【緊急】令和3年度春季早慶戦 注目選手特集 7 熊田任洋

野球

 

 「遊撃手は華であり、内野の要」。早大入学を控えた2020年2月に、熊田任洋(スポ2=愛知・東邦)はこう話した。U18日本代表では森敬斗(DeNAベイスターズ)、武岡龍世(ヤクルトスワローズ)ら世代屈指の遊撃手たちがメンバーに名を連ねる中で、遊撃のレギュラーを獲得。早大入学後も、絶対的レギュラーだった檜村篤史(令2スポ卒=現Honda)が抜けた穴を埋め、春季リーグ開幕戦から出場した。2年春の現在まで、フルイニング出場を続けている。

 

 今季ここまでの打率は2割と、目標の3割まで程遠い。開幕戦となった東大1回戦では本塁打を放ち幸先の良いスタートを切ったものの、調子はなかなか上向かず。第5週の明大戦では無安打に終わった。本人も焦りを口にする。

 

東大1回戦で本塁打を放つ熊田

 

それでも、今季大きな成長を遂げているのが、守備である。異例の夏開催となった昨年の春季リーグ戦では5試合で4失策。失点に結びつくミスもあり、大きな課題を露呈した。そこから大きな進歩を見せたのが春季リーグ戦閉幕からわずか1か月後に開幕した秋季リーグ戦。「準備の徹底」を掲げ、試合展開、打者の特徴、球種、コースなど様々な要素から打球を予測することを心がけた。その結果、10試合で喫した失策はわずか1つ。『安定感』のある守備力を手に入れた。そして迎えた今季、その『安定感』に加え、『魅せる』守備を披露している。その要因もまた「準備の徹底」だった。「一歩目と打球を予測するという準備、それを今年も続けていくうちに一歩目がだんだん良くなって守備範囲も広がった」。BIG6.TVのTwitterアカウント(@big6_tv)がファインプレー集を投稿するなど、その美技は印象強い。「#熊田たまらん」という、西武ライオンズの源田選手の好守を評する際に用いる「#源田たまらん」になぞらえたハッシュタグまで登場した。

 

早慶戦にはここまで3試合に出場し、毎試合安打を放っている。昨秋、リーグ戦優勝を決めた最終戦では、1点ビハインドの9回2死走者なし、相手はエース木澤尚文(当時4年、現ヤクルトスワローズ)という状況で初球を華麗な流し打ち。その後の蛭間拓哉(スポ3=埼玉・浦和学院)の逆転本塁打は記憶に新しいが、それを生んだのは熊田のつなぎだった。「緊張はするがその中でワクワクするという気持ちもある」と、持ち前の強心臓は大舞台でこそ発揮される。攻守両面で持ちうる力をすべて発揮し、観客を魅了するようなプレーに期待したい。

 

(記事 山崎航平)

 

◆熊田任洋(くまだ・とうよう) 2001(平13)年4月15日生まれ。174センチ、76キロ。東邦高出身。スポーツ科学部2年。内野手。右投左打。早慶戦の通算成績は9打数3安打、打率.333。昨春の試合では本塁打を放っています。今年は試合を決める活躍に期待です!