小島の粘投も報われず、投手戦の末に惜敗/法大1回戦

野球
法大1回戦
早 大
法 大 x
(早)●小島、早川-岸本、小藤
 最高気温15度。11月中旬並みの寒さのなか、時折霧雨が舞う神宮で法大戦を迎えた。1点を追う7回に代打・熊田の右越え適時打で同点に追い付いたが、粘投を続けていた小島が8回に再びリードを許してしまう。早大としては早慶戦前最後のカードで、勢いをつけたかったが、攻めきれず競り負けた。

 先発したエース小島和哉(スポ3=埼玉・浦和学院)は3回、テンポ良く2死をとった後、小林満平(3年)にしぶとく左前に落とされ出塁を許す。続く打者には、直球を早いカウントから連打され失点。簡単に2死にこぎつけてからの3連打であっという間に先制された。4回にも2死走者なしから満塁のピンチを招く。しかし、外角の変化球で三塁飛に抑え、ここはなんとか無失点で切り抜けた。一方の攻撃は、得点圏に走者を進めることはできるものの、本塁が遠い。常時140キロ台後半をマークした直球とスライダーやフォークとのコンビネーションを駆使する法大・菅野秀哉(3年)を前に決定打を欠き1点を追い掛ける展開が続いた。

粘投も報われず3敗目を喫した小島

 3、4回とピリッとしなかった小島は5回以降立ち直り7回まで打者10人を無安打に抑える見事な投球。キレの良い変化球で打者の芯を外したかと思えば、直球で三振を奪うなどメリハリのある投球で追加点は与えない。すると、7回に膠着(こうちゃく)していた試合が動いた。先頭打者が四球で出塁すると、宇都口滉(人4=兵庫・滝川)のこの日2つ目の犠打で走者をしっかりと進める。2死二塁として代打・熊田睦(教4=東京・早実)。「好機をつぶしてきたので、食らいついていこうと思った」とファウルで粘ってフルカウントとした9球目だった。見逃せばボールの内角高めの直球を思いきり引っ張った打球は、右翼手の頭上を越える適時打となり、1-1の同点。代打の切り札の一打でついに菅野から1点をもぎ取った。しかし、8回にそれまで安定した投球を続けていた小島が高く浮いた球をたたかれ、先頭打者を出す。犠打で送られ、2死二塁で打席には代打・毛利元哉(2年)。2球目、内角高めに入った140キロ直球を右前に運ばれ、大事な終盤で勝ち越しを許した。1点を追う最終回は、宇都口が内野安打で執念の出塁。2死一塁から佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)はファウルで粘ったが、最後はスライダーにバットが空を切り試合終了。小島の好投もあって接戦に持ち込んだが、打線が菅野を捉え切れず、1点差での惜敗となった。

代打・熊田の同点打で試合を振り出しに戻した

 少ない好機をものにした法大と、あと1本が出なかった早大。両エースによる投手戦において、どちらにも好機がない訳ではなかった。早大としては先頭打者が出塁した回は前半1、3、5回、そして後半7,8回。特に初回の好機はサインミスもあり無視の走者を確実に得点圏へ進めることができず、結果的に3人で攻撃を終えてしまった。その後も好機こそつくるが一本が出ず、後手に回ってしまった印象だ。2回戦以降も負けれない戦いが続くが、切り替えてあしたこそ勝利を手にしたい。

(記事 吉岡篤史、写真 平松史帆、加藤耀)

黄字は打点付き

早大打者成績
打順 守備 名前
(右) 八木健太郎 .292 中安    三振       四球    右飛   
(三) 岡大起 .364 遊飛       三振    三ゴ         
  打中 長谷川寛 .231                      左飛   
(一)三 福岡高輝 .367 二併       遊ゴ    三振       左飛
(左) 加藤雅樹 .160    中安    一ゴ       四球    右飛
(二) 宇都口滉 .429    投犠       右安    一犠    遊安
(中) 三倉進 .172    三振       投犠            
  打中 山田淳平 .600                   三振      
  佐藤晋甫 .100                         三振
(捕) 岸本朋也 .118    二ゴ       二ゴ            
  熊田睦 .333                   右安      
  小藤翼 .083                           
(遊) 檜村篤史 .250       三振    一邪            
  尾崎資樹 .600                      中安   
  戸谷光助 .000                           
  西岡寿祥 .167                           
(投) 小島和哉 .333       三振       一ゴ    三犠   
  早川隆久                           
早大投手成績
名前
小島和哉 7 2/3 3.34
早川隆久 1/3 2.70

東京六大学秋季リーグ戦順位表(10/14時点)
順位 明 大 慶 大 立 大 法 大 早 大 東 大 勝ち点 勝率
明 大 ●4-5
●1-2
○2-1
○11-3
○8-4
○9-4
○3-0
●8-13
○3-2
10/21
10/22
.667
慶 大 〇5-4
〇2-1
○8-7
10/15
●0-8
△3-3
○9-5
●6-7
10/28
10/29
●2-5
○4-1
○13-10
.667
立 大 ●1-2
●11-3
●7-8
10/15
10/21
10/22
○4-1
○8-1
○4-3
○6-4
.571
法 大 ●4-8
●4-9
○8-0
△3-3
●5-9
○7-6
10/21
10/22
○2-1
10/15
●2-9
●7-8
.375
早 大 ●0-3
○13-8
●2-3
10/28
10/29
●3-4
●4-6
●1-2
10/15
〇9-2
〇10-1
.375
東 大 10/21
10/22
○5-2
●1-4
●10-13
●1-4
●1-8
〇9-2
〇8-7
●2-9
●1-10
.333
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コメント

髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)

――1点差での惜敗となりました

エース対決でね。両方状態が悪くなかったらこういう1、2点のロースコアの試合になりますんで、最後に一本出たか出なかったかの差になりますね。お互いにミスもなかったんで、向こうに一本が出てこっちに出なかったと思って切り替えるしかないですね。

――東大に敗れ、目の色も変えてきたという印象ですか

きょうはノックの時から東大戦とは違って気合いありましたよね。違うなっていうのはありましたね。

――先発の小島和哉投手(スポ3=埼玉・浦和学院)は好投しました

悪くなかったですね。ただ、最初の1点取られてときに本人も勝負する気がなくて4番の中山(翔太、3年)にボール球から入ってるんですけど、そのボール球をヒットにされてるのがちょっと悔いが残るかな。

――3回には3連打で1点、4回にも連打と四球で満塁のピンチを招いたあたり、早く代えることも考えましたか

代えることも考えたんですけど、中盤立ち直ったし、まだ1点だったしね。代打送る場面もあったけど、うまく折り合わなかったです。回ってきたときにバントになったんで、バントならそのまま続投させようと。少し引っ張りすぎたかなとはありますけど、向こうも続投していますからね。

――先発の小島投手が3、4回と捉えられ始め、その後の継投のかたちとしてはどのようにお考えでしたか

中盤であれば今西(拓弥、スポ1=広島・広陵)だったけど、引っ張ったんで、早川(隆久、スポ1=千葉・木更津総合)、柳澤(一輝、スポ4=広島・広陵)かなという感じでしたね。

――1点を追う7回には熊田睦選手(教4=東京・早実)の同点打。またしても代打の選手が活躍しました

よく打って追い付いてくれたと思います。

――攻撃では5回も先頭打者が出塁しましたが、結局得点に結び付いたのは7回のみでした

初回がサインミスなんですよね。そのあとゲッツーですけど、次の回に加藤(雅樹、社2=東京・早実)がヒット打ってるんで、もしこれが初回だったら点が入っていた可能性もあったかも分かりませんね。

――8回に勝ち越された場面も、先頭の中山選手に許した左前打がきっかけでした

あれ最後もボールが高かったです。2死までよくしのいだんですけどね。代打が右だったら代えていたかもしれないですけど、左(毛利元哉、2年)が来たんで・・・。難しいね。

――これ以上は負けられないあすに向けては

もう切り替えて頑張るだけですね。

宇都口滉(人4=兵庫・滝川)

――ロースコアの展開でしたが本日の試合をチームとして振り返っていかがでしょうか

なかなかチャンスをつくれなくて、数少ないワンチャンスをものにした相手が勝ったなという印象です。

――1打席目、3打席目では犠打のサインが出ました

加藤雅樹(社2=東京・早実)が2回とも塁に出て、監督からのサインでバントしました。一球で送れればいいなと思っていて失敗せず決められたので良かったです。

――2打席目では先頭打者で安打が出ました

とにかく塁に出ることを意識して、初球から積極的に振っていこうと意識しているので、まあ2球目だったんですけど早めから振れたことが結果につながったかなと思います。

――最後の打席では1点を追う二死の場面での打席となりましたが、どのような気持ちで打席に入りましたか

小島(和哉、スポ3=埼玉・浦和学院)が最後までいいピッチングしてくれてて、このままだと負けがついてしまうので、とにかく負けをつけないように追いつきたいと思って打席に入りました。

――打った球は

甘めのカーブでした。

――最後には 佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)が打席に入りました

打ってほしかったんですけど、相手のピッチャーも良かったのであれは仕方ないですね。

――打率もリーグトップクラスとなっています。首位打者争いに食い込みたいと以前からおっしゃっていましたが

きょうでまた上げれたと思うので、どんどん上げていきたいですね。

――あすへの意気込みをお願いします

もう負けられないので、勝ち目指して頑張っていきます。

熊田陸(教4=東京・早実)

――今季好機をものにできない場面が続きましたが、今回はしっかり役割を果たしました

そうですね。チャンスをつぶしてきたので、ようやく仕事ができてよかったです。

――3球で追い込まれてからよく粘っていたと思いますが

とにかく必死だったので、食らいついていこうという気持ちで、それがたまたま結果につながったかなと思います。

――相手投手の速球や落ちる変化球に皆さん苦戦されていたと思いますが、何か対策などはされましたか

とりあえず真っすぐを打たないことには始まらないので、真っすぐ狙いでみんないってたんですけど、それでも刺されてしまったっていう、ミスというか力負けっていう感じだったので、あしたは違う投手なので切り替えたいと思います。

――きょうのチーム全体の戦いを振り返っていかがですか

結構五分五分で、法政も力はあるチームですし、とにかく切り替えて、あしたまず絶対勝つこと、入りから気合い入れていきたいと思います。

小島和哉(スポ3=埼玉・浦和学院)

――立大1回戦に続いて、またしても8回に点を奪われてしまいました

そうですね。点を取られてしまったのでその点は良くなかったです。

――きょうはストライク先行の投球で調子自体は良かったのでは

調子は良かったです。ただ本当に8回に取られてしまったのは悔しいです。

――初回から4番の中山選手を歩かせるなど、はっきりかつ大胆な攻め方をしているように見えました

あの場面はベンチからの指示があったので歩かせました。その後の打者を打ち取れたのでよかったのかなと思います。

――4番の中山選手や決勝打を浴びた場面など、重要な局面では内角攻めが目立ちました

攻めた結果、打たれてしまったのは仕方ないのですが、結果的にヒットを許してしまったので…

――8回も続投したというのは

髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)から「(次も)いきたいのであれば」ということだったので、「じゃあいきます」と。

福岡高輝(スポ2=埼玉・川越東)

――本日の試合を振り返って

そうですね、初回のサインミスがあったんでふけど、そのあとチャンスで自分が打てなかったのが大きかったかなと思います。

――初回の併殺打に関しては

打ちたい打ちたいと思ってしまって。狙ってなかったボールに手を出してしまいました。

――第3打席も好機で三振でした

あの打席はチャンスだと思って力みすぎてしまって、ちゃんと打てませんでした。最後の打席(結果は左飛)は自分らしいスイングが出来たと思うので、あしたはそれを生かせるように頑張ります。

――ここまで安定して打っていましたが、東大2回戦以降安打が出ていません

不調なんて言ってる場合ではないので、しっかりあした打ちたいです。

――打率を意識して力んでしまうということはありますか

そうですね。打率を意識しすぎてしまっている部分が大きいです。それで力んでしまって。でも切り替えて、1打席に集中してやっていけるようにしたいです。

――長期にわたる秋季リーグ戦も第6週まで来ましたが、疲れなどは

いや、それは大丈夫です

――あしたまでに修正したい点はありますか

スイングというより、気持ちを切り替えて臨みたいです。

――あしたへの意気込みをお願いします

もう後がないので、とにかく自分が打って、チームに貢献出来るように頑張ります。