「まさかこういう感じで順調に来るとは思っていなかったので、正直少し驚いているところはあります」。こう語るのは今季、救援陣の一角としてリーグ戦デビューを果たした加藤孝太郎（人２＝茨城・下妻一）だ。今季は登板した2試合のうち、初登板を果たした立大１回戦では失点したものの、明大１回戦では無失点。課題も手応えも得つつ、期待のホープはあこがれだった東京六大学野球の選手としての1歩を踏み出した。
春季オープン戦で結果を残し、ベンチ入りメンバ－の１人として迎えた今シーズン。デビュー戦となった立大１回戦は加藤にとって大きな経験となった。５点ビハインドの４回で登板した加藤は内野安打で走者を出し、迎えた4番・山田健太との対戦。高めに浮いた直球を捉えられ、洗礼の一発を浴びた。「たった1球の失投でも許されない」。リーグ戦の1球の重みを痛感させられる結果となった。しかし、その後はピンチを招きながらも「しっかりバッターの様子を見て落ち着いて抑えていこうと投げていた」と粘り強く抑える。「悪い中でもストレートで差し込めていた」とカウントを悪くしながらも抑え、３回２失点でデビュー戦のマウンドを降りた。
明大１回戦で力投する加藤
立大１回戦での投球を振り返り、「課題の方が多かった」と語る加藤。明らかなボール球の変化球でカウントを悪くしてしまったことから、精度を上げる必要性を感じたという。その後、加藤は明大１回戦で２戦目のマウンドに上がった。ピンチの場面での登板だったが、立大１回戦での反省を活かして３球で追い込むことを意識し、力強い直球でことごとく打者を打ち取った。１回１/３を無失点。チームは敗れたものの、流れを呼び込むような投球だった。
「長期的な目で見たらボールの強さ、球速、コントロール、変化球と本当にいろいろある」と課題を口にする加藤。しかし、２年生の春で実際にリーグ戦を投げる中で課題を見つけられたことは大きい。今後もさらなる成長を見せてくれることだろう。そして加藤は、「しっかり与えられたイニングを抑えてチームの勝利に貢献したい」と早慶戦への意気込みを語った。すでに慶大の優勝が決まってはいるが、次の秋に向けた戦いはもう始まっている。伝統の一戦で、加藤の投球がチームに流れを呼び込む。
（記事 山床啓太）
◆加藤孝太郎（かとう・こうたろう） 2001（平13）年11月20日生まれ。178センチ、74キロ。下妻一高出身。人間科学部２年。投手。右投右打。座右の銘は「克己心」という加藤選手。中学生の頃に所属していたシニアチームのスローガンがこの言葉だったそうです。早慶戦でも直球勝負で好投を披露します！