本翔(ふくもと・しょう)

1999(平11)年4月3日生まれ。178センチ、80キロ。東京・早実出身。社会科学部4年。外野手。右投右打。自主練習はいつも一緒に行うという鈴木萌選手との対談は終始笑顔がこぼれ、仲の良さが伺えました。春季リーグ戦での悔しさや占部新人監督との特訓を力に変えて、今季日本一を目指します!